資金調達・融資に関するお役立ち情報

#12創業融資を見据えた「自己資金の作り方」

多くの起業家が利用する資金調達手段が、創業融資です。創業融資は、日本政策金融公庫や民間金融機関で取り扱いをしています。創業融資を受ける場合、創業にかかる総費用のうち、何割を自己資金として用意したかという自己資金割合が重要となります。金融機関は、自己資金額を事業に対する覚悟や本気度、いざという時の返済能力と判断します。自己資金は、多ければ多いほど良いものです。今回は、創業前の自己資金の作り方について解説します。

  1. 1.コツコツ貯める(貯金する)

    毎月の給料の一部を貯金用の通帳に移し、貯める方法です。お金を貯めるのに時間がかかりますが、コツコツお金を貯めてきた点を融資審査ではとても評価されます。ポイントは、生活用口座と貯金用口座を別にしておくことと、創業融資を依頼する金融機関の口座を利用して貯金をしておくと信頼度がより上がる傾向があります。

  2. 2.定期積金を利用する

    金融機関では、定期積金という商品があります。積立期間を定め、毎月決めた日にちに一定金額を入金し積立をしていきます。定期積金は、原則途中解約ができない性質のため、融資審査では高く評価される傾向があります。

  3. 3.退職金

    退職時に会社から受け取る退職金です。退職金を受け取るタイミングは、通常、退職日以後、1週間~1カ月くらいの間です。会社の退職金規定などで確認しておきましょう。受け取るタイミングによっては、会社設立に間に合わず、資本金に入れることができない可能性があります。その場合は、一旦、会社設立をした後に増資することも視野に入れましょう。

  4. 4.株式や投資信託の売却

    個人所有の手持ちの株式や投資信託を売却する方法です。相場変動の影響を受けるため、起業資金が欲しい時期と売却に有利な相場とのタイミングが合わない可能性があります。起業準備を考えた段階で、相場の良い時期に現金化しておくとよいでしょう。最近では、株式や投資信託の積立型商品も多く、一定期間毎月コツコツ積立てを行っていくことにより融資審査にもプラスに働く傾向があります。

  5. 5.生命保険の解約

    個人で契約している生命保険を解約して、解約返戻金を自己資金とする方法です。契約内容によっては掛けてきた保険料よりも目減りすることもあるため注意しましょう。定期的に届く報告書を確認して、解約返戻金の金額を把握しておくことも重要です。

  6. 6.自宅の売却

    起業のために家を売却したうえで、勝負に挑む方法です。売りに出してから買い手が決まり、実際に引き渡し、入金があるまで相当の時間を要します。売らずに借入の際に担保に入れる方法もあるため、売却は相当に融資を受けることが困難な場合に限り検討しましょう。

  7. 7.贈与を受ける

    両親や兄弟など、身内から贈与を受けて起業資金とする方法です。自分で貯めてきたお金ではないため、評価は下がりますが、自己資金として認めてもらえます。
    お金をもらう場合は、贈与税を考慮する必要があります。贈与税の非課税枠は、年間110万円です。その範囲を超える贈与を受けると課税されてしまいます。ご両親やご家族などと相談し、賛同が得られるなら、計画的に時間をかけて贈与を受けるとよいでしょう。贈与を受ける際は、融資審査の証拠とするためにも、現金ではなく必ず振込で受け取りましょう。

  8. 8.出資してもらう

    親族や他者から新たに作る会社に出資してもらう方法です。個人に対して資金を出資するわけではないので贈与税の心配がありません。最近では、ベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家などから出資を受けるケースが増えています。この場合は、出資金額に応じて出資比率が変わりますので、大きく出資を受ける場合は、出資を受ける時期に注意が必要となります。一般的には、親族が出資することで安定株主と判断されるケースが多いです。

いかがでしたでしょうか。これら8つの方法で、なるべく多くの自己資金をつくり、金融機関からの信頼を勝ち取り、創業を有利に進めていきましょう。

  • ※ 本コラムは2022年10月26日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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