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#15ベンチャーキャピタルを通じて資金調達するメリット・デメリットと審査のポイント

成長志向のベンチャー企業にとって、ベンチャーキャピタルは、資金調達先として重要な役割を担っています。ベンチャーキャピタルとは、将来成長すると考えられる企業に出資するファンドを運営する会社です。ファンドへの出資者を募り、集めた資金を有望先企業へ投資します。ベンチャーキャピタルは、ファンドからの運用手数料とファンドが出した利益から手数料を得ます。ファンドの評価を高くすることで、ベンチャーキャピタルも多くの手数料を得ることができるのです。ベンチャーキャピタルを通じて資金調達するメリットやデメリットと投資審査でのポイントについて見ていきましょう。

  1. 1.ベンチャーキャピタルを通じて資金調達を受けるメリット

    1. 1-1.返済不要の資金を調達できる

      ベンチャーキャピタルからの投資は、増資となり会社の純資産になります。純資産は返済する必要のない資金ですので、資金計画に余裕がでます。

    2. 1-2.外部からの評価が上がる

      純資産が潤沢になることで優良な会社として評価され、会社の格付が上がり、金融機関からも融資が受けやすくなります。さらに外部評価が高いベンチャーキャピタルであれば、「あのベンチャーキャピタルが投資している会社」として、自社の外部評価も上がります。

    3. 1-3.経営支援を受けられる

      ベンチャーキャピタルによっては、投資先にアドバイスをしたり、経営に関与したりすることで、投資先企業を応援してくれるところがあります。いわゆるハンズオン支援というものです。投資先同士の会社や関係する会社を紹介し、販路開拓や技術支援などの実務的なバックアップが期待できます。

  2. 2.ベンチャーキャピタルを通じて資金調達を受けるデメリット

    1. 2-1.経営に関与される

      出資を受けると、ベンチャーキャピタルが株主となり、持ち株比率によっては、ベンチャーキャピタルが指名する役員の受け入れを要請されたり、会社の意思決定に対して株主の立場から反対意見を表明されることがあります。自身の思い描いていた経営を阻害する要因となる可能性があるので留意する必要があります。

    2. 2-2.コミュニケーションが増える

      投資した企業が、事業計画どおりに事業を進められているか、障害になっていることはないかなど、ベンチャーキャピタルには、定期的ないし不定期での報告が求められます。時に厳しい要求をされることもあります。

    3. 2-3.意思決定に時間がかかる

      事業を行うにあたり、各株主の意向を聞かなければならず、場合によっては、意思決定に時間がかかることが考えられます。経営陣の議決権割合によっては、経営陣の独断で意思決定することもできますが、株主の意向に沿わない決定を行った場合、後の増資の際に追加資金を出してくれないということも考えられるため、主要株主の意向は無視できないでしょう。

  3. 3.ベンチャーキャピタルの投資審査のポイント

    1. 3-1.スケール性

      スケール性とは、将来性があり成長の可能性があるかということです。世の中を変えるような革新性を持ち、新たな市場を作る先駆者的な役割を担えるかどうかが見られます。投資した金額が何十倍、何百倍にもなるくらいの成長可能性があるかがポイントになります。

    2. 3-2.競争優位性

      他社が真似できないような特徴を持っているかどうかを見られます。独自のノウハウや、テクノロジー、知的財産権などがこれに該当します。行おうとしている事業にスケール性があるとしても、他社が容易に真似できるような事業では成長は期待できません。

    3. 3-3.経営者

      経営者個人が、どのような人物か判断されます。これまでのキャリアや実績はもちろん、事業に対するやる気や熱い思い、成功するという強い意思はあるか、人間性、財産状況、人脈など、出資者から集めた大金を投資するに値する人物かどうかを判断されます。最近では、SNS上での発信もチェックされますので不用意な発言には注意が必要です。

    4. 3-4.メンバー

      成長著しいベンチャーは、ビジネス成長を支えるメンバーの存在が不可欠です。メンバーの役割は何か、その人物のキャリアや実績も大きなポイントです。参画メンバーの中で、過去ベンチャー企業立ち上げで実績を上げてきた人がいると、成功可能性が高まると期待できます。

    5. 3-5.決算内容

      決算書や試算表も評価されます。これまでの売上や利益の状況、お金の使いみちなど貸借対照表や損益計算書はしっかりと確認されます。役員報酬が高額だったり、多額の代表者への貸付があったりするとチェック対象となります。

ベンチャーキャピタルからの資金調達を検討している場合は、税理士や中小企業診断士など起業の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

  • ※ 本コラムは2022年12月14日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

V-Spirits group 経験豊富な専門家が揃うワンストップコンサルティング

V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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