イベント情報&レポート
sunabarコミュニティイベント第19弾
FinTech視点で語るWeb3
こんにちは。sunabarイベント担当の植村です。
2022年9月27日(火)に、sunabarコミュニティイベント#19 「FinTech視点で語るWeb3」を開催しました。
今回のテーマは「Web3」です。昨今バズワードとなっているweb3に関する基本情報から、日本国内でのWeb3の可能性について語りました。またイベント後半は、デモンストレーションも交えて実際にNFTを獲得するなど、盛りだくさんの内容となりました。
本レポートではイベント内容の一部をご紹介します。
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阿部 一也氏Institution for a Global Society株式会社 上席研究員
IT企業でシステムエンジニアとしてキャリアを積み、三菱UFJトラスト投資工学研究所において金融ITテクノジストとして金融分野の取組む中で、「フィンテックエンジニア養成読本」を執筆・監修。MUFGデジタルアクセラレータプログラムではメンターを担当。現職では教育・HR分野向けの2つのブロックチェーン実証実験(慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンター STARプロジェクト、経済産業省 未来の教室 Ongaeshi実証事業)のテックリードとして従事。
金融・フィンテック、 Python、ブロックチェーン、クラウド、ソフトウェア開発の各ITコミュニティの運営と、先端技術・ビジネス・組織改革イベント等の企画・運営に取り組む。
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小谷 紘右氏GMOコイン株式会社 取締役 / GMO Web3株式会社 取締役
2017年、GMO Wallet株式会社(現、GMOコイン株式会社)に入社し、経営管理部門を一貫して担当。
セッション1:ビジネス編
セッション1では、Web3の基本情報や新しい資金調達手段として注目されるIEOなど、ビジネス面から情報共有しました。
(司会 当社 経営企画チーム/GMO Web3株式会社 取締役 林 剛生)
Web3とは?
はじめに、阿部 一也氏(以下、阿部氏)よりWeb3の概要についてお話ししていただきました。Web3の大きな点として、デジタル情報に対して、ユーザーの行動変化があると言います。
阿部氏「Web3のポイントは、ユーザーがデジタル情報を見る・発信することがメインだったWeb1.0・Web2.0に比べ、デジタル情報をユーザーが自ら情報を所有したり、その所有権を別の誰かへ動かすというような行動の変化が起きています。それにより、トークン経済圏の発生といったビジネスの変化も訪れています。」
さらにビジネスそのもののスピード感もWeb3によって加速すると阿部氏は言います。
阿部氏「Web2.0時代ではプログラムのオープンソース化により、様々なビジネスが早く動くようになってきました。さらにWeb3になると、ネットワークに参加していれば誰でも手続きや状態も確認できるスマートコントラクトと呼ばれる自動で実行されるプログラムが活用されます。そのことでWeb3の世界では、なにもかもがオープンとなり、ビジネスがさらに加速するのではと考えています。」
新たな資金調達手段「IEO」とは
次に、新しい資金調達手段として注目されるIEOについて、ICO・IDOとの違いを踏まえながら阿部氏にご説明いただきました。
IEO(Initial Exchange Offering)とは
仮想通貨の発行体(起業家)が暗号資産取引所を介して「トークン」を上場させ、投資家から資金を集める仕組み。暗号資産取引所が審査を行い、問題が無ければ取引が開始され、投資家の方が暗号資産取引を通して実際に投資してトークンを獲得する。起業家には暗号資産取引所を通して資金が入る。
阿部氏「暗号資産を利用した新たな資金調達手段として先に登場した「ICO(Initial Coin Offering)」は審査が無く誰でもできてしまうため、投資家からお金を集めるだけの詐欺が多発するなど安全面に問題がありました。その点を改善するため取引所による審査を追加し安全性を高めたものがIEOです。」
実際にIEOを行った実績のあるGMOコインの小谷 紘右氏(以下、小谷氏)は、IEOを審査する立場として次のように語りました。
小谷氏「暗号資産取引所で実際に審査を行う立場としては、暗号資産を使ってどういったコミュニティや世界観を作っていきたいのかという点が非常に重要です。暗号資産を発行して、どのようなプロジェクトをやりたいのかという志や計画が一番大事だと感じております。」
日本におけるWeb3の可能性と課題
林「海外では「STEPN(*1)」や「バイナンス(*2)」といった事例がありますが、現状日本においては身の回りでWeb3に類するものにまだ触れられず、実感が感じられません。今後身近になっていく可能性や課題はありますか?」
阿部氏「徐々にではありますが、日本でもゲームの分野には来ているので今後に期待していますが、法規制や税金がかかり過ぎるといった課題があります。新しいことをやりたくてもそういった課題がネックとなり踏み込めないところがあると思います。」
小谷氏「阿部さんと同じく税金の課題があります。IPOであれば資本ということで課税されない部分も、IEOでは調達した資金が売り上げになり、保有している暗号資産の評価額によって課税されるといったところがあります。そういった障壁があり、日本でトークンを発行したい方も、シンガポールやドバイで法人を作ってやられている方が多いのも現状です。そのあたりの税制改正がされることで、日本発でトークン発行して新たなビジネスをやりたいという若いエネルギーが戻り、国内でもさらに広がっていくのではないかと思っております。」
林「国内のWeb3企業が海外に転出する例はありますが、やはり日本でビジネスを進めることが本来の姿ですよね。これまでのFXや暗号資産の流れからすると、法規制がなされてビジネスとして花開く道は見えてくる気がします。実現を期待しています。」
- (*1) STEPN:ランニングやウォーキングをすることで暗号資産を得ることができるNFTゲームの一種。
- (*2) バイナンス:取引数やユーザー数が世界最大級と言われている仮想通貨取引所、2017年に香港で設立された。
セッション2:テクノロジー編
続いてのセッションでは、web3では実際にどういったツールを使うのか、どういったサービスがあるのかなどWeb3をテクノロジーの面から学んでいきます。
(司会 当社CTO 矢上 聡洋)
スマートコントラクトとは?
阿部氏「スマートコントラクトとは、ある条件を満たすと自動的に契約が実行される仕組みのことです。プログラムで動いているため、人間を介すことなく契約手続きを行うことができます。」
その上で、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを導入するメリットについて、次のような説明がありました。
阿部氏「一つ目は「透明性の高さ」です。いままでは自分のPCやクラウドだけにプログラムが保有されるものでしたが、ブロックチェーンにより分散的にネットワーク上のノードに保存され、このネットワークへの参加者には同じ情報を保持している状態が保たれます。情報が統一され透明化されることで、不正や改ざんを防ぐことができます。もう一つのメリットは「時間やコストの削減」です。人間の仲介が無い状態で自動契約が実行されるため、時間の短縮に繋がり、仲介手数料などのコストを抑えることが可能となります。」
スマートコントラクトは1997年に提唱された言葉で、ビットコインやイーサリアムよりも前にある概念だそうです。その他にも「CtyptoZombies」というスマートコントラクトの効果的な学習ツールや、ウェブブラウザ上で動作する「Remix」という開発環境についても紹介してくださいました。
金融業界での活用は?
次に、金融業界においてweb3がどのように活用されていくか阿部氏に伺いました。ポイントは情報の管理方法とスマートコントラクトの活用法にあるようです。
阿部氏「これまでは自分のデジタル情報についても他者のサービスやサーバーに保持され、管理することが難しい状態でした。しかしWeb3ではデジタル情報を自分で所有権を取得し、管理することができます。自身の情報を自身で管理できる点に可能性を感じています。」
矢上「データの主権が企業ではなくユーザ側にあるため、個人データの流出などのリスクが無く、それが信頼を提供する形になっていくと思います。また、スマートコントラクトの話だと、決済と一連の動きとして同時に処理ができるので、不正防止にもなるのではと思います。」
阿部氏「はい、不正防止について上手に実現できるかが、スマートコントラクトなどが金融業界に浸透する鍵になると感じています。」
NFTバッジ(POAP)を獲得してみよう!
よりNFTの理解を深めるため、「Meta Mask(*)」 を利用したデモンストレーションを行っていただきました。今回は本イベントに参加した証明となるPOAPのバッジを獲得してみます。
- (*)Meta Mask:イーサリアム(ETH)系のブロックチェーンに対応した仮想通貨専用のウォレット。
POAP:Proof of Attendance Protocol(ポープ)とは
リアル・オンライン等問わず、イベントに参加した証として配布ができる、NFT化された参加証明バッジ。POAPの配布・受け渡しに関しては、ガス代と呼ばれる手数料が基本無料のため気軽に作成することができる。
Meta MaskとNFTバッジ(POAP)の設定は5分ほどで完了し、本イベントのバッジを獲得することができました。バッジはブロックチェーン上に保存されるため、イベントに参加した証明として半永久的に保存されます。
証明バッチが簡単に作成できて、半永久的に管理される。web3、NFTの先進性と有用性を垣間見ることができたデモンストレーションでした。
その他にも、DAOやDeFiの概念や実際の活用方法など、web3ならではのテクノロジーを詳しく紹介していただきました。
※本レポートは2022年9月27日時点の情報です。
FinTech視点で語るWeb3
こんにちは。sunabarイベント担当の植村です。
2022年9月27日(火)に、sunabarコミュニティイベント#19 「FinTech視点で語るWeb3」を開催しました。
今回のテーマは「Web3」です。昨今バズワードとなっているweb3に関する基本情報から、日本国内でのWeb3の可能性について語りました。またイベント後半は、デモンストレーションも交えて実際にNFTを獲得するなど、盛りだくさんの内容となりました。
本レポートではイベント内容の一部をご紹介します。
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阿部 一也氏Institution for a Global Society株式会社 上席研究員
IT企業でシステムエンジニアとしてキャリアを積み、三菱UFJトラスト投資工学研究所において金融ITテクノジストとして金融分野の取組む中で、「フィンテックエンジニア養成読本」を執筆・監修。MUFGデジタルアクセラレータプログラムではメンターを担当。現職では教育・HR分野向けの2つのブロックチェーン実証実験(慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンター STARプロジェクト、経済産業省 未来の教室 Ongaeshi実証事業)のテックリードとして従事。
金融・フィンテック、 Python、ブロックチェーン、クラウド、ソフトウェア開発の各ITコミュニティの運営と、先端技術・ビジネス・組織改革イベント等の企画・運営に取り組む。
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小谷 紘右氏GMOコイン株式会社 取締役 / GMO Web3株式会社 取締役
2017年、GMO Wallet株式会社(現、GMOコイン株式会社)に入社し、経営管理部門を一貫して担当。
セッション1:ビジネス編
セッション1では、Web3の基本情報や新しい資金調達手段として注目されるIEOなど、ビジネス面から情報共有しました。
(司会 当社 経営企画チーム/GMO Web3株式会社 取締役 林 剛生)
Web3とは?
はじめに、阿部 一也氏(以下、阿部氏)よりWeb3の概要についてお話ししていただきました。Web3の大きな点として、デジタル情報に対して、ユーザーの行動変化があると言います。
阿部氏「Web3のポイントは、ユーザーがデジタル情報を見る・発信することがメインだったWeb1.0・Web2.0に比べ、デジタル情報をユーザーが自ら情報を所有したり、その所有権を別の誰かへ動かすというような行動の変化が起きています。それにより、トークン経済圏の発生といったビジネスの変化も訪れています。」
さらにビジネスそのもののスピード感もWeb3によって加速すると阿部氏は言います。
阿部氏「Web2.0時代ではプログラムのオープンソース化により、様々なビジネスが早く動くようになってきました。さらにWeb3になると、ネットワークに参加していれば誰でも手続きや状態も確認できるスマートコントラクトと呼ばれる自動で実行されるプログラムが活用されます。そのことでWeb3の世界では、なにもかもがオープンとなり、ビジネスがさらに加速するのではと考えています。」
新たな資金調達手段「IEO」とは
次に、新しい資金調達手段として注目されるIEOについて、ICO・IDOとの違いを踏まえながら阿部氏にご説明いただきました。
IEO(Initial Exchange Offering)とは
仮想通貨の発行体(起業家)が暗号資産取引所を介して「トークン」を上場させ、投資家から資金を集める仕組み。暗号資産取引所が審査を行い、問題が無ければ取引が開始され、投資家の方が暗号資産取引を通して実際に投資してトークンを獲得する。起業家には暗号資産取引所を通して資金が入る。
阿部氏「暗号資産を利用した新たな資金調達手段として先に登場した「ICO(Initial Coin Offering)」は審査が無く誰でもできてしまうため、投資家からお金を集めるだけの詐欺が多発するなど安全面に問題がありました。その点を改善するため取引所による審査を追加し安全性を高めたものがIEOです。」
実際にIEOを行った実績のあるGMOコインの小谷 紘右氏(以下、小谷氏)は、IEOを審査する立場として次のように語りました。
小谷氏「暗号資産取引所で実際に審査を行う立場としては、暗号資産を使ってどういったコミュニティや世界観を作っていきたいのかという点が非常に重要です。暗号資産を発行して、どのようなプロジェクトをやりたいのかという志や計画が一番大事だと感じております。」
日本におけるWeb3の可能性と課題
林「海外では「STEPN(*1)」や「バイナンス(*2)」といった事例がありますが、現状日本においては身の回りでWeb3に類するものにまだ触れられず、実感が感じられません。今後身近になっていく可能性や課題はありますか?」
阿部氏「徐々にではありますが、日本でもゲームの分野には来ているので今後に期待していますが、法規制や税金がかかり過ぎるといった課題があります。新しいことをやりたくてもそういった課題がネックとなり踏み込めないところがあると思います。」
小谷氏「阿部さんと同じく税金の課題があります。IPOであれば資本ということで課税されない部分も、IEOでは調達した資金が売り上げになり、保有している暗号資産の評価額によって課税されるといったところがあります。そういった障壁があり、日本でトークンを発行したい方も、シンガポールやドバイで法人を作ってやられている方が多いのも現状です。そのあたりの税制改正がされることで、日本発でトークン発行して新たなビジネスをやりたいという若いエネルギーが戻り、国内でもさらに広がっていくのではないかと思っております。」
林「国内のWeb3企業が海外に転出する例はありますが、やはり日本でビジネスを進めることが本来の姿ですよね。これまでのFXや暗号資産の流れからすると、法規制がなされてビジネスとして花開く道は見えてくる気がします。実現を期待しています。」
- (*1) STEPN:ランニングやウォーキングをすることで暗号資産を得ることができるNFTゲームの一種。
- (*2) バイナンス:取引数やユーザー数が世界最大級と言われている仮想通貨取引所、2017年に香港で設立された。
セッション2:テクノロジー編
続いてのセッションでは、web3では実際にどういったツールを使うのか、どういったサービスがあるのかなどWeb3をテクノロジーの面から学んでいきます。
(司会 当社CTO 矢上 聡洋)
スマートコントラクトとは?
阿部氏「スマートコントラクトとは、ある条件を満たすと自動的に契約が実行される仕組みのことです。プログラムで動いているため、人間を介すことなく契約手続きを行うことができます。」
その上で、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを導入するメリットについて、次のような説明がありました。
阿部氏「一つ目は「透明性の高さ」です。いままでは自分のPCやクラウドだけにプログラムが保有されるものでしたが、ブロックチェーンにより分散的にネットワーク上のノードに保存され、このネットワークへの参加者には同じ情報を保持している状態が保たれます。情報が統一され透明化されることで、不正や改ざんを防ぐことができます。もう一つのメリットは「時間やコストの削減」です。人間の仲介が無い状態で自動契約が実行されるため、時間の短縮に繋がり、仲介手数料などのコストを抑えることが可能となります。」
スマートコントラクトは1997年に提唱された言葉で、ビットコインやイーサリアムよりも前にある概念だそうです。その他にも「CtyptoZombies」というスマートコントラクトの効果的な学習ツールや、ウェブブラウザ上で動作する「Remix」という開発環境についても紹介してくださいました。
金融業界での活用は?
次に、金融業界においてweb3がどのように活用されていくか阿部氏に伺いました。ポイントは情報の管理方法とスマートコントラクトの活用法にあるようです。
阿部氏「これまでは自分のデジタル情報についても他者のサービスやサーバーに保持され、管理することが難しい状態でした。しかしWeb3ではデジタル情報を自分で所有権を取得し、管理することができます。自身の情報を自身で管理できる点に可能性を感じています。」
矢上「データの主権が企業ではなくユーザ側にあるため、個人データの流出などのリスクが無く、それが信頼を提供する形になっていくと思います。また、スマートコントラクトの話だと、決済と一連の動きとして同時に処理ができるので、不正防止にもなるのではと思います。」
阿部氏「はい、不正防止について上手に実現できるかが、スマートコントラクトなどが金融業界に浸透する鍵になると感じています。」
NFTバッジ(POAP)を獲得してみよう!
よりNFTの理解を深めるため、「Meta Mask(*)」 を利用したデモンストレーションを行っていただきました。今回は本イベントに参加した証明となるPOAPのバッジを獲得してみます。
- (*)Meta Mask:イーサリアム(ETH)系のブロックチェーンに対応した仮想通貨専用のウォレット。
POAP:Proof of Attendance Protocol(ポープ)とは
リアル・オンライン等問わず、イベントに参加した証として配布ができる、NFT化された参加証明バッジ。POAPの配布・受け渡しに関しては、ガス代と呼ばれる手数料が基本無料のため気軽に作成することができる。
Meta MaskとNFTバッジ(POAP)の設定は5分ほどで完了し、本イベントのバッジを獲得することができました。バッジはブロックチェーン上に保存されるため、イベントに参加した証明として半永久的に保存されます。
証明バッチが簡単に作成できて、半永久的に管理される。web3、NFTの先進性と有用性を垣間見ることができたデモンストレーションでした。
その他にも、DAOやDeFiの概念や実際の活用方法など、web3ならではのテクノロジーを詳しく紹介していただきました。
※本レポートは2022年9月27日時点の情報です。