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- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#35創業時に融資を受けたい!融資サポートって何をしてくれるの?
「創業時に必要な資金を集めるために融資を受けたい」と考えているものの、きちんと融資が受けられるのか不安に思っている人もいるでしょう。融資を受けるためには、審査に通過しなければいけないので心配になるのは当然です。そこで今回は、創業時に利用できる融資の種類や審査について説明します。融資サポートの内容もあわせてチェックしましょう。
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1.創業する時に頼れる融資先
創業するときに融資を受けられる具体的な制度を紹介します。
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1-1.日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
日本政策金融公庫とは政府系の金融機関です。創業にかかる資金のサポートが欲しいなら、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用するのも1つの方法です。新創業融資制度は、担保や保証人が原則必要ありません。新創業融資制度の最大融資額は3千万円です(うち運転資金は1千5百万円)。申込をしてから借入まで1カ月ほどかかるので、計画的に手続きをする必要があります。
また新創業融資制度は金利が2.32%になります(令和4年7月1日現在)。自治体が行う制度融資と比較すると、少し金利が高めになっていますが、無担保、無保証人で借入できる点は起業家にとって大きなメリットと言えるでしょう。
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1-2.自治体が行う「制度融資」
制度融資とは、自治体や信用保証協会、民間金融機関が連携して行う中小企業や個人事業主のための融資制度です。通常は民間金融機関で申込を行いますが、一部の都道府県では信用保証協会で申し込みできる場合があります。また必要な場合には自治体からあっせん書を貰います。制度融資の場合0~1%台と低金利で借りられる場合が多いですが、日本政策金融公庫と比べると概して審査が厳しいです。自治体や信用保証協会、民間金融機関が連携して行うので、融資実行までに時間がかかるのもデメリットです。
「早く資金が欲しい」という人は、日本政策金融公庫からの融資を検討した方がよいでしょう。また、制度融資を受けるためには、信用保証協会の保証を受ける必要があります。この保証を受けるためには、保証料を支払わなければいけない点も制度融資のデメリットと言えるでしょう。
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2.融資の審査は何を確認されるのか
融資を受けるためには、必ず審査に通過する必要があります。融資の審査ではどのようなことをチェックされるのか確認しておきましょう。
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2-1.事業計画
事業計画は、融資審査において最も厳しく見られる項目と言っても過言ではありません。不十分な事業計画を提出すると、審査担当者から「事業がうまくいかないのではないか」「借入を返済できなくなるのではないか」と判断される可能性があります。つまり、事業計画は、客観的に「事業がうまくいきそう」「きちんと返済できそう」と思わせるものを作ることを意識します。ただサンプルに従って事業計画を作るのではなく、審査担当者に納得してもらうのに必要な情報を不足なく記載するのがポイントです。具体的には、利益や売上がアップする予想に対して説得力がある説明をするなどするとよいでしょう。
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2-2.起業家自身の経験・能力・資質
融資の審査では、これまでの起業家自身のキャリアやスキル、人柄も確認されます。もちろん、経営者としての資質なども大切な審査項目の1つです。面談では「事業や経営に関する知識があるか」をチェックするために、鋭い質問が飛んでくるケースもあります。慣れない面談で緊張するかもしれませんが、どんな質問でも冷静に対応することが大切です。
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2-3.自己資金
融資の審査では、「計画的に自己資金を貯めてきたか」をチェックされます。融資制度ごとにある自己資金要件を事前に確認しておきましょう。十分な自己資金が用意できていない人の中には、「一時的にお金を用意すれば乗り切れるだろう」と考える人がいるかもしれません。しかし、融資の審査では、自己資金を貯めている通帳の提出が求められるため、見せ金などは発覚してしまうのでやめておきましょう。自己資金の金額や貯め方を通して、創業に対する本気度や金銭管理力などが確認されます。
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3.「新創業融資」の流れ
融資の申込をする場合は、あらかじめ全体の流れを知っておくとスムーズに手続きを進められますし、計画を立てやすくなります。そこで今回は、日本政策金融公庫の新創業融資を例に融資の流れを確認していきましょう。まずは、融資の申請に必要な書類を公式サイトからダウンロードします。印刷した書類の記入欄をすべて埋めて提出します。日本政策金融公庫の場合は郵送やインターネット、窓口持参で受け付けてもらえます。
日本政策金融公庫で申請書類のチェックが終わると、面談の通知が郵送で届きます。指定された面談日に担当者と1時間ほど面談をする流れです。このとき、通帳や源泉徴収票、賃貸借契約書など追加で資料の提出を求められるので、柔軟に対応しましょう。審査結果は面談から1~2週間程度で知らされます。審査に通っていれば融資契約に必要書類が送られてくるので、必要事項を記載して提出しましょう。書類に不足がなければ、日本政策金融公庫での手続きが完了し次第、指定した口座に融資金が振込まれます。
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4.融資サポートサービスって何をしてくれるの?
融資サポートサービスとは、日本政策金融公庫や自治体の制度融資を使って融資を受ける場合に全面的な支援をしてくれるサービスのことです。「どうすれば融資審査に通るか」をよく知っているプロに、融資に必要な事業計画書や面談のアドバイスが受けられます。事業計画書や申請書類の作成がスムーズに進みますし、手探りで作業して審査に落ちるリスクを抑えられます。また、融資サポートサービスを利用することで、自分で対策するよりも好条件で融資を受けられることもあるようです。「確実に融資審査に通りたい」「融資手続きをスムーズに進めたい」と考えている人は、融資サポートサービスの利用を検討してみるとよいでしょう。
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融資には厳しい審査が!しっかり対策を
創業時に融資を受けるには、日本政策金融公庫や自治体の制度融資を活用します。ただし、どの融資制度を利用するにしても、必ず審査に通る必要があります。融資の申込に必要な書類をただ用意するのではなく、審査に通るための対策を練ることが大切です。今回紹介した内容を参考に、創業時に融資を受けられるように具体的な行動をとってみましょう。
- ※ 本コラムは2022年8月22日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
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執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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