イベント情報&レポート
sunabarコミュニティイベント第13弾
SDGs/ESG時代における
投資対象としての組込型金融
こんにちは。sunabarイベント担当の門馬です。
2022年2月8日(火)に、sunabarコミュニティイベント#13「SDGs/ESG時代における投資対象としての組込型金融」を開催しました。
今回はサステナブル・ラボ株式会社の貴志優紀氏と、あおぞら企業投資株式会社の久保彰史氏のおふたりをゲストにお招きして、「SDGs/ESG」「組込型金融」「投資」をテーマに、SDGsとESGに対し組込型金融がどう寄与できるのか、そして投資家はどのように評価するのかなどの座談会を行いました。本レポートでは内容の一部をご紹介します。(司会:当社 執行役員 企画・事業開発グループ長 小野沢 宏晋)
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サステナブル・ラボ株式会社 CFO
貴志 優紀 氏
2008年ドレスナー・クラインオート証券、ドイツ証券へ転職を経て、2018年にPlug and Play Japanへ入社。非財務データ可視化事業を行うFintechスタートアップのサステナブル・ラボ株式会社に、2022年よりChief Financial Officerとして参画。 ロンドン大学クイーンメアリー校経済学部、ケンブリッジ大学MBA 一般社団法人フィンテック協会 常務理事
サステナブル・ラボ株式会社:https://suslab.net/
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あおぞら企業投資株式会社 代表取締役CEO
久保 彰史 氏
三井住友銀行で中小・大企業融資、外国為替等RM担当、リクルートで採用・活性化等のHRコンサル営業、 サイバーエージェント・キャピタル(旧サイバーエージェント・ベンチャーズ)でシード・アーリー投資、 管理業務等に従事した後、2013年あおぞら銀行入行。ベンチャー融資推進担当、 インターネット銀行設立準備室(現GMOあおぞらネット銀行)等を経て、2019年10月よりあおぞら企業投資株式会社代表取締役に就任。
あおぞら企業投資株式会社:https://www.aozora-ci.co.jp/
SDGs/ESG・投資家視点から見た組込型金融
まずは貴志氏と久保氏それぞれの視点から、組込型金融の印象を伺いました。
貴志 優紀 氏(以下、貴志氏)「組込型金融は盛り上がっているように感じます。日本でもここ数年、今年が組込型元年だ! と言われ続けています。今後はユーザー視点で考えること、つまりユーザーに対するベネフィット(利益)を考えることが、組込型金融が浸透するカギになると思います。」
貴志氏によると、英国の大手銀行とチャレンジャーバンクのユーザー体験を比較したレポートがあり、レポートによると口座開設や送金までのクリック数がまったく違っていたそうです。組込型金融もいかにユーザー起点でプロダクトをブラッシュアップできるのかが重要になりそうです。
貴志氏と同様に、久保氏も組込型金融の盛り上がりを感じていました。その上で、国によっての環境の違いがあると久保氏は言います。
久保 彰史 氏(以下、久保氏)「様々なサービスの隣に金融(金融機能)があることで、便利を作ることができると考えています。一方で海外ではクレジットカードが作りにくい国や、ネットインフラだけは整っているが、他のインフラが整備されていない国があるなど、国によって抱えているペインが違います。そのなかで日本らしい組込型金融の進化はどこにあるのか注目しています。」
組込型金融に期待すること
貴志氏「SDGs/ESGを絡めたFinTechは、欧州が先行している印象です。Climate FinTech(クライメイト フィンテック)という単語も出てきて、投資金額が過去最高になったそうです。」
Climate FinTech(クライメイト フィンテック)とは、気候フィンテックと呼ばれる新しい領域のことで、地球温暖化を軽減するためにFinTechサービスを組み合わせたものです。
貴志氏「最近の欧州のFinTech・組込系サービスは、B to Cのサービスが多いです。例えばスウェーデンの大手オンライン決済サービス会社では、同国のスタートアップ企業と協力し、決済時にその商品の二酸化炭素(CO2)の推定排出量を表示する機能を追加しました。この例えは金融機能の組込ではありませんが、金融機能を組込むことで個人の行動変容を促すための大きなインパクトになり得るかなと思いました。」
一方、久保氏は投資する側として、現在の潮流の先を見据えた視点で、次のように語りました。
久保氏「SDGsと組込型金融の観点ですと、お釣り貯金やクラウドファンディングの一部を寄付するような活動が増えていると聞きますが、私は現在の文脈の先にどこへ向かうかということに興味を感じています。一般的には、環境の次は社会(ソーシャル)やガバナンスに向かうと言われています。その過程で組込型金融に活躍の場が多く出てくるのではと感じています。」
視聴者からの質問
sunabarイベントでは視聴者からいただいた質問にもお答えしています。質問のひとつをご紹介します。
質問:最近では決済行動をしなくても買い物ができるなどの行動変容が起きています。組込型金融によって今後起こり得る行動変容の具体例を教えてほしいです。
貴志氏「直接的な組込型金融の話ではありませんが、行動変容はいつの間にか気づかないうちに情報に触れることで起こり得るものだと考えています。実社会の生活レベルで情報が見えるか見えないか、意識するかしないかで変わっていくのだと思います。」
久保氏「組込型金融により様々なものに決済手段が増えることで、ユーザーにとっての利便性が上がると考えます。たとえばビットコインで決済する行為は現状では利便性が高いとは言い難いですが、クレジットカードの引き落としをビットコインにすることで利便性は変わってくると思います。組込型金融は、ユーザーだけでなくプラットフォーマーも選択肢を与えることになると思います。」
イベントでは他にも、久保氏が考える日本のペインや、貴志氏の考えるFintech、組込型金融の未来についてなど、多くの議論が繰り広げられました。
ichibar組込型金融マーケットプレイス update
イベント後半では、当社 ichibarプロジェクトリーダーの橋口より、ichibar組込型金融マーケットプレイスに関する最新情報を紹介しました。
一つ目は、当社のかんたん組込型金融サービスを約60秒で説明した動画を紹介しました。
当社のかんたん組込型金融サービスの特徴として、銀行機能をパーツ化してサービスに組込むことが可能なため、あらゆる規模の事業者で価値あるUXを実現することが可能です。
二つ目は、動画内で登場したライブ配信サービス(SHOWROOMさま)の導入事例を紹介しました。
ライバーと呼ばれるライブ配信者は、ライブ配信中に視聴者からギフトを受け取ることができ、ライブ終了後にギフトを換金できますが、実際の換金までにはひと手間かかっていました。当社の銀行APIを使用することにより、ライブ配信後、即時でライバーに振込されるようになり、タイムラグが無くなるとともに換金操作自体もなくなりました。さらに処理の自動化により、事務作業の軽減も実現しています。
GMOあおぞらネット銀行株式会社では、「組込型金融サービス」への理解促進と、各業界における組込型金融の導入障壁を下げるためのサービス提供を行っており、「sunabarコミュニティイベント」の開催もその一環です。
sunabarコミュニティイベントは定期的に開催しています。最新のイベント情報や過去のイベントレポートは「イベント情報」に掲載していますので、ぜひご覧ください。
※ 本レポートは2022年2月8日時点の情報です。
SDGs/ESG時代における
投資対象としての組込型金融
こんにちは。sunabarイベント担当の門馬です。
2022年2月8日(火)に、sunabarコミュニティイベント#13「SDGs/ESG時代における投資対象としての組込型金融」を開催しました。
今回はサステナブル・ラボ株式会社の貴志優紀氏と、あおぞら企業投資株式会社の久保彰史氏のおふたりをゲストにお招きして、「SDGs/ESG」「組込型金融」「投資」をテーマに、SDGsとESGに対し組込型金融がどう寄与できるのか、そして投資家はどのように評価するのかなどの座談会を行いました。本レポートでは内容の一部をご紹介します。(司会:当社 執行役員 企画・事業開発グループ長 小野沢 宏晋)
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サステナブル・ラボ株式会社 CFO
貴志 優紀 氏2008年ドレスナー・クラインオート証券、ドイツ証券へ転職を経て、2018年にPlug and Play Japanへ入社。非財務データ可視化事業を行うFintechスタートアップのサステナブル・ラボ株式会社に、2022年よりChief Financial Officerとして参画。 ロンドン大学クイーンメアリー校経済学部、ケンブリッジ大学MBA 一般社団法人フィンテック協会 常務理事
サステナブル・ラボ株式会社:https://suslab.net/
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あおぞら企業投資株式会社 代表取締役CEO
久保 彰史 氏三井住友銀行で中小・大企業融資、外国為替等RM担当、リクルートで採用・活性化等のHRコンサル営業、 サイバーエージェント・キャピタル(旧サイバーエージェント・ベンチャーズ)でシード・アーリー投資、 管理業務等に従事した後、2013年あおぞら銀行入行。ベンチャー融資推進担当、 インターネット銀行設立準備室(現GMOあおぞらネット銀行)等を経て、2019年10月よりあおぞら企業投資株式会社代表取締役に就任。
あおぞら企業投資株式会社:https://www.aozora-ci.co.jp/
SDGs/ESG・投資家視点から見た組込型金融
まずは貴志氏と久保氏それぞれの視点から、組込型金融の印象を伺いました。
貴志 優紀 氏(以下、貴志氏)「組込型金融は盛り上がっているように感じます。日本でもここ数年、今年が組込型元年だ! と言われ続けています。今後はユーザー視点で考えること、つまりユーザーに対するベネフィット(利益)を考えることが、組込型金融が浸透するカギになると思います。」
貴志氏によると、英国の大手銀行とチャレンジャーバンクのユーザー体験を比較したレポートがあり、レポートによると口座開設や送金までのクリック数がまったく違っていたそうです。組込型金融もいかにユーザー起点でプロダクトをブラッシュアップできるのかが重要になりそうです。
貴志氏と同様に、久保氏も組込型金融の盛り上がりを感じていました。その上で、国によっての環境の違いがあると久保氏は言います。
久保 彰史 氏(以下、久保氏)「様々なサービスの隣に金融(金融機能)があることで、便利を作ることができると考えています。一方で海外ではクレジットカードが作りにくい国や、ネットインフラだけは整っているが、他のインフラが整備されていない国があるなど、国によって抱えているペインが違います。そのなかで日本らしい組込型金融の進化はどこにあるのか注目しています。」
組込型金融に期待すること
貴志氏「SDGs/ESGを絡めたFinTechは、欧州が先行している印象です。Climate FinTech(クライメイト フィンテック)という単語も出てきて、投資金額が過去最高になったそうです。」
Climate FinTech(クライメイト フィンテック)とは、気候フィンテックと呼ばれる新しい領域のことで、地球温暖化を軽減するためにFinTechサービスを組み合わせたものです。
貴志氏「最近の欧州のFinTech・組込系サービスは、B to Cのサービスが多いです。例えばスウェーデンの大手オンライン決済サービス会社では、同国のスタートアップ企業と協力し、決済時にその商品の二酸化炭素(CO2)の推定排出量を表示する機能を追加しました。この例えは金融機能の組込ではありませんが、金融機能を組込むことで個人の行動変容を促すための大きなインパクトになり得るかなと思いました。」
一方、久保氏は投資する側として、現在の潮流の先を見据えた視点で、次のように語りました。
久保氏「SDGsと組込型金融の観点ですと、お釣り貯金やクラウドファンディングの一部を寄付するような活動が増えていると聞きますが、私は現在の文脈の先にどこへ向かうかということに興味を感じています。一般的には、環境の次は社会(ソーシャル)やガバナンスに向かうと言われています。その過程で組込型金融に活躍の場が多く出てくるのではと感じています。」
視聴者からの質問
sunabarイベントでは視聴者からいただいた質問にもお答えしています。質問のひとつをご紹介します。
質問:最近では決済行動をしなくても買い物ができるなどの行動変容が起きています。組込型金融によって今後起こり得る行動変容の具体例を教えてほしいです。
貴志氏「直接的な組込型金融の話ではありませんが、行動変容はいつの間にか気づかないうちに情報に触れることで起こり得るものだと考えています。実社会の生活レベルで情報が見えるか見えないか、意識するかしないかで変わっていくのだと思います。」
久保氏「組込型金融により様々なものに決済手段が増えることで、ユーザーにとっての利便性が上がると考えます。たとえばビットコインで決済する行為は現状では利便性が高いとは言い難いですが、クレジットカードの引き落としをビットコインにすることで利便性は変わってくると思います。組込型金融は、ユーザーだけでなくプラットフォーマーも選択肢を与えることになると思います。」
イベントでは他にも、久保氏が考える日本のペインや、貴志氏の考えるFintech、組込型金融の未来についてなど、多くの議論が繰り広げられました。
ichibar組込型金融マーケットプレイス update
イベント後半では、当社 ichibarプロジェクトリーダーの橋口より、ichibar組込型金融マーケットプレイスに関する最新情報を紹介しました。
一つ目は、当社のかんたん組込型金融サービスを約60秒で説明した動画を紹介しました。
当社のかんたん組込型金融サービスの特徴として、銀行機能をパーツ化してサービスに組込むことが可能なため、あらゆる規模の事業者で価値あるUXを実現することが可能です。
二つ目は、動画内で登場したライブ配信サービス(SHOWROOMさま)の導入事例を紹介しました。
ライバーと呼ばれるライブ配信者は、ライブ配信中に視聴者からギフトを受け取ることができ、ライブ終了後にギフトを換金できますが、実際の換金までにはひと手間かかっていました。当社の銀行APIを使用することにより、ライブ配信後、即時でライバーに振込されるようになり、タイムラグが無くなるとともに換金操作自体もなくなりました。さらに処理の自動化により、事務作業の軽減も実現しています。
GMOあおぞらネット銀行株式会社では、「組込型金融サービス」への理解促進と、各業界における組込型金融の導入障壁を下げるためのサービス提供を行っており、「sunabarコミュニティイベント」の開催もその一環です。
sunabarコミュニティイベントは定期的に開催しています。最新のイベント情報や過去のイベントレポートは「イベント情報」に掲載していますので、ぜひご覧ください。
※ 本レポートは2022年2月8日時点の情報です。