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#17資金繰りを円滑にするための重要ポイント

経営していくにあたって、利益はとても重要です。ただ、それだけを意識していればよいということではありません。「資金繰り」についても、経営者は気をつけなければいけません。お金は、企業の血液と例えられます。人間が血液の流れが滞ると死んでしまうように、企業もお金が尽きて支払いができなくなると倒産してしまいます。
つまり、利益が出ていれば安心ということではないのです。利益が出ているにも関わらず、手許資金での支払いが間に合わず、倒産してしまう「黒字倒産」といった事態もよくあるからです。ここでは、資金繰りを円滑にするためのポイントをご紹介します。

資金繰りを行ううえで、必ずおさえておきたいのが掛け取引と収支ズレです。

  1. 1.掛け取引

    掛け取引とは、契約により代金を後払いにすることです。企業間取引では、月末までに納品を受けたものの、代金を翌月末日に一括で支払うといった条件で取引するのが一般的です。このような掛け取引は、売上と入金のタイミング、仕入と支出のタイミングにズレが生じます。このズレが、利益が出ていることと、手許現金が足りていることが一致しない原因です。一般的には、入金が支出よりも早い方が資金繰りに余裕が生まれます。

  2. 2.収支ズレ

    収支とは、収入と支出のことです。例えばA社は、10月1日に仕入先B社から現金払いで商品を10万円で仕入れたとします。10月1日に10万円が手許から出ていきます。その商品を同日、C社に当月末日締め、翌月末日払いで15万円で売ったとします。企業会計には、発生主義会計の原則というルールがあり、売上は商品を引き渡した時、仕入は商品を受け取ったときに認識するので、10月1日に5万円の利益が出ています。
    しかし、収支面では、10月1日にB社に10万円支払い、C社からの売上金は11月30日に入金されるので、約2か月間10万円を先に支払っている状態が続いています。このような入出金のズレを収支ズレといいます。この収支ズレを埋めるために必要なのが、運転資金です。毎月の収支ズレがどれだけ発生し、運転資金をどのように調達していくかを考えることが重要です。売上代金の回収を早くし、仕入代金の支払を遅くすると、収支ズレの期間が短くでき、資金繰りが改善します。このようなことも意識しながら経営していきましょう。

  3. 3.設備資金

    業種によっては、事業のために設備を導入します。設備とは、店舗や事務所などの内装工事や車、什器備品などのことで、一度購入したらしばらく使い続け、頻繁に購入する必要のないものをいいます。資金繰り上の問題は、それらの設備は導入した段階で代金を支払いますが、その設備を使って上がった売上でその代金を回収するのは長い時間がかかるということです。例えば、D社は飲食店を開店するにあたり、初期投資として、お店の保証金、内装工事、看板工事、厨房機器、レジなどで合計1千万円払ったとしましょう。その1千万円を回収するには、一般的には5年や10年がかかります。設備投資に関する収支の長期間のズレを解消するために必要なのが、設備資金です。設備を導入するときには、金融機関から長期間の借入を行うことも同時に検討しましょう。

  4. 4.資金繰り表

    このように、収入と支出との間に、ズレが生じるケースが大半です。このズレを把握し、解消するために「資金繰り表」を作成しましょう。業種や取引条件によっては、月単位や週単位、日単位で管理しなければならないなど、さまざまなケースがあるので、自社が管理しやすい形式ではじめてみましょう。

  5. 5.資金調達

    収支のズレが生じることで現金が先に出ていく流れになると、手元の現預金が少なくなります。その状態が続くと、最後には現金が無くなって支払いができなくなり、倒産してしまいます。それを防ぐために、自社の取引が、収支とどれだけのズレがあるのかをきちんと認識したり、日頃から資金繰り表を作成したりして管理しましょう。金融機関の融資審査では、資金繰り状況を把握するために資金繰り表の提出を求められることがあります。資金繰り表を作成して、きちんと管理している企業は、金融機関からの評価はプラスになります。

いかがでしたでしょうか。経営で資金繰りについての対応の優先度が高いことが伝わったかと思います。
ぜひ、今回の内容を参考にして経営に生かしてください。

  • ※ 本コラムは2023年1月11日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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