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#7ネット銀行で法人口座開設!ネット銀行を活用してコスト削減しよう

会社設立して事業を開始するにあたり必要となるのが法人口座です。しかし、個人向けの口座とは違い、口座開設の準備はもとより、かなりの手数料がかかるのが法人口座です。会社経営者にとって、経費は少なければ少ないほどいいものです。コストが低いネット銀行は、会社経営者の強い味方になることでしょう。そこで本記事では、ネット銀行を効果的に活用するためにネット銀行で法人口座を開設するメリットとデメリットから、審査の対策までを徹底解説します。

  1. 1.ネット銀行で法人口座を開設するメリット

    ネット銀行で法人口座を開設することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。本段落では、ネット銀行で法人口座を開設するメリットのうち、特に大きな4点を具体的に紹介していきます。

    1. 1-1.手数料が格安

      1つ目のメリットは、メガバンクに比べて手数料が圧倒的に安いことでしょう。各種手数料の中でも、特に振込手数料がそのメリットを感じやすいです。ネット銀行は、同一支店間では振込手数料が無料の銀行もあり、振込回数が多い会社は、それだけでもかなりのコストダウンが期待できます。また、ネット銀行は、普通預金・定期預金の金利も高く、投資などを行わずとも、現在のメインバンクから置き換えるだけで、コストパフォーマンスが上昇するというメリットがあります。

    2. 1-2.法人口座の開設が行いやすい

      法人口座が、振り込め詐欺などで反社会的勢力に不正に利用されることを防ぐために、法人口座開設の難易度は、年々上昇傾向にあります。銀行からすると、自分のところの口座が犯罪に使われていたと分かれば、大きく信用が失墜するので当然の措置といえるでしょう。しかし、このことは、一方で早期に会社を軌道に乗せたい経営者にとっては、大きな機会損失を招くことになってしまいます。法人口座は、設立間もない会社でも開設することはできますが、審査が厳しく、書類の数も、大企業に比べると多いなど、口座開設完了までの日数を要するケースが多いです。

      そもそも、多忙な経営者が、銀行の窓口が開いている時間に足を運ぶことができないこともあるでしょう。ネット銀行の法人口座であればWeb申込と書類のやり取りのみで口座開設ができるので、スピーディーに事業を開始し、機会損失を防ぐことができます。

    3. 1-3.原則として24時間対応できる

      法人口座の場合、メガバンク・地方銀行のシステムに接続できる時間が限られているところもあります。スタートアップの会社経営においては、予想外の事態が、夜中に起こったり、深夜に銀行の取引履歴や口座残高を参照しながら経営戦略を改めて練り直したかったりするときには、銀行システムに接続できる時間に制限があることは、極めてマイナスです。しかし、ネット銀行の法人口座であれば、個人向け口座と同様に、原則として、24時間365日(システムメンテナンス時を除く)いつでも利用することができます。深夜だけでなく、早朝においても利用することができるので、睡眠をとった後のすっきりした頭で、朝活の一環で、効率的な事業計画を練るということもできるでしょう。

    4. 1-4.口座維持手数料がかからない

      いわゆるメガバンクでは、オンラインバンキングの利用に月額約2千円かかります。しかし、ネット銀行では、ネットでの取引を主体としているので、口座維持費用は無料で、さらに、いつでも簡単にインターネットバンキングにアクセスをして、口座残高を確認したり、入出金状況を閲覧したりすることが可能です。実際のビジネスの場面でも、ネットを媒介とした取引が当たり前になってきている中で、ネットバンキングの利用手数料が無料という利点は極めて大きいといえるでしょう。

  2. 2.ネット銀行で法人口座を開設するデメリット

    では、ネット銀行で法人口座を開設する際の障壁はどんなものがあるのでしょうか。本段落では、ネット銀行で法人口座を開設する際のデメリットを紹介していきます。

    1. 2-1.知名度が低い

      ネット銀行の知名度は高いのですが、それでもメガバンクなどに比較すると、その差は大きく、この知名度の差は、そのまま会社の信用の差につながります。会社概要のページの「主要取引先銀行」の欄に、ネット銀行が書いてあるよりも、メガバンクなどが書いてあった方が信頼性の面で勝ります。その結果、ビジネススキルは高くとも、メガバンクと取引実績のある会社の方へ仕事を取られてしまう可能性も考えられるのです。主要取引先銀行の記載は、義務ではないので、ネット銀行しか取引のない場合は記載しないのも一つの方法です。主要な取引にはメガバンク、振込手続きに関してはネット銀行といったように、うまく使い分けていく方法もあるでしょう。

    2. 2-2.社会保険料の引き落としに対応していない

      ネット銀行は「国庫金・公金の取扱指定金融機関」ではないため、社会保険料や税金の口座振替に対応していません。特に公金の口座振替に関しては、メガバンクや地方銀行を利用する必要があります。公金の支払いが遅れると、助成金や補助金など経営を支える行政からの経営支援が受けられなくなる可能性があるので注意が必要です。ネットバンキングでの取引は、ネット銀行で行い、公金の口座振替のために地方銀行、都市銀などで行うなどもよいでしょう。

    3. 2-3.銀行融資を受けにくい

      メインバンクで取引実績を作ると、事業融資を受けやすくなります。メガバンクや地方銀行、信用金庫などを利用している会社はそういったメリットから取引をしていることも多いです。しかし、ネット銀行では、日々のコスト、手数料などが安い代わりに、どれだけの取引実績があっても、融資サービスがなければ融資ができません。ネット銀行全体で、今後、法人融資の業務に本腰を入れるといった動きが見られれば、さらにネット銀行の利便性は高まるといえるでしょう。

    4. 2-4.税制の観点からは1千万円未満が有利

      資本金を1千万円未満に抑えることが、税制上有利である理由は大きく2点あります。まず資本金1千万円未満の企業の場合、創業してから2年間の消費税が免税となります。逆に、資本金が1千万円以上の場合、1年目から納税の義務が生じます。消費税は赤字であっても発生する税金のため、2年間免税となることは、資金繰りのうえで大きなメリットがあるといえます。

      次に「法人住民税均等割」が安くなることが挙げられます。会社設立後は、法人税、法人県民税、法人市民税が発生しますが、このうち法人県民税と法人市民税を合わせて、法人住民税といいます。法人税は、赤字の場合は発生しませんが、法人住民税の場合は、均等割というものを会社が赤字でも、毎年一定額を支払わなければなりません。この法人住民税の均等割の金額は、従業員が50名以下かつ資本金が1千万円以下であれば7万円ほどですが、1千万円を超えていた場合は、18万円ほどを支払う必要があります。この点から見ても、大きな理由がなければ、資本金は1千万円以下に抑えるべきであるといえるでしょう。

  3. 3.ネット銀行での法人口座開設の審査対策

    法人口座を開設することは、実績のない会社が、信頼度を高めるための有効な手段です。しかし、法人向けの口座を作ろうとしても、実績がなければ、そもそも審査に引っかかってしまうことが多いです。一つの銀行で、法人口座を開設することができれば、その事実自体が一つの実績となり、他の銀行でも口座を作りやすくなります。事前にしっかり対策することによって審査に通る可能性が大幅に高まります。本段落では審査対策の要点を紹介していきます。

    1. 3-1.資本金

      現在、資本金は1円であっても会社を設立することができますが、会社の信用度を表す一つの重大な指針になりますので、あまりにも資本金が少額だと、審査担当者に不安を与えかねないことは留意しておくべきです。また、業種によっては、最低限の資本金が規定されていることもあるので、忘れず確認しておきましょう。金融機関が定めている要件を満たすように最低100万円程度、目安としては3カ月分ほどの運転資金と同等の金額を用意しておけば安心です。

    2. 3-2.固定回線

      電話番号で一番適切なのは固定回線の番号です。固定回線があるということは、法人の実態を確認するうえで高い信頼度につながります。しかし、固定番号の取得は、電話加入権など申込の際にかかるコストが何十万単位となるため、コスト面で厳しいという場合には、「050」から始まるIP電話の番号の取得がおすすめです。また、電話代行サービスの活用なども考えられます。どうしても携帯電話しか使用できない場合は、審査担当者から質問されたときに、しっかりと答えられるよう練習しておきましょう。

    3. 3-3.事務所の住所

      何といっても信頼度が高いのは、実在する事務所の住所です。自己所有物件であれば言うことはないでしょう。一方で、起業のハードルを下げる取り組みの一環で、バーチャルオフィスが台頭してきており、その便利さやコスト面から検討する経営者もいると思いますが、実際の住所と比べると歴史も浅いため、法人口座開設の審査時にはマイナスに働いてしまうことがあることも理解したうえで使用するようにしましょう。

    4. 3-4.自社Webサイト

      最近では、簡単に無料で、かつ見栄えが良い Webサイトの作成ができるサービスもあるので活用すべきでしょう。その場しのぎの Webサイトではなく、会社としての情報を網羅し、企業の事業内容が明確に第三者から見て分かるかどうかという点で審査されるので、必要事項を紙に書き出したうえでチェックしながら作成を進めるとよいでしょう。審査に通る Webサイトであれば、開業後も営業の大きな助けになってくれるはずです。

    5. 3-5.事業内容

      事業内容は、いわば会社の顔です。具体的にしっかりと明記するようにしましょう。口頭でよどみなく説明できるように練習しておくと良いでしょう。事業内容を複数載せること自体は、特に問題はありませんが、その事業内容に一貫性なかったり、審査担当者からの質問に答えられなかったりすると、審査の見栄えのために、Webサイトに事業を複数掲載したとして、口座開設審査での評価が厳しくなってしまうリスクがあります。

  4. 対策を徹底的に行い、ネット銀行を活用しよう

    ネット銀行のメリットとデメリットから審査対策までを詳しく紹介しました。自社の状況に応じて最適なネット銀行を選びつつ、審査への対策を確実に行うことによって、自社のコストを削減しながら、効率的に会社の設立およびその後の事業運営ができるでしょう。忙しく倹約家な経営者の味方である、ネット銀行の利点をフル活用してください。

  • ※ 本コラムは2022年1月24日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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