イベント情報&レポート
sunabarコミュニティイベント第12弾
sunabarエンジニア向けイベント第12弾
「中の人と語る、今後求められる銀行API」
オンライン/オフライン同時開催!
こんにちは! sunabarイベント担当の植村です。
2021年12月14日(火)にsunabarコミュニティイベント第12弾「中の人と語る、今後求められる銀行API」を開催しました。
GMOあおぞらネット銀行株式会社(以下、当社)では、「組込型金融サービス」への理解促進と、各業界における組込型金融の導入障壁を下げるためのサービス提供を行っており、「sunabarコミュニティイベント」の開催もその一環です。
今回、給与前払いアプリ「プリポケ」を提供する株式会社マネーコミュニケーションズ(以下、マネーコミュニケーションズ)情報システム部長の望月 泉さまをゲストにお招きし、API導入におけるシステム部門で担当した当社 岡田 、司会に当社CTO 矢上を交えて座談会を開催しました。お話しいただいた内容を一部抜粋してお届けいたします。
- ■イベント名:
- 「中の人と語る、今後求められる銀行API」
- ■日時:
- 2021年12月14日(火)19:00~21:00
- ■登壇者:
-
望月 泉さま (株式会社マネーコミュニケーションズ 情報システム部長)
岡田 修一 (当社 テクノロジー&プロセシンググループ 顧客サポートチーム チーム長)
- 司会:
- 矢上 聡洋 (当社 企画・事業開発グループ CTO)
【株式会社マネーコミュニケーションズについて 】
伊藤忠商事株式会社の100%子会社として、給与前払いサービス「プリポケ」をはじめとした各種金融関連サービスを展開されています。
給与前払いサービス「プリポケ」と銀行API接続
望月さま:給与前払いサービス「プリポケ」は給料日を待たなければ受け取れなかったお給料が、給料日を待たずに受け取ることができるサービスです。働き手のみなさんがそういったサービスを求めている中、企業さまにとっては求人数のアップ、スタッフ定着率のアップに繋がります。
矢上:ちなみにこちらのサービス、最初はAPIをご利用されていなかったと聞いておりますが?
望月さま:はい。サービス開始時はすべて手作業で送金処理をしていました。
ビジネスの成長フェーズに合わせまして、より多くの送金を少人数で正確に行えるように、また、サービス利用者から給与前払い申請したら、なるべく早く前払い給与を手にしたいというリアルタイムの送金ニーズの高まりから、銀行APIの導入を決定しました。導入したことにより、圧倒的に業務負荷が減りました。これまで手作業で送金していたところが眺めていれば送金がされますからね。サービス利用者が給与前払い申請を行うと、その申請に基づき、申請とほぼ同時に送金が完了することを実現しました。
ご利用事例紹介ページ:
https://gmo-aozora.com/baas/case/case06.html
左から矢上、望月さま、岡田
銀行APIを活用していく価値
矢上:銀行APIをアプリケーションの中で活用していく最大の価値は、どのような点でしょうか?
望月さま:サービス提供側にとっては、やはり圧倒的に業務効率が上がるところです。
一度システム開発すれば、正確に・安全に・安定した送金が行うことができます、これが最も意味のあるところです。また、サービス利用者にとっては申請すればリアルタイムに着金がされる点が素晴らしいですね。これまでは、営業日の何時まで…という時限があり、その翌日に着金というのが精一杯な世界でしたから、利便性が劇的に向上しました。また弊社の少ない人数のなかで、このトランザクション数をこなしていける点も銀行APIあってのものですね。
矢上:岡田さん、銀行APIを提供する立場からはいかがでしょうか?
岡田: いかに事業者さまがご提供されているサービスに、シームレスにご利用いただく、かつUX(顧客体験)を高めるために提供できる形として組み込んいただく、そういったところに我々のAPI提供の価値があると思ってます。
銀行APIを安全に使用するキーワード「冪等性(べきとうせい)」
岡田:本日は「冪等性」というキーワードをぜひ紹介したいのですが、これは、同じ操作を何度実行しても同じ結果が得られるという性質を示すワードです。我々が提供している銀行APIは、安全に使えるための仕組みが備わっている必要があります。振込をご依頼いただくAPIがアプリケーションからコールされ、ここでその振込依頼のリクエストがタイムアウト等で処理結果が不明になってしまった場合に、どうやって安全にリトライを行うか。ここで登場するのが「冪等性」というキーワードです。振込依頼APIのインターフェースを拡張して冪等キーを指定、同じキーを設定いただく限りは、同じ振込依頼処理として取り扱います。結果、未処理の振込依頼であれば処理を実行し、処理結果を返します。既に処理済みであれば、初回受付時と同一の処理結果を返します。何度リトライしても確実に1回だけ実行される機能です。銀行のAPIですので振込等で資金が移動します。安全かつ確実に処理が実行でき、なおかつそれを事業者さま側で確実に実行いただける機能を提供する必要が我々にはあります。我々はAPIを提供して終わりではなく、APIを安全に使っていただくために、機能を向上していく取り組みをしています。
望月さま:岡田さんから「冪等キーを指定できるようになる」と聞いて、当社サービスにもさっそく実装させていただきました。やはりエンジニアの立場から見ても、冪等キーが効いていると送金する安心感が全然違います。
銀行APIをつかったサービスを開発・運用するうえで大事なこと。
矢上:振込・送金の更新系の処理を設計する際に気をつけられていることはありますか?
望月さま:岡田さんからもお話しありました冪等性やフェールセーフの考え方を日ごろからしっかりと考えています。そうした中でも、やはり運用設計が本当に重要だなと感じていまして、あらゆるシチュエーションを日々メンバーと想定して考えています。24時間送金が可能になり機能向上した一方、夜中に何かトラブルが起きたらどうしようという不安もあります。ちょっとしたトラブルも自力で回復するようなシステムにならないか、APIを駆使してカバーできるのではないかと日々考えています。
今後求められる銀行API
望月さま:アプリの利用者の声を聞いていますと、リアルタイム送金があたりまえになってしまい、次に求められていることは、アプリ上に「あなたの口座に着金しましたよ」と通知して欲しいという声をたくさんいただいています。今後は着金に関してもAPIで追えるようになるとさらに利便性が上がるかなと思います。
矢上:着金は今の全銀のシステムのままだと難しいところがあると思っていまして、これは日本全体の送金システムの課題とも言えます。現在、次世代の資金決済システムがディスカッションされているその中で解決されていくべきテーマの一つですね。
望月:今後に期待ですね。GMOあおぞらさんは「こんなことしてみたい…」という時にご相談させていただいて、「こういった形で実現できるのでは?」解決の糸口を見出してくださり、リリースした後もサービス力向上のブラッシュアップを続けております。本当にありがたいです。
矢上:ありがとうございます。岡田さんは「APIおじさん」として、今年2月から始動した「銀行APIラインアップ圧倒的No.1プロジェクト」で、銀行APIを毎月1本開発することを目標とされていますがいかがでしょうか?
岡田:かんたん組込型金融サービスのひとつの形態としての銀行APIという位置づけですよね。APIをみなさまにより活用いただけるラインアップを拡充することはお客さまのビジネス加速に大きく貢献すると考えています。今後も引き続き新しい銀行APIを作っていき、振込に関する冪等性のさらに強固に便利に確実にご利用いただける機能としてブラッシュアップを図っていきます。
【当社取り組みの最新情報の紹介】
ichibar -組込型マーケットプレイス- 最新情報
■スピーカー:橋口 智典(当社 ichibar プロジェクトリーダー)
「ichibar」とは、新たにデジタルビジネスを検討している企業や、アイデアをお持ちの起業家・学生といった幅広い方々に、組込型金融を用いた新たなデジタルサービスのアイデアを、テストする世界初の仕組み(エコシステム)です。
このたび、この「ichibar」において当社WebサイトやAWSマーケットプレイスを通じて組込型金融サービスに関連するソフトウェア部品やビジネスアイデアなどの出品ができる「マーケットプレイス機能」の提供し、出品受付を開始いたしました。
「ichibar」の詳細ははこちら:https://gmo-aozora.com/baas/ichibar/
座談会終了後は、会場へご来場いただいた皆さまで懇親会を開催しました。
約1年半ぶりにリアルなネットワーキングを行うことができ、大変充実した内容のイベントとなりました。
以上、sunabarコミュニティイベント第12弾のレポートをお届けしました。
ありがとうございました。
※ 本レポートは2021年12月14日時点の情報です。