起業に関するお役立ち情報

起業家・新設法人の方向け 起業に関するお役立ち情報をお届け! V-Spirits グループ代表 税理士・社労士・行政書士・CFP® 中野 裕哲 監修 ■専門分野:起業・経営の総合的なアドバイス、税務会計、資金調達(創業融資、通常融資)、補助金、助成金、会社設立、許認可、事業計画書、人事労務、給与計算、社会保険手続き、ブランディング、マーケティング、人脈紹介など。 ■保有資格:起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®、一級FP技能士) ■著書・監修書:ベストセラー「一日も早く起業したい人がやっておくべきこと、知っておくべきこと」など、16冊、累計20万部超。起業家・新設法人の方向け 起業に関するお役立ち情報をお届け! V-Spirits グループ代表 税理士・社労士・行政書士・CFP® 中野 裕哲 監修 ■専門分野:起業・経営の総合的なアドバイス、税務会計、資金調達(創業融資、通常融資)、補助金、助成金、会社設立、許認可、事業計画書、人事労務、給与計算、社会保険手続き、ブランディング、マーケティング、人脈紹介など。 ■保有資格:起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®、一級FP技能士)■著書・監修書:ベストセラー「一日も早く起業したい人がやっておくべきこと、知っておくべきこと」など、16冊、累計20万部超。

#1法人口座の開設で審査落ちする原因とは?主な原因と対策を解説

銀行で法人口座を開設するためには審査を受ける必要がありますが、落ちた場合は理由を開示してもらえないのが一般的です。ただ、口座開設の審査に落ちる原因の中には、事前に知っておくことで注意・対策を講じることができるものがあります。そこで、本記事では、法人口座の審査落ちの主な原因や注意点に加えて、都市銀行や地方銀行、ネット銀行などで実施される審査の特徴を詳しく紹介していきます。

  1. 1.法人口座の審査落ちで考えられる原因

    それではまず、法人口座の開設申込をして審査落ちした場合に、考えられる原因の具体例を6つ紹介します。

    1. 1-1.住所が不一致

      銀行に提出する申込内容と登記書類の住所が不一致だと審査に落ちる原因になります。また、法人登記されている住所と、実際に事業を行っている場所が一致しない場合も審査に落ちることがあるので注意が必要です。

      さらに、「登記されている場所で事業を行っていること」を銀行が確認できない状況であれば、口座を作っても安全な会社だと銀行側に判断されずに審査に落ちる可能性があります。

      会社の場所を引っ越したばかりで事務所の家賃の支払い実績がない場合やバーチャルオフィスの住所で登記をしている場合などは、特に注意してください。なぜなら、いずれの場合もきちんとした賃貸借契約が結ばれていると銀行の審査担当者が判断できず、会社に対する信頼性は低くなってしまうためです。また、実際にその場所で事業を行っていたとしても、賃貸契約の有無が確認できない場合は、口座開設後に、会社が逃げてしまうなど、最悪の事態を銀行の審査担当者も想定しなければならず、審査が通らないケースがあります。

    2. 1-2.事業内容が不明瞭

      会社の事業内容が不明瞭だと、銀行口座開設の審査に落ちる原因になります。なぜなら、銀行の審査担当者は会社の事業内容が不明瞭だと、口座を不正利用されるのではないかと疑うからです。

      銀行業界において過去に、法人口座が反社会的な組織との取引やマネーロンダリングなどといった不正行為に使用された事件が発生しました。また世界的にもマネーロンダリング対策について日本の金融機関は甘いという指摘も受けてきています。こうした背景から各金融機関では事業内容の審査基準を厳格化しているのです。

      実際は会社で真っ当なビジネスを行っているとしても、正当な事業であることを銀行の担当者に十分に伝えられなければ口座開設の審査に通過するのは難しいと言えるでしょう。

      また、会社で取り扱っている事業内容が多岐にわたる場合は、口座開設の申込書にただ内容を列挙するだけだと会社の実態が伝わりづらいので注意が必要です。何をしている会社なのかが第三者でも申込書類を見ただけで分かるように、詳しく説明をすることが審査の通過率をアップさせるコツのひとつです。事業内容が多岐にわたって説明しきれない場合は、会社の主となる事業内容をひとつだけ申告する方法も有効です。

    3. 1-3.資本金が少額

      会社の資本金が少なすぎることが原因で、銀行の口座開設審査に落ちる場合もあります。

      資本金が特に少ない場合は、実態のない会社(ペーパーカンパニー)と疑われやすいので審査では不利になってしまうのです。

      そもそも、資本金とは会社が事業を行うために必要な原資という性質を持ったお金のことを言います。法律上、資本金は1円でも会社を設立するうえで問題ありませんが、客観的に見ればそこで健全な事業運営がされていると判断されるのは難しいでしょう。

      銀行口座を開設する場合の資本金額は最低でも100万円あると安心ですが、事業内容によって目安額は異なります。会社の事業内容に適した最低限必要な資本金をあらかじめ把握したうえで、銀行に口座の開設申込をすると手続きがスムーズになります。

    4. 1-4.法人の実態が不明瞭

      銀行口座を開設する会社が客観的に見て、法人としての実態が不明瞭な状態だと審査に落ちる原因になります。先に会社の事業内容が分かりづらい場合は審査に落ちる可能性があると説明しましたが、法人としての実態が不明瞭な場合も口座開設の審査に落ちる原因になります。

      なぜなら、会社の営業実態がない場合は口座を開設しても振込め詐欺などの不正行為に使用される可能性があると警戒されやすいためです。具体的には、過去の取引履歴を証明する書類や事務所などの賃貸借契約書といった書類に不備があると、会社の実態を判断しづらい原因になり、銀行口座の開設における審査で不利になるので注意してください。

      また、業歴が浅いスタートアップ企業などでは、法務局で法人登記の手続きを行ってから間もないタイミングのため、銀行で登記確認ができないケースがあります。早く法人口座を開設したい気持ちを抑えて、まずは法人登記の手続きが完了しているかを法務局に確認することが大切です。

    5. 1-5.代表者の属性

      代表者の経歴や実績、これまでの銀行との取引履歴なども審査の対象になります。銀行は、会社の代表者本人がこれまでどのような経歴や実績があるのかをヒアリングし、どのような人物なのかを確認します。調査の結果、申込者や関係者のことを総合的に判断します。暴力団などの反社会的勢力とのつながりがあると銀行の口座開設の審査に落ちてしまいます。過去に反社会的勢力組織との取引をした記録がある場合や疑わしい場合も口座開設の審査で不利になるので、日ごろの取引から気を抜かないことが大切です。

      また過去に破産や任意整理などの経歴があり、銀行で融資返済の減免を受けたりした場合は、その銀行での口座開設が難しくなります。

    6. 1-6.その他

      また、会社に固定電話を置いていない場合も、銀行の審査担当者に会社としての実態がないと判断される可能性があるので注意が必要です。会社が小規模だと代表者の携帯電話で取引先と連絡を取っていることもあるかもしれませんが、法人口座を銀行で開設するなら固定電話を用意しておく方が無難です。

      さらに、銀行で法人口座を開設する明確な目的がなかったり、口座の開設目的の説明が不十分であったりする場合も審査で不利になることがあります。法人口座を開設する主な目的としては、決済や入金、融資返済、海外送金などになります。どの用途に使いたいのかを銀行の口座開設担当者にはっきりと伝えるといいでしょう。

  2. 2.法人口座の申込で意識したいポイント

    次に、銀行で口座開設の申込をする前に気をつけるべきポイントや審査に通過する確率を上げる方法を紹介していきます。

    1. 2-1.書類の不備をなくす

      銀行で法人口座を開設する場合は、手続きに必要な書類を確実に用意しておくことが大切です。必要書類は事前に口座を開設する銀行に確認して、各種書類の記入方法を調べたうえで不備がない状態で提出すれば大丈夫です。

      法人口座を開設するときに必要になる書類は銀行によって多少の違いがありますが、基本的には法人を証明する「履歴事項全部証明書」「印鑑証明書」といった書類のほか「取引責任者の本人確認書類」などの公的書類が必要になります。銀行に提出が必須の書類は事前に準備しておくと、口座開設の手続きがスムーズに進みます。

      銀行に提出する書類に不備があると、正確に会社の審査ができないだけでなく、信頼性に欠けると判断されて口座開設の審査に落ちる可能性が高まるので、ひとつひとつ確認することが大切です。用意した書類や記入した用紙の内容は後からしっかりチェックして、記入欄はできるだけ埋めて書類の不備を防止しましょう。

      また、銀行への提出が必須の書類のほかにも、会社のホームページのURLや会社案内、名刺、事業計画書といった会社の実態を証明する書類も用意しておくべきでしょう。銀行によっては、法人設立届出書や会社の賃貸借契約書などの提出を求められることもあるので、法人としての実態を証明できる書類をまとめて準備しておくと手続きがスムーズに進みます。

    2. 2-2.説明の準備をする

      銀行で法人口座を開設する場合は、担当者に自社についてしっかり説明することが大切です。口座開設の申込をする法人代表者などの本人が、事前に説明の準備をしていくことが重要になります。

      法人口座の開設では法人に事業の実態があるのか、事業内容に問題はないかなど、あらゆる角度から審査されます。口座開設の申込をする本人がそれらをしっかり説明できれば問題ありませんが、説明が曖昧で分かりづらいと銀行に不信感を与えてしまい、審査に落ちる可能性があります。

      仮に口座開設の申込の審査に落ちても、繰り返し銀行の窓口へ出向いて担当者と直接話をしていると銀行の知りたがっているポイントがだんだん分かってくるようになります。一度口座開設の審査に落ちたからといって、再申込で必ず審査に通過できないわけではありません。銀行の担当者と定期的に意思疎通をしていれば、信用力が認められる可能性も十分にあるので諦めないで出向いたり、説明したりと、根気強く対応することがポイントです。

    3. 2-3.紹介を受ける

      どうしても自社の力だけでは銀行の口座開設の審査に通る見込みがないときは、すでに銀行と取引をしているほかの人物から紹介をしてもらう方法も有効な手段です。例えば、口座を開設したい銀行と継続的に取引をしている法人経営者などに頼むといいでしょう。銀行と取引実績がある法人や付き合いが長い人物であれば金融機関からの信頼も厚いので、そのような人物から紹介を受ければ金融機関からの信頼を得やすくなります。

      また、銀行の担当者は、取引先の企業の経営者などに「別の企業を紹介してもらえないか」と相談していることもあるので、紹介を受ければ口座開設の手続きがスムーズにできる可能性があります。

  3. 3.金融機関による審査基準の違い

    銀行で法人口座を作る場合は必ず審査が実施されますが、金融機関ごとに定められた基準はまったく異なります。そこで今回は、金融機関の種類ごとに申込手続きの特徴や審査の概要を説明していきます。

    1. 3-1.都市銀行・地方銀行・信用金庫

      一般的に都市銀行はほかの金融機関と比較すると口座開設の審査基準が厳しく設定されていて、反社会的勢力とのつながりにも非常に敏感です。ますますマネーロンダリングなどの対策が厳格化している傾向があります。こうした背景から、都市銀行で法人口座を開設しようとすると提出資料がほかの金融機関と比較してもとても多く、店舗に何度も出向いて書類の提出をしなければならないケースも珍しくありません。

      一方、地方銀行や信用金庫は地域に根差した経営に力を入れていることもあり、都市銀行と比べてやや審査が通りやすい傾向があります。特に会社を設立してそれほど時間が経過していない場合は最初に都市銀行に行くのではなく、地方銀行や信用金庫で口座開設の申込をして審査を受けてみるといいでしょう。

    2. 3-2.ネット銀行

      実店舗が存在しないネット銀行は、都市銀行や地方銀行といった金融機関に比べると口座開設の審査は通りやすい傾向にあると言われています。銀行の担当者と対面で話をする機会がないため、口座開設の申込手続きがオンラインや郵送で完結するのでスピーディに進むメリットがありますが、必要書類の漏れがあると口座審査できませんので、必要書類や事業を説明する書類を十分に用意しましょう。

  • ※ 本コラムは2021年12月6日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

V-Spirits group 経験豊富な専門家が揃うワンストップコンサルティング

V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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