イベント情報&レポート

sunabarコミュニティイベント第18弾

Fin-JAWS × sunabar サマーキャンプ 2022
次世代金融を語りつくそう

こんにちは。sunabarイベント担当の植村です。

2022年7月20日(水)に、sunabarコミュニティイベント#18 【「Fin-JAWS × sunabar サマーキャンプ 2022」次世代金融を語りつくそう】を開催しました。

本レポートではイベント内容の一部をご紹介します。

FinーJAWSとは?

今回イベントにご参加いただいた「Fin-JAWS」は、AWS(Amazon Web Service)の最新情報をキャッチアップするコミュニティ「JAWS-UG」の、金融とFinTechに関するグループです。AWSの金融機関、FinTechに関心を持つエンジニアなどに向けた勉強会を定期的に開催しています。

本イベントはその「Fin-JAWS」とのコラボレーションイベントとして、Fin-JAWSメンバー 早川 愛氏と当社CTO 矢上 聡洋の司会のもと、Fin-JAWSメンバーのみなさまや業界の第一人者をゲストにお迎えし、その様子をオンライン配信しました。

早川 愛 氏
早川 愛 氏
司会
Fin-JAWS 運営

金融系システムのインフラエンジニアとしてシステム基盤の設計・構築・エンハンス業務を担当。
2016年より金融を中心としたエンタープライズ企業向けにパブリッククラウド導入の技術支援に従事。
2018年、AWS Summit Tokyoで開催されるAWSに関する深い知識を問うクイズ大会「ウルトラクイズ」で優勝。
その後も、Fin-JAWS運営など、社内外のコミュニティを通してAWSに関する情報発信やエンジニア育成に貢献。その活動が評価され、2020年、2021年、2022年、3年連続でAPN Ambassadorに認定。
[著書]
- 要点整理から攻略する『AWS認定 高度なネットワーキング-専門知識』(マイナビ出版)
- AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト問題集(リックテレコム)
- AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説(リックテレコム)

セッション1:BizDev対談

最初のセッションは、Fin-JAWSメンバー 大久保 光伸氏、株式会社InnoProviZation(イノプロビゼイション)代表取締役CEO 残間 光太郎氏、当社執行役員 小野沢 宏晋による座談会です。金融やFinTechから生まれる事業の可能性など語り合いました。

大久保 光伸 氏
大久保 光伸 氏
Fin-JAWS 運営

デジタル庁 ソリューションアーキテクト
FinTech/GovTech/CivicTech分野において官民連携を担うパラレルワーカー。金融持株会社ではCTOとしてデジタル戦略を担当しオープンイノベーションを推進してきた。一方プロボノ活動ではスタートアップへのメンタリングやパブリックセクターへの提言、海外業界団体との連携等により金融イノベーションのエコシステム形成に携わる。東京都外国企業誘致事業メンター、総務省Code for e-Gov構成員、内閣官房 政府CIO補佐官、外務省CIO補佐官、財務省CIO補佐官、金融庁参与 等歴任。

残間 光太郎 氏
残間 光太郎 氏
株式会社InnoProviZation 代表取締役CEO

2013年よりNTTDATAにてオープンイノベーション事業創発室を立ち上げ、世界20都市のオープンイノベーションコンテストを主催し多数のグローバルビジネスを創発。
2020年4月オープンイノベーションに人生を捧げる決意をし独立、大企業・ベンチャー企業のオープンイノベーション、イノベーション創発、アクセラレーション、エコシステム創設、イノベータ人材創発・育成Twitter支援等のコンサルテーション・講演・ファシリテータ等多数
[著書]
- オープンイノベーション 21の秘密
- アカペラグループ“香港好運”魂の叫び担当

デジタル化への課題

まずは、Fin-JAWSメンバーであり、デジタル庁ソリューションアーキテクトの大久保 光伸氏に、日本のデジタル化への課題をお伺いしました。

大久保 光伸氏(以下、大久保氏)「デジタル化の大きな障壁として、いまだにFAX・紙がベースの根強い日本の文化があります。ここをクリアしないことには、デジタル完結やデータの利活用、またそのプラットフォームを利活用したマーケットプレイスといったデジタル化が前提となる新しい取引は生まれません。 このペーパーレス化は、片一方で押し進めるのではなく、双方がもう一段思いやりを持ってプロセスを進めていかないと前に進めないという現状です。」

小野沢 宏晋(以下、小野沢)「これまでの常識や慣習のハードルはとても高く、さらにいろいろな規制もあり、新たなチャレンジの壁がありますね。」

残間 光太郎氏(以下、残間氏)「そういった意味では、GMOあおぞらが取り組まれている「sunabar -GMOあおぞらネット銀行API実験場-」(以下、sunabar)は、これまでの慣習をまずはやってみることで乗り越えられるのではないか?、という取り組みにも見えますが、いかがでしょうか。」

小野沢「「sunabar」は銀行API使うことで、「これってできるんだ!」「難しくないんだ!」「銀行APIってこんなに便利なんだ!」ともっと身近に挑戦できる場を作るということで始めさせていただき、一定の成果と貢献はできているのかな思っております。また、企業にこのサンドボックス環境を利用してもらうことで、フィンテック事業を立ち上げていくプロセスの中に金融機関が入れるようになったことがとても良かったと思っております。」

「sunabar -GMOあおぞらネット銀行API実験場-」とは?

仮想インターネットバンキングで、入出金や振込などを自由にお試しいただける銀行APIのサンドボックス環境です。GMOあおぞらネット銀行の口座を保有しているお客さまであれば、どなたでも無料でご利用いただけます。

詳細:https://gmo-aozora.com/baas/sunabar/

残間氏「確かに、金融機関は規制が非常に厳しく、システムも重厚なイメージがあるので、新しい挑戦に対して躊躇することがあるかもしれません。しかし「sunabar」を提供することで身近さを感じてもらえるという良い取り組みですよね。」

大久保氏「銀行のサンドボックス提供は非常に稀なケースで、スタートアップやITベンダーからするとありがたいところです。GMOあおぞらとお客さまの関係は紙を超えてデジタル完結ができているんですよね。これはデジタル化の課題に対する一つのロールモデルと捉えてはいいのではと思います。法改正も伴うようなキャッシュレス化の動きがあったりと、ここまで急激に金融環境が変わるのは最初で最後だと思って取組んでいます。グローバルで見ると日本はスタートラインにも立てていないことを認識しておくべきだと考えます。」

金融の未来。巻き込むことで生まれる新規事業

日本の金融を変えていくために必要な取り組みやビジョンなどお伺いしました。

残間氏「組込型金融といったビジネスとしての新しさを生むためには、どのようにお考えをお持ちでしょうか?」

大久保氏「ESGやグリーンFinTechなど、たとえばデジタル化されたカーボンフットブリントの情報を事業会社が組み込んで管理する事業が生まれる可能性があります。それはグローバルで見ても大きな流れになっています。オルタナティブデータの利活用、APIとの組み合わせで新規ビジネスに向けて進めていく必要があると考えています。」

小野沢「そこに対する産業界の巻き込みが重要ですよね。やはり産業界のみなさまにメリットが無ければ踏み込まないと思います。」

大久保氏「はい。例えばZEDI(全銀EDIシステム)に関しても、入力する側のインセンティブが薄いため利活用が進まない課題があります。そういった課題をUIやUXで改善することで活用が進むと考えています。」

小野沢「これからデジタルインボイスが浸透すると、インセンティブが働きやすくなるのではと感じております。」

大久保氏「デジタルインボイスに連携するシステムやパッケージを、ベンダーさんが将来のアーキテクチャを見据えて能動的に取り組むことで最適化されていくと感じています。」

残間氏「ESGやグリーンFinTechといったさまざまな社会課題と金融といった視点が大きなテーマになっていきそうな予感がします。」

新規事業・次世代金融に取り組む方へのメッセージ

残間氏「次世代の金融に取り組む方へのメッセージをいただけますか?」

大久保氏「GMOあおぞらネット銀行では、成功だけでなく失敗に対してもチャレンジを表彰する取り組みがあると聞いたことがあります。」

小野沢「「虎穴んば賞(*)」ですね。当社では次につながる失敗を認めようという取り組みとして虎穴んば賞を設けております。こういった土壌を日本全体で持つことで、新規事業やスタートアップがさらに立ち上がりやすい環境になるかもしれません。」

大久保氏「はい、まさにそういった側面が大切だと感じています。組織の中でチャレンジすることに壁があっては前に進めません。」

残間氏「日本全体で虎穴んば賞を奨励できる雰囲気になれば、新しい技術も積極的に試していけるかもしれませんね。」

(*)虎穴んば賞(こけつんばしょう)当社のチャレンジ文化の推奨・後押しを目的とした、失敗を恐れず、認めあうための社内表彰制度。名前は、危険を冒さなければ、大きな成功は得られないことのたとえ「虎穴に入らずんば虎子を得ず」からきています。

セッション2:DeepTech対談

続いてのセッションでは、Fin-JAWSメンバー 渥美 俊英氏、小出 淳二氏(リモート)にご登壇いただきました。(司会:当社CTO 矢上 聡洋)
AWS re:Invent 2021を中心としたAWSの動向や、今後金融業界に与える影響についてお話しいただきました。

渥美 俊英 氏
渥美 俊英 氏
Fin-JAWS 運営

黎明期からクラウドが日本を変革すると確信し、今も変わらずクラウド推進に注力。2015年ISID定年退職後AWSJに入社、エンタープライズエバンジェリストを担う。現在はクラウドに注力する数社の顧問を兼務。自分の時間の半分は学びのinput にあて、半分は顧問役、講演、業界活動など output の日々。AWS re:Invent は2012年第1回目からすべて参加。

小出 淳二 氏
小出 淳二 氏
Fin-JAWS 運営

株式会社QUICK グループ統括CIO補佐
AWS認定12冠
2012年、仮想サーバ3000台規模の仮想化共通基盤を構築。 オンプレ最強と信じていたが、2015 re:Inventで衝撃を受け社内のクラウド移行を推進。
2017年からはネットチャンネル向け株価配信サービスのAWS全面移行を担当。 EC2 1000台規模のサービスをAWSに移行しデータセンターを返却。 クラウドネイティブアプリ向け新基盤構築等を経て、2023年1月からはグループ統括CIO補佐としてQUICKグループ全体のIT統括を担当。

AWS re:Invent 2021基調講演が金融業界に与えたインパクト

「AWS re:Invent 」とは世界各国のAWSユーザーが一堂に集結し、AWSの新サービス・新機能などの最新情報が発表されるイベントです。
2021年11月ラスベガスで開催された「AWS re:Invent 2021」では、米証券取引所ナスダックがオプション取引市場の基幹システムを段階的にAWS上に移行することが発表されました。
このことについて渥美 俊英氏(以下、渥美氏)はこのように語りました。

渥美氏「オプション取引市場をAWSに全面移行する話は、非常に感銘を受けました。個人的には金融業界に対して過去10年で最大のメッセージだと感じています。そして、注文から約定処理を20microseconds(1ミリ秒の1/50)で実現するという発表も衝撃的でした。プログラム売買では20microsecondsで処理が進められています。処理スピードにおいてクラウドは不向きと言われていましたが、今回の発表でその常識が覆されました。」

矢上「本当に衝撃でした。小出さんはどう思いますか?」

小出 淳二氏「アメリカの土地は日本と比較にならないほど広大なので、規模感覚が違いますね。そういう状況もあり、20microsecondsが生まれたのかもしれません。私はすでに今年のre:Invent 2022への参加が内定しているのですが、毎回必ず驚く体験ができるのイベントなので、何が出てくるのか今から楽しみにしています!」

渥美氏「金融機関向けのセミナー講師をする中で、「金融機関でもクラウド移行できないものは?」という質問がよくあります。これまでは、証券取引所の取引システムはまだクラウドに持って行かなくても良いとお答えしておりましたが、ついにこの定番のFAQの答えが変わりましたので、とても衝撃的なメッセージでした。」

「進化する」クラウド

クラウド黎明期からその価値に注目し、活動に注力されてきた渥美氏に今後の発展についてお伺いしました。

矢上「渥美さんはご自身の自己紹介の中で、「クラウドは楽しい」と仰っていましたが、クラウドそのものが進化し続けることで生まれる楽しさもありますよね。」

渥美氏「そうですね、これまでクラウドは名前の通り雲の上のものでしたが、手元へ戻って来た気がします。このクラウドの進化によって、一部の大手SIerにしかできなかったことが、スタートアップでも実現できるようになりました。」

矢上「当社は内製化が多いのですが、その中でAWSサービスを活用することも増えています。」

その他にも「デジタル通貨(CBDC)」、「AWSを活用したブロックチェーン」などAWSのさまざまなトピックについても情報共有を行い、学びの多いイベントとなりました。最後に、本イベントで司会を務めてくださった、早川 愛氏に感想をお聞きしました。

早川 愛氏「エンジニアなどの専門家では無くても基盤が作れるとは、非常にわくわくしますね。こういったわくわくや楽しさがAWSに人を集める魅力だと思いました。また今回のイベントは当初リアル開催の予定が、オンライン配信になってしまい残念でしたが、金融という繋がりでとても盛り上がることができて良かったです。」

今後のイベントは感染状況を見ながら、みなさまを会場にお招きしたリアル開催を実現したいと思っております!
ご来場者さまとの交流も深めていきたいと思いますので、足をお運びいただけると幸いです。

※本レポートは2022年7月20日時点の情報です。

登壇者Twitter

  • 企画・事業開発グループ
    執行役員
    小野沢 宏晋

  • 企画・事業開発グループ
    CTO
    矢上 聡洋

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イベントハッシュタグ

  • #GMOあおぞらネット銀行
  • #sunabarAPIs
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