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#4不動産担保

不動産担保と聞くと、どのようなものを想像するでしょうか。不動産がなくなってしまう、住み続けられないといった怖いイメージを持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。不動産担保と一言で言っても様々な種類があり、それぞれ特徴があります。メリットやデメリットも含め不動産担保についてみていきましょう。

  1. 不動産担保とは

    お金が返ってこなくなったときのために、お金を貸す人が借り手の不動産を売却してお金を受け取れるように権利を確保しておくものです。貸し手は、万が一お金が返ってこなくなった場合、担保に取った物件を売却して借入金の返済に充てます。一般的に、土地と建物両方を担保にします。建物だけを担保に取った場合、いざ競売にかけて売ることになったときに、土地と建物の所有者が異なると売りにくくなるためです。担保に取られたとしても、所有権は所有者にありますので土地・建物をそのまま利用することができ、毎月の返済がきちんとされている限り、銀行に売却されることはありません。

  2. 不動産担保の種類

    不動産を担保とする場合には、通常は貸し手が物件に抵当権を設定します。抵当権とは、借り手(債務者)から担保として提供された不動産を、利用させながら、債務が履行(返済)されない場合にその不動産を売却して、代金から債権を回収する権利のことです。抵当権には、(普通)抵当権と根抵当権の2種類があります。抵当権は、完済されれば消滅します。ただし、抵当権抹消登記を行わないと、抵当権が消滅したことを第三者に主張することができません。根抵当権は、一つの融資契約に限らず極度額まで複数の契約を担保できます。そのため、どのような債権を担保するのかという「債権の範囲」が契約事項になっています。事業資金のように何度も繰り返し借りる見込みがある場合に利便性の高い制度です。根抵当権の場合、継続して融資を受ける場合があるため、借入残高が0になっても、根抵当権は消滅しません。

  3. 不動産担保のメリット

    不動産担保のメリットは、融資が受けやすくなることです。また無担保だと借入できないくらい大きな金額でも、担保があれば借入できる可能性があります。融資金額は、金融機関の担保価値評価により決まります。

  4. 不動産担保のデメリット

    不動産担保のデメリットは、万が一お金が返せなくなった場合に、抵当権を行使され土地・建物を手放さざるを得なくなることです。また、抵当権設定には登記費用がかかります。手間が増える分、融資までの実行時間もかかります。(以下、「ガイドライン」)を平成25年12月5日に策定しました。同ガイドラインでは、代表者保証なしで融資が行える要件として、①資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている、②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である、③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている という3つを定めています。これら3つ要件のすべてまたは一部を満たし、業歴や業況、資産背景などと合わせた総合的な判断を行うことにより、中小企業は代表者保証なしで融資を受けられるようになってきています。

  5. 不動産担保を利用するケース

    無担保融資の限度額を超えて融資を受けようとする場合、不動産担保を活用します。会社が融資を受けるために不動産担保を設定し、無担保融資の限度額を超えて融資を受けることができます。

  6. 万が一返済ができなくなった場合には

    不動産担保を設定して融資を受けたあとに返済ができなくなった場合には、銀行は抵当権を実行して、抵当権を設定した不動産を競売にかけることができます。競売の後、銀行は競売で得られた代金から債権を回収します。抵当権を実行されてしまうと不動産の所有はできません。なお、競売での売却金額が債務残高を下回ってしまった場合には、売却後も残った融資金額を返済していく必要があります。

  7. 不動産担保が難しい物件

    不動産担保となる不動産は、一般的に戸建住宅やマンション、アパート、テナントビル、駐車場、自社ビル、自社工場などです。ただし不動産の中には担保として不適格な物件もあります。不適格物件の代表的なものは次のようなものです。

    • 市街化調整区域内の物件
    • 建築基準法に違反した物件
    • 道路に接していない無道路地
    • 権利関係に問題のある物件

    このような物件に対しては担保設定が難しいです。

いかがでしたでしょうか。不動産担保を設定することで、無担保枠を超えて融資を受けることはできますが、万が一返済ができない場合には、物件を競売にかけられて売却されることになり、所有権はおろか住み続けることもできません。融資額が増える反面リスクも高くなります。不動産担保を検討する場合は、家族ともよく話し合って慎重に検討しましょう。

  • ※ 本コラムは2022年6月22日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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