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#18法人口座の新規開設で注意すべきポイント

法人を新規に設立した際に、必ずすべき手続きの1つに銀行口座の開設があります。法人で事業を行ううえでは、日々の支払いや売上入金のために銀行口座が必要となるからです。

しかしながら、法人の新規口座は、銀行窓口に必要書類を持っていけば、すぐに開設してもらえるものでもありません。法人口座の開設にあたって注意すべきポイントを紹介していきます。

  1. 1.法人口座の新規開設が難しくなった背景

    なぜ銀行口座開設が、こんなにも難しくなっているのでしょうか。それは、マネー・ローンダリング(犯罪によって得た利益を、その出所や真の所有者がわからないようにして捜査機関による発見・検挙を免れようとする行為)防止の強化を目的として、2013年に犯罪収益移転防止法が改正されたことがあります。これにより、金融機関は口座開設人の本人確認を厳格にすること、取引を行う目的や事業内容等の確認を厳重に行うことが求められるようになりました。このような背景から法人の新規口座開設が難しくなっています。

  2. 2.口座開設ができない主な理由

    銀行が口座開設を断る理由を具体的に見ていきましょう。

    1. (1)事業実態が確認できない

      最近多いのがバーチャルオフィス(自社専用の業務スペースはなく、住所のみを借りることができるサービス)で本店登記をしているケースです。バーチャルオフィスを利用する理由は、事務所や店舗が不要な業態であることや、都心部に登記をしたいなどさまざまですが、銀行側からするとフリースペースのバーチャルオフィスには実態がないと判断することが多いです。一部、自社のみ使用する個室契約をしている場合には、営業場所として判断する銀行もあります。特に信用金庫や信用組合では、本店登記地に訪問することで実態確認をしているケースが多く、実態確認ができない場合には、口座開設は難しくなります。

    2. (2)事業実態場所の契約が不明瞭

      事業実態の場所が、自宅や自社で賃貸した事務所や店舗であれば特に問題はないのですが、世の中にはさまざまなケースが存在します。例えば、友人の会社のオフィスに間借りしたり、又借りしたりしているケースです。いずれも所有者(大家さん)と、その会社が直接「賃貸借契約書」を結んでいないことが問題視されること、契約関係が存在していないことから事業実態がないと判断されてしまいます。口座開設申込時には、事務所等の賃貸借契約書を求められますので注意が必要です。

    3. (3)代表者等の取引時確認

      法人口座開設を申し込むときに、銀行へ「履歴事項全部証明書」等の各種書類を提出します。銀行では、提出書類によって取引時確認を厳格に行います。前述した犯罪収益移転防止法に基づき取引時確認をし、結果によっては口座を開設することはできません。

  3. 3.ネット銀行口座のメリット・デメリット

    最近では、ネット銀行の法人口座を申し込む企業が増加しています。銀行の店舗に来店せずに、インターネット経由で申込ができる手軽さが受けてのことだと考えられます。ネット銀行口座のメリットは、インターネットを通じて申込ができることや、振込手数料等が店舗を構える銀行と比べて安い点です。一方、デメリットとしては、社会保険料支払や日本政策金融公庫から受けた融資の返済口座として指定ができない場合があることです。近年多くなっているトラブルの代表例としては、日本政策金融公庫の融資審査を通過したものの、金融機関で口座開設の審査が通過できずに融資を受けることができないといったケースです。このような事態が起きないよう、創業融資を日本政策金融公庫で申し込む際には、あわせて返済口座として指定できる金融機関での口座開設手続きも進めましょう。

  4. 4.まとめ

    法人設立後の事業を円滑に行うために必要な銀行口座ですが、開設にあたって注意すべき事項は複数ありますが、一つひとつ解消していくことが口座開設への近道といえるでしょう。ぜひ、本コラムを参考に事前準備をしっかり行い、開設手続きを進めてください。

  • ※ 本コラムは2023年1月25日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

V-Spirits group 経験豊富な専門家が揃うワンストップコンサルティング

V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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