資金調達・融資に関するお役立ち情報
#11メインバンクとの関係性はどのように築くのか
「メインバンク」という言葉。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。メインバンクは起業家・経営者にとって、パートナーともいえる重要な存在です。あらためて、メインバンクについて考えてみましょう。
●そもそもメインバンクとは?
メインバンクとは、会社として一番親密に付き合う金融機関のことです。メインバンクについて、起業した当初はあまり深く考えていないかもしれませんが、会社が成長し、ステージが上がるにつれ、考えなくてはならない時が必ず訪れます。
●メインバンクをつくると何がいいのか
メインバンクがあれば、経営についての課題やその解決方法について親身に相談に乗ってもらいやすくなります。中でも重要なのが、旺盛な資金ニーズへの対応です。例えば、日本政策金融公庫からの創業融資や、保証協会付の制度融資を借りたあと、さらにプロパー融資(保証協会などの保証がつかない融資)を借りたいとき、まずはメインバンクを頼るというのが業界慣行となっています。
さらに、経営が苦しいときに、手を差し伸べてくれるのがメインバンクだともいえます。会社にとって、欠かせない協力者といっても過言ではありません。
●メインバンクとの関係性の築き方
自社では、ある銀行をメインバンクだと思っていたのに、いざ相手の銀行に問い合わせてみるとメインバンクという認識がなかったということはよくあります。メインバンクという明確な定義は存在せず、金融機関によって、また支店長・担当者によって、メインバンクの考え方は曖昧だからです。では、どのように付き合えばメインバンクと思ってもらえるでしょうか。
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1.売上金を入金する
売上金を入金していると、金融機関の大半はメインバンクという認識を持ってくれます。金融機関は、通帳の内容をいつでも確認できます。売上金を入金するということは、自社の経営実態をさらけ出すことであり、金融機関はその会社の経営状況をいち早く把握することができます。会社としては手の内を見せるようなものですので、そこまで情報を開示してくれるのであれば、メインバンクとしてこの会社を支えましょうと金融機関は考える傾向があります。
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2.一番多く融資を受けている
複数の金融機関から融資を受けるということはよくあります。その中でも、一番融資残高が多い場合は、メインバンクと思ってくれることが多いです。
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3.振込等の決済を多く行っている
金融機関にとって収入源は、金利と手数料です。仕入れ代金や経費、給料など各種支払いで振込を行うと金融機関には手数料が入ります。手数料が多ければ金融機関の売上に貢献していることになるので、メインバンクだと考えてくれる場合もあります。
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4.預金が多くある
金融機関は預かったお金を融資し、金利収入を得るビジネスです。預金を多く集める必要があります。預金額が多いということは、銀行のビジネスの根本を支えてくれていると同時に、いざというときに保全を確保する(預金を抑えられる)という考え方にも繋がります。具体的にいくらの預金残高があったらよいかは、金融機関によって異なります。
●これらを組み合わせる
どこまでやったらメインバンクと思ってもらえるかは金融機関によって異なります。これらの取引を多く行うと、メインバンクに近づくことは間違いありません。金融機関の担当者とよくコミュニケーションを取り、聞いてみるのが一番です。もちろん取引金融機関が1つしかなく、すべての取引を集中している場合は、その金融機関がメインバンクだと認識してくれるでしょう。
●メインバンクは1つ?
メインバンクは1つに限られているわけではありません。会社が大きくなれば複数あることもよくあります。会社の成長ステージに合わせて、メインバンクを考えていきましょう。
起業家・経営者にとって金融機関との付き合い方はとても重要です。どの金融機関をメインバンクにするかは、しっかりと考えたいところです。金融機関との付き合い方については、顧問税理士や中小企業診断士などにも相談してみてはいかがでしょうか。
- ※ 本コラムは2022年10月12日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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