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#24融資における「本店所在地」の落とし穴に注意!

法人設立をする際に決めなくてはならないことの一つに、「本店所在地」があります。本店所在地とは、法人設立をするときに登記する住所のことです。賃貸オフィスが一般的ですが、最近ではバーチャルオフィスやシェアオフィス、自宅兼オフィスといったさまざまなオフィスの形態があります。今回は、本店所在地を決める際に重要となるオフィスの形態ごとのメリットやデメリットについてと、融資における落とし穴について解説します。

  1. 1. いろいろなオフィス形態

    オフィスの形態には、大きく分けて次の3種類があります。

    1. ① 自宅兼オフィス
    2. ② 賃貸オフィス
    3. ③ その他の形態

    さらに賃貸オフィスには、通常のオフィス賃貸のほか、ワンフロアをブースで区切っているシェアオフィスや、特定の場所がなく住所や会議室や打ち合わせスペースの利用権だけを借りるバーチャルオフィスといった形態があります。また、その他の形態としては、他社のオフィスの一角を間借りする方法や、親族などの自宅を借りる方法が考えられます。

  2. 2. オフィス形態ごとのメリット、デメリット

    オフィス形態ごとのメリット、デメリットは以下のとおりです。

    形態 メリット デメリット
    自宅
    • 初期費用がなく、賃料も発生しない
    • 通勤がなく、時間や交通費が節約できる
    • 登記簿謄本、名刺、ホームページなどで自宅住所を公開することになるため、プライバシーを守れない可能性がある
    • 仕事とプライベートの空間的、時間的な区分が難しい
    • 打ち合わせ場所の確保が難しい
    通常の賃貸オフィス
    • 自由なオフィス設計が可能
    • 顧客からの信用度が高まりやすい
    • 打ち合わせなどに利用しやすい
    • 賃料や内装・備品などの初期費用が高い
    • 賃料水準によっては、立地や建物のグレードが下がる場合もある
    シェアオフィス
    • 賃貸オフィスに比べ、保証金などの初期費用が割安
    • 机、イスなどの備品を購入する必要がない
    • 安価で一等地にオフィスを持てる
    • 電話応対サービス等を利用できる
    • 電話応対サービス等を利用できる
    • 銀行口座の開設が困難な場合がある
    • 創業融資の審査に通らない可能性がある
    • 複数の会社が同一住所となるため、住所をWeb検索した場合、複数の会社が表示されてしまう
    バーチャルオフィス
    • 賃料や保証金など初期費用が非常に安価
    • オフィスが一等地にあるように見せることが可能
    • 電話応対サービス等を利用できる
    • 許認可によっては認められないものがある
    • 銀行口座の開設が困難な場合が多い
    • 創業融資の審査に通らない可能性がある
    • 複数の会社が同一住所となるため、住所をWeb検索した場合、複数の会社が表示されてしまう
    間借り
    • 初期費用が無料、または安価
    • 賃料が無料、または安価
    • オフィス探しの手間が省ける
    • 打ち合わせでの使用や、コピー機の使用などで貸主に気を遣う
    • 会社間で間借りするような場合には、賃料を無料にすると税務上の問題が生じることがある
    親族などの自宅
    • 賃料や初期費用が無料、または安価
    • 間借りよりも気兼ねなく使える
    • オフィス探しの手間が省ける
    • 親族のプライバシーを守れない可能性がある
    • 打ち合わせ等で外部の人を招きづらい

    このように、オフィスの形態ごとに特徴はさまざまです。既に起業時のオフィス形態を決めている場合でも、事業拡大などで、いつオフィスを移転するか分かりません。それぞれのメリット、デメリットを把握しておきましょう。
    このほかにもオフィス形態によっては、許認可に影響する場合があります。許認可要件が近年緩和されているものの、業種により、本店所在地が自宅の場合、会社設立の登記は行えても、最終的に、事業は行えないという事態もあり得るので注意が必要です。
    また、間借りは転貸にあたります。間借りさせてくれる会社が、大家との契約で転貸を禁止されている場合、勝手に行うと契約違反になってしまいます。間借りする際には、間借りさせてくれる会社に問題ないかも確認してもらいましょう。

  3. 3. 融資における落とし穴

    金融機関は、本店所在地に事業実態があるかどうかを必ず確認します。特に、民間金融機関では厳格な対応をしています。バーチャルオフィスとシェアオフィス(フリースペース利用)は実態確認が取れないため、融資だけではなく口座開設も難しくなっています。また、間借りの場合であっても、転貸借契約書がきちんと締結されていない場合は同様です。融資審査に通るような財務内容であったとしても、どのようなオフィスを利用しているかで融資が受けられないといった事態が起きる場合があります。

いかがでしたでしょうか。法人設立をする際に決める本店所在地は、とても重要です。それぞれのオフィス形態にはメリット、デメリットがあります。選んだオフィス形態によっては、融資や口座開設が難しくなることもありますので、ぜひこちらの内容をご確認いただき検討してみてください。

  • ※ 本コラムは2023年4月26日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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