資金調達・融資に関するお役立ち情報

#6金利の種類

融資を受けるときには必ず話題になるのが金利です。金利とは具体的にはどんなもので、どのように計算されるものでしょうか?今回は、金利の設定方法や計算方法についてみていきます。

  1. 1.金利とは

    金利とは、お金を借りた見返りに借り手が貸し手に対して支払う対価です。借入残高に利率をかけ、出てきた金額の金利を支払います。金利計算には、固定金利と変動金利のいずれかが用いられます。

  2. 2.固定金利

    返済期間内の利率が固定されている契約です。事業性融資では、一般的に固定金利を採用している契約が多いです。固定金利のメリットは、返済期間内の利率が固定されているため、世の中の金利が上昇したとしても契約で決められた金利を元金がなくなるまで払い続ければ大丈夫です。そのため、世の中の金利が低くなったとしても、当初の契約どおりの金利を払い続けます。金利の支払い総額が契約時点で確定するため、資金繰り上の計画が立てやすくなる点が大きなメリットといえるでしょう。

  3. 3.変動金利

    変動金利とは、返済期間内の金利が世の中の金利動向を反映して設定されるものです。世の中の金利が上昇すれば契約金利も上昇し、下降すれば契約金利も下がります。金利が下がれば低金利の恩恵を受けられますが、金利が上昇した場合には合わせて契約金利も上昇するため金利負担が増えます。住宅ローンなどでは、急激な金利上昇の際には、金利上乗せに上限を設け、金利を段階的上げていく契約が一般的です。世の中の金利動向に合わせて金利が設定されるため、契約時に金利支払い総額がわからず、金利上昇時には多くの負担を強いられる可能性があることから、リスクが高い契約といえるでしょう。

  4. 4.固定金利特約

    固定金利特約とは、基本的な契約は変動金利ですが、当初数年間は固定金利を設定するという契約です。住宅ローンでよくある契約です。例えば契約で10年間固定金利ということであれば、10年間は当初設定された利率で固定され、10年経過するとその時点での金利動向を反映した利率が設定され、以降は変動金利となります。固定金利と変動金利の良いところとった契約ですが、固定金利期間経過時の金利がどのようになっているか分からない点でリスクが高い契約といえるでしょう。

  5. 5.固定金利と変動金利の利率の傾向

    固定金利の場合、金融機関は契約期間にわたり固定的に契約した金利を約束します。金利上昇時でも金融機関が金利を上げられないため、金利上昇分を金融機関がリスクを負うことになります。リスクを加味した金利を設定するため、一般的に変動金利に比べ高めの金利となります。早く借入残高を減らしたい場合は、比較的金利の低い変動金利が有利ですが、金利上昇のリスクを加味されない固定金利を採用したほうがよいでしょう。

  6. 6.元金と金利の支払い計算方法

    元金と金利の支払い計算方法として、元利均等と元金均等の2種類があります。住宅ローンなどの消費性融資では元利均等、事業性融資では元金均等を採用するのが一般的です。

  7. 7.元利均等

    元利均等とは、金利を含めた支払い額を毎月定額とする方法です。毎月定額で決まった額の中で元金と金利が決まります。元利均等は、当初の支払い額を元金均等に比べて低くすることができます。また毎月定額の支払い額になるので返済予定が立てやすくなります。しかし、借入当初ほど支払い額に占める金利の負担割合の方が高いため元金が減りにくく、金利負担総額は元金均等に比べ高くなります。

  8. 8.元金均等

    元金均等とは、返済元金を毎月固定し残った元金に対し金利を設定します。元金均等の場合は返済が進めば進むほど元金が減るため、その分利息も減っていきます。利息は毎月変わるため、毎月の支払い額も変わります。当初は利息負担が多いため、元利均等に比べて毎月の支払い額が増えますが、元金の減りが早いため金利負担総額は元利均等に比べて減らすことができます。

    元利均等と元金均等のシミュレーション例
    借入額 100万円
    金利 2%(固定)
    返済期間 12カ月

    元利均等

    回目 返済額 元金分 利息分 借入残高
    1 84,238 82,572 1,666 917,428
    2 84,238 82,709 1,529 834,719
    3 84,238 82,847 1,391 751,872
    4 84,238 82,985 1,253 668,887
    5 84,238 83,124 1,114 585,763
    6 84,238 83,262 976 502,501
    7 84,238 83,401 837 419,100
    8 84,238 83,540 698 335,560
    9 84,238 83,679 559 251,881
    10 84,238 83,819 419 168,062
    11 84,238 83,958 280 84,104
    12 84,244 84,104 140 0
    1,010,862 1,000,000 10,862

    元金均等

    回目 返済額 元金分 利息分 借入残高
    1 84,999 83,333 1,666 916,667
    2 84,860 83,333 1,527 833,334
    3 84,721 83,333 1,388 750,001
    4 84,583 83,333 1,250 666,668
    5 84,444 83,333 1,111 583,335
    6 84,305 83,333 972 500,002
    7 84,166 83,333 833 416,669
    8 84,027 83,333 694 333,336
    9 83,888 83,333 555 250,003
    10 83,749 83,333 416 166,670
    11 83,610 83,333 277 83,337
    12 83,475 83,337 138 0
    1,010,827 1,000,000 10,827

いかがでしたでしょうか。固定金利か変動金利かの判断は将来の金利上昇リスクをどの程度許容できるかがポイントになります。元金と金利の計算方法では、採用する方法により、毎月の支払い額や金利負担総額が変わります。制度上利用できるものが決められている場合も多いので取扱金融機関に相談されると良いでしょう。

  • ※ 本コラムは2022年7月27日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

資金調達・融資に関するお役立ち情報TOP

執筆者情報

V-Spirits group 経験豊富な専門家が揃うワンストップコンサルティング

V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

■著者への無料個別相談・最新情報はコチラから
 https://v-spirits.com/

close AIチャットにお問い合わせ

AIチャットボットのご利用にあたって

ご利用に際して、以下の事項をご確認ください

  • 【注意事項】

    • ・支店・口座情報やお名前・ご住所・電話番号などの個人情報(お客さま情報)は入力しないでください。
    • ・本サービスはtripla株式会社のチャットボットサービスを利用しております。
  • 〇取得する情報の範囲および利用目的

    • ・チャットボットの回答精度向上や機能改善を目的として、お客さまの利用履歴(入力された質問および表示された内容、入力されたフィードバックなど)を記録しております。
    • ・チャットボットを円滑に運営するための参考とすることを目的として、お客さまのJavaScriptおよびCookieを当社とtripla株式会社で取得しています。
    • ・チャットボットご利用にあたっての注意事項
close