起業に関するお役立ち情報
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#25「法人設立・設置届出書」とは?記載事項・添付資料や注意事項を紹介
会社設立の手続きについて調べると、「法人設立・設置届出書の提出が必要」という情報を目にしたことがある人もいるでしょう。しかし、初めて会社を設立する人は、必ず提出しなければいけない書類なのでしょうか。また、どこで書類を手に入れられるのかが分からない人もいるかもしれません。そこで、今回は、法人設立・設置届出書の記載内容や提出先などについて解説します。
-
1.「法人設立・設置届出書」とは?
法人設立・設置届出書とは、新しく会社を設立したことを報告するために作成する書類です。登記書類は、法務局に提出しますが、法人設立・設置届出書は管轄の税務署や都道府県、市町村に提出します。提出しないと法人の銀行の口座開設などがスムーズにいかないケースも考えられます。法人設立・設置届出書の作成は、そこまで難しいものではなく提出時に手数料はかからないので、期限内に提出しておくのがよいでしょう。
-
2.法人設立・設置届出書はどこで手に入れてどこに提出するのか
法人設立・設置届出書は、国税庁や各自治体のサイトからダウンロードできます。提出先は、「都道府県税事務所」「管轄の税務署」「市町村役場」の3カ所です。提出先によって、法人設立・設置届出書のフォーマットや提出期限が異なるので注意しましょう。また、都道府県税事務所の公式サイトからダウンロードできるフォーマットは、3パターンのフォーマットがセットになっているので提出先を間違えないように注意が必要です。ちなみに、東京23区に本店を置く会社を設立した場合、法人設立・設置届出書は、都税事務所と管轄の税務署の2カ所だけになります。
-
3.提出先ごとの提出期限
設立する会社の本店が東京23区の管轄にある場合は、会社を設立してから15日以内に都税事務所に提出しなければいけません。一方、税務署の場合は、会社を設立してから2カ月以内です。道府県や市町村役場へは、多くの場合会社を設立してから1カ月以内に法人設立・設置届出書を出すことになります。法律で定められた手続きですので、万が一期限が過ぎた場合でも、法人設立・設置届出書をきちんと提出するようにしましょう。
-
4.法人設立・設置届出書に記載すること
法人設立・設置届出書の記載事項について解説します。書類の記載をするときに、気をつけるポイントもあわせて紹介します。
発起人が悪意を持っていたり、重大な過失で第三者に損害を及ぼしたりした場合も賠償の対象です。ちなみに、発起人が原因で受けた賠償の義務は、連帯責任が原則になっています。そのため、問題を起こした発起人以外の発起人や設立時取締役による損害も、連帯して賠償する必要があるのです。ただし、発起人が原因で受けた賠償、問題を起こした発起人以外の発起人や設立時取締役による損害、いずれの場合も、株主総会の同意を得れば賠償義務は問われないことを頭に入れておきましょう。
-
4-1.税務署に提出するもの
税務署に提出する法人設立・設置届出書でチェックしておきたい項目の一つが「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」です。文言が長くて分かりづらいですが、会社の資本金が1千万円以上の場合に、設立年月日と同じ日を記入します。「設立の形態」は、5つの項目の中から自社が該当するものを選ぶ仕組みです。個人事業主として行っていた事業を新たに設立する法人で行う場合は、1の「個人企業を法人組織とした法人である場合」を選択します。
管轄の税務署名も忘れずに記入しましょう。新しく会社を設立した場合は、5の「その他」に丸を付けて項目の横にある括弧には「新設法人」と記入して提出します。「給与支払事務所等の開設届出書提出の有無」は、役員や従業員への給与の支払いが決まっている場合には、「有」に丸を入れましょう。
-
4-2.都道府県税事務所に提出するもの
都道府県税事務所に提出する法人設立・設置届出書は、都道府県によってフォーマットが異なります。「設立設置年月日」には、税務署に提出する法人設立・設置届出書に記入する日付と同様のものを記載しましょう。「地方税の申告期限の延長の処分(承認)の有無」については、住民税は税務署で法人税の申告期限の延長が認められていれば「有」、事業税については都道府県税事務所で延長の申請が受理されていれば「有」を選択します。
-
4-3.市町村役場などに提出するもの
市町村役場に提出する法人設立・設置届出書で特筆すべきポイントは特にありません。税務署や都道府県税事務所の法人設立・設置届出書に記載した内容を見ながら、各項目を埋めていきましょう。
-
-
5.添付資料について
税務署や都道府県税事務所、市役所などに書類を提出するときに必要な添付書類を順番に紹介していきます。
-
5-1.税務署に提出するもの
税務署で法人設立・設置届出書を提出する場合は、定款のコピーをあわせて提出しましょう。もしも、定款のコピーが用意できない場合は、寄付行為や規則または規約のコピーでも問題ありません。なお、2017年3月以前は登記簿謄本も添付書類として提出する必要がありましたが、現在は不要になっているので覚えておきましょう。
-
5-2.都道府県税事務所に提出するもの
都道府県税事務所には、定款のコピーと登記事項証明書(履歴事項全部証明書)のコピーを法人設立・設置届出書とあわせて提出しなければいけません。なお、合併や分割で新たに設立された会社は、そのほかの書類の提出を求められることもあります。手続きをスムーズに進めるためにも、事前に都道府県税事務所に法人設立・設置届出書の提出に必要な添付書類について確認しておくといいでしょう。
-
5-3.市町村役場などに提出するもの
市町村役場へは、都道府県税事務所と同様に定款と登記事項証明書を提出しましょう。いずれも原本ではなく、コピーで問題ありません。
-
-
6.法人設立・設置届出書の注意事項
法人設立・設置届出書の控えは必ず残しておきましょう。設立届出書のコピーを各機関に持参すると、受理印を押してもらえます。この控えは、銀行などの金融機関で口座開設する場合や、融資を受ける場合に提出が求められることがあるため、紛失しないように大切に保管しておきましょう。郵送で法人設立・設置届出書を提出する場合は、控えを受けるために返信用封筒を同封することが大切です。返信に必要な切手も忘れずに貼付しましょう。
-
期限内に提出してしまおう!
法人設立・設置届出書は提出しなくても、特に罰則を受けることはありません。法律で定められている手続きであり、必ず提出が必要なものです。法人設立・設置届出書の作成は、それほど難しいものではありません。今回紹介した内容を参考に、時間を見つけて期限内に法人設立・設置届出書を提出しましょう。
- ※ 本コラムは2022年6月6日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
GMOあおぞらネット銀行の法人口座について詳しくはこちら
執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
■著者への無料個別相談・最新情報はコチラから
https://v-spirits.com/