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#8小規模事業者持続化補助金

中小企業庁の発表によると、2016年6月時点で小規模事業者は全国に304.8万者あり、日本の事業者の84.9%を占めています。小規模事業者は日本の産業の根幹となる重要な存在だということが数字からも分かります。しかし、小規模事業者は規模の大きな中小企業や大企業と比べて経営資源の面で劣ります。そこで、小規模事業者の持続的な成長を支援しようと「小規模事業者持続化補助金」という制度があります。「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成したうえで行う販路開拓や業務効率化を支援するため、それに要する経費の一部を補助する補助金です。さまざまな場面で活用することができるため、そのポイントについてご紹介します。

  1. 1.必須の申請要件

    小規模事業者持続化補助金を申請するには、以下の2つに該当している必要があります。

    ①下記に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人が対象です。

    商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
    サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
    製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

    ②上記①に加えて、以下のすべての要件を満たす方が補助対象者となり得ます。

    • ・資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
    • ・直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
    • ・小規模事業者持続化補助金の受付締切日の前10カ月以内に、持続化補助金(一般形、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
  2. 2.小規模事業者持続化補助金の申請類型

    小規模事業者持続化補助金では「通常枠」、「賃金引上げ枠」、「卒業枠」、「後継者支援枠」、「創業枠」、「インボイス枠」と、全部で6つの枠が設定されています。

    類型 補助上限 補助率 定義
    通常枠 50万円 2/3 小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援。
    賃金引上げ枠 200万円 2/3
    ※赤字事業者は、補助率3/4
    販路開拓の取組に加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者。
    ※赤字事業者は、補助率3/4に引き上げると共に加点実施。
    卒業枠 200万円 2/3 販路開拓の取組に加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員を超えて事業規模を拡大する小規模事業者。
    後継者支援枠 200万円 2/3 販路開拓の取組に加え、アトツギ甲子園においてファイナリストに選ばれた小規模事業者。
    創業枠 200万円 2/3 産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受け、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者。
    インボイス枠 100万円 2/3 免税事業者であった事業者が、新たにインボイス発行事業者として登録し、販路開拓に取組む小規模事業者。
  3. 3.補助対象となる経費

    対象経費は11科目に分かれています。内容によっては対象とならない場合があるので注意が必要となります。

    補助対象経費科目 活用事例
    ① 機械装置等費 補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等
    ② 広報費 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等
    ③ ウェブサイト関連費 ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、運用に係る経費
    ④ 展示会等出展費 展示会・商談会の出展料等
    ⑤ 旅費 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
    ⑥ 開発費 新商品の試作品開発等に伴う経費
    ⑦ 資料購入費 補助事業に関連する資料・図書等
    ⑧ 雑役務費 補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用
    ⑨ 借料 機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
    ⑩ 設備処分費 新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等
    ⑪ 委託・外注費 店舗改装など自社では困難な業務を第3者に依頼(契約書必須)

    注意事項として、汎用性が高いパソコン、車、文房具等は補助対象外となることがあります。他にもウェブサイト関連費は補助率1/4、設備処分費は補助率1/2と一部条件が違うものもありますので、申請する際は事前に確認をしておきましょう。

  4. 4.事業計画の策定にあたって

    事業計画書の様式や書き方に決まりはありません。小規模事業者持続化補助金のホームページには記載例が業種ごとにありますので、参考に進めていくのもよいでしょう。

    補助金を受けるには、採択審査で採択される必要があり、要件を満たすすべての方が採択となるわけではありません。審査は3つの観点から行われています。

    • ① 基礎審査
    • ② 書面審査
    • ③ 政策加点審査

    特に、③の政策加点項目は9つあります。加点項目数に制限はありませんので、1つでも多く加点項目を獲得することで採択への道が近くなると考えられています。

  5. 5.申請について

    申請は公募期間中に行う必要がありますので、日本商工会議所等のホームページなどで申請受付期間を確認してください。

小規模事業者持続化補助金のポイントについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。補助金を上手く活用しながら、販路拡大等を図り、事業を発展させていきましょう。

  • ※ 本コラムは2022年8月24日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
  • ※ 小規模事業者持続化補助金の制度詳細については、日本商工会議所等のホームページ等で最新の情報を直接ご確認ください。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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