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#10IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートする補助金です。生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者がうまく活用すれば、経営力の底上げにつながりますので、そのポイントについてご紹介します。

  1. 1.補助対象となる事業者

    IT導入補助金では「通常枠(A・B類型)」、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」、「セキュリティ推進対策枠」、「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」と、全部で4つの枠が設定されており、それぞれ補助対象や補助額などが異なります。

    「通常枠(A・B類型)」、「デジタル化基盤導入類型」、「セキュリティ対策推進枠」は、資本金または常時雇用する従業員数が一定以下の中小企業・小規模事業者が補助の対象です。

    「複数社連携IT導入類型」は、商工団体、まちづくりや観光地域づくりなどの事業を担う団体・法人等から成るコンソーシアム(共同企業体)が補助の対象です。他の類型と異なり単独での申請はできず、10以上の事業者で構成された事業グループが申請できる類型です。

    なお、IT導入補助金は、設立や開業したばかりで、一度も決算・確定申告を行っていない場合は、必要書類である納税証明書を取得することができないため、申請できません。申告が終われば納税証明書を取得できますので、申請できるようになります。

  2. 2.補助対象、補助額等

    ●通常枠(A・B類型)

    種類 A類型 B類型
    補助額 30万円~150万円未満 150万円~450万円以下
    補助率 1/2以内
    プロセス数 1以上 4以上
    賃上げ目標 加点 必須
    補助対象 ソフトウェア費・クラウド利用料(最大1年分)・導入関連費等

    通常枠(A・B類型)は、自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援するものです。他の類型と比べるとツールの機能要件が厳しくないため、利用しやすいと言えるでしょう。

    A類型は、本補助金で定められているプロセス6種類(「顧客対応・販売支援」、「決済・債権債務・資金回収」、「調達・供給・在庫・物流」、「会計・財務・経営」、「総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス」、「業種固有」プロセス)のうち、1つ以上のプロセスを含むツールを導入すれば申請できます。

    B類型は、補助上限額は高くなりますが、プロセス7種類(上記のプロセス6種類+「汎用・自動化・分析ツール」)のうち、4つ以上のプロセスを含むツールを導入する必要があります。

    また、B類型では、賃上げ目標の達成が必須になります。賃上げ目標が未達成となった場合は補助金の返還を求められる場合もありますので、B類型に応募する際は注意しましょう。

    ●デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

    ITツール PC等 レジ・券売機等
    補助額 5万円~350万円 上限10万円 上限20万円
    補助率 内、5万円~50万円以下 内、50万円超~350万円 1/2以内
    3/4以内 2/3以内
    機能要件 1機能以上 2機能以上 ITツールの使用に資するもの
    賃上げ目標 なし
    補助対象 ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費・ハードウェア購入費

    「デジタル化基盤導入類型」は、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を推進するための枠で、通常枠よりも補助率が引き上げられています。

    通常枠と違い、デジタル化基盤導入類型は、会計、受発注、決済、ECのいずれかの機能を有するソフトウェアでなければ申請できません。これら4つの機能のうち、補助額が5万円~50万円以下の場合は1機能以上、50万円超~350万円までの場合は2機能以上のソフトウェアを導入する必要があります。

    また、通常枠と違い、ITツールを利用するために必要となるハードウェア購入費も補助対象になります。パソコン・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は上限10万円、レジ・券売機等は上限20万円です。

    ●セキュリティ推進対策枠

    補助額 5万円~100万円
    補助率 1/2以内
    機能要件 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス
    賃上げ目標 なし
    補助対象 サービス利用料(最大2年分)

    セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃など、セキュリティリスクを低減するために導入するサービス料金の一部を補助する枠です。

    補助対象となるサービスは、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたものに限られます。

    「サイバーセキュリティお助け隊サービス」とは、中小企業のサイバーセキュリティ対策に不可欠な各種サービスをワンパッケージにまとめた商品で、現在18種類が商品化されています。

  3. 3.IT導入補助金の応募の流れ

    IT導入支援事業者と連携しながら、以下のような流れで応募を進めていきます。

    1. 1. IT導入支援事業者、ITツールの選定
    2. 2. GビズIDプライムアカウントの取得
    3. 3. IT導入支援事業者による「申請マイページ」への招待
    4. 4. 申請マイページを開設後、補助事業者情報を入力する
    5. 5. IT導入支援事業者によるITツール情報の入力、事業計画の入力・申請内容の確定
      (5は、IT導入支援事業者側で行う作業)
    6. 6. 申請マイページでITツール情報の確認・事業計画の確認・宣誓
    7. 7. 申請マイページで事務局への応募申請
  4. 4.申請について

    申請は公募期間中に行う必要がありますので、IT導入補助金のWebサイトなどで申請受付期間を確認してください。

IT導入補助金のポイントについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
補助金を上手く活用しながら、生産性の向上を図り、事業を発展させていきましょう。

  • ※ 本コラムは2022年9月28日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
  • ※ IT導入補助金の制度詳細については、一般社団法人サービスデザイン推進協議会等のWebサイト等で最新の情報を直接ご確認ください。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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