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- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#13会社を設立すると消費税が免税される!?免税の条件とは?
会社設立した場合、税務署に消費税を支払う必要がありますが、所定の条件を満たせば消費税が免税されるのをご存じですか。少し工夫するだけで、消費税の免税期間を長くできます。そこで今回は、具体的にどうすれば消費税が免税されるのかを解説していきます。免税期間を長くするためのコツもあわせてチェックしましょう。
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1.税務署に支払わなければならない消費税とは
消費税の免税について説明する前に、まずは消費税の基本的な仕組みを押さえておきましょう。消費税は、事業者が資産の譲渡やサービスの提供をした場合の対価などに課税される税金です。この消費税の支払いを負担するのは、事業者から商品やサービスを購入する消費者になります。しかし、消費税を国に納めるのは、商品やサービスを提供した事業者です。つまり、事業者は消費者が支払った消費税をまとめて納税する役割を担っています。これは、ほかの税金にはない消費税ならではの特徴です。
ただし、事業者は消費者が支払った消費税を全額、国に納めることは基本的にはありません。なぜなら、事業者も消費者に販売するサービスや商品を作り、販売・提供するために原材料などを購入しています。そのため、事業者は原材料などの購入時に支払った消費税を、自社が消費税を納めるタイミングで差し引くことになり、事業者が国に納付する消費税の金額は「自社が消費者から預かった消費税-自社が預けた消費税」となります。なお、事業者は決算が終わってから2カ月の間に消費税を納税しなければいけませんので、納付時期に注意する必要があります。
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2.消費税免税の条件
事業者が所定の条件を満たすと、消費税が免税されます。続いては、消費税が免税される条件を具体的にチェックしていきましょう。
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2-1.1期目
会社を設立した年(1期目)は、基本的に消費税が免税されます。ただし、資本金が1千万円未満でなければ、免税事業者にはならないので注意してください。この場合の資本金は「資本金だけ」の金額を指します。資本準備金は含まれないのがポイントです。よって、1期目に消費税の免税事業者の条件を満たすには、資本金の金額や取り扱いに気をつけることが大切です。例えば、会社設立にあたって準備したお金が1千3百万円あったとしたら、資本金を9百9十万円にして、残りを役員から会社への貸付金に計上することで、消費税を免税することができます。また、株式会社では出資金の2分の1以下を資本金ではなく、資本準備金という科目で計上することもできます。この資本準備金を活用すれば、例えば1千9百万円を出資する場合でも、資本金を9百5十万円、資本準備金を9百5十万円にして消費税を免税することもできます。
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2-2.2期目
1期目に引き続き、2期目も消費税の免税事業者になるためには条件が増えます。平成23年に消費税法が改正されて厳しくなっているので、きちんと条件を確認しましょう。2期目も消費税が免税されるための条件は、全部で3つあります。1つ目の条件をクリアしていれば、2つ目か3つ目の条件のどちらかを満たすだけで消費税の免税事業者になります。1つ目の条件は、1期目のときと同様です。これは消費税の免税事業者になる必須条件になので、資本金の金額はよく考えて設定しましょう。2つ目の条件は、会社の事業を開始した年度の前半6カ月間で売上高が1千万円を超えていないことです。このときの売上高は、消費税の課税対象となるものに限定されます。
3つ目の条件は、会社の事業を開始した年度の前半6カ月間で支払った給与等の合計が1千万円以下であることです。この場合の「給与等」には、未払いの給与等は含まれないので覚えておきましょう。したがって、会社を設立してから2期目に消費税の免税事業者になるためには、1つ目の必須条件と2つ目の条件を満たすことが大切です。もし、設立した会社の売上が前半6カ月間で1千万円を超えた場合は、3つ目の条件をクリアできるように調整するといいでしょう。具体的な方法は、後ほど詳しく解説するので合わせてチェックしてください。
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2-3.3期目以降
3期目以降に消費税が免税されるかどうかは、基準期間である2年前の課税売上高の金額を元に決まります。具体的には、基準期間の課税売上高が1千万円を超えると消費者が支払った消費税を納税する必要があります。そのため、1期目や2期目と違って、3期目以降に事業者自身で消費税の免税条件を満たすのは難しいと言えるでしょう。
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3.消費税の免税期間を長くするコツ
できるだけ消費税の免税期間を長くするためには3つのコツがあります。1つ目は、決算月を会社設立の前月にする方法です。たとえば、決算月を12月にしたい場合は、会社を翌年の1月に設立します。こうすることで、単純に期の日数が多くなるので免税期間を長くできます。なお、設立時に決めた決算月は株主総会で変更できるので、必要に応じて変更を検討してください。
2つ目は、給与の支払いを月末締めの翌月払いにする方法です。消費税の免税事業者になる条件の1つに給与等の支払額があります。このときの支払額は、実際に従業員等に支払った金額で計算されます。そのため、給与の支払いを月末締めの翌月払いにすれば、給与支払額を1カ月分計算しなくて済むのです。上半期の給与等を下半期で払っても問題ないなら、下半期に回せば消費税の免税期間を長くできます。3つ目は、業務委託を活用する方法です。社員を雇わずに外部に仕事を依頼すれば、給与ではなく外注費が発生します。こうすることで給与支払額を抑えられるので、免税事業者になる条件を満たせます。
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4.消費税の還付
最初の段落で紹介した事業者が支払わなければならない消費税は、これから解説する還付に関係します。事業者は、消費者に商品やサービスを販売して受け取った消費税よりも、自社が支払った消費税の方が多い場合は、その差額を還付してもらえます。免税事業者は消費税を申告する義務がありませんが、もし消費税の還付を受けられる可能性がある場合でも消費税の申告をして還付を受けるということができません。そのため、免税事業者になるだけでなく、あえて免税の要件を満たす場合でも、課税事業者の選択をして消費税の申告をすることで、消費税の還付を受ける方法も有効です。なお、消費税の納税額を計算する方法には、原則課税と簡易課税の2つがあります。計算が簡単なのは簡易課税ですが、消費税の還付を受けられるのは原則課税を適用した場合に限定されます。
どちらの課税方式を選択すれば事業者にとってお得になるかは、会社の特色や仕入割合などに左右されるので一概には言えません。しかし、消費税が還付される場合に簡易課税を適用していると損をするので、課税方式の選択はよく考える必要があります。
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5.会社設立に関する税金
会社を設立するときに特に重要な税金は、法人税、法人住民税、法人事業税の3つです。法人税は、会社が期中に得た利益対して課税される税金です。利益から損失を差し引いて法人所得を算出し、その金額に所定の法人税率を掛けて計算します。法人住民税は地方税に分類される税金で、所得割と均等割の2種類に分けられます。所得割は、会社が得た利益に対して税金が課税されますが、均等割は会社の所得に関係なく発生する仕組みです。そのため、会社が赤字であっても法人住民税は0円にならないので注意しましょう。
法人事業税は、会社の所得金額に対して税金が課税されます。計算方法は、所得に法人事業税率を掛けて求めますが、法人事業税率は都道府県ごとに異なっています。法人事業税率は各都道府県のWebサイトや役所の窓口などで誰でも簡単に確認できるので、気になる人はチェックしてみましょう。
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効率的に免税制度を使おう
会社を設立すると、消費税の免税を受けることができます。特に、会社を設立してから2年間の免税条件をクリアすることが難しくないため、制度を有効活用しましょう。会社の運営に必要な設備を購入して消費税が発生した場合は消費税の還付を受けることも可能です。今回紹介した消費税の免税期間を長くさせるために必要な3つのコツを押さえ、賢く計画的に利用してみましょう。
- ※ 本コラムは2022年3月7日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
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執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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