「株式会社を設立しようと準備を進めているけれど、株については何をどうすればいいのだろうか?」
株式会社なら、当然設立時に株を発行しなければいけませんが、そのためには何から取りかかればいいのか悩みますよね。
会社設立時は、株について下記6項目を決めていきましょう。
上記項目のうち、会社設立時の定款に必ず記載しなければいけないのは、「④発行可能株式総数」だけですが(会社法第37条)、実際はこれを決めるだけでは事業はまわりません。
会社を順調にスタートさせるためには、この6項目について、きちんと定めておくようにしましょう。
この6項目についは、会社設立時のセオリーがある程度決まっています。
しかし、譲渡制限と株券発行の2項目以外については、資本金や会社のビジョンによって、最適解が異なることがあります。
たとえば、多くの専門家は「株価は1万円か5万円がおすすめ」と主張していますが、すべての会社にこの考えがあてはまるわけではありません。
資本金が100万円の会社は、株価を1万円にしてしまうと100株しか発行できなくなるので、持株比率が調整しづらく、経営でつまずく恐れがあるでしょう。
このような失敗を避けるために、本稿では、「一律にこうすべき」という決め方ではなく、「あなたの会社にとっての最適解を出す考え方」をお伝えしていきます。
この記事で分かること |
---|
●会社設立時に株について決めるべき6項目 ●6項目それぞれの決め方 |
本記事を読めば、株に関する6項目において、あなたの会社に合った結論を出せるようになります。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
1.会社設立時に株について決めるべき6項目
会社を設立するためには、株について決めておきたい項目が6つあります。
【会社設立時に株について決めるべき6項目】株について決めること | 決め方のポイント |
---|---|
①譲渡制限の有無 | 設立時は譲渡制限をつけた方がいい |
②株価 | 1,000円または1万円がおすすめ |
③設立時の発行済株式数 | できるだけ多く発行 |
④発行可能株式総数 | できるだけ多く定める |
⑤持株比率 | 代表者1人が3分の2以上を持つべき |
⑥株券発行の有無 | 原則発行しなくてよい |
上記の6項目を決めておかないと、会社の設立、そして設立後の経営で、トラブルや余分な手間・費用が発生する恐れがあります。
スムーズに起業をスタートさせるためにも、株の設定に関する知識を身につけ、各項目において最適解を出せるようにしましょう。
次章以降で各項目の基礎知識や決め方について説明していくので、順に取り決めていくようにしてくださいね。
6項目の中で「④発行可能株式総数」は定款に記載するのが実質の義務である重要項目です(会社法第37条)。発行可能株式総数を決めるためには、①~③を先に決めなければいけません。
2.会社設立時に決めるべきこと①譲渡制限をつけるか|基本的につけるべき
まずは、株に譲渡制限をつけるかどうかを決めましょう。
▼譲渡制限株式とは通常、株は自由に売買・譲渡ができますが(会社法第127条)、譲渡制限をつけると会社(取締役会・株主総会)の承認がないと売買・譲渡ができません(会社法第136条)。
すべての株式に譲渡の制限をつけている会社を株式譲渡制限会社(非公開会社)、制限をつけていない会社のことを公開会社と呼びます。
譲渡制限のある・なしは、株価や株式数の決定にも影響します。
会社設立時は、何か事情がない限り譲渡制限をつけるべきです。その理由と、設定方法について見ていきましょう。
【譲渡制限】2.譲渡制限を設定する場合は定款にその旨を記載する
2-1.会社設立時は基本的に譲渡制限をつける
会社設立時は、特段の事情がない限り、譲渡制限をつけるべきです。
株を自由に売買・譲渡できるとなると、株主として望ましくない人物に株が渡ってしまうリスクがあるからです。
そうなると迅速な事業判断ができなかったり、会社を乗っ取られたりと、経営がスムーズに進まない恐れがあります。
譲渡制限をつけることには、ほかにも下記のようなメリット・デメリットが挙げられます。
【譲渡制限のメリット・デメリット】メリット | デメリット |
---|---|
・株が不都合な人物に渡らないよう管理できる(会社法第134条) ・役員の任期を10年まで延長できる(会社法第332条) ・取締役会の設置義務がない(会社法第327条) ・株主総会の招集手続きを簡略化できる(会社法第296条) |
・資金調達の範囲が限られる ・決算公告の手続きが煩雑になる ・乗っ取りを完全に防げるわけではない |
非公開会社のままだと上場できず、株の買い手を広く集められない点が最大のデメリットですが、会社設立時は、まず何より経営基盤を安定させることが最優先です。
会社設立時は譲渡制限をつけ、事業が軌道に乗ったら上場する前に譲渡制限を廃止するようにしましょう。
2-2.譲渡制限を設定する場合は定款にその旨を記載する
すべての株式に譲渡制限を設定する場合は、定款にその旨を記載しなければいけません(会社法第107条2項1号)。
日本公証人連合会では、次のように記載方法の見本を公開しているので、参考にしてくださいね。
3.会社設立時に決めるべきこと②株価をいくらにするか|1,000円か1万円
次に、株価を決めていきましょう。
株価を決めるときは、次章の「③発行済株式総数はいくつにするか」も同時に決めていきます。株価は、資本金と株式数のバランスを見ながら決めていく必要があるからです。
結論から言うと、株価は1,000円あるいは1万円で設定するのをおすすめします。その理由と、判断方法について見ていきましょう。
【譲渡制限】2.株価を1,000円または1万円のどちらにすべきかは資本金で判断する
3-1.株価は1,000円または1万円に設定する
会社法では、設立時の株価についてのルールはなく、発起人が自由に株価を定められるとされています。極端な話、1株100万円でも、1株1円でも設定可能です。
株価を1,000円または1万円にした方がよい理由は2つあります。
【株価は1,000円または1万円がおすすめである理由】②資金調達しやすい
①株式数が分かりやすい
たとえば1株1万円なら、「出資額200万円なら200株」と一目瞭然で、管理もしやすいですね。
対して1株3万円の場合、出資額に対して何株なのかが瞬時に判断しにくくなります。
②資金調達しやすい
1株が1,000円または1万円なら、増資が必要なときに出資してもらいやすくなります。
たとえば1株100万円なら、気軽に出資はしづらいでしょう。逆に、1株1円なら株主が増えすぎて管理が大変になってしまいます。
高額設定は避けるべき!既存株主に不利益のおそれ
たとえば会社設立時に1株10万円で設定したとします。その後、新たに株式を発行する際、1株10万円では出資してもらいにくくなるため、1株5万円で募集するとなるとどうでしょう。
後から株を取得した人は、最初に取得した人の半額で株を保有できることになり、会社設立時に株を取得した人は損してしまいますよね。
このように、高額に設定すると扱いづらい面が出てくるので注意しましょう。もし高額に設定してしまった場合は、後から分割することができます(例:1株10万円→2株5万円)。
3-2.株価を1,000円または1万円どちらにすべきかは資本金で判断する
株価を1,000円または1万円のどちらにするかは、資本金によって決めましょう。
資本金が1,000万円未満の場合は1株=1,000円、1,000万円以上の場合は1株=1万円がおすすめです。
【株価の判断基準】資本金 | 1株あたりのおすすめ株価 |
---|---|
1,000万円未満 | 1,000円 |
1,000万円以上 | 1万円 |
なぜなら、株式数はある程度多い方がいいからです(詳細は次章で解説)。
設立時の発行済株式数は「資本金÷株価⁼株式数」で算出できます。
資本金が少ない場合、株式数を多くするためには株価を下げなければいけません。逆に資本金が十分ある場合は、株価を下げなくても株式数を保てますね。
資本金 | 株価1,000円にした場合の発行株数 | 株価1万円にした場合の発行株数 |
---|---|---|
100万円 | 1,000株 | 100株 |
300万円 | 3,000株 | 300株 |
500万円 | 5,000株 | 500株 |
1,000万円 | 10,000株 | 1,000株 |
4.会社設立時に決めるべきこと③設立時の発行済株式数はいくつにするか|できるだけ多く
株価と同時に設立時の発行済株式数も決めていきましょう。
会社設立時に発行する株式の数は、「資本金÷株価=株式数」で算出できます。
発行済株式数はなるべく多くし、少なくとも1,000株以上とすることが望ましいです。
なぜなら、株数が少ないと持株比率の調整が難しくなるからです。
経営において、株はシェア0.1%、0.01%単位で調整できることが重要になってきます。
【株式数ごとの1株が占める割合】株式数 | 1株が占める割合 | 持株比率調整の自由度 |
---|---|---|
100株 | 1% | ✕ |
1,000株 | 0.1% | 〇 |
10,000株 | 0.01% | ◎ |
たとえば極端な話ですが、発起人Aが株を51%取得したとしましょう。
後述しますが、株を過半数所有していると、単独で取締役の選任・解任などの決定など、さまざまな権利を有します。
発起人Aが、友人Bにも事業に参加してもらおうと思い、株を譲ろうとした場合、100株しかないと1株渡せば1%が動くことになるので、Aの持株比率は50%になってしまいます。
これでは過半数を切ってしまうので、持っていた権利を維持できません。
一方、1,000株ある場合は1株渡しても、動くのは0.1%だけなので、Aの持株比率は50.9%で過半数を維持できます。
このように、株式数が少ないと、株の割当て・売買・譲渡・ストックオプション発行の際の持株比率の調整が難しくなります。
円滑に経営を進めるためには、多めに株式を発行するようにしましょう。
5.会社設立時に決めるべきこと④発行可能株式総数はいくつにするか|できるだけ多く
続いて、発行可能株式総数を決めます。
発行可能株式総数とは、会社が発行できる株式の総数のことです。
つまり、今後発行できる株式数の上限を設立時に定めることになります。
発行可能株式総数は、下記のとおり定款に記載すべき事項のひとつです。
定款の記載事項であるため、上限を超えて株式を発行したい場合は、株主総会の特別決議によって定款を変更しなければいけません。さらに、変更手続きには、登記と登録免許税などの費用(3万円もしくは増加した資本金の額に1000分の7を乗じた金額)も発生します。
発行可能株式総数も、できるだけ多く設定するのがおすすめです。
発行可能株式総数は、特に重要な項目なので、下記に分けて詳しく見ていきましょう。
【発行可能株式総数】2.発行可能株式総数が決まったら定款に記載する
なぜ発行可能株式は定款に記載しなければいけないのか?
無制限に株式を発行できるとなると、既存株主の持株比率が下がってしまうリスクがあります。既存株主の利益を守るために、定款で上限を定めることが義務付けられました。
5-1.発行可能株式総数はなるべく多く設定する
発行可能株式総数は、なるべく多く設定するようにしましょう。
理由は上述したとおり、上限を超えてしまうと特別決議・登記・費用が発生するからです。
では、どのくらいがベストなのでしょうか。発行可能株式総数の決め方は、譲渡制限のある・なしによって変わります。
【発行可能株式総数の決め方】②譲渡制限がない場合(公開会社)
①譲渡制限がある(非公開会社)の場合
譲渡制限がある場合、発行可能株式総数のルールは特になく、自由に設定できます(会社法第37条)。
おすすめは9,000万円を株価で割った数です。なぜなら、資本金が1億円を超えた場合、中小企業の優遇税制の対象から外れてしまうからです。(※適格事業者はこの限りではありません。)
②譲渡制限がない(公開会社)の場合
譲渡制限がない場合は、設立時発行株式数の4倍を超えてはいけないと会社法で定められています。
引用:会社法 | e-Gov法令検索
なるべく多く、かつ前章で決めた発行済株式数の4倍未満におさまるように設定しましょう。
5-2.発行可能株式総数が決まったら定款に記載する
発行可能株式総数が決まったら、定款に記載して登記を行います。
記載方法については、日本公証人連合会の見本を参考にしてください。
6.会社設立時に決めるべきこと⑤持株比率はどうするか|代表者が3分の2以上持つ
複数人が発起人となる場合は、持株比率をどうするのかが非常に重要になってきます。
持株比率とは、その名のとおり発行済株式総数に対する所有割合のことです。
持株比率の決め方は、共同会社の場合代表者1人を決め、代表者が3分の2以上の株を持つようにしましょう。
その理由について、次の順で解説していきます。
【持株比率】2.持株比率は代表者1人が3分の2以上持つようにする
6-1.持株比率別の権利内容をふまえて判断する
持株比率を決めるためには、まず持株比率ごとの権利内容を確認しましょう。
下表のとおり、株はどのぐらい持っているかによって、会社に対する権利が異なってきます。
【持株比率別の主な権利内容】持株比率 | 主な権利内容 | 根拠法令など |
---|---|---|
3分の2以上 | ・株主総会の特別決議を単独で可決できる |
会社法第309条2項 |
過半数 | ・株主総会の普通決議を単独で可決できる |
会社法第309条1項 |
3分の1以上 | ・株主総会の特別決議(一部)の単独で否決ができる |
ー |
3%以上 | ・会計帳簿を閲覧・謄写できる |
会社法第297条・433条 |
1%以上 | ・株主総会で議案を提出できる |
会社法第303条 |
1株以上 | ・株主総会などの議事録を閲覧できる |
ー |
持株比率が高いほど、行使できる権利が強くなっていくのが分かりますね。
6-2.持株比率は代表者1人が3分の2以上持つようにする
前節の表をふまえ、会社の経営を順調に進めていくためには、代表者1人を選出し、その者が3分の2以上の株を持つようにすべきです。
3分の2以上持っていれば、会社の重要事項を単独で可決できるため、代表者がリーダーシップを取って会社経営のかじを取れます。
たとえば、創業メンバーが2人の場合で考えてみましょう。
もし2人で50%ずつ所有すると、2人とも過半数を持っていないので、両者の意見が一致しないと何も決められません。
どんなに仲の良い者同士でも、事業を進めていく中で、ずっと同じ意見を持ち続けていくとは考えにくいですよね。
「2人の意見が対立して事業を進められない」という状況を防ぐためにも、半分ずつ分けるという方法は避けるべきです。
では「代表者が過半数以上持つ、でいいのではないか」と考える人もいますが、この場合もう1人が3分の1以上を持っているため、その者単独で特別決議を否決できます。これも、会社運営に支障をきたす恐れがありますね。
以上の点から、持株比率は代表者1人が3分の2以上を持つようにしましょう。
POINT!
代表者は3分の2プラス3〜5株持っておくと安心!
代表者が3分の2ちょうど(たとえば100株中67株)しか持たないのはおすすめしません。
事業を進めていくと、「弟に1株渡して事業に参加してもらいたい」という場面が出てくる可能性があります。そんなとき、持株比率にゆとりがないと、株の調整が難しくなります。株は少し多めに持っておくようにしましょう。
7.会社設立時に決めるべきこと⑥株券は発行するか|基本しなくてOK
最後に、株券を発行するかどうかも決めておきましょう。
以前は、株券の発行が義務付けられていましたが、2004年の商法改正、さらに2006年の会社法施行を経て、「株券不発行」が原則となりました。
特段の事情がない限り、「株券は発行しない」で問題ありません。
なぜなら、株券の発行にはメリットがほとんどない反面、デメリットが多いからです。
【株券発行のメリット・デメリット】発行するメリット | 発行するデメリット |
---|---|
・株主が株主であることを証明しやすい | ・株券を譲渡すれば株式の譲渡が成立してしまう ・会社が株主変更を把握しづらい ・株券発行・保管に手間と費用が発生する ・株券の紛失や偽造のリスクがある |
メリットとデメリットを見比べれば、発行しない方が株のトラブルを防ぎやすく、管理がシンプルに行えることが分かりますね。
なお、株券不発行の場合、株主は「株主名簿」の名義書換完了をもって、対外的に株を保有していることを主張できるようになります。
「株券不発行」が原則なので、定款に記載する必要なし
逆に、もし株券を発行する場合は、必ず定款に記載しなければいけません(会社法第214条)。
8.スタートアップの社長によくある失敗
ここまで、会社設立時に決めるべき株のことについて6項目を紹介しました。
この6項目以外にも、株式や資金について知っておくべきことがいくつかあります。
知らないで会社を設立すると、思わぬ失敗を招いてしまう恐れがあります。
本章では、よくある失敗事例をピックアップしたので、失敗を回避するにはどうすればいいのかを見ていきましょう。
【スタートアップの社長によくある失敗】8-1.種類株式のことを知らなかった
種類株式のことを知らず、後から後悔する人は少なくありません。
種類株式とは、普通株式とは権利内容が異なる株式のことを指します。2章で紹介した譲渡制限株式も、種類株式の一種です。種類株式の例としては、普通株式とは別で剰余金の配当が優先される株式や、株主総会において議決権を行使できる内容を制限した株式などが挙げられます。
全部で9種類ありますが、そのうちのひとつとして「議決権制限株式」というものがあります。
議決権制限株式とは、その名のとおり議決権を行使できない株式のことです。この株式を出資者に割り当てることで、発起人は経営権を守りつつ、多額の出資を得られます。
出資者に対しては、同時に「剰余金配当優先株式」という種類株式も割り当てると、有利な条件で配当を受けられるようになるので、出資者も納得してくれるでしょう。
このように、種類株式を上手に活用すると、経営の自由度が上がり、柔軟に対応しやすくなります。
逆に、種類株式を知らないと、経営の選択肢を狭めてしまうことがあります。
会社設立のための資金集めに困っているのに、多額の出資を申し出てくれる人に対し、経営を握られるのが心配で断ってしまうのがよくある事例です。
株式について色々と決める前に、種類株式のことも頭に入れておくようにしましょう。
種類株式については、下記のWebサイトを参考にしてください。
事業承継に種類株式制度を活用してみる | 中小企業の税金と会計
エクイティ・ファイナンスに関する基礎知識
9.創業初期の法人口座はネット銀行がおすすめ
【スタートアップの社長によくある失敗2つ】9-2. 初期は業務が忙しくて、振込が間に合わなかった
9-1.初期費用で無駄な出費がかさむ
創業すると、あらゆる初期費用がかかり、無駄な出費がかさむことが多くあります。
創業したての頃は、資材購入や事務所・Webサイト開設など、さまざまな初期費用がかかります。その都度、高い振込手数料を支払っていると、見過ごせない金額になるでしょう。
また、創業初期は忙しく、銀行が開いている平日の日中になかなか行けません。時間外でも利用できるATMで手続きしようとすると、手数料が割高になってまうこともあります。
創業初期は、経営が不安定な時期です。手数料が安い金融機関を選ぶなどして、無駄な出費を控えるようにしましょう。
9-2.初期は業務が忙しくて、振込が間に合わなかった
創業初期は忙しくて、振込が間に合わなかったという失敗がよく起こりがちです。
創業初期はやるべき事務手続きが多いうえに、事業を軌道にのせるために業務も集中します。
一方で、従業員への給与を始め、社会保険料、発注先への支払など、振込案件が次々と発生します。
その結果、管理がままならず、振込期限を過ぎてしまうという事態になりかねません。店舗型銀行の窓口で手続きをする場合では、15時を過ぎた振込は翌日扱いになることが多いです。
振込期限を過ぎると、会社の信用を大きく落とすので、今後の事業に支障が出てしまうかもしれません。
これらから創業初期の法人口座開設には、ネット銀行を選ぶことをおすすめします。
ネット銀行は、大手・地方の実店舗ありの店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)に対して、下表のような違いがあります。
【ネット銀行と大手・地方銀行の違い】ネット銀行 | 店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等) | |
---|---|---|
店舗 | 原則なし | あり |
ATM | 原則専用ATMなし コンビニ等にある提携ATMを利用 |
専用ATMあり |
営業時間 | 24時間365日利用可能 | 原則窓口 平日9時-15時が多い |
振込手数料 | 低め | 高め |
口座開設の審査期間 | 短め | 長め |
金利 | 高め | 低め |
通帳 | 原則なし | あり |
なぜ創業初期はネット銀行の方がおすすめなのか、その理由について詳しく見ていきましょう。
【創業初期の法人口座開設はネット銀行がおすすめな理由3つ】9-4.24時間365日利用できる(※システムメンテナンスを除く)
9-5.振込手数料が比較的安い
ネット銀行・大手・地方銀行、両方の銀行を上手く活用しましょう!
法人口座はひとつだけである必要はないので、両方の銀行を上手く組み合わせて活用すると、経営や財務管理をよりスムーズに進めやすくなります。
大手・地方銀行で口座を持ちたいなら、ネット銀行で口座開設した後に申し込むといいでしょう。
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9-3.審査期間が比較的短い
店舗型銀行は法人口座開設まで約2週間以上かかることが多いですが、ネット銀行なら約1~2週間、早いところは最短即日に審査が完了します。
これは、ネット銀行は、原則申込手続きがオンラインで完結するためです。
口座をより早く開設できると、経理体制を整えられたり、取引を獲得しやすかったりと、スムーズにスタートを切ることができます。
9-4.24時間365日利用できる(※システムメンテナンスを除く)
ネット銀行なら、夜間や土日祝でも振込や決済ができます。
創業初期は忙しく、平日の日中に銀行に行くのが難しいときもあるでしょう。
そんなときに、ネット銀行なら24時間365日利用できるので、業務のすきま時間や業務終了後でも手続きが行えて大変便利です。
さらに、日付を過ぎるまでの振込は当日扱いにできるところが多く、「今日中の振込に間に合わなかった」という事態を避けやすくなります。(※着金のタイミングは相手先銀行による)
9-5.手数料が比較的安い
多くのネット銀行では、振込手数料を店舗型銀行の約半分で設定しています。
【ネット銀行と店舗型銀行の振込手数料の目安】同一銀行の同一支店内 | ほか金融機関宛て | |
---|---|---|
ネット銀行 | 約0円~100円 | 約100円~200円 |
店舗型銀行(ATM利用) | 約100円~200円 | 約200円~300円 |
ネット銀行は、自社の店舗やATMを持っておらず、その分のコストがかからないため、このような低価格の料金設定が実現できるのです。
会社設立時は経営が安定しないので、振込手数料は少しでも抑えるようにしましょう。最初に振込手数料が安いところで口座開設しておくと、その後もずっとお得な料金で利用し続けられます。
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まとめ
以上、会社設立時に株について決めることについて紹介してきました。
あらためて本文を振り返りましょう。
会社設立時には、株について下表の6項目について決めなければいけません。各項目の決め方については、下表を参考にしてください。
【会社設立時に株について決めるべき6項目】株について決めること | 決め方のポイント |
---|---|
①譲渡制限の有無 | 設立時は譲渡制限をつけた方が良い |
②株価 | 1,000円または1万円がおすすめ |
③設立時の発行済株式数 | できるだけ多く発行 |
④発行可能株式総数 | できるだけ多く定める |
⑤持株比率 | 代表者1人が3分の2以上を持つべき |
⑥株券発行の有無 | 原則発行しなくてよい |
以上、本記事をもとに、会社設立時の株式について適切に設定でき、設立後もスムーズに経営が行えることを願っております。
※ 本コラムは2024年3月6日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。