「会社を設立するメリットにはどんなものがある?」
「個人事業主として開業した場合と比べて、メリットが多いのはどちら?」
これから事業を始めようとしている方、もしくは個人事業の法人化を検討している方の中には、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
結論をひと言で申し上げると、会社設立の主なメリットは「節税効果と社会的信用がアップすること」です。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
会社設立のメリット | |
---|---|
税金面 |
|
信用面 |
|
制度面 |
|
会社設立のメリットとして最も期待される節税効果に関しては、
「所得1,000万円以上が見込める事業であれば、会社設立によって大きな節税効果が得られる」
と言えるでしょう(詳しくは「5-1.年間の事業所得が1,000万円を超える」にて解説)。
会社設立のメリットをどれだけ生かせるかは事業の所得や規模によって異なり、場合によっては個人事業主として開業した方がメリットが大きい可能性もあります。
本記事では、会社設立を検討している方に向けて、以下の内容を解説していきます。
- 会社設立の【税金面・信用面・制度面】の3つメリットを解説
- 会社設立の4つのデメリット
- メリット・デメリットを踏まえて会社設立をするべき人とは
- 会社設立で失敗しないワンポイントアドバイス
会社設立が自分にとってメリットの多い選択かどうかを明確にしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.【税金面】会社設立のメリット3つ
まずは、税金面での会社設立のメリットを3つ紹介します。
- 所得税と法人税の税率差で節税できる(所得900万円以上の場合)
- 経費にできるものの範囲が広い
- 赤字を10年間繰り越せる
それぞれどのようなメリットなのか、上から順に詳しく見ていきましょう。
1-1.所得税と法人税の税率差で節税できる(所得900万円以上の場合)
税金面における会社設立のメリットとして最も代表的なのが、「所得900万円以上の場合、所得税と法人税の税率差で節税できる」というものです。
事業で利益が発生した際、会社を設立する場合は「法人税」、個人事業主として開業する場合は「所得税」を納税する必要があり、年間の事業所得が900万円を超える場合は法人税の方が税率は低くなります。
つまり、法人税(所得税)を節税したいのであれば
- 年間の事業所得が900万円以上:会社設立した方が節税になる
- 年間の事業所得が900万円未満:個人事業主として開業した方が節税になる
ということになります。
具体的に所得税と法人税でどのくらい差が出るのか、税金の目安を事業所得の金額別に計算した、以下のシミュレーションをご覧ください。
法人税・所得税はいくら?金額別シミュレーション | |
---|---|
年間事業所得300万円の場合 | |
法人税:45万円 300万×15% |
所得税:20万2,500円 300万×10%-9万7,500(控除額) →個人事業主の方が税金が20万円以上安い |
年間事業所得900万円の場合 | |
法人税:143万2,000円 800万×15%+100万×23.2% →法人の方が税金が2,000円安い |
所得税:143万4,000円 900万×23%-153万6,000(控除額) |
年間事業所得1,800万円の場合 | |
法人税:352万円 800万×15%+1,000万×23.2% →法人の方が税金が80万円以上安い |
所得税:440万4,000円 900万×23%-153万6,000(控除額) |
※「所得税の税率|国税庁」「法人税の税率|国税庁」を元に計算
事業所得の金額によっては年間数十万円の節税ができると考えると、会社設立は税金面で大きなメリットとなる場合もあります。
1-2.経費にできるものの範囲が広い
経費にできるものの範囲が広いというのも、税金面における会社設立のメリットです。
会社設立をすると、従業員や自分への給与・社宅などさまざまなものが経費として認められるようになり、法人税の節税効果があります。
法人で経費として認められるもの一覧 | ||
---|---|---|
項目 | 法人の場合 | 個人の場合 |
給与 賞与 |
従業員に支払う給与や賞与を「人件費」として経費に計上できるだけではなく、事業を手伝う家族に給与を支払って節税することも可能 | 事業を手伝う家族への報酬は、一定の厳しい要件を満たさなければ経費として認められない |
役員報酬 | 自分の収入は役員報酬として経費にできる | |
退職金 |
自分や従業員、家族従業員への退職金は全額経費として計上できる ※役員の退職金は「最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率(1.1~3.0程度)」が適正とされる (不相当に高額な場合、経費として認められない場合もあるので注意) |
自分と家族への退職金は原則経費として認められない |
接待交際費 |
・取引先やその他仕事関係者に対する接待や贈り物がは全て経費として認められる ・接待飲食費1人あたり5000円超の場合は、年間800万の上限あり |
「事業収入に直接繋がる活動」であった場合のみ認められる |
社宅 | ・会社のお金で住宅を購入(借りる)し役員や従業員に貸し付けた場合、少なくとも費用の50〜90%は経費として計上できる | 事業用として使用しているスペースの分(自宅であれば10~30%程度)しか経費にできない |
水道光熱費 通信費 |
事務所で使用した電気・ガス・水道代はすべて経費にできる | 自宅兼事務所の場合は全体の20〜30%程度しか経費にできない |
旅費 交通費 |
事業目的である場合は計上できる | ワーケーションなど、「そこに行かなくても仕事が成立する移動」の場合は経費として認められない可能性が高い |
修理代 | 事業で使用する車両・機械・建物の修理代は「修繕費」として経費に計上できる | 自宅件事務所・プライベートと併用している車両の場合は全額経費にするのは難しい |
消耗品 | 業務に必要な10万円未満の物品(事務用品・デスク・パソコンなど)は「消耗品費」として経費にできる |
個人事業主の場合は、事業とプライベートの境目が法人より曖昧になるため、経費として認められるものの範囲が狭くなりますが、会社設立をすれば、これらのすべてを経費として計上することができます。
所得税よりも法人税の方が税率が低くなるのは「事業所得が900万円を超えてから」ですが、法人では上の表にあるようなあらゆる支出を経費として売上から差し引けるため、事業所得が900万円未満であっても最終的に支払う税金は会社設立した方が安いという可能性も十分にあります。
具体的にどのようなケースが考えられるのか、以下の例をご覧ください。
経費によって会社設立した方が節税できるケース
- 事業の売上が年間800万円
- 自分の収入として年間300万円を確保
- 家賃月10万円(年間120万円)の賃貸マンションに住む
- 従業員は雇っていない
の場合…
【会社設立した法人の場合】
- 自分の収入300万円が役員報酬として経費にできる
- 会社名義で借りたマンションが社宅として認められ、年間108万円(家賃の90%)が経費にできる
- 事業所得は経費を差し引いた800万−300万−108万=392万円
- 納付する法人税は392万×15%=58万8,000円
【個人事業主の場合】
- 自分の収入300万円は経費にできない
- 自宅マンションの一部を仕事スペースとして使用しているため、年間24万円(家賃の20%)が経費にできる
- 事業所得は経費を差し引いた800万−24万=776万円
- 納付する所得税は776万×23%−63万6,000(控除額)=114万8,800円
→会社設立したことで50万円以上の節税になる場合も!
このように、税率だけでは図れない節税効果があるケースもあるため、経費にできるものの範囲が広くなる会社を設立するにはメリットがあると言えるでしょう。
1-3.赤字を10年間繰り越せる
会社設立のメリットのひとつに、「赤字を10年間繰り越せる」というものがあります。
事業で損失(赤字)が出てしまった場合
- 法人なら10年間繰り越せる
- 個人事業主なら3年間繰り越せる
というルールが定められています。
繰り越した赤字は、黒字が出た年に相殺できるため、繰越期間が長い法人の方が節税効果が高いと言えます。
どのくらいの節税効果があるのか、具体例を見てみましょう。
10年間赤字続き・11年目で1,100万円の黒字が出た場合
【会社設立した場合】
10年分の赤字を繰り越せる※
- 11年目の事業所得は1,100万-1,000万=100万円
- 法人税は100万×税率15%=15万円
【個人の場合】
繰り越せるのは直近3年分赤字のみ
- 11年目の事業所得は1,100万-300万=800万円
- 所得税は800万×税率23%-63万6,000(控除額)=120万4,000円
→会社設立したことで100万円以上の節税になる場合も!
※旧制度の平成30年4月1日以前に生じた赤字の繰越期間は9年
このように法人では長期間赤字を繰り越せるため、「やっと黒字が出たと思ったら、今度は税金の納付で苦しむ」といった事態を防ぐことができます。
あなたの事業が
- 会社設立後数年は黒字が見込めない
- 業績が安定せず年度によっては赤字が出る可能性が高い
といった性質を持っているのであれば、会社設立はあなたにとって大きなメリットがあると言えるでしょう。
押さえておきたい豆知識
Q.「会社設立から2年間は消費税が免除になる」は本当?
A.以前は免除されるケースもあったが、現在は免除されない
会社設立の税金面におけるメリットのひとつとして、「2年目までは消費税が免除される」という情報がWeb上にはありますが、2023年10月1日以降は事実上廃止されているというのが現状です。
こちらのルール変更には、インボイス制度導入に伴い、消費税免除の対象であった法人も設立1年目から納税義務が発生するようになったことが背景にあります。
※インボイス制度の適用を受けたために、納税義務が発生することとなった法人は、消費税の納税額が売上高に係る消費税の2割で済む、「2割特例」という経過措置があります。
2.【信用面】会社設立のメリット3つ
信用面での会社設立のメリットは、以下の3つです。
- 外部からの社会的信用を得やすくなる
- 出資による資金調達ができる
- 求人に人が集まりやすい
どのようなメリットがあるのかを、詳しく解説していきます。
2-1.外部からの社会的信用を得やすくなる
外部からの社会的信用を得やすくなるというのは、会社設立における大きなメリットです。
会社を設立するには、事業の目的や資本金の額などを国にきちんと届け出て「法人登記」をする必要があり、登記の手続きを経ることで第三者から「ビジネスに対して本気の事業者である」と判断されやすくなります。
会社設立によって信用を得やすくなる相手と、具体的なメリットには、次のようなものが挙げられます。
会社設立によって信用を得やすくなる相手と具体的なメリット | |
---|---|
取引先 |
他社との商談のチャンス・契約を交わすチャンスが増える 「個人事業主とは取引しない」というスタンスを取る企業は少なくはなく、リスクを避けたい大企業ほどこの傾向は強くなる |
顧客 |
提供する商品・サービスを買ってもらいやすくなる 個人よりも法人の方が「高水準な品質が担保されている」というイメージを持ちやすい |
不動産会社 |
事務所や店舗が借りやすくなる 個人の場合は、第三者を保証人として置く必要があるが、会社設立をすると社長自らが保証人になることができ、手続きや審査もスムーズに行いやすい |
このように、さまざまな場面で身動きが取りやすくなるため、外部からの社会的信用を得られるのは会社を設立する大きなメリットだと言えるでしょう。
2-2.出資による資金調達ができる
出資による資金調達ができるというのも、信用面における会社設立のメリットです。
出資とは?
事業の成功・成長を見込んで特定の団体や個人が資金を提供すること。
会社側は資金提供してもらう代わりに、出資者に対して株式などを発行・提供する。
資金調達の方法には、さまざまなものがありますが、出資による資金調達は会社を設立した法人でなければ利用できません。
一般的な資金調達の方法 | 法人利用 | 個人利用 |
---|---|---|
融資 | ◯ | ◯ |
ビジネスローン (消費者金融や銀行が取り扱う少額のローン) |
◯ | ◯ |
国や自治体からの補助金・助成金 | ◯ | ◯ |
クラウドファンディング | ◯ | ◯ |
出資 | ◯ | × |
出資による資金調達の最大の魅力は、金融機関からの融資やビジネスローンのように返済義務がないことです。
- 資金や利息の返済に追われるプレッシャーがない
- 事業に失敗した際に負債を抱える心配がない
というのは、事業者にとって大きな精神的な支えとなります。
出資者は資金を、会社は株式を提供し合うことで、ギブアンドテイクの信頼関係が成り立つため、会社設立した法人ならではのメリットと言えるでしょう。
2-3.求人に人が集まりやすい
求人に人が集まりやすいのも、会社を設立するメリットのひとつです。
会社設立をした法人は、
- 社会保険の加入が義務づけられている
- 会社が破産しても給与の一部を請求できる制度がある
という性質があるため、雇われる側にとっては「労働環境の良い・リスクの少ない職場」であると言えます。
個人事業主であっても従業員を雇うことはできますが、上の図のように求人を出しても法人より人材が集まりにくい傾向にあります。
事業を行うにあたって
「優秀な人材を集めたい」
「多くの従業員を雇いたい」
と計画している方にとっては、会社設立は大きなメリットがあると言えるでしょう。
3.【制度面】会社設立のメリット3つ
制度面における会社設立のメリットは、次の3つです。
- 支払い・納税が滞っても個人資産は差し押さえられない
- 決算のタイミングを自由に設定できる
- 事業承継をスムーズに行える
それぞれどのような良いことがあるのか、具体的に説明します。
3-1.決算のタイミングを自由に設定できる
決算のタイミングを自由に設定できるというのも、会社設立の制度面におけるメリットのひとつです。
こちらは、一般的な決算のタイミングである12月や3月以外を決算期にしても良いことから、
- 忘年会・新年会シーズンの12~1月がかき入れ時の飲食店
- 新生活シーズンの3~4月に依頼が殺到する引越し業者
といった会社でも自社のペースで決算業務にあたれるというメリットです。
具体的にどういうことか、これから詳しくお話します。
法人と個人では、決算のタイミングが次のようなルールで定められています。
決算のルール比較 | ||
---|---|---|
法人 | 個人(個人事業主) | |
決算期間 | 自由に設定できる (1年以内の任意の期間) |
1月1日~12月31日 |
決算日 | 自由に設定できる | 12月31日 |
会社を設立すると、決算期間も決算日も自由に設定できるため、繁忙期や資金が少なくなる時期を避けて決算を行うことで
- 通常の業務に追われて決算の手続きに手が回らない
- 資金繰りが上手く行かず納税が困難になる
といった状況に陥るリスクを避けられます。
また、手続きさえすれば、一度決めた決算日を後から変更することも可能なので、会社の状況に応じた柔軟な決算が行えます。
決算という事務的な手続きに振り回されず、本来の業務に集中すべきタイミングで集中できるのは、会社設立の大きなメリットです。
3-2.事業承継をスムーズに行える
会社設立の制度面のメリット、最後は「 事業承継をスムーズに行える」です。
将来自分の事業を誰かに引き渡したいと思った時、会社を設立して法人になっておくことで、個人(個人事業主)の状態で引き継ぐ場合と比べてあらゆる手続きが簡略化されます。
法人と個人(個人事業主)では、事業承継の手続きにどのような違いがあるのか、比較した以下の表をご覧ください。
事業承継に必要な手続き | |
---|---|
法人 | 個人(個人事業主) |
株式の売却 ※代表者の死亡による事業承継の場合は、代表取締役の登記変更の手続きを済ませるのみ |
※代表者の死亡による事業承継の場合は、預金口座が一時的に凍結される恐れもあり |
個人事業主の事業承継をする場合は、一度廃業してから再度開業しなければならず、相続税や贈与税が発生に関する手続きも煩雑です。
会社を設立して法人になっておけば、事業承継に必要な手続きは株式の売却のみで、相続なども発生しません。
後継者に手続き面で大きな負担をかけないという意味でも、事業承継をスムーズに行えるのは、会社設立におけるメリットのひとつであると言えるでしょう。
押さえておきたい豆知識
Q.「会社が倒産しても経営者の個人資産は守られる」って本当?
A.制度上では個人資産が守られていても、資金難で経営者が自己破産するケースは多い
「支払い・納税が滞っても個人資産は差し押さえられない」という情報がありますが、これは実際にはメリットとして機能しないケースが多いです。
会社が資金難に陥り倒産した際、「経営者(債権者)は出資額以上の責任は負わなくて良い(有限責任)」という制度があります。
しかし、実際には金融機関からの融資などは経営者本人が保証人になっているケースがほとんどで、その場合は会社が倒産した後も個人の資産から返済しなければなりません。
必ずしも「法人化する=いざというときも個人の資産は守られる」とは限らないということを覚えておきましょう。
4.会社設立の4つのデメリット
会社設立のデメリットとして代表的なものは、以下の4つです。
- 手続きに費用と時間がかかる
- 会社設立後の事務負担が大きい
- 会社のお金を個人で自由に使えない
- 社会保険に加入しなければならない
会社設立には税金面・信用面・制度面においてさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。
「こんなに大変だと思わなかった!」といったストレスで起業の意欲が低下しないよう、事前にマイナス面もしっかり把握しておきましょう。
4-1.手続きに費用と時間がかかる
会社設立をするうえで最大のデメリットとも言えるのが、手続きに費用と時間がかかることです。
会社を設立するには、さまざまな手続きが必要で、すべての手続きを終えるまでには次のように費用と時間がかかります。
会社設立にかかる費用と時間の目安 | |
---|---|
費用 |
株式会社の場合:約18~24万円 |
時間 |
株式会社の場合:約3週間 |
そのため、代表者に
「ただでさえこれから仕入れや設備投資出費がかさむのに、手続きの時点で資金を削られてしまう」
「手続きに追われて事業の中身の準備に集中できない」
といった負担がかかる恐れがあります。
なぜ会社設立には費用がかかる?
会社設立の手続きには、次のような費用が発生します。
- 定款※用収入印紙代:4万円(電子化すれば無料)
- 定款の認証手数料:3~5万円
- 謄本の発行手数料:2,000円
- 登録免除税:15万円
これらの出費は会社設立をするうえで避けられないもので、手続きを専門家に外注する場合はさらに別途手数料が発生します。
※定款:会社の規則が定められた書類のこと
なお、会社設立の費用について詳しく知りたい方は「会社設立 費用」の記事をご確認ください。
なぜ会社設立には時間がかかる?
会社設立の手続きにかかる時間の目安と内訳は、以下のとおりです。
- 会社の概要を決める:2~3日
- 定款を作成・認証を受ける:1週間
- 資本金を払い込む:2・3日
- 登記申請書類の作成・法務局への申請:1週間
特に定款の認証と登記の登録には一定の待ち時間が発生するため、どれだけスピーディーに準備を進めても数日内にすべての手続きを完了することはできません。
会社設立の金銭的・時間的負担を軽減する方法として
- 株式会社ではなく合同会社を設立する
- 手続きのすべてもしくは一部を専門家に外注する
といった対策を取ることもできますが、無料かつ1日で手続きが完了する個人事業主と比べると、負担が大きくなってしまうというのが実情です。
以上のことから、「お金も時間もないが、今すぐ事業をスタートさせたい」と考えている人にとっては、会社設立には大きなデメリットがあると言えるでしょう。
4-2.会社設立後の事務負担が大きい
会社設立後の事務負担が大きいというのも、会社設立の代表的なデメリットです。
法人には、会社設立後もさまざまな事務仕事があるため、きちんと段取りを組んで準備しておかなければ、本来の業務に手が回らなくなる危険があります。
法人特有の事務仕事にはどのようなものがあるのかを、以下の具体例をご覧ください。
法人特有の事務仕事(一例)
- 法人税の申告(税理士に依頼するのが一般的)
- 決算
- 年末調整手続き
- 株主総会の準備・開催
- 従業員の社会保険の手続き
特に法人税の申告や決算に関しては、自分で確定申告ができる個人事業主と比べてルールが複雑であるため、税理士など専門家の力を借りずに行うのは困難です。
このように、会社は設立時だけではなく、設立後もさまざまな手続きが必要だということを念頭に置いておきましょう。
4-3.会社のお金を個人で自由に使えない
会社設立をした際には、会社のお金を個人で自由に使えないというデメリットがあります。
法人では「会社のお金」と「経営者個人のお金」は区別されるため、個人事業主のように事業の売上をそのまま個人利用することはできません。
例えば、経営者が家庭の事情などでまとまったお金が必要になった場合、個人事業主であれば事業で出た利益の中から好きな金額を使うことができます。
対して法人の場合は、社内に潤沢な資金があったとしても、自由に使える金額は役員報酬の範囲のみです。
もし役員報酬以上のお金を個人的に使いたい場合は、「金銭消費賃借契約書」を交わして会社からお金を借りることになり、利息も支払わなければなりません。
このように、金銭管理のルールが厳しくなるのは会社設立のデメリットですが、手元にあるお金を無計画に使ってしまうタイプの経営者にとってはメリットとも言えるでしょう。
4-4.社会保険に加入しなければならない
会社設立のデメリット、最後は「社会保険に加入しなければならない」という点です。
すべての法人には社会保険(健康保険・厚生年金)の加入が義務付けられており、経営者には
- 国民健康保険・国民年金よりも高額な保険料を納付しなければならない(被保険者と会社で50%ずつ折半して負担する)
- 会社設立から5日以内に加入の手続きをしなければならない
といった負担があります。
納付する保険料の額は
「標準報酬月額(従業員の月給を1~50の等級に分けたもの)×保険料率」
で求められますが、具体的にいくら負担しなければならないのかを、シミュレーションしてみましょう。
社会保険料の計算シミュレーション(一例)
月給30万円の従業員を5人雇った場合…
標準報酬月額=30万
健康保料率(介護保険なし)=10%
厚生年金保険料率=18.3%
【厚生年金保険料】
総額:30万×10%×5人分=15万円
会社の負担額:15万×50%=7万5,000円
【健康保険保険料】
総額:30万×18.3%×5人分=27万4,500円
会社の負担額:27万4,500×50%=13万7,250円
→月々21万2,250円の社会保険料を負担しなければならない
※「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料率(東京都)|全国健康保険協会」を元に計算
雇う従業員の数が多い(従業員の給与が高い)ほど、会社は多額の保険料を納付しなければならず、これは法人ならではのデメリットだと言えるでしょう。
ただし、従業員が安心して働けるという意味では一概にデメリットとも言えず、良い人材を確保するための投資といった側面もあります。
5.会社を設立するメリットが多い人の特徴4つ
ここからは、会社を設立するメリットが多い人の特徴を5つご紹介します。
- 年間の事業所得が900万円を超える
- 家族に事業を手伝ってもらう予定がある
- 個人事業主が信用されにくい業界へ参入する
- 出資してくれる人・団体がいる
当てはまるものが多ければ多いほど、会社設立によってビジネスが成功する確率は高くなります。
「会社設立の一般的なメリットは分かったが、自分の事業にとってもメリットがあるかどうか分かららない」
という方は、当てはまる特徴があるかをチェックしてみましょう。
5-1.年間の事業所得が1,000万円を超える
年間の事業所得が1,000万円を超える場合は、会社を設立するメリットが多いと言えます。
なぜ「1,000万円」なのか?
会社設立による節税効果には、次のような特徴があります。
- 所得税と法人税の税率差による節税効果が期待できるのは、事業所得が900万円を超えてから
- 法人は個人よりも経費に計上できるものの範囲が広く、同じ売上でも法人の方が事業所得が低くなる可能性がある
→これらの要素を総合的に見て、会社設立した方が目に見えて節税効果があると言える目安が「事業所得1,000万円以上」
本記事の冒頭「1-1.所得税と法人税の税率差で節税できる(所得900万円以上の場合)」でもお伝えした通り、年間の事業所得が900万円を超えると、所得税と法人税の税率差による節税効果が期待できます。
事業所特別・法人税と所得税の納税額の比較 | ||
---|---|---|
事業所得 | 納税額(法人税) | 納税額(所得税) |
700万円 | 105万円 | 97万2,500円 |
800万円 | 120万円 | 120万4,000円 |
900万円 | 143万2,000円 | 143万4,000円 |
1,000万円 | 166万4,000円 | 176万4,000円 |
※「所得税の税率|国税庁」「法人税の税率|国税庁」を元に計算
ただし、事業所得がちょうど900万円であった場合、わずか2,000円の節税効果しか得られません。
さらに、法人はさまざまなものが経費として計上できるため、「実際に会計処理をしてみたら900万円を下回ってしまって節税にならなかった」といった事態が発生する可能性もあります。
確実に節税効果を得るためには、会社設立前に売上予測を立て、経費を差し引いた年間の所得が1,000万円を超える見込みがあるかをシミュレーションしましょう。
売上予測はどうやって立てる?
実際にどのくらいの売上が出るかは、実際に事業を立ち上げて運用してみるまで分かりませんが、
- 競合企業のデータ
- 業界の勢い
などを調査したうえで
- 見込み客の数
- 客単価
- 回転数
をシミュレーションすることで、大まかな売上予測が立てられます。
年間所得が1,000万円を下回る小規模な事業を想定している場合は、会社設立をしても法人税による節税効果が得られない可能性が高いです。
以上のことから、法人税によるメリットがあるかどうかは、年間所得1,000万円を基準として判断すると良いと言えます。
5-2.家族に事業を手伝ってもらう予定がある
家族に事業を手伝ってもらう予定があるというのも、会社を設立するメリットが多い人の特徴です。
自分を社長・家族を役員(従業員)にして給与を支払うことで、会社の所得を減らし法人税を削減できます。
個人事業主でも家族を従業員にすることは可能ですが、法人よりも満たさなければいけない要件が多いため、給与を支払っても経費に計上できないケースもあります。
個人事業主の家族が給与を受け取るための要件
- 事業者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
- 1年のうち6ヵ月間以上その事業に従事していること
「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること - 給与の額が労務の対価として相当であると認められる金額であること
→これらの要件を満たしていない場合、家族への給与を経費にできない
これから新事業を始めるにあたって
「夫婦二人三脚でビジネスを立ち上げる」
「定年退職した親にたまに事務仕事を手伝ってもらう」
といった予定がある場合は、会社設立のメリットを十分に生かせる可能性が高いため、法人化をおすすめします。
5-3.個人事業主が信用されにくい業界へ参入する
会社を設立するメリットが多い人の特徴、3つ目は「個人事業主が信用されにくい業界へ参入する」です。
会社設立には「登記の手続きを経ることで顧客や取引先から社会的信用を得やすくなる」というメリットがありますが、社会的信用が特に重視される業界の場合は個人事業主として参入するのが難しく、競合他社に埋もれてしまう危険があります。
個人事業主が信用されにくい業界の一例 | |
---|---|
金融 (ファイナンシャルプランナー・税理士など) |
個人でも活動は可能だが、顧客にとって大事な資産に関わる分野であるため、信頼の構築がビジネス成功の鍵となる。法人化することで一定の信頼性を担保できる。 |
教育 (学習塾・予備校など) |
子供の成長・進路を左右する場であることから、個人経営よりも法人化された塾の方が親の安心感を得やすい。 |
建設業 | ゼネコンなど大手企業は個人事業主と取引しないケースも多く、1人親方であっても法人化することで仕事を受注できるチャンスが増す。 |
上記の例のような、個人事業主が信用されにくい業界に参入する場合は、顧客獲得のために会社を設立するのが賢明だと言えるでしょう。
反対に
- 飲食業
- 小売業
- IT(エンジニア・Webデザイナーなど)
など、スキルが高ければ個人事業主でも活躍できる土壌がある業種の場合は、法人化しても請ける仕事に大きな差が出ない可能性もあります。
5-4.出資してくれる人・団体がいる
「出資してくれる人・団体がいる」というのも、会社を設立するメリットが多い人の特徴です。
新規事業の資金調達方法として一般的なのは金融機関からの融資ですが、法人であれば「特定の個人や団体からの出資」という方法でも資金調達ができ、返済の不安やストレスを抱えずに事業をスタートできます。
あなたの事業に価値や将来性を見出し、資金援助を申し出てくれる個人や団体がいる場合は、個人ではなく法人として事業を立ち上げることをおすすめします。
出資を受けられる可能性がある人や団体には、次のようなものが挙げられます。
出資を受けられる可能性がある人・団体(一例) | |
---|---|
エンジェル投資家 | 成長見込みのあるスタートアップ起業やベンチャー企業に対して投資をする個人投資家。マッチングサイトやビジネスコンテストでコンタクトを取りビジネスプランをアピールすることで出資を受けられる可能性がある。 |
ベンチャーキャピタル(VC) | スタートアップ起業やベンチャー企業に対して先行投資する組織。資金を援助するだけではなく、経営戦略のアドバイスをしてくれるなど、ビジネスパートナーになるケースもある。 |
家族・友人・知人など | 短期間で業績を伸ばす見込みがない企業の場合は、家族や友人といった身内から出資してもらうという手段もある。 |
特に事業内容が
- 社会的意義のあるもの
- これまで世の中になかった技術やサービスを提供するもの
である場合は、出資を申し出てくれる投資家やベンチャーキャピタルが見つかる可能性が高いため、マッチングサイトやイベントで出資者を募ることもできます。
ただし、株式会社の場合、外部からの出資の場合、自身の持ち株割合が減少します。外部からの出資もほどほどにしないとご自身で全てを決めることができなくなり、何のために法人を作ったかわからなくなるケースがありますので株主を入れるのは慎重に考えたほうが良いでしょう。
まずは個人事業主として開業するという選択肢もある
これまでご紹介した「会社を設立するメリットが多い人の特徴」に当てはまるものがない場合は、メリットが少ない段階で急いで起業する必要はなく、まずは個人事業主として開業するという選択肢もあります。
例えば
「事業を立ち上げて数年は売上がほとんど出ないが、10年後には事業所得900万円に到達できそうだ」
といった方であれば、
- 個人事業主として開業する
- 顧客の獲得・実績を積む
- 所得が900万円に近づいたタイミングで会社設立(法人化)する
といった手順を踏むことで大きな節税効果が期待できます。
6.会社設立で失敗しないためには「設立後のお金と時間の無駄をどれだけ削減できるか」が鍵
ここまで記事を読んで、会社設立にはさまざまなメリットがあると分かっても
「本当に上手くいくのか?」
「実際に会社を設立しても失敗するのでは?」
と不安を感じる方もいるかもしれません。
事実、設立して間もない企業が存続の危機に立たされるケースは決して少なくはなく、株式会社帝国データバンクがスタートアップ企業2,000社を対象に実施した2023年の調査によると、経営への影響が大きかった失敗経験として以下のようなものを挙げています。
経営の影響が大きかった経験は?
- 資金繰りの悪化:179社
- 人材不足による事業継承困難:62社
※いずれも有効回答328社中の回答数
出典:令和4年度スタートアップ起業家の再チャレンジに関する実態調査 報告書|株式会社帝国データバンク
この結果から、新規事業を立ち上げる会社の多くが「資金不足・人手不足による経営悪化」という失敗経験をしていることがわかります。
会社設立で失敗しないためには「設立後のお金と時間の無駄をどれだけ削減できるか」が重要な鍵です。
具体的にどういうことか、
- 会社設立前後はとにかくお金と時間がかかる
- 失敗を防ぐには会社設立後のお金と時間の無駄の削減が重要
- 会社設立後のお金と時間の無駄を削減する方法
の順に説明します。
6-1.会社設立前後はとにかくお金と時間がかかる
会社設立前後は、とにかくお金と時間がかかります。
会社設立前後にかかるお金と時間 | ||
---|---|---|
お金 | 時間 | |
会社設立前 |
→株式会社の場合は約22~24万円かかる |
→株式会社の場合は約3週間かかる |
会社設立後 |
→設立後も継続的にお金がかかる |
→右も左も分からない創業期に、これだけの業務を手探りでやらなければならない →効率化を図らなければ、あっという間に手が回らなくなり事務作業がパンク状態に |
そのため、
- 初期の費用負担が大きく、会社設立後すぐに資金が底をついてしまう
- 事務作業の負担が大きく、業務に手が回らなくなる
といった失敗をする事業者も多く、お金と時間の負担に耐えきれずに設立から数年で倒産してしまうケースもあります。
6-2.失敗を防ぐには「会社設立後のお金と時間の無駄の削減」が重要
資金が底をつく・業務に手が回らなくなるといった失敗を防ぐには、会社設立後のお金と時間の無駄の削減が重要になります。
会社設立にかかるお金と時間の中には、削減できるものとできないものがあり、最も削減の余地があるのは
- 人件費
- 事務所の水道光熱費
- 銀行などの手数料
といった、会社設立後にかかるお金・時間です。
会社設立初期に削減できるもの・できないもの | ||
---|---|---|
削減できるもの | 削減できないもの | |
お金 |
→工夫次第で無駄を削減する余地あり |
|
時間 |
→自動化・オンライン化によって無駄を削減する余地あり |
|
会社設立の手続きにかかる費用や時間を削減するのは難しいため、設立後のお金と時間の無駄をどれだけうまく削れるかが、会社設立の失敗を防ぐ鍵となります。
6-3.会社設立後のお金と時間の無駄を削減する方法
会社設立後のお金と時間の無駄を削減する方法には、次のようなものがあります。
会社設立後のお金と時間の無駄を削減する方法 |
---|
①従業員にとって働きやすい環境を整える 採用コストの削減 |
②オンライン化・自動化できる業務はする 人件費の削減・ペーパーレス化による消耗品コストの削減 |
③こまめな節電を実施する 水道光熱費・通信費を削減 |
④金融機関・通信会社などは手数料の安いものを選ぶ 例)月100件銀行で振込手続きをする場合 |
このように、無駄な出費や作業が生まれないようあらかじめ対策しておくことで、会社の金銭的・時間的負担を減らし、「失敗しにくい会社設立」が可能になります。
7.会社設立後の法人口座はネット銀行がおすすめ
会社設立後のやることのひとつに「法人用銀行口座の開設」がありますが、本記事では「お金と時間の無駄削減」の観点からネット銀行の法人口座開設をおすすめします。
なぜネット銀行の法人口座がおすすめなのか、
- 店舗型(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)銀行とネット銀行の違い
- 創業期の法人口座開設でネット銀行がおすすめな3つの理由
の順にお話します。
7-1.店舗型銀行とネット銀行の違い
店舗型銀行とネット銀行には、次のような違いがあります。
店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等) | ネット銀行 | |
---|---|---|
実店舗(窓口) | あり | なし |
口座開設までの スピード |
遅い 2~3週間程度 窓口で口座開設手続き・通帳作成 |
早い 最短即日 オンラインで手続き・通帳は作らない |
振込手数料 |
高い 150~600円程度 |
安い 145~200円程度 |
取引の手間 |
多い 窓口やATMでの取引が主流※ |
少ない オンラインで取引 |
取引できる時間 |
限られる 窓口・ATMが空いている時間のみ |
原則24時間利用可能 |
社会的信用 | 高い | 比較的低い |
融資を受けられる 金額 |
大きい 3,000万円以内が一般的 低金利で大きな融資を受けられる |
小さい 1,000万円以内が一般的 高金利・限度額の低いビジネスローンが主流 |
※オンラインでも取引が可能だが、数千円の利用料がかかる場合もある
上の表を見て分かるとおり、ネット銀行には口座開設までのスピードが早い・振込手数料が安い・取引の手間が少ないと言った特長があることから、時間やお金にゆとりがない創業期の会社向けの銀行です。
対して普通銀行には社会的信用が高い・融資を受けられる金額が大きいといったメリットがあるため、業績や社内体制が落ち着いてきてこれから事業拡大を目指す安定期の会社向けの銀行です。
7-2.会社設立後の法人口座開設でネット銀行がおすすめな3つの理由
会社設立後の法人口座開設でネット銀行がおすすめな理由は
- 口座開設がスピーディー・申込手続きが簡単にできる
- 振込手数料等の各種手数料が安くなる可能性が高い
- 時間・場所を問わずオンラインで取引ができる
の3つです。
口座開設がスピーディー・申込手続きが簡単にできる
ネット銀行の口座開設はスピーディーかつ簡単にできます。
- オンラインで手続きが完結するため、窓口に出向いて手続きする時間と労力を大幅にカットできる
- 口座開設の審査が店舗型銀行よりも柔軟で、設立したばかりの実績がない会社でも口座開設しやすい
といった特長があることから、店舗型銀行が口座開設までに2〜3週間を要するのに対し、ネット銀行は最短即日で口座開設が可能です。
振込手数料等の各種手数料が安くなる可能性が高い
ネット銀行は、店舗型銀行を開設した場合よりも各種手数料が安くなる可能性が高いです。
- 振込手数料:店舗型銀行が150~600円が相場であるのに対し、ネット銀行は145~200円程度
- インターネットバンキング利用料:ネット銀行は基本無料。店舗型銀行では数千円の利用料がかかる場合がある
特に振込手数料に関しては、1回あたりの差額が数十円〜数百円でも振込回数が多い会社ほどコスト削減に繋がるため、できるだけ手数料の安いネット銀行を選ぶと良いでしょう。
時間・場所を問わずオンラインで取引ができる
実店舗の窓口を持たないネット銀行は、時間・場所を問わずオンラインであらゆる取引ができます。
そのため、
- 「銀行の窓口が閉まる前に出かけなければ…」
- 「ATMの手数料が安い時間帯を狙って振込に行かなければ…」
といった時間や場所に縛られることがなく、忙しい業務の合間を縫って振込等の取引がしやすくなります。
以上のことから、慌ただしくやることが多い創業期の会社にとって、ネット銀行は心強い味方だと言えるでしょう。
会社設立後の法人口座開設なら「GMOあおぞらネット銀行」
ネット銀行の種類は多く、どこで口座開設しようか迷った際は、「GMOあおぞらネット銀行」をおすすめします。
数あるネット銀行の中でGMOあおぞらネット銀行をおすすめするポイントは、「早い」「安い」「便利」の3つです。
- 早い:条件を満たせば即日口座開設が可能(※1)
→口座開設にかかる時間の無駄をカット - 安い:振込手数料は業界最安値水準の145円(※2)・口座維持費も無料
→小さく積もっていくお金の無駄をカット - 便利:24時間・365日オンラインで取引可能(※3)・15時を過ぎても当日振込にできる
→窓口やATMに出かける時間をカット
GMOあおぞらネット銀行は、設立して間もない会社にとって重要な「お金と時間の無駄の削減」が実現できるネット銀行です。
※1 (1)取引責任者さまと代表者さまが同一の場合 (2)自撮り動画(セルフィー)での本人確認をした場合
※2 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提 供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。
※3 システムメンテナンス時を除く、また着金は相手先銀行によります。
8.まとめ
最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。
▼会社設立のメリット
【税金面】
- 所得税と法人税の税率差で節税できる(所得900万円以上の場合)
- 経費にできるものの範囲が広い
- 赤字を10年間繰り越せる
→個人事業主として開業するよりも、節税効果が期待できる
【信用面】
- 外部からの社会的信用を得やすくなる
- 出資による資金調達ができる
- 求人に人が集まりやすい
→法人化することであらゆる方面からの信用がアップする
【制度面】
- 決算のタイミングを自由に設定できる
- 事業承継をスムーズに行える
→法人の方がより円滑に・自由に運用しやすいルールが多数ある
▼会社設立のデメリット
- 手続きに費用と時間がかかる
- 会社設立後の事務負担が大きい
- 会社のお金を個人で自由に使えない
- 社会保険に加入しなければならない
→会社設立は、多大な時間と費用がかかるものだとあらかじめ念頭に置いておく必要がある
▼会社を設立するメリットが多い人の特徴
- 年間の事業所得が1,000万円を超える
- 家族に家業を手伝ってもらう予定がある
- 個人事業主が信用されにくい業界へ参入する
- 出資してくれる人・団体がいる
→当てはまるものが多ければ会社設立がおすすめ
(少ない場合は個人事業主として開業するという選択肢も)
本記事の内容を参考に、あなたのビジネスが良いスタートを切れることを願っています。
※本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。