イベント情報&レポート

sunabarコミュニティイベント第25弾

sunabarコミュニティイベント#25 「ディーカレットDCPと語る、民間デジタル通貨の変遷」

こんにちは。sunabarイベント担当の植村です。
2023年11月16日(木)に、sunabarコミュニティイベント#25 「ディーカレットDCPと語る、民間デジタル通貨の変遷」を開催しました。

今回は株式会社ディーカレットDCP 執行役員CTO・プロダクト本部長 清水 健一氏(以下、清水氏) をゲストにお招きしGMOあおぞらネット銀行(以下、当社)執行役員 小野沢 宏晋(以下、小野沢)・CTO 矢上 聡洋(以下、矢上)と共に、DCJPYネットワークのこれまでの歩みとその先のビジョンについて語っていただきました。
本レポートではイベント内容の一部をご紹介します。

sunabarコミュニティイベント#25 「ディーカレットDCPと語る、民間デジタル通貨の変遷」
清水 健一 氏(株式会社ディーカレットDCP 執行役員CTO・プロダクト本部長)
清水 健一 氏株式会社ディーカレットDCP 執行役員CTO・プロダクト本部長
2020年よりDCJPYネットワーク(2層構造型デジタル通貨プラットフォーム)の初期プロダクトデザイン及び、プロダクト開発に従事。過去の代表的な取り組み ・大手カード系事業会社でのシステム企画および、システム開発を通じて、基幹・周辺サービス含めたレガシープロジェクトに携わり、失敗の許されないミッションクリティカルなサービスのリリースを実現 ・グローバルトップシェアの自社開発ソフトウエア開発経験から、アジャイル開発を中心としたモダンな組織とプロジェクト開発に携わり、迅速な開発サイクルと高品質なソフトウェアプロダクトのリリースを実現 ・大手外資系コンサルではプロダクトアウトによる新規事業開発や業務プロセス改善など、業種問わず多岐に渡るDXプロジェクト提案とプロダクト開発を通じ、レガシーとモダンテクノロジーを融合させたバイモーダルなアプローチで、多くのクライアントから高評価を得た。

DCJPYネットワークとは

2023年10月に配信したプレスリリースは、大手メディアにも大々的に取り上げられ、民間デジタル通貨への期待と注目度の高さを改めて実感しています。

そうしたなか、今日は民間デジタル通貨「DCJPY」と、その運用基盤である「DCJPYネットワーク」について、最新の「Digital Currency DCJPYホワイトペーパー2023」を元に清水氏にお話しいただきました。
参考:ディーカレットDCP-AMIC Signポータルサイト

清水氏「まずはDCJPYネットワークのプロダクトビジョンをお話しします。このプロダクトは簡単に言うとデジタル通貨そのもののことです。いま、さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)によるビジネスの変革が積極的に行われています。そうしたなか、金融とビジネスの一体化や異業種間でビジネス連携が求められています。そのニーズに応えるのが「DCJPYネットワーク」です。」

DCJPYはデジタル通貨、そしてDCJPYを実現する基盤システムの総称をDCJPYネットワークと定義づけしています。これらの普及が進むことで、ビジネスや生活に変化をもたらすと清水氏は語ります。

清水氏「DCJPYネットワークは金融とビジネスを統合し、新たなビジネスチャンスを創出する基盤を目指しております。
このネットワークによって次世代ビジネス環境が形成され、私たちの生活や価値観そのものも変化が期待できるでしょう。」

清水氏

金融とビジネスが一体化することによって期待されることは?

清水氏「金融とビジネスが一体化されることにより、私たちの生活はどういった変化が期待できるのか。その世界観を社会的、経済的、文化的な観点から説明します。」

社会的:安全な取引環境が提供されつつ、誰もが自由にビジネスを行い、公正な社会が形成されていく。

清水氏「例えば、新しいスモールビジネスを始めようと思ったときに、資金調達に難航したり、価値のあるビジネスアイディアを具現化したいと思っても、それを実現することが難しいという現状があります。それは信用問題や実績など、目に見えない価値が表現しにくいからです。それをどう技術で解決するか、その手段として提供するのがこのプロダクトです。具体的な方法については、後ほど説明させていただきます。」

経済的:企業のビジネスモデルが進化し、異業種の連携が強化され、経済全体が活性化されていく。

清水氏「今回このイベントは、エンジニアの方も多くいらっしゃると思うのでわかっていただけるのではと思いますが、世の中には似たようなサービスがたくさんありますよね。その似たようなサービスに対して似たようなシステムを皆さんが作っています。なので、相互で接続し、これらを一体化していくことも非常に重要だと私たちは考えています。」

文化的:私たちの価値観や行動がより一層デジタル中心に移行し、新しい文化が生まれる。

清水氏「これまでのアナログ的な要素が一層デジタル中心になっていくことによって、新たな文化や価値観が生まれていくと考えています。」

新たな世界観を実現する仕組みAMIC(アミック)

DCJPYネットワークは、AMICと呼ぶ4つの基本要素で構成されています。それぞれの要素について説明していただきました。

清水氏「まず、最初の「A」アセット。NFT(非代替性トークン)やST(セキュリティトークン)など、デジタル化された価値を表現する機能です。そして、DCJPYネットワーク上でブロックチェーン技術を活用し、安全かつ永続的に管理できる仕組みを用いています。

2つ目の「M」はマネー。民間銀行の預金と連動するデジタル通貨そのものです。支払手段としての機能だけでなく、後ほどご紹介するコントラクトと連携します。通貨そのものにビジネスロジックや取引ルールを組み込むことによって、新たなお金の価値を生み出すことができます。

続いての「I」はアイデンティティ。KYC(本人確認手続き)に基づき民間銀行から発行される識別子です。これがアセットとマネーと紐付くことによって、安全な取引を可能にします。

最後の「C」はコントラクトです。マネーとアセットの取引条件を定義するプログラム郡をコントラクトと呼んでいます。ブロックチェーン技術により、安全かつ透明性が高い取引を実現します。これらの4つの要素を相互連携し、組合わせることによって新しいデジタルサービスのビジネスを形成できるよう設計しています。」

新たな世界観を実現する仕組みAMIC(アミック)

清水氏「さらにDCJPYネットワークは、このAMICを中心に、ビジネスゾーン、フィナンシャルゾーンという2つのゾーンで構成されています。2つのゾーンそれぞれで異なる事業者、複数の銀行がつながり、さらにIBCというブロックチェーン間通信機能によってゾーン同士が相互連携します。これによりビジネス・金融の一体化と、異業種間の連携を可能にしています。」

DCJPYのアーキテクチャ

小野沢「2024年のサービス開始に向けて、当社も様々なディスカッションを重ねてきました。その中で、やはりお金の流れと物の流れというものを結びつけることの価値が大きいと感じてきました。我々もデジタル上にある銀行として、この領域に取り組んできていますが、ブロックチェーンに特化する際の技術的な障壁やお金との結びつけは、ハードルの高さも感じています。DCJPYネットワークはビジネスとフィナンシャルという分け方で、上手に結びつける仕組みを作られたことに凄みを感じます。」

小野沢「今後、さまざまなプレイヤーが出てくることが予想されますが、アーキテクチャの整理も重要になってくると思います。CTOの矢上さんいかがでしょうか?」

矢上「まず、実際どのようなアーキテクチャ構造なのでしょうか。」

清水氏「私たちはDCJPYネットワークを立ち上げる際に、他サービスとの違いとビジネススピードを意識しています。民間主導で進めるには、集合知でビジネスのベースラインを作ることが重要だと考えました。ですので我々は分散型を選択しました。その上で、金融価値を表現するのに相性が良いブロックチェーンに注目しました。」

小野沢「ここまでのお話は普遍的な印象ですね。」

清水氏「はい、そこで、モジュラー構成にして、レイヤーのひとつとしてブロックチェーンを取り込んだ構造がDCJPYネットワークの特徴となります。」

矢上「名称にネットワークと付けた由来や意味があるのですか?」

清水氏「はい、DCJPYネットワークは普通のマルチテナントアーキテクチャではありません。例えば3つの勘定系の基盤として、ビジネスレイヤーも含めひとつのネットワークがひとつの勘定系システムとして動く、という捉え方ができ、こういった構成がネットワークと付けた由来です。」

銀行型のデジタル通貨

銀行型のデジタル通貨

小野沢「ここまでお話いただいた世界観を実現するには、法的な整理も大変重要だったかと思います。その点についても共有いただけますか?」

清水氏「はい。まずは通貨をデジタル化する点から議論しました。法定通貨には支払手段、価値の保存、価値の尺度という3つの原則があります。それらを電磁的に記録するのが「デジタル通貨」です。」

清水氏「私たちは当初、前払式資金移動型(チャージ型)で考えていました。しかし決済手段になってしまうと、いつかは決済として使われるお金として扱われることになり、価値を保存することができず、汎用性が損なわれます。検討を重ねた結果、現行法に則ると銀行が発行する通貨をデジタル化することが最適解となり、銀行型のデジタル通貨を選択しました。」

小野沢「ビジネスのいろいろな場面で使われる汎用性を持ったデジタル通貨としてサービス化とするとなると、現行法のもとでは銀行型が最適解だったのですね。」

清水氏「はい。具体的には、利用者が銀行に預金をし、銀行がその預金を元にデジタル通貨を発行します。発行した金額は銀行が管理し、その金額を元にデジタル化された証書を発行します。その証書を利用者に移転することで、あたかもビジネス上でお金が動いているように見えます。このような仕組みを我々のプラットフォームでは実現しています。」

経済を活性化するために

矢上「アーキテクチャを決める際に、考慮すべきことが多数あると思います。また制約も非常に多く、特に法令の制約は一番多いと思います。その中で今日は印象に残ったポイントが二つあります。一つ目は、お金について根本からしっかりと考え、本当の価値を実装するためのアーキテクチャをブレずに作り上げていることに凄さを感じました。二つ目は「一体化」。ほかでも同じようなシステムが使われるなら、ぜひこれを繋いでください、というキーワードです。これらを最初から考えて、相互接続性を考慮することは、口で言うのは簡単ですが、実際に考えるとなると本当に大変だと思いました。」

清水氏「ありがとうございます。要は、いかにお金の流動性を生み出すかが経済を活性化するかに繋がります。私たちは、なぜデジタル化するのか、それを一番重要に考えています。いま日本は元気がないという話がありますが、日本ならではの企業やビジネスが一体化できれば、我々の思惑としては、グローバルでメイドインジャパンがいまだに通用すると考えています。」

小野沢「清水さん、本日はありがとうございました!」

経済を活性化するために

セミナー終了後は、会場限定で懇親会を行いました。
今後ともみなさまのご参加をお待ちしております!

※本レポートは2023年11月16日時点の情報です。

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