
経費削減は、企業の利益率を改善するだけでなく、持続可能な成長を実現するための重要な取り組みです。
本記事では、削減できる費用の種類ごとに具体的なアイデアを紹介し、実行時の注意点も解説します。経費削減を効率的かつ効果的に進めるためのヒントとなると幸いです。
1.経費削減できる費用の種類
経費削減を実現するためには、まずどの費用を削減できるかを明確にすることが重要です。
企業が直面するさまざまなコストの中でも、特に削減の余地が大きいのは「オペレーションコスト」「オフィスコスト」「エネルギーコスト」の3つです。
それぞれについて解説します。
1-1.オペレーションコスト
オペレーションコストとは、企業の日常的な運営にかかる費用を指します。
このコストを削減することは、企業の利益を直接的に改善するだけでなく、業務の効率化にもつながります。
例えば、業務のデジタル化や自動化を進めることで、無駄な時間やリソースを削減できます。
1-2.オフィスコスト
オフィスコストとは、企業が事業を営むうえで日常的に発生する固定費の一部であり、経費削減の重要な対象となります。
オフィスの賃貸料や設備費用など、企業の運営にかかる費用を見直すことで、大きなコスト削減を実現できる可能性があります。
1-3.エネルギーコスト
エネルギーコストは、企業の運営において無視できない重要なものです。電気やガスの使用量が増えると、それに伴いコストも増加します。これらの使用量を見直すことで、環境への配慮と同時にコスト削減が実現できます。
また、節電や節水の取り組みは、企業の持続可能性にも寄与するでしょう。
2.【オペレーションコスト】費用削減アイデア
2-1.法人カードの導入
オペレーションコストを削減するための有効な手段の一つに、法人カードの導入が挙げられます。社員が業務に必要な経費を法人カードで支払うことで、個人の立替えを減らし、経費精算の手間を軽減することができます。
さらに、法人カードには多くの場合、ポイント還元やキャッシュバックの特典が付いています。これにより、日常的な経費を削減しつつ、企業全体のコストパフォーマンスを向上させることが可能です。
また、法人カードを利用することで、取引履歴が自動的に記録されるため、経理業務の効率化にも寄与するでしょう。
ただし、法人カードの導入にあたっては、利用ルールを明確に定めることが重要です。社員が便利に利用できる一方で、無駄な支出を防ぐためのガイドラインを設けることで、経費の適正化を図ることができます。
2-2.ネット銀行への口座変更
ネット銀行への口座変更も、オペレーションコストを削減するための有効な手段です。ネット銀行は手数料が低く設定されていることが多く、特に振込手数料や口座維持手数料の面で大きなメリットがあります。
さらに、ネット銀行は原則24時間(システムメンテナンス時を除く)いつでも取引ができるため、業務の効率化にも寄与します。
例えば、急な支払いが発生した場合でも営業時間に縛られることなく迅速に対応できるため、ビジネスのスピード感を向上させることができます。また、オンラインでの管理が容易なため、経理業務の負担を軽減することも期待できます。
ただし、ネット銀行へ事業用口座の変更を行う際には、いくつかの注意点があります。まず、取引先や顧客に新しい口座情報を周知する必要が出てくるため、時間と手間がかかるでしょう。また、ネット銀行のサービス内容やセキュリティ対策を十分に確認し、自社のニーズに合った銀行を選ぶことも大変重要です。
そのため、サブ口座として、例えば振込専用はネット銀行というように、用途別に複数の銀行を使いわけることもおすすめです。
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2-3.残業時間の削減
残業時間の削減も、オペレーションコストを抑えるために有益です。残業が多いと従業員の疲労が蓄積し、生産性が低下するだけでなく、企業の人件費も増加します。
まずは、業務の効率化を図ることを考えましょう。業務プロセスを見直し、無駄な作業を排除することで従業員が定時内に業務を終えることができるようになります。
また、タスク管理ツールやプロジェクト管理ソフトを導入することで、業務の進捗状況を可視化し、優先順位を明確にすることも可能です。
さらに、フレックスタイム制度やテレワークの導入も効果的です。従業員が自分のライフスタイルに合わせて働ける環境を整えることで、仕事の効率が向上し、結果として残業時間の削減につながります。従業員のワークライフバランスも改善され、企業全体の生産性向上が期待できるでしょう。
残業時間の削減を進める際には、従業員とのコミュニケーションが不可欠です。業務の見直しや新しい制度の導入について従業員の意見を取り入れることで、より効果的な施策を実施することができます。
2-4.システムの導入
業務プロセスを自動化するシステムの導入はオペレーションコストの削減につながり、人的リソースの効率的な活用が可能になります。
例えば、経理業務や在庫管理、顧客管理などの分野では、専用のソフトウェアを導入することで、手作業によるミスを減少させ、業務のスピードを向上させることができます。
また、クラウドベースのシステムを利用することで、初期投資を抑えつつ、必要な機能を柔軟に追加することが可能です。企業の成長に合わせてシステムを拡張することもでき、長期的な視点でのコスト削減が期待できます。
ただし、システムを導入する際は、従業員への教育やトレーニングが必要になります。新しいシステムに対する理解を深めることで、導入後の運用がスムーズになり、効果的な活用が促進されるでしょう。
また、システム導入には慎重に計画することも必要です。導入するシステムが本当に業務に適しているか、また、導入後の運用コストがどの程度かかるのかをしっかり検討し、効果的なオペレーションコスト削減につなげましょう。
2-5.アウトソーシングの活用
アウトソーシングは、企業が特定の業務を外部の専門業者に委託することで、コスト削減や効率化を図る手法です。
コア業務に集中するために非中核業務を外部に委託することは、経費削減に非常に効果的です。例えば、経理や人事、ITサポートなどの業務をアウトソーシングすることで、内部リソースを最適化し、専門的な知識や技術を持つ外部業者の力を借りることができるでしょう。
アウトソーシングの利点は、コスト削減だけではありません。業務の効率化や品質向上も期待できるため、企業全体の生産性を向上させることが可能です。また、外部業者は最新の技術やトレンドに精通しているため、業務の改善や革新を促進する役割も果たします。
ただし、アウトソーシングを行う際には信頼できる業者を選定することが重要です。契約内容や業務範囲を明確にし、後々のトラブルを防ぎましょう。
また、業務の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じてフィードバックを行うことで、より良い結果を得ることが可能です。
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3.【オフィスコスト】費用削減アイデア
3-1.テレワークの導入
テレワークの導入は、オフィスコスト削減のために有効な手段となります。従業員が自宅やほかの場所で仕事をすることで、オフィススペースの縮小化を可能とし、賃貸料や光熱費などの固定費を大幅に削減できるためです。
また、テレワークは通勤時間の短縮にもつながるため、従業員のワークライフバランスを向上させることも期待できるでしょう。
さらに、テレワークを導入することで、企業は優秀な人材を地域にとらわれずに採用できるようになります。これにより、競争力のある人材を確保しやすくなり、結果として業務の効率化や生産性の向上が図れます。
テレワークを成功させるためには、適切なコミュニケーションツールやプロジェクト管理ツール、セキュリティツール等の導入を検討しましょう。チームメンバー間の情報共有が円滑になり、業務の進捗状況を把握しやすくなります。
また、定期的なオンラインミーティングを設定することで、チームの一体感を保つことも重要です。
3-2.オフィスの縮小・移転
オフィスの縮小や移転も、オフィスコスト削減のための有効な手段です。
近年はテレワークの普及により、従来のように大規模なオフィススペースを必要としない企業が増えています。オフィスの面積を減らすことで、賃料や光熱費、維持管理費を大幅に削減できるでしょう。
また、オフィスの移転を検討する際は、立地やアクセスの良さが重要なポイントとなります。従業員が通いやすい場所に移転することで、通勤時間の短縮やストレスの軽減につながるためです。また、オフィスのデザインやレイアウトを見直すことで、効率的な働き方を促進することもできます。
従業員の働きやすさやコミュニケーションの取りやすさを考慮し、必要な設備やスペースを確保しましょう。
3-3.リースの見直し
企業がオフィススペースや設備をリースする際、契約内容や条件が企業の成長や変化に応じて最適であるか、定期的に確認することも重要です。
特に、リース契約の更新時期や市場の動向を把握しておくことで、より有利な条件での再契約や新たなリース先の選定が可能になります。
また、リース物件の利用状況を見直すことも大切です。例えば、現在のオフィススペースが過剰であれば、縮小を検討することでコストを削減できます。逆に、必要な設備が不足している場合は、必要なものだけを追加でリースすることで無駄な支出を避けることができます。
リース契約には柔軟性も求められます。短期リースやフレキシブルな契約条件を選ぶことで、将来的な変化に対応しやすくなり、経費の無駄を減らすことができるでしょう。
4.【エネルギーコスト】費用削減アイデア
4-1.節電・節水
エネルギーコスト削減の一環として、節電や節水が挙げられます。これらは、企業の運営コストを直接的に削減するだけでなく、環境への配慮も示すことができるため、企業のイメージ向上にも貢献します。
まず、節電について考えてみましょう。オフィス内の照明をLEDに変更することで、電力消費を大幅に削減できます。パソコンやコピー機などの電源を使わない時間帯にはオフにすることも有効です。
さらに、エネルギー効率の良い機器を導入することで、長期的なコスト削減が期待できます。
節水に関しては、トイレや洗面所に節水型の設備を導入することが効果的です。例えば、流量を調整できる水栓や節水トイレを設置することで、日常的な水の使用量を減らすことができます。
また、社員に対して水の使用を意識させるための啓発活動を行うことも、節水の効果を高める手段となります。
4-2.電力・ガスの自由化の利用
電力とガスの自由化も、企業のエネルギーコスト削減に寄与します。
電力とガスの自由化によって、企業は複数の供給業者からサービスを選択できるようになります。これにより競争が生まれるため、料金が引き下げられる可能性が高まるのです。
まずは現在の契約内容を見直し、どのようなプランが最もコストパフォーマンスに優れているかを検討してみてください。また、契約の見直しだけでなく、エネルギーの使用状況を把握し、無駄を省くための対策を講じることも大切です。
再生可能エネルギーの利用を検討することも一つの選択肢です。太陽光発電や風力発電など、自社で発電を行うことで長期的にはコスト削減につながる可能性があります。
4-3.社用車の見直し
社用車の見直しも、企業のエネルギーコスト削減に欠かせません。社用車の利用状況を徹底的に分析し、必要な車両の数や種類を見極めましょう。例えば、実際にどの程度の頻度で社用車が使用されているのか、またその使用目的は何かを把握することで、過剰な車両を削減できるかもしれません。
車両の選定時は、燃費の良い車両や電気自動車の導入を検討することが推奨されます。これにより、燃料費の削減だけでなく、環境への配慮も同時に実現できます。
また、社用車の運用ルールを見直すことも有効です。運転手に対してエコドライブの教育を行うことで、無駄な燃料消費を抑えることができるでしょう。
社用車のリース契約を見直すことも大切です。リース契約の条件や料金を再評価し、よりコストパフォーマンスの良いプランに変更することで、長期的な経費削減につながります。
5.経費を削減する時の注意点
5-1.長期的な目線を持って取り組む
経費削減を進める際には、短期的な利益を追求するだけでなく、長期的な視点を持つことが重要です。短期的なコスト削減策は、一時的に経費を減少させることができるかもしれませんが、持続可能な成長を妨げるリスクも伴います。
例えば、従業員のモチベーションを下げるような人件費の削減や、品質を犠牲にするような材料費のカットは、結果的に企業の競争力を低下させる可能性があります。
長期的な視点を持つことで、経費削減の取り組みが企業全体の戦略にどのように寄与するかを考えることができます。
例えば、効率的なオペレーションを実現するためのシステム導入や、テレワークの推進によるオフィスコストの削減は、初期投資が必要ですが、時間が経つにつれて大きなコスト削減効果をもたらすことが期待できます。
また、経費削減の取り組みは、企業文化や従業員の意識にも影響を与えるため、長期的な視点での計画が不可欠です。従業員が経費削減に対して理解を深め、協力的な姿勢を持つことで、より効果的な施策が実施できるでしょう。
5-2.安易に人件費を削減しない
経費削減の手段として、人件費の削減を考える企業は少なくありません。しかし、人件費を安易に削減することは短期的なコスト削減にはつながるかもしれませんが、長期的には企業の成長や競争力を損なうリスクがあります。
人件費を削減する際には、まず従業員のモチベーションや生産性を考慮する必要があります。例えば単に給与をカットするのではなく、業務プロセスの見直しや効率化を図ることで、より持続可能な形でコストを削減する方法を模索することが重要です。
また、従業員のスキルアップやキャリア開発に投資することで、長期的には企業全体の生産性向上につながります。
さらに従業員とのコミュニケーションを密にし、彼らの意見や提案を取り入れることで、より良い職場環境を築くことができます。これにより、従業員の定着率が向上し、結果的に採用や教育にかかるコストを削減することがかなうでしょう。
5-3.関係者の合意を必ず取る
経費削減を進める際は、関係者との合意形成が不可欠です。特に経費削減の施策が実施される部門やチームのメンバーに対しては事前に十分な説明を行い、理解を得るようにしましょう。
まず、経費削減の目的や必要性を明確に伝え、関係者がその意義を理解できるようにすることが大切です。具体的な数字やデータを用いて、どのように企業全体の利益に寄与するのかを示すことで、納得感を得やすくなります。
また、関係者からの意見や懸念をしっかりと受け止める姿勢も重要です。彼らの声を反映させることで、より実効性のある施策を策定することができます。
合意形成のプロセスには時間がかかることもありますが、焦らずにじっくりと進めることが成功の鍵です。関係者が納得し、協力的な姿勢を持つことで、経費削減の取り組みはスムーズに進行し、企業全体の意識も高まります。
まとめ
本記事では、企業の経費削減について、オペレーションコスト、オフィスコスト、エネルギーコストの3つの主要な費用の種類に分け、具体的な削減アイデアを紹介しました。
法人カードの導入やネット銀行への事業用口座の変更、テレワークの導入など、さまざまな方法があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ただし、経費削減を進める際には注意が必要です。短期的な利益を追求するあまり、長期的な視点を失ってしまうと、結果的に企業の成長を妨げることになりかねません。
経費削減は単なるコストカットではなく、企業全体の効率性を向上させるための戦略的な取り組みです。
これらのアイデアを参考にしながら自社に合った方法を見つけ、持続可能な成長を目指していきましょう。
※ 本コラムは2025年3月12日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。