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- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#18資金が少なくても起業できる!会社設立前に知っておくべき補助金・助成金とは?
起業を考える人の中には開業資金がなく、なかなか開業に踏み出せない人もいるでしょう。会社の設立には開業資金や運転資金など多くのお金がかかるので、金銭面に不安を感じてしまうものです。すぐに十分な資金を集めるのは難しいのが現実ですが、補助金や助成金を賢く使えば資金が少なくても起業しやすくなります。そこでこの記事では、会社を設立する前に知っておきたい補助金や助成金について紹介します。
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1.補助金・助成金の違い
補助金とは、募集期間内に利用者が応募し、審査を経て補助金を支給する機関に採択された場合に支給されるお金です。そのため、利用要件を満たして必要書類を提出しても、審査に通らなければ受給できません。一方、補助金としてかなり高い支給額を受けられる場合もあります。また、補助金の利用者は原則として、ローンのように受け取ったお金を返す必要がありません。
一方、助成金は所定の条件を満たせば支給されるお金です。補助金と同じく、原則として利用者の返済義務はありません。助成金の支給額は比較的少額であることが多いですが、補助金と違って利用条件を満たしていればお金が手に入るので安心感があると言えるでしょう。
補助金と助成金の違いを簡単にまとめると、応募できる期間が限定されていて審査に通らなければ利用できないのが補助金、利用条件を満たしていれば利用できるのが助成金となります。
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2.補助金・助成金の種類
補助金や助成金はそれぞれの支給団体によって、次の4種類に分けられます。
- 経済産業省
- 厚生労働省
- 地方自治体
- 民間団体、企業
経済産業省は、基本的に地域の活性化や中小企業の復興を目的とした補助金を募集します。そのため、これから起業する人にとっては、創業期や小規模な企業の成長を助ける経済産業省の補助金が利用しやすいでしょう。厚生労働省は、職務能力の向上を目的とした補助金と雇用促進を目指した助成金の両方を用意しています。設立した会社で高齢者や身体障がい者を雇う場合は、厚生労働省の補助金や助成金が役に立つでしょう。
地方自治体では、その地域を活性化させる目的の事業を展開する場合に利用できる補助金があります。ただし、地方自治体のなかには、補助金に力を入れていないところもあるので事前に確認が必要です。そのほか、民間団体や企業などでも社会公益を目的にした助成金や補助金を用意しています。補助金や助成金の種類は非常に幅広いです。それぞれの利用条件や支給金額などは団体によって異なるので、自社で利用しやすい補助金や助成金を探す必要があります。
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3.会社設立前に知っておきたい補助金・助成金
続いて、起業する前に知っておきたい補助金や助成金を4つ紹介します。
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3-1.事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継、M&Aを契機として、経営革新等に挑戦する中小企業に対し、設備投資・販路開拓等を行う場合に支給されます。支給される金額の上限は百5十~6百万円です。補助率は1/2~2/3です。昨年度の応募期間は9~10月までの約1カ月間です。経済産業省が運営する補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」で応募できますが、応募期間が短期間なので計画的に応募する必要があります。
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3-2.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、その名の通り、小規模事業者を対象にしています。支給条件は、すでに創業している事業者であることと所定の従業員数の基準を満たしていることです。従業員数の基準は事業内容によって異なり、小売業、卸売業、サービス業(娯楽業、宿泊業以外)は5名以下です。製造業、サービス業(娯楽業、宿泊業)は20名以下が基準になっています。
支給金額は5十万円~2百万円で、補助率は会社の経費に対して2/3(一部の事業者は3/4)です。応募方法は郵送またはjGrantsからの電子申請です。通常枠では商工会・商工会議所による支援を受けながら事業に取り組む必要があります。
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3-3.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、設立する会社で非正規社員をキャリアアップする取り組みをする場合に利用できます。取り組みの具体例としては、非正規社員の正社員化や処遇改善などが挙げられます。キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、雇用実績が6カ月以上の契約社員を正社員にしたうえで、さらに6カ月間の継続雇用をする等の所定の要件を満たすと助成金の支給対象になる仕組みです。支給金額は条件を満たした該当者1人につき57万円(生産性要件を満たす場合は72万円)です。ハローワークまたは労働局に計画書を提出し、正社員転換制度を整備。対象者を正社員に転換後、支給申請書と添付書類を一緒に提出すれば申請できます。
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3-4.地域中小企業応援ファンド
地域中小企業応援ファンドは、地域貢献度が高い事業に取り組んだ場合に支給対象になります。具体的には、地域の観光資源や特産物を活用した事業を新しく展開した場合などが挙げられます。各都道府県のファンド運営会社で申請が採択されたあとに、ファンドの運用益から助成金が支給される仕組みです。地域中小企業応援ファンドの支給金額は地域によって異なるので、利用を検討している場合はあらかじめ確認しましょう。
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4.補助金、助成金の注意点
最後に、補助金や助成金を利用するときに注意すべきポイントを4つ紹介します。
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4-1.メリットが大きいものは応募倍率が高い
補助金や助成金のなかでも、特に支給額が高額なものや間口が比較的広いものなどは利用者のメリットが大きいため応募数が非常に多くなります。そのぶん倍率が高くなるので、場合によっては狙っていた補助金や助成金が支給されないケースがあります。したがって、最初から補助金や助成金を元手に開業を考えるのは避けましょう。まずは、補助金や助成金なしで開業に関する計画をしっかり練ることが大切です。
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4-2.書類の準備が大変
補助金や助成金の応募や受給には、たくさんの書類が必要です。補助金や助成金を受けるために必要な書類をきちんと準備するためには、それなりの労力と時間を要します。また、単に必要な書類を集めるだけではなく、高倍率を勝ち抜くために工夫をしなければなりません。設立する会社にどのような価値があるのかアピールするのは、容易なことではないでしょう。確実に採択を得られるわけではないので、手間暇をかけて準備したのに不採択になる可能性も頭の片隅に置いておきましょう。
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4-3.複数受給できない場合もある
補助金や助成金の支給対象になるためには、利用条件を満たす必要があります。具体的な利用条件は補助金や助成金の種類によって異なります。新規雇用や人事制度、就業規制などの会社の制度に関するものが多いです。ただし、補助金や助成金の申請をしたあとで申請条件である制度を廃止すると、支給されないこともあるので注意してください。申請条件を満たさないと判断されると、それまでに受け取ったお金を返還する必要があります。会社に一度導入した制度は、基本的に変更できないことを覚えておきましょう。
補助金や助成金を支給してもらうために、無理な賃金アップや本来いらない制度を導入するなどの行為は、あとになって思わぬ事態を招く可能性があります。また、助成金や補助金は突然制度が変更になったり、廃止になったりするケースもあります。日ごろから資金計画をきちんと考えながら、制度を賢く利用することが大切です。
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4-4.補助金・助成金は後払い
補助金や助成金は、支給対象になっても実際にもらえるのは少し先です。受給までの流れは、会社で経費として使ったことを支給する機関に報告し、利用内容の確認がなされます。間違いがないことが認められて、ようやく会社に補助金や助成金が入金される仕組みです。そのため「今すぐ手元に資金がほしい」という人は、補助金や助成金の利用は適していません。「お金が支給されるまでの資金繰りならできる」という人は、補助金や助成金を使って会社の資金計画を立てるといいでしょう。
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補助金・助成金を上手に活用しよう
補助金や助成金は、起業したくても資金が少なく不安があるときにとても役に立ちます。しかし、いずれも後払いである上に、あくまでも事業を支援するための制度です。補助金や助成金ありきで開業の資金計画を立てると思わぬ失敗をする可能性があります。しっかりとした事業計画を立てたうえで、補助金や助成金を上手に活用しましょう。
- ※ 本コラムは2022年4月11日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
- ※ 制度内容、申請条件等については今後変更される可能性があります。各機関のホームページ等で最新の情報を直接ご確認ください。
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執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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