会社設立代行とは|必ず知っておきたい6つの基礎知識

「会社設立代行って、どこまでやってくれるものだろう」
「会社設立を代行してもらって、後々にトラブルとかはないのかな」

法人成りなどで初めて会社設立をする場合、何をするのか、どれだけ費用や労力がかかるものなのかによって、実績のある代行サービスを上手く活用したいものですね。

実際のところ、副業の推進などにより、2021年の新設法人は前年比10.1%増(東京商工リサーチ調べ)と飛躍的に増え、会社設立代行を利用する人もあわせて増加しています。

その一方で、会社設立代行サービスを提供する会社が乱立し、思わぬ追加費用の請求やセット販売があり、最悪のケースでは、もう一度会社を作り直すこともあります。(※会社法をはじめとした法律や法令に違反するケース)

そのため、会社設立の代行を依頼する場合は、自分が代行サービスに求めるものを明確にして、何にお金を払うかの基準を持っておくことが大切です。

そこでこの記事では、会社設立代行サービスの相場から、サービスを提供する事業者ごとにできることを分かりやすく解説します。

この記事で分かること

●会社設立で代行してもらえる手続きを知ることができる
●会社設立代行サービスの費用相場を知ることができる
●会社設立代行サービス利用のメリットやデメリットを知ることができる
●会社設立代行事業者の選び方を知ることができる

この記事を読むことで、あなたがどの事業者に会社設立代行を依頼するべきかが判断できるようになります!

1.会社設立代行で依頼できるもの

1. 会社設立後に対応すること一覧

会社設立は、おおよそ以下の5つのSTEPで行います。

STEP1:会社概要の決定
STEP2:定款の作成と認証
STEP3:資本金(出資金)の払込
STEP4:登記申請書の作成と申請
STEP5:登記後の許認可申請手続き

このうち、会社設立代行事業者に依頼できるものと、事業主(起業者)にしか行うことのできないものは、以下のように分かれています。

【会社設立の流れと代行依頼できるもの】

【会社設立の流れと代行依頼できるもの】

※代行会社やサービスによって、各種書類の作成のみに代行内容を限っている場合もある。

会社設立の5つのSTEPのうち、大部分を代行してもらえることが分かるかと思います。
また上記以外にも「法人の実印の作成」も代行依頼可能です。

それぞれ、具体的な手続き内容を見ていきましょう。

1-1.会社設立代行が行う業務

・法人実印の作成と登録
・定款の作成と認証
・登記申請書の作成と申請
・登記後の許認可申請手続き

会社設立で代行できるものは、基本的に上記の事務作業です。
書類の作成や申請手続きなど、専門知識が必要になる事務作業について任せることができます。

初めての会社設立で初めて見る書類を前に、「何を書けばいいのか」を一つ一つ確認したり、必要なものを用意したりしながら記入を進めるだけでも、かなりの時間と労力がかかることが想像できるでしょう。

そのため「誰が書いても同じ内容になるもの」については、専門知識があって記入に慣れている専門家に任せるのがもっとも安全で効率が良いと言えます。

また、法務局などの関連機関に自分で足を運ぶ手間が少なく済むのも、多忙な創業期には嬉しいことです。

1-2.事業主が必ずやらなくてはいけない2つのこと

・会社概要の決定
・資本金(出資金)の払込

会社設立の手続きの中で、必ず事業主が行わなければいけないことは、上記の2つです。

それぞれどんなことをするのか、内容を見ていきましょう。

1-2-1.会社概要の決定

会社設立に際しては、会社概要として主に以下の9つの項目について決定する必要があります。

【決定すべき会社概要の項目】
社名 ◻︎既に類似する社名が存在していないかを確認する
◻︎社名の前後には必ず法人格(株式会社または合同会社)を入れる
事業目的 ◻︎取引先・金融機関などが会社をチェックする際の判断材料になる項目
◻︎後から事業目的を変更する場合、定款と登記の変更手続きが必要になるため、登録免許税3万円が発生する
所在地 ◻︎自宅やレンタルオフィス、バーチャルオフィスの住所を所在地とすることも可能
◻︎事業所を移転する場合、登記の変更手続きが必要になるため、登録免許税が発生する
資本金の額 ◻︎最低額1円から会社設立可能
◻︎金額の目安は「会社の設立から3カ月間は利益を生み出せなかったとしても事業を継続できる金額」
設立日 ◻︎法務局に会社設立の登記申請を行う/行った日
株価 ◻︎1株あたりの金額
◻︎基本的に発起人が自由に決めることできる
持株比率 ◻︎会社設立に際して出資を行い、その会社の株式を受け取る人(=発起人)について、「誰がどれだけ株式を持っているか」を示す
役員の構成 ◻︎取締役、会計参与、監査役など
会計年度 ◻︎決算書を作成するために区切る年度
◻︎会社の繁忙期を避けて決算月を設定することがおすすめ

ご覧いただくと分かるとおり、どれも事業主本人でなければ決めることのできない事項です。
決定さえしてしまえば、この内容をもとに定款の作成について代行してもらうことができます。

しかし、代行会社によっては、内容についてまったくチェックをせずに申請を進めてしまったり、法律や
法令のアップデートに対してきちんと知識や情報を持っていなかったりする場合もあります。

会社設立後に違約金が発生する場合や、冒頭で紹介したように会社を新しく設立し直すなどの最悪のケースもあります。
特に、社名や事業目的については、同じ名称で同地域に同業他社がいないかの確認は、最低限自分でも行うようにしましょう。

1-2-2.資本金(出資金)の払込

資本金は、事業主(発起人)の個人口座に払込ます。
なぜなら、この時点ではまだ会社設立登記の前であり、法人の銀行口座がそもそも存在しないからです。

会社設立の発起人が複数名いる場合は、以下のように払込を行います。

・株数に相当する金額を代表者の口座に払い込む
・各発起人の口座に各自払い込む

払込を行う個人口座に資本金相当額が既にある場合は、出資金分の金額を一度引き出して払込を行います。

払込が完了したら、通帳の表紙と表紙裏(支店名、口座番号、口座名義人が記載されたページ)、振込記録のあるページなどをコピーするなどして、資本金の振込を証明する書類とします。

2.会社設立代行の費用相場

2.会社設立代行の費用相場

会社設立を代行してもらう場合の費用は、設立する会社が株式会社か合同会社かによって変わります。

【会社設立の代行費用】
株式会社 23~44万円程度
合同会社 11~20万円程度

上記の金額には、会社設立代行サービスの事業者にではなく、公証役場や法務局などの公的機関に支払う金額も含まれています。

それぞれの費用内訳について、見ていきましょう。

2-1.株式会社の設立代行費用

株式会社の設立を代行サービスに依頼する場合の費用目安は23〜44万円程度です。

【株式会社の設立代行費用】
費用項目 支払い先 金額
定款認証手数料 公証役場 3~5万円
定款謄本代 2,000円程度(250円/枚)
定款印紙代 国税庁 4万円(電子定款の場合は0円)
登録免許税 法務局 15万円〜(資本金300万円以上の場合)
代行手数料 会社設立代行事業者 5~20万円(事業者による)
合計 23~44万円程度

設立する会社の規模や事業内容によっては、会社設立の費用と登記後に必要な契約・サービスをまとめて安く利用することができるため、事前に十分な比較をすることをおすすめします。

2-2.合同会社の設立代行費用

合同会社の設立を代行サービスに依頼する場合の費用目安は11~20万円程度です。

【合同会社の設立代行費用】
費用項目 支払い先 金額
定款認証手数料 公証役場 不要
定款謄本代 不要
定款印紙代 国税庁 4万円(電子定款の場合は0円)
登録免許税 法務局 6万円〜
代行手数料 会社設立代行事業者 1~9万円
合計 11~20万円程度

3.会社設立の代行を依頼できる事業者

3.会社設立の代行を依頼できる事業者

会社設立代行サービスを提供している専門家は、主に以下の4つの士業です。

・司法書士
・行政書士
・社会保険労務士
・税理士

実は、新しい会社を登記するまでであれば、司法書士が単独で行うことができるものです。

しかし、実態としては、上記4つの士業が連携して、登記前後における手続きを代行サービスとして提供しています。

なぜなら、それぞれの士業によって、対応できる会社設立代行のサービス内容の範囲は、以下のように異なっているからです。

まずは登記前のサービスから見てみましょう。

【登記前:会社設立代行の業務内容】

 

 サービス内容 司法
書士
行政
書士
税理士 社会保険
労務士
登記前 会社設立に関する書類の作成 × ×
定款認証の代行 × ×
設立登記申請の代行 × × ×

ご覧いただくと分かるように、登記申請を代行することは、司法書士にしかできないことです。

では、税理士や社会保険労務士、行政書士は、会社設立の代行サービスとして何を提供してくれるのかを見てみましょう。

【登記後:会社設立代行の業務内容】

 

サービス内容 司法
書士
行政
書士
税理士 社会保険
労務士
登記後 税務関係の手続き・届出の代行 × × ×
融資関係書類の作成 × × ×
社会保険関係の手続きの代行 × × ×
労働関係の手続きの代行 × × ×
雇用保険関係の手続きの代行 × × ×
許認可の手続きの代行 × ×

税理士や社会保険労務士、行政書士の業務範囲は、登記を済ませた後、実際に事業を動かすのに必要なお金や許認可を受けるのに必要な対応です。

もちろん、税務周りや融資、許認可の申請などは、個人でもできます。
しかし、抜け漏れなくスムーズに事業をスタートさせるには、専門家の手を借りるのも得策と言えます。

また、2.会社設立代行の費用相場でお伝えしたように、登記後のサービスを前提とすることで、会社設立代行の費用は大きく変わり、登記までを無料で請け負うことができる場合もあります。

あなたの設立する会社が、登記後にどのような代行サービスを必要とするのかによって、どの代行事業者を選ぶべきなのか、判断と比較検討が必要になります。

具体的には、以下のように判断をすると良いでしょう。

【会社設立代行を依頼する専門家の選び方】
会社設立後の事業規模など 選ぶべき会社設立代行の主体
個人事業主の時と変わらないため設立登記だけを依頼したい 司法書士
間違いのない会計処理を任せたい 税理士メインのサービス
人を雇うため労務周りも依頼したい 社会保険労務士メインのサービス
煩雑な許認可申請をお願いしたい 行政書士メインのサービス

会社設立の代行を申し込む際には、登記だけでなく、登記後に何が必要になってくるのかを事前に整理しておくことが大切です。

4.会社設立の代行サービスを利用する3つのメリット

4.会社設立の代行サービスを利用する3つのメリット

会社設立する際に代行サービスを利用するのには、以下の3つのメリットがあります。

・時間がかからない
・割安で会社設立できる場合もある
・手続きの間違いがない

それぞれ具体的にどんなメリットなのかを見ていきましょう。

4-1.会社設立代行を利用するメリット:①時間がかからない

会社設立代行を利用すると、自分で手続きを行うよりも多くの時間を節約することができます。
具体的に節約できる時間は、以下の2つです。

①手続きに必要な情報を集める時間
②関係窓口に物理的に足を運ぶ時間

初めて見る書類を前に、「何を書けばいいのか」を一つ一つ確認したり、必要なものを用意したりしながら記入を進めるのは、想像以上に時間を取られるものです。

もしも認証申請した定款に修正事項があった場合には、修正に加えて予約の取り直しなどで、1週間以上時間をロスしてしまうことも珍しくありません。

また、法務局や公証役場など、あまり行ったことのない役所の窓口に足を運ぶ時間も、細かい時間ではありますが多忙な創業期には惜しい時間と言えます。

会社設立に際して訪れる役所の窓口は、主に以下の場所です。

【会社設立に際して訪れる関係窓口】

登記前 定款認証 公証役場
会社代表者印提出 法務局
設立登記申請 法務局
登記後 登記事項証明書の取得 法務局
法人印鑑証明書の取得 法務局
法人銀行口座開設 銀行
設立届出 税務署
設立届出 労働基準監督署
設立届出 公共職業安定所
設立届出 年金事務所
設立届出 健康保険組合

上記のうち、申請の必要なものは事業内容や規模によっても異なるため、会社設立をする人すべてが上記の場所への訪問が必要になるわけではありません。

しかし、実際のところ、上記のステップで関係窓口に足を運ぶ回数は、代行サービスを利用した場合と利用しなかった場合で、以下のように違いが出ています。

【会社設立で関係窓口に足を運ぶ回数】
会社設立手続きを専門家に依頼した人 6.9回
会社設立手続きを専門家に依頼しなかった人 8.39回

参考:首相官邸「株式会社の設立手続きについてのアンケート」
※3回以上同じ窓口に行ったと回答した方の集計を「3」でカウントしている為実際はさらに多い

繰り返しになりますが、会社設立の代行サービスを利用する場合は、単に提示されている料金の安さだけでなく、だれがサービス提供主体で、自分の事業にどのような手続きが必要になるのかを整理しておくことが大切です。

4-2.会社設立代行を利用するメリット:②割安になる場合もある

【文書形式による定款印紙代】
紙文書形式の定款 定款印紙代(4万円)が必要
電子文書形式の定款 定款印紙代が不要

電子文書形式の定款の認証手続きには、電子署名ソフトや電子署名プラグインソフト、ICカードリーダライタなどの専用機材が必要で、これらをそろえるのには10万円ほどかかります。

事業で頻繁に使用するものであれば投資しても問題のない支出ですが、初めての会社設立で専用機材をそろえるのは現実的ではありません。
代行事業者であればそろえていることが多いので「4万円」を浮かすことができます。

また、登記後の各種サービスを契約することで、登記申請まで「無料」でサービスを提供している場合もあります。

代行手数料がこの「4万円」と比較して安上がりなのかどうか、また、登記後の各種サービスや顧問契約の必要性に鑑みて、会社設立の代行サービスを選ぶようにしましょう。

4-3.会社設立代行を利用するメリット:③手続きの間違いがない

会社設立代行サービスの事業者は、会社設立の手続きに慣れているため、複雑な手続きであっても間違いなく進めてくれます。

メリット:①時間がかからないでもお伝えしましたが、万が一、認証申請した定款に不備があった場合、修正と公証人の予約取り直しで、1週間以上も時間をロスしてしまう場合があります。

着実かつスムーズに会社設立を進めたい、会社設立日として登録したい日があるといった場合には、代行サービスを利用する方が間違いありません。

【会社設立の手続きは自分でもできる】

時間やお金をかけずに、会社設立手続きは自分で行うことができるものです。

実際のところ、会社を設立するにあたって、代行サービスを「利用した人」と「利用していない人」の割合は、ほぼ半々です。


4.会社設立の代行サービスを利用する3つのメリット

画像出典:首相官邸「株式会社の設立手続きについてのアンケート」

手続きそのものは決して難しいものではなく、初めてのことで「不慣れだから」「知らないから」「神経を使うから」と、手間に感じるかどうかだからとも言えます。

会社設立の手続きを自分で行うことは、経験値を上げて自信につながるという素晴らしい体験にもなるでしょう。

自分が、何に価値を置いているのか、何の優先順位が高いのかを明確にすることで、会社設立代行サービスを利用するのか、自分で行うのかの判断をつけるのが良いでしょう。

5.会社設立代行サービスを利用するデメリット

会社設立代行サービスを利用するデメリットは、事業者が多すぎて選ぶのが大変なことです。

冒頭でもお伝えしましたが、新設法人数が飛躍的に増え、会社設立の代行サービスが急速に増加しています。

加えて、会社設立と登記後のサービスをセットで提供しているところが多くなり、その内容が本当に自分に必要なものなのかどうかを検討する必要が増え、事業者選びが大変になっているのも要因です。

3.会社設立の代行を依頼できる事業者の章でもお伝えしましたが、自分の事業に必要な手続きは何なのか、その手続きをやってくれる専門家がだれなのかを事前に明確にしておくことが何より重要です。

なお、会社設立の代行をすべての工程でお願いする必要はありません。STEP1の定款/認証だけをお願いすることやSTEP4の登記申請書の作成と申請だけをお願いするという部分的な依頼も可能な場合もあります。

無駄なサービスをセットで契約したり、会社設立そのものをやり直したりすることのないよう、再度しっかりとご自身で確認してください。

6.会社設立代行の事業者の選び方

6.会社設立代行の事業者の選び方

会社設立代行サービス事業者の多くが、会社設立と登記後のサービスをセットにすることで、割安な価格でサービスを提供しています。

そして、どの会社設立代行サービス事業者に依頼しても、会社設立自体はできるでしょう。
しかし、気をつけたいのが、事業者選びにおける以下の2つのポイントです。

・代行の手続き内容を明確にしていること
・問い合わせや相談時の担当者の対応が良いこと

それぞれどういう点を見るべきなのか、詳しく説明していきましょう。

6-1.会社設立代行の事業者の選び方:①代行の手続き内容を明確にしている

まずは、何よりも代行手続きの内容を明確にしているところを選びましょう。

会社設立代行のサービスを探すにあたり、Webサイトで検索して比較検討することが多いと思います。
その際に確認しておきたいのは、主に以下のポイントです。

【会社設立代行の事業者を選ぶポイント】
・代行 or アドバイス
・作成のみ or 申請まで
・設立まで or 登記後も
・事業主が行うことや用意するものは何か
・サービス提供主体と連携士業
・打ち合わせ方法(電話、オンライン、対面など)
・割引価格の条件の有無

Webサイトに明確に掲示されていない場合は、電話やメールなどで納得がいくまで問い合わせてください。

6-2.会社設立代行の事業者の選び方:②問い合わせや相談時の担当者の対応が良い

問い合わせや相談時に対応してくれた担当者の印象は、特に登記後の手続きに大きく影響します。

なぜなら、あなた自身が気づいていない登記後の必要手続きについて、しっかりとヒアリングをし、提案してくれる担当者でないと、代行サービス終了後に必要なものがそろっていない状態になってしまう恐れがあるからです。

事業内容の変更があった場合は、登録免許税3万円を再度払えば済む話ですが、許認可手続きができていないと、事業そのものを先に進めることができません。

そのため、あなた自身が話しやすく、明確な回答を返してくれる担当者のいる事業者を選ぶことが大切です。

7.会社設立代行以外に考えておきたい重要なこと

7.会社設立代行以外に考えておきたい重要なこと

会社設立の諸手続きについては、代行サービスに依頼できますが、ここでは事業主であるあなた自身にしか検討・決定できない、法人スタート後に影響の大きい重要なことをお伝えします。

具体的には、以下の3点です。

・法人口座をどこで開設するか
・使える助成金・補助金の検討
・決算期の設定

それぞれ一つずつ、注意点などを見ていきましょう。

7-1.法人口座をどこで開設するか

実は法人口座は会社設立に絶対に必要なものではありません。
法人化した後も、引き続き個人口座を利用することはできます。

しかし、以下のような理由から、実質的には法人口座を持たないまま会社の運営をすることは、おすすめできません。

◻︎個人の財産と会社の財産とを分けて管理する必要がある
◻︎振込をする取引相手から見ると、振込先が個人口座では不安を与える場合も
◻︎融資を受けられない場合も

ただし、法人口座は個人口座と異なり、口座開設の審査が厳しい傾向にあります。
法人口座を開設できる銀行には、以下の5種類があります。

【法人口座を開設できる銀行】
種類 月額基本料金 特長
都市銀行 無料〜3,300円 ・取引先に大きな信頼感を与える
・大口融資を狙える
地方銀行 2,200円程度 ・店舗を持っている事業など、地域密着型のビジネスを展開している
信用金庫 1,100〜2,200円程度 ・管轄地域であれば法人口座の開設がしやすい場合も
・経営相談に乗ってもらえる
ゆうちょ銀行 550円 ・顧客が全国にいる場合の振込口座として利便性が高い
ネット銀行 無料 ・上記店舗型の銀行と比較すると口座開設の審査が柔軟
・振込手数料が安い
・24時間365日(システムメンテナンス時を除く)手続き可能

創業期でまだキャッシュフローが安定しない段階では、まずはネット銀行で口座開設することで、ランニングコストを抑えたり、タイムリーに資金繰りを受けたりすることができます。

事業が安定して規模が大きくなってから、店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)を2つ目の法人口座とすることで、さらなる事業展開や多額の融資を望むことができるでしょう。

設立する会社の事業規模や形態、展開地域に合わせて、法人口座をどこで開設するのかを検討してください。

【法人口座は、まずはネット銀行での開設がおすすめ!】

さまざまな金融機関で開設できる法人口座ですが、近年ネット銀行を使って法人口座を開設するケースが増えています。

実店舗を持たず、インターネットバンキングなどオンラインでの金融事業を主力事業とする「ネット銀行(新形態の銀行)」では、他業態に比べ大幅なシェア拡大が続く
ネット銀行のシェアは 0.17%(前年比+0.03pt)、社数で約2500 社に達した。10 年前から社数で 5.5 倍、シェアで約 6倍に拡大している。
出典:帝国データバンク 全国企業「メインバンク」動向調査(2022)

ネット銀行は24時間いつでもインターネット上で手続きができるという特長から、よりビジネスを効率化・コスト削減したいという経営者にマッチしています。

7-2.使える助成金・補助金

創業期の資金繰りとして、助成金や補助金を活用することができます。助成金や補助金は融資とは異なり、原則的に返済不要です。

創業期という限られた時期に対して出資してもらえるものなので、ぜひ活用を検討したいものです。

※2024年2月7日時点
※ 制度内容、申請条件等については今後変更される可能性があります。各機関のホームページ等で最新の情報を直接ご確認ください。

上記の例で上げている以外の、地方自治体の設けている助成金や補助金は、中小企業ビジネス支援サイトであるJ-Net21の「創業者向け補助金・給付金(都道府県別)」のページで検索することができます。

会社設立の際に使える助成金や補助金についてもっと詳しく知りたい方は、「【2024年度】会社設立に使える助成金・補助金の一覧」の記事もご一読ください。

中小企業庁 認定創業支援等事業は正確には助成金とは異なるものですが、個別の面談や経営の基礎知識を学ぶセミナーの受講、専門家の派遣受け入れによって取得した「特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書」を提出することで、会社設立登記の際にかかる登録免許税が半額になるものです。

【認定創業支援の証明書による登録免許税の割引】
  登録免許税 証明書がある場合の登録免許税
株式会社 資本金の0.7%または15万円 資本金の0.35%または7万5千円
合同会社 資本金の0.7%または6万円 資本金の0.35%または3万円

会社設立の代行サービスを利用してもこの支援を受けることはできるので、副業やフリーランスの延長で小規模なスタートアップをする際には、代行サービスの事業者に許可証がある旨を伝えてぜひ活用しましょう。

7-3.決算期の設定

決算期は、以下の点に気をつけて設定しましょう。

・もっとも売上の多く見込まれる時期は期首に持ってくる
・自社と主要取引先の繁忙期は前半に持ってくる
・決算月の2カ月後に大規模な支出が当たらないようにする

それぞれの理由についてご説明しましょう。

・もっとも売上の多く見込まれる時期は期首に持ってくる

売上の立つ時期を期首に持ってくることで、節税対策や事業投資、設備投資などの計画を立てやすくなります。

期末に大きな売上が立ってしまうと、節税対策の時間がなく、せっかくの売上を留保することができなくなるからです。

売上が見込みより下回った場合でも、決算までの残りの11カ月で対策することができるため、もっとも売上の多く見込まれる時期は期首に持ってきましょう。

・自社と主要取引先の繁忙期は前半に持ってくる

決算業務が繁忙期の通常業務と重ならないよう、決算月は会社の忙しい時期と被らない月に設定しましょう。

社員への負担が大きくなり、業務効率を大きく下げてしまうことがあるからです。

また、主な取引先の繁忙期なども考慮し、取引先が予算を消化したい月と会社の決算月が被らないように設定してください。

・決算月の2カ月後に大規模な支出が当たらないようにする

決算月から2カ月後は、納税の時期です。そのタイミングでほかの大きな支出が集中すると、資金繰りが大変になります。

具体的には、以下のタイミングを避けることが大切です。

・ボーナスなどの賞与
・仕入れなどの経費

上記の支出が決算月から2カ月後の法人税・消費税を納税するタイミングに重ならないよう、逆算して決算月を決めましょう。

8.創業期の法人口座はネット銀行がおすすめ

8.創業期の法人口座はネット銀行がおすすめ

7-1.法人口座をどこで開設するかの項でもお伝えしましたが、創業期でまだキャッシュフローが安定しない段階では、まずはネット銀行で口座開設することをおすすめします。

ネット銀行を使うことでランニングコストを抑えたり、24時間365日取引可能なことにより、タイムリーに取引を成立させることができるからです。

より具体的に、実店舗のある店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)とネット銀行との違いを見ていきましょう。

8-1.店舗型銀行とネット銀行の違い

店舗型銀行とネット銀行の法人口座の違いを一覧で比べてみましょう。

【店舗型銀行とネット銀行の法人口座の違い】
  店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等) ネット銀行
他金融機関宛て
振込手数料
150~600円程度 145~200円程度
口座維持費、インターネットバンキング等の月額基本料金 無料〜3,300円 無料
取引可能時間 平日9時~15時の窓口
(各金融機関による)
24時間365日利用可能
(メンテナンス時を除く)
対面窓口 ある なし
ATM ある 単独ATMは少ない
コンビニや提携銀行のATMが利用可能
残高確認 紙の通帳(有料の場合も)で確認
Web通帳を利用することでオンラインでの確認も可能
オンラインで確認

事業を継続していくうえで、大きく影響してくるのは「月額基本料金」「振込手数料」のコストの部分でしょう。

店舗型銀行の法人口座では口座維持費やインターネットバンキング利用料等の月額基本料金がかかる場合もあります。口座を利用してもしなくても発生するものなので、事業規模が小さい企業の場合は、検討材料と言えます。

また、振込手数料についても、法人ともなれば取引件数も多く、原則都度かかる振込手数料は侮れません。取引額や回数と合わせてざっくり見積もって比較すると良いでしょう。

創業期でまだキャッシュフローが安定していない時期には、できるだけランニングコストを抑えられるネット銀行がおすすめです。

一方で、ブランド力やステータスを必要とするような職種や取扱商品・サービスの場合には、メガバンクをはじめとした店舗型銀行に法人口座を構えることは信頼獲得につながります。

後々に店舗型銀行で法人口座開設することも視野に入れながら、ご自身の事業内容や企業規模に応じて適切な金融機関を選びましょう。

8-2.ネット銀行をおすすめする3つの理由

ネット銀行で法人口座を構えるメリットは、大きく以下の3つです。

・手数料が安い
・時間と場所にとらわれない
・法人口座の開設に時間がかからない

既にご紹介しているものもありますが、改めて具体的なシチュエーションと共に見ていきましょう。

・手数料が安い

ネット銀行は実店舗を持たず、人件費や不動産にかかる費用が少ないため、各種手数料を安く抑えることができます。

同じ手続き・作業であれば、月額基本料金や入出金・振込にかかる手数料はできるだけ安く済ませたいものです。

月単位ではわずかな差ではあっても、長期的に見れば総支出は大きく変わるものなので、手数料の安さは魅力と言えます。

・時間と場所にとらわれない

ネット銀行は基本的にオンライン上で手続きが完結するため、窓口や専用ATMに足を運ぶ必要がありません。

急に現金を出金したい場合でも、提携しているコンビニ等のATMを利用して現金を引き出すことができます。

また、15時以降の振込であっても当日振込扱い(※)をしてもらえるため、出先で振込を当日中に済ませたい場合にも心強いでしょう。
※着金のタイミングは相手先銀行による

24時間365日お好きなタイミングでいつでも取引ができる状況は、経営者のいざという時の助けになります。

・法人口座の開設に時間がかからない

ネット銀行は、スピーディーな審査で店舗型の銀行と比べると法人口座の開設に時間がかかりません。
必要な書類さえ提出すれば、店舗型銀行よりも比較的柔軟に審査してくれると言えます。

また、ネット銀行は必要書類の提出がオンライン上で提出可能なところもあり、忙しい創業期に銀行窓口に足を運ぶ必要がありません。
オンライン上で完結するところもネット銀行がスピーディーに対応できるポイントといえるでしょう。

法人口座は、年々審査が厳しくなっており、法人口座を簡単に開設することができなくなっています。
もちろんネット銀行でも法人口座に関する審査はあり、個人口座のように簡単に開設できるものではありませんが、創業期でも比較的開設がしやすいのがネット銀行になります。

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時間もお金も抑えたい創業期の法人口座は、GMOあおぞらネット銀行がおすすめです。

GMOあおぞらネット銀行は、書類の郵送が必要なく、原則口座開設はオンラインでの完結が可能です。 また条件を満たせば最短で即日開設も可能ですので時間がない創業期の経営者にぴったりです。


【即日開設の条件】
条件1:スマートフォンで、代表者の顔と本人確認書類を撮影できる
条件2:取引責任者と代表者が同一
条件3:取引責任者が、特定の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、在留カード)を持っている

また、会社設立後の煩わしい以下のような事務処理についても、負担を軽減してくれます。


・ネット銀行初!法人税や法人地方税のダイレクト納付ができる
・日本政策金融公庫の融資金返済の口座振替ができる
・Pay-easy対応済!社会保険料の支払いにも対応可能
・主要会計ソフトと連携し業務負担を軽減


さらに特筆すべきは「使い勝手の良さ」。


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GMOあおぞらネット銀行をメインバンクに切り替えた銀座セカンドライフ株式会社さまは、レンタルオフィスの経営や、起業支援を行う会社です。


もともと複数の銀行の法人口座を使い分けていたものの、社内から「メインバンクやほかのネット銀行よりも使い勝手がいい!」という声が上がり、徹底的に比較検討をした結果、日常の取引をすべてGMOあおぞらネット銀行に一本化してくださっています。ご利用者さまの声はこちら>

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まとめ

今回は、会社設立代行サービスについて、代行できる内容や費用から事業者の選び方まで詳しく解説しました。

会社設立にかかる手続きのうち、代行依頼できるものは以下のとおりです。

【会社設立の流れと代行依頼できるもの】

※代行会社やサービスによって、各種書類の作成のみに代行内容を限っている場合もある。

会社設立の代行費用相場は、株式会社と合同会社でそれぞれ以下のように異なります。

株式会社 23~44万円程度
合同会社 11~20万円程度

会社設立代行のサービス提供主体によって、代行依頼できる手続きは以下のように異なります。

 

 サービス内容 司法
書士
行政
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登記前 会社設立に関する書類の作成 × ×
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設立登記申請の代行 × × ×

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この記事が、あなたの会社設立をスムーズに運び、事業発展の一助となりますことを願っております。

※ 本コラムは2024年2月5日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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