「株式会社を設立したいけれど、どんな手続きが必要?」
「法人登記って難しいのかな?一人でもできる?」
株式会社の設立に興味がある方の中には、設立手続きが実際どのようなものか気になる方も多いのではないでしょうか。
株式会社設立(法人登記)は、以下のような流れとなります。
また、登記した後にも、以下のような手続きが引き続き必要となります。
この記事では、株式会社を設立する時の手続きの流れを、法人登記の前と後に分けて詳しく解説していきます。
また、株式会社設立の手続きで多くの方が迷う以下のポイントについても、あわせて解説します。
株式会社設立の手続きで迷うポイント3つ
- 資本金の決め方:初期投資+半年分の運転資金をベースに決めよう
- 商号の決め方:7つのポイントに従って慎重に決めていこう
- 事業目的の決め方:分かりやすさと明確性を意識して決めよう
株式会社の設立を検討中で「手続きの流れを先に知っておきたい」という方は、ぜひこの記事をお読みいただき、いつ、どのようなことをするのかをあらかじめ頭に入れておくと良いでしょう。
目次
1. 株式会社設立の流れ9ステップ(登記完了まで)
早速、株式会社設立の流れ・手順について解説していきます。
株式会社を設立するには、どんな手順で、何を用意して、何をするのかを10ステップで分かりやすくまとめました。
株式会社設立の流れ9ステップ(登記完了まで)
- STEP1:発起人を決める
- STEP2:資本金を用意する
- STEP3:発起人などの印鑑登録証明書を入手する
- STEP4:株式会社の基本的な事項を決める
- STEP5:定款(ていかん)を作成する
- STEP6:定款の認証を受ける
- STEP7:出資金(資本金)を払い込む
- STEP8:株式会社の設立登記を申請する
- STEP9:株式会社の設立が完了
ひとつずつ詳しく解説していきます。
1-1. 手順①:発起人を決める
株式会社の設立を決めたら、最初に発起人(ほっきにん)を決めます。発起人とは、株式会社の設立にあたって、資本金を出資し、定款の作成などの手続きを進める人のことです。
法律的には、発起人として「定款に署名または記名押印した人」を指します。
1人会社の場合は、発起人も株主も株式会社の取締役も本人が1人でやることになります。複数人の場合は、お金を出す人が発起人、会社を運営する人が取締役と考えるとイメージしやすいでしょう。
【発起人と取締役の違い】
発起人 | 出資や会社設立手続きをする人 |
取締役 | 会社を経営していく人 |
発起人の人数や資格などに制限はないため、1名でも複数名でも良いですし、未成年や法人でも構いません。ただし、発起人は1株以上の出資が必要となります。
1-2. 手順②:資本金を用意する
会社設立には、設立費用を含む「資本金」を用意する必要があります。株式会社設立にあたって最低限必要となる主な費用は約18万円〜24万円で、内訳は以下のとおりです。
※なお、専門家に依頼する場合は別途依頼料がかかります。
株式会社設立に必要な費用
- 収入印紙代(4万円)※電子定款の場合は不要
- 定款の認証手数料(3~5万円)
- 謄本の発行手数料(約2千円)
- 登録免許税(一般的には15万円)
資本金の金額は、会社によってかなりまちまちです。中小企業の場合には100万円~300万円程度、規模が大きい会社だと1,000万円を超える資本金を準備することが多いでしょう。
なお、以前は、株式会社の設立には1,000万円の資本金が必要でしたが、会社法が改正され、2006年からは株式会社の資本金が1円でも設立可能になりました。
しかし、実際には資本金1円で株式会社を設立するケースはほとんどありません。会社を運営するには、半年分ほどの運転資金が必要ですし、資本金が少なすぎると口座開設できなかったり、社会的信用度が低くなったりしてしまうからです。
資本金をいくらにすべきか迷う方は、後述する「3-1. 資本金の決め方|初期投資+半年分の運転資金をベースに決めよう」をぜひ参考にしてください。
なお、会社設立全体の費用については、「株式会社120万円・合同会社60万円|会社設立の費用を徹底解説!」の記事もご確認ください。
1-3. 手順③:発起人などの印鑑登録証明書を入手する
株式会社の設立時には、発起人や取締役、出資者などの「個人の印鑑登録証明書」が必要です。具体的には、定款認証と登記申請の時に必要になるため、2通発行しておくのがおすすめです。
既に印鑑登録している方は、マイナンバーカードがあればコンビニ、なければ印鑑登録証(カード)で住民登録している市区町村の役場で印鑑証明書が取得できます。発行手数料は、自治体によりますが100円〜500円程度です。印鑑登録証明書の発行自体は即日発行できます。
個人の印鑑登録が終わっていない場合には、フルネームなどが刻印された印鑑を準備し、あらかじめ市区町村役場で登録手続きを行っておく必要があります。登録手数料は、自治体によりますが100円〜500円程度です。印鑑登録手続きも即日可能です。
なお、印鑑登録する実印を作成する場合には、時間がかかる場合があります。機械彫りの場合は即日対応で作成してくれるハンコ屋さんもありますが、手彫りの場合は数日〜10日程度かかることもあるので注意しましょう。
1-4. 手順④:株式会社の基本的な事項を決める
どのような株式会社を設立するのか、以下のような内容を決めていきます。
決めるべき株式会社の基本的な事項
- 会社の目的
- 社名(商号)
- 本店の所在地
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 設立時に際して発行する株式の数
- 決算期
- 持株比率
- 設立時取締役・設立時代表取締役など
ここで決めた内容をベースに、次のステップで作成する定款に使う情報を固めていくイメージです。
定款で決めた内容を後で変更することは可能ですが、株主総会の特別決議が必要になったり、登録免許税などの費用がかかったりするため、慎重に決めていきましょう。
なお、会社概要を決める時に多くの方が迷う以下のポイントについては、3章で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
→3-2. 商号の決め方|7つのポイントに従って慎重に決めていこう→3-3. 事業目的の決め方|分かりやすさと明確性を意識して決めよう
1-5. 手順⑤:定款(ていかん)を作成する
1-4で決めた内容などをまとめて、「定款(ていかん)」を作成していきます。
定款に記載すべき事項は法律で定められており、記載漏れがあると認証してもらえません。
定款に必ず記載すべき事項
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
インターネットで無料公開されているテンプレートを使えば必須事項が網羅されていることが多いため、そうしたテンプレートを上手く活用しましょう。
また、日本公証人連合会「定款等記載例」や法務局「商業・法人登記の申請書様式」も参考にするのがおすすめです。
定款の詳しい書き方については、「起業に関するお役立ち情報>会社設立に必要な定款って何?どの項目に何を書けばよいのだろうか?」でも解説しています。
1-6. 手順⑥:定款の認証を受ける
定款が完成したら、管轄の公証役場に連絡して定款認証の予約を取り、指定された日時に行く流れとなります。
設立する会社の本店所在地を管轄する公証役場で手続きすることになるので、「◯◯(本店所在地)+公証役場」などで検索し、管轄する公証役場がどこかを調べておきましょう。
公証役場によっては、作成した定款に不備がないかを事前にFAXやメール、対面で確認してもらえます。事前確認ができる場合は、事前確認を済ませてから認証依頼することをおすすめします。
定款認証の予約が取れたら、必要な書類と認証手数料を用意して、認証を受けに行きましょう。
定款認証に必要な書類と手数料
- 定款3通(1通は役場原本、1通は法人保管用原本、1通は設立登記の申請用謄本)
※発起人が実印で割印することを忘れずに行いましょう - 実質的支配者となるべき者の申告書
- 印鑑登録証明書(3ヵ月以内のもの)
- 個人実印または、公的機関発行の顔写真付き身分証明書+認印
- 定款認証料(3〜5万円)+謄本用紙代250円 ×(定款の用紙枚数+奥書1枚)+収入印紙4万円
※発起人が役場に行く場合の必要書類です。
定款認証はオンライン化しており、「電子定款」を活用すれば公証役場に行かずに定款認証を受けることもできます。この場合、収入印紙(4万円)を貼付する必要がないため、収入印紙代を節約することができます。
ただし、電子定款を利用するためには、マイナンバーカードの取得や、専用ソフトやICカードリーダーライターなどの準備が必要となります。電子定款を利用するための準備が大変という方は、公証役場に行く方が向いているケースもあります。
定款の認証が済んだら、登記申請に向けて会社印(法人の実印)の準備をしておくのがおすすめです。
登記までに用意しておく必要があるのは、登記申請時に必要となる会社印(法人の実印)です。印鑑作成業者に発注して作成後、実印として法務局に登録する必要があります。
実印と合わせて、銀行の届出印や角印、各種ゴム印などを作っておくのもおすすめです。
法人の実印を業者に依頼した場合、即日〜数日程度で作成できることが多いでしょう。価格は2万円〜4万円が相場となります。
なお、インターネット上で安く購入することも可能です。
ですがイメージと相違していたり、時間もかかることもありますので必要に応じて検討するのが良いでしょう。
1-7. 手順⑦:出資金(資本金)を払い込む
次に、定款に記載した出資金を、定款で定めた口座に払い込みます。これを「出資の履行」といいます。
「発起設立」の場合は発起人が、「募集設立」の場合は出資者全員が、発起人(または設立時取締役のうち誰か1人)の銀行口座に出資金を払い込みます。この時に払い込んだ金額が「資本金」となります。
新しい口座を作成する必要はなく、あらかじめ持っている口座を定款で指定すればOKです。
出生金(資本金)を払い込んだら、その事実や金額を証明するために、口座の情報が分かる通帳のページや払込明細が記載されたページをコピーし、「払込証明書」を作成しておきましょう。
増資・減資の手続きをすれば、定款に記載した資本金の額を変更できます。しかしながら、再度登記が必要になるので、資本金の額は慎重に決定することをおすすめします。
1-8. 手順⑧:株式会社の設立登記を申請する
株式会社の設立登記は、会社所在地を管轄する法務局に申請します。原則として、出資金(資本金)を払い込んだ後、2週間以内に申請を行います。
設立登記に必要な書類は、定款の記載内容により異なります。法務局の登記相談窓口や司法書士などの専門家にご相談のうえ、必要な書類を用意しましょう。
なお、司法書士に依頼した場合は費用は約7万円前後かかります。
設立登記の申請に必要な書類の一例を以下に示します。
設立登記の申請時に必要な書類(一例)
- 設立登記申請書
- 定款(認証済みのもの)
- 発起人の同意書(発起人決定書、発起人会議事録)
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書(設置しない場合は不要)
- 資本金の払い込みを証明する書面
- 発起人の印鑑登録証明書
- 設立時取締役等の本人確認証明書
- 登録免許税分の収入印紙(資本金の1000分の7の額/15万円に満たない場合は15万円)
- 印鑑届書
- 登記すべき事項を記録・保存した別紙・記録媒体
1-9. 手順⑨:株式会社の設立が完了
登記申請をおこなった後、不備がなければ、1週間~2週間程度で登記が完了します。
登記が完了すると、申請した登記が反映された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得することができるようになります。
以上で、株式会社設立の手続きが完了します。
2. 株式会社の設立登記後の手続き4ステップ
設立登記が完了した後も、やることはたくさんあります。ここからは、株式会社の設立登記後にやるべきことを4ステップで解説していきます。
設立登記後の手続き4ステップ
- STEP1:法人名義の銀行口座を開設する
- STEP2:税務署に「法人設立届出書」等を提出する
- STEP3:年金事務所で年金や保険の手続きをする
- STEP4:役場に「法人設立届出書」を提出する
2-1. 法人名義の銀行口座を開設する
会社を設立したら、今後何かと必要になる法人名義の銀行口座(法人口座)を作っておきましょう。
法人口座を開設するための必要書類は、金融機関によって異なります。例えば、GMOあおぞらネット銀行株式会社では以下のような書類が必要です。
法人口座の開設に必要な書類(GMOあおぞらネット銀行の場合)
代表者が取引責任者(※)となる場合- 取引責任者の本人確認書類
- 事業内容等が確認できる書類
- 取引責任者への権限委任状
- 代表者の本人確認書類または法人の印鑑証明書
- 取引責任者の本人確認書類
- 事業内容等が確認できる書類
※取引責任者とは:開設した口座の管理者になります。開設された口座においてすべてのお取引の照会・操作・承認を行う権限が付与されます。
金融機関によっては、会社の履歴事項全部証明書や定款、代表印、印鑑証明書が必要になるケースもあるようです。
なお、GMOあおぞらネット銀行の場合は、法人登記手続きが完了する前に、先に法人口座開設申込手続きができるので登記完了後、すぐに法人口座開設が完了し、事業を始められます。
(※freee会社設立サービスをご利用の場合)
詳しくは、「ネット銀行初*!法人登記完了前にオンラインで法人口座の開設申込が可能 freee会社設立とGMOあおぞらネット銀行の連携により実現「設立前口座開設申込」機能を4月6日より提供開始」をご覧ください。
※口座開設には審査がございます。本サービスへお申込は口座開設を保証するものではありません。
2-2. 税務署へ「法人設立届出書」などを提出する
会社を設立すると、さまざまな税金を納める必要性が発生するため、税務署に、会社設立した旨を届け出る必要があります。
すべてのケースで必要となるのは「法人設立届出書」ですが、状況に応じて以下のような書類が必要になることが多いでしょう。
税務署への届出に必要な書類
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書
2-3. 年金事務所で年金や保険の手続きをする
年金事務所には、以下のような届出を行う必要があります。
年金事務所での手続きに必要な書類
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届 ※家族を被扶養者にする場合
2-4. 役場に「法人設立届出書」を提出する
会社の所在地が存在する都道府県税事務所や市町村役場にも「法人設立届出書」を提出します。
自治体によって書類名や手続きが違うので、詳細はそれぞれの窓口にお問い合わせください。
3. 株式会社設立の手続きで迷うポイント3つ
ここまで、株式会社を設立する手続きについて、設立登記の前後に分けてそれぞれ詳しく解説してきました。
ここからは、株式会社を設立するにあたって、迷いやすいポイントについて説明していきます。
3-1. 資本金の決め方|初期投資+半年分の運転資金をベースに決めよう
株式会社を設立する際に「資本金をいくらにするか」は多くの方が迷うポイントですが、少なくとも、初期投資と半年分の運転資金は確保しましょう。
そこから、消費税がかかるかどうかのボーダーラインとなる1,000万円未満にするのか、最低資本金が決められていないかなどを考慮し、最終的に資本金の額を決めていきましょう。
株式会社の資本金の決め方についての詳細は、「株式会社設立 資本金」の記事を参考にしてください。
3-2. 商号の決め方|7つのポイントに従って慎重に決めていこう
商号(社名)を決める時には、以下のポイントに注意したうえで慎重に決めていきましょう。
商号を決める時の7つのポイント
- 商号の前か後ろに必ず「株式会社」を入れる
- 銀行や保険会社など一定の業種については、その業種を商号に使用する
(逆に、それらの業種ではない会社は、上記のような文字を商号に使用してはいけない) - 同一住所で同一商号を使わない
- 公序良俗や道徳に反するような言葉を入れない
- 商号に使用できる文字以外を使わない(?や♪などの記号は使えない)
- 商標登録がされている他社の商標や似ている名称は避ける
- 必須ではないが、「類似商号調査」を実施するのがおすすめ
7つのポイントのうち、最後の「類似商号調査」は、以前は実施必須とされていましたが、現行法では省略してよいことになりました。ただし、必須でなくても「類似商号調査」を行うことをおすすめします。
具体的には、同一市区町村内に、同じ事業目的の類似商号を持つ会社がないか調査し、似ている商号を付けないようにしましょう。
同じ商圏内で、同じようなサービスを展開している会社があった場合、その社名に似ている商号を付けてしまうと、トラブルに発展してしまう可能性があるからです。最悪の場合、差し止め請求や損害賠償請求の対象になります。
法務局の「登記供託オンライン申請システム」(通称:登記ねっと)を活用して、商号検索を行い、似たような商号を付けないよう気を付けましょう。
3-3. 事業目的の決め方|分かりやすさと明確性を意識して決めよう
「事業目的」は、定款の絶対的記載事項(記載しないと無効になる事項)に定められている項目であり、とても重要な項目です。
定款に書かれた事業目的が不明確な場合、定款認証を拒否されたり、登記申請の時に補正を命じられたりするので慎重に決めていきましょう。
また、事業目的に記載のない事業を行うことはできないため、事業目的の記載内容を限定しすぎてしまうと、後で定款の修正が必要となり3万円の登録免許税がかかります。後で追加が必要にならないような工夫も必要です。
事業目的を決める時のポイント
- 「誰が見ても分かるか」「内容が具体的に記載されているか」を意識する
- シンプルな文章で不足のない文章を定款に記載する
- 許認可が必要な業種か確認し、必要な場合は認可をもらうか届出を行う(旅行代理店・リサイクルショップなど)
- 事業目的が多すぎると何の会社か分からなくなるので、5~10個程度に留める
- 後で事業目的の追加が必要にならないよう、「前各号に付帯関連する一切の事業」という一文を最後に入れる
事業目的の書き方について、さらに詳しく知りたい方は、「会社設立に重要?定款の事業目的を書くポイントを紹介」の記事も参考にしてください。
なお、先にも記載したとおり、事業目的は定款を作成するにあたりとても重要なポイントとなります。
迷う場合は司法書士等の専門家に相談してみるのもオススメです。
4. 個人事業主が株式会社を設立するタイミング
ここまで、株式会社の設立手続きについて詳しく解説してきました。設立登記する方法と、設立直後に何をすべきなのかが、かなり具体的にイメージできたのではないでしょうか。
株式会社を設立する手続きは、結構煩雑で手間がかかるものです。しかしながら、やはり、個人事業主と比べると対外的な信頼度に大きな差があり、設立するメリットは十分にあるでしょう。
具体的に、個人事業主から会社設立にステップアップするタイミングとしては、以下の3つがおすすめです。
【個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング】
個人事業の所得が800万円を超えたタイミング | 所得が少ないうちは個人事業主の方が税負担が少ないが、所得が800万円を超えてくると逆転することが多い |
---|---|
売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミング | このタイミングで会社を設立することで、消費税の納付を最大2年間免れることができる(※適格登録事業者にならない場合) |
さらにビジネスを拡大していきたいタイミング | 法人でと契約できない会社と取引できるようになる、優秀な人材を採用しやすくなる、株式の発行など資金調達の選択肢が増えるなど |
以上を踏まえて、一般的には事業所得が700万円を超えたタイミングで会社設立を検討したほうがいいと言われておりますが、個人事業主から法人化へのタイイングはご自身での判断が難しいため、税理士に相談してみてもいいでしょう。
また、その際に、今回紹介した株式会社設立の流れを見て、いつどのような手続きが必要になるのかを事前に把握しておくことをおすすめします。
5. 株式会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめ
株式会社を設立するタイミングで必須となる手続きに、法人口座の開設があります。
今まで個人事業主だった方も、まったく新規で事業を起こす方も、これから商売をしていくうえで、法人名義の口座が必要になるからです。
しかし、ここで多くの方が「どこの銀行で法人口座を作ったら良いのか?」という点で悩むことでしょう。
ここからは、店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)とネット銀行の違いや、株式会社設立時の法人口座にはネット銀行がおすすめの理由を解説していきます。
5-1.「店舗型銀行」と「ネット銀行」の違い
銀行と一口にいっても、店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)とネット銀行に大別できます。
ネット銀行とは、店舗型銀行と違い、リアル店舗を持たず、インターネット上での取引を中心としている銀行のことです。
店舗型銀行とネット銀行の違いを、以下のとおり比較表にまとめました。
【店舗型銀行とネット銀行の違い】
店舗型の銀行は、実店舗があり、対面での接客や相談に応じてもらえたり、会社設立後に必要となる各種税金や社会保険料の支払いに対応可能であることがるのが最大のメリットです。ですが、法人口座の審査が厳しく、なかなか審査に通らないというデメリットがあります。
一方で、ネット銀行の場合、店舗はありませんが、振込手数料が安く、法人口座の審査も比較的柔軟なのが最大のメリットです。ですが、税金や社会保険料の支払いに対応していないネット銀行もあると言うのがデメリットです。
5-2. 株式会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめな理由
5-1の比較表にも掲載しましたが、ネット銀行は、会社を設立したばかりで実績がない企業におすすめです。その理由は以下の3つです。
株式会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめな理由
①法人口座が簡単かつスピーディーに開設できる
②店舗型銀行と比べて振込手数料が安い
③24時間365日いつでもどこでも利用ができる
①法人口座が簡単かつスピーディーに開設できる
ネット銀行の法人口座開設は、店舗型銀行よりも便利かつスピーディーに完了するのが大きなメリットです。必要書類も少なく、オンラインで手続きが完結できるところも多く、店舗に必要がありません。
例えばGMOあおぞらネット銀行の場合は、取引責任者さまと代表者さまが同じ場合、スマートフォンからセルフィ―動画と本人確認書類を添付して送信するだけで、最短即日口座開設が可能です。
セルフィー動画を使用しない場合、また代表者と取引責任者が異なる場合でも、GMOあおぞらネット銀行の法人口座の口座開設スピードは、平均約1.5日です(2023年7月法人口座申込企業の実績)。
口座開設当日から振込可能なので、すぐに取引をスタートさせたい方や、忙しくて手続きに時間が取れない方におすすめです。
また、必要書類が最小限で済むのもメリットです。GMOあおぞらネット銀行の場合は、「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」や「印鑑証明書」を準備しなくても口座を開設できるため、スムーズに手続きが完了します。
②店舗型銀行と比べて振込手数料が安い
ネット銀行は、店舗型銀行と比べて振込手数料が安いのも魅力です。
メガバンクなど店舗型銀行の場合は、同一銀行・同一支店内宛ての振込手数料は無料でも、他行宛ての振込手数料が500円~600円程度かかることが一般的です。また、月額基本料金がかかる銀行もあります。
ネット銀行なら、月額基本料金は無料、他行宛ての振込手数料も150円~300円程度で済む銀行がほとんどです。GMOあおぞらネット銀行の場合は、他行宛ての振込手数料は1件あたり145円と業界最安値水準(※)となっています。
※ 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。
毎月30件ずつ3万円以上のほかの金融機関宛ての振込を行った場合、以下のように、年間にすると大きなコストの差が出ます。
会社設立当初に、コストをできるだけ削減したい方には、振込手数料が安いネット銀行がおすすめです。
③24時間365日いつでもどこでも利用できる
システムメンテナンス時を除いて、24時間365日いつでもどこでも専用アプリやブラウザからインターネットバンキングを利用できるのも大きなメリットです。
店舗型銀行の場合は、窓口が閉まる15時以降の振込は翌営業日扱いになることがあります。しかし、ネット銀行だと、原則24時間365日リアルタイムでの手続きが可能です。
※ただし、振込先の金融機関の状況によっては翌営業日扱いになることがあります。
振込以外のさまざまな手続きもオンライン上で、早朝や深夜、土日祝日でも、移動中であっても、スマホやパソコンから簡単に操作できます。
株式会社設立後の法人口座は、利便性も高く、経済的にもメリットが大きいネット銀行をおすすめします。
【GMOあおぞらネット銀行と他のネット銀行の違い】
\ネット銀行の中でもGMOあおぞらネット銀行がおすすめ/
GMOあおぞらネット銀行は以下のような特長があり、ネット銀行の中でも多くの会社さまに選ばれているおすすめの銀行です。
- 口座開設スピードが平均1.5日と早い!(2023年7月法人口座申込企業の実績)
- 口座維持費用は一切かからない
- 振込手数料は同行間無料、他行宛ても145円と業界最安値水準(※)
- 口座開設月の翌々月まで3カ月間、他行宛て振込手数料が毎月20回無料
- 各種税金支払い・社会保険料の支払いにも対応可能
※ 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。
条件を満たせば最短即日での口座開設が可能です。ぜひ便利なGMOあおぞらネット銀行をご利用ください。
まとめ
株式会社設立の流れ9ステップ(登記完了まで)は以下のとおりです。
- STEP1:発起人を決める
- STEP2:資本金を用意する
- STEP3:発起人などの印鑑証明書を入手する
- STEP4:株式会社の基本的な事項を決める
- STEP5:定款(ていかん)を作成する
- STEP6:定款の認証を受ける
- STEP7:出資金(資本金)を払い込む
- STEP8:株式会社の設立登記を申請する
- STEP9:株式会社の設立が完了
また、設立登記後の手続きは以下の4ステップがあります。
- STEP1:法人名義の銀行口座を開設する
- STEP2:税務署に「法人設立届出書」を提出する
- STEP3:年金事務所で年金や保険の手続きをする
- STEP4:役場に「法人設立届出書」を提出する
株式会社設立の手続きで迷うポイント3つについても解説しました。
- 資本金の決め方|初期投資+半年分の運転資金をベースに決めよう
- 商号の決め方|7つのポイントに従って慎重に決めていこう
- 事業目的の決め方|分かりやすさと明確性を意識して決めよう
コストを抑えたい株式会社設立時の法人口座は、ネット銀行がおすすめです。利便性も高く、24時間365日いつでもどこでも使えるメリットもあります。
設立当初は忙しい日々が続くので、便利な法人口座をぜひご活用ください。
※本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。