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- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#16会社の設立費用は経費になるの?基礎から徹底解説
起業を考えている人にとって、会社の設立にかかる費用は気になるものでしょう。「会社の設立費用を経費として計上できるのか」と不安に思う人もいるかもしれません。そこで今回は、起業を考えている人が気になる会社の設立費と経費の関係を分かりやすく解説していきます。経費の基本的なポイントをしっかりと押さえておきましょう。
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1.経費とは
経費とは、会社で事業を行って収益を上げたり、管理をしたりするために使った費用のことです。取引先の人と食事をしながら仕事の話をしたときなどに「経費で落とせるから大丈夫」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。この場合は、経費の接待交際費として計上できることを表します。ただし、なかには「経費で落とす=お金がかからない」と認識している人もいるようですが、会社の資金から支払われるというだけで、お金がかからないわけではありません。会社の経費として計上できる費用の具体例としては、次のようなものがあります。
- 旅費交通費
- 接待交際費
- 出張費
- 福利厚生費
- 研修費
上記の経費に分類されない費用でも、会社の事業に関わるものなら経費に計上できます。
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2.経費にするメリット
結論から言えば、経費が増えると会社が納める税金の金額が少なくなります。会社が何らかの事業を行う場合、利益が出るとその金額に応じた税金を納める必要があります。企業の営業活動によって生み出された成果は収益と呼ばれます。その収益から経費を差し引いたものが会社にとっての利益になる仕組みです。会社が支払う税金の金額は、利益が大きくなるほど高くなります。したがって、経費が多いほど納税額が少なくなるため、経費計上できる範囲を知っておくことが重要です。
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3.会社設立にはどれほどの費用がかかる?
起業のためにかかる費用は、設立する会社の種類によって異なります。会社の種類は株式会社と合同会社の2つがありますが、今回はそれぞれの設立時にかかる費用の内訳をチェックしていきましょう。まず、株式会社の設立にかかる費用から見ていきます。株式会社を設立するためには、会社の事業所を管轄する役所に対して以下の法定費用を支払う必要があります。金額の内訳は、以下のとおりです。
- 定款の認証手数料:3万円~5万円(資本金によって変動)
- 定款の謄本手数料:2千円
- 設立時の登録免許税:15万円
- 収入印紙代(定款に貼付):4万円
登録免許税は、設立する株式会社の資本金に0.7%をかけた金額と15万円を比較して、大きい額を支払います。また、紙の定款ではなく電子定款を利用するなら、収入印紙代の4万円がかかりません。この場合、株式会社を設立するときにかかる費用は最大で20万2千円になります。
続いて、合同会社の設立費用です。合同会社は株式会社よりも少ない金額で設立できます。設立費用は10万円で、法定費用として役所に支払う必要があります。金額の内訳は以下の通りです。
- 設立時の登録免許税:6万円
- 収入印紙代(定款に貼付):4万円
合同会社の場合も株式会社と同様に、電子定款を利用するなら収入印紙代がかかりません。したがって、6万円あれば合同会社の設立に必要な手続きができると言えます。
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4.経費にならないものとは?
会社の経費として計上できない支出の具体例をチェックしましょう。経費とは売上を上げるために直接または間接的にかかった費用です。会社の売上につながらない個人の費用は経費には計上できません。会社の経費にならない費用の具体例としては、次のようなものがあります。
- スーツ代
- 法人税や法人住民税など利益に応じてかかる税金(法人事業税は経費計上できる)
- 私生活に必要な日用品
仮に、会社の売上のためではない費用を不正に経費として計上すると税務調査の結果ペナルティが課されるので、費用を経費として計上するときは十分注意してください。
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5.創立費と開業費
会社の設立費用は、創立費と開業費の2つに分けられます。創立費は会社を設立するまでにかかった費用、開業費は営業を開始するまでにかかった費用ですが、それぞれどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
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5-1.創立費とは
創立費とは、起業する準備を始めたときから会社を設立するまでにかかる費用です。創立費は会社の経費として計上できるので、節税効果を期待できます。創立費に分類される費用の具体例は次のとおりです。
- 発起人の報酬費用
- 報酬費用(設立登記にかかる司法書士など)
- 創立事務所の賃借料
- 登録免許税
上記以外にも、会社の創立のために必要だった費用は創立費として経費に計上できます。例えば、会社を設立するためにカフェで社員とミーティングをしたときにかかった飲食代や交通費も創立費に含まれます。
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5-2.開業費とは
開業費とは、会社を設立してから実際に営業を開始するまでの期間に発生した費用です。創立費と同様に、開業費も会社の経費として計上できます。開業費に分類される経費の具体例は、以下のとおりです。
- 研修費用
- 交際費
- 広告宣伝費
- 市場調査費用
- 印鑑や名刺の作成費用
上記以外の費用でも、会社を開業するために支出した特別なものであれば、開業費として経費に計上できます。ただし、開業費になる費用は会社の設立日以降の開業準備のために特別に発生したものに限定されます。会社を運営するうえで経常的に発生する費用は、開業費として計上できないので気をつけましょう。具体的には、土地・建物の賃貸料や通信費、光熱費、社員の給与などは開業費に分類されません。
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6.繰延資産を活用しよう
繰延資産とは、支出の効果が翌年以降も続く場合に、費用を資産として計上するものです。先に説明したとおり、会社設立時に発生した創立費と開業費は経費になります。しかし、経理処理をするときは、最初から創立費と開業費として費用には計上しません。創立費と開業費は繰延資産にいったん計上したあとで、任意のタイミングで少しずつ償却することになります。
会社の設立時にかかる費用は、まとまった金額になります。会社を設立したてのときは大きな黒字を出すのが難しいため、創立費や開業費を全額費用に計上すると初年度が極端な赤字になる可能性があります。しかし、創立費や開業費を繰延資産にすれば、会社の利益が出たタイミングで少しずつ償却できるので負担を減らすことができます。
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7.繰延資産の償却方法
償却とは、繰延資産に計上した金額を費用化する処理のことです。創立費と開業費を償却するには、会計ルールと税務ルールという2つのルールを知っておきましょう。会計ルールでは、繰延資産にした創立費と開業費の償却期間は5年以内と決められています。また、償却方法は毎期同額を償却する定額法を用いるのが会計ルールです。
一方、税務ルールは償却する金額を納税者がその都度変更できます。償却期間も納税者が自由に決めて償却する任意償却が可能です。したがって、税務ルールで繰延資産を償却するなら、会社の状況に応じて全く償却しない年があっても大丈夫です。例えば、税務ルールに沿って会社が赤字の年は繰延資産を償却せずに、利益が多く出た年度のみ償却して節税につなげる方法が考えられます。
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経費を活用して節税しましょう!
会社を設立するために必要な費用と経費の関係について、解説してきましたがいかがでしたでしょうか。会社の設立にかかる費用は経費として計上できますが、創立費と開業費に分けて処理する必要があるので注意してください。また、繰延資産をうまく活用すれば節税につながります。今回紹介した内容を参考に、会社の経費計上や節税方法を活用しましょう。
- ※ 本コラムは2022年3月28日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
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執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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