株式会社の設立人数は1人以上からOK!起業の基礎知識を解説| 起業応援ナビ

「株式会社を設立するのに必要な人数は何人?今のところ数人なのだけど…」
「決まりがあるのかな?たとえば、自分1人で株式会社を設立することは可能?」

株式会社の設立人数に決まりはありません。

記事をご覧のあなた、1人でも会社を設立することができます。

以前、株式会社には取締役会の設置が義務付けられており、3名以上の取締役が必要でした。

しかし、平成18年(2006年)の会社法施行で取締役会設置が任意となったことから、取締役の人数が1名でも会社設立が可能です。

この記事では、株式会社の設立人数について、役職ごとの説明を合わせて網羅的に解説します。

この記事で分かること
●株式会社の設立に必要な人数が知りたい人
●株式会社を決まった人数で設立したい人
●株式会社が1人でも設立できるのかどうか気になっている人
●株式会社の役職について詳しく知りたい人
●株式会社設立で準備すべきことを把握したい人
株式会社の設立は1人から可能ですが、ただ、1人での設立には、下記のような注意点があります。
  • 何もかも1人で背負わなくてはならない
  • 複数名で設立した会社より信用度が低い
  • 事業の規模が小さくなる

記事では、株式会社を1人で設立するメリットとデメリット、また人数に関わらず設立に必要な手続きについても言及します。

株式会社の設立について、人数から、準備しておく事項まで、一通り把握できる内容ですので、起業を考える方は、ぜひ最後まで目を通していただけたらと思います。

目次

1.株式会社の設立人数に決まりはない

株式会社設立時の資本金は最低でも「初期費用+半年分の運転資金」を用意しよう

株式会社の設立人数に決まりはありません。

たった1人でも設立することは可能です。

1章では、会社の設立人数について下記の順に解説します。

  • 株式会社は1人でも設立できる
  • 取締役会を設置する場合は4名以上の役員が必要になる

よく読んで理解していきましょう。

1-1.株式会社は1人でも設立できる

株式会社の設立には、株主として最低でも1人以上が必要です。

逆のいい方をすると、株式会社は1人の発起人を株主とすることで設立できます。

会社法326条には、『株式会社には一人又は二人以上の取締役を置かなければならない』という文言が記載されており、取締役は最低1人以上置かなければいけませんが、取締役と株主は同一人物でも問題ありません。

つまり「発起人」、「株主」、「取締役」の3役を1人で兼任することが可能なのです。

したがって、株式会社は人数が1人でも設立することができます。

参照:e-GOV法令検索|会社法

1-2.取締役会を設置する場合は4名以上の役員が必要になる

株式会社は1人でも設立できますが、取締役会を設置する場合は、3名以上の取締役が必要です。

また、取締役会設置会社では、監査役あるいは会計参与も必要となるため、取締役を含めた役員人数は4名以上必要になります。

取締役会設置は任意ですが、その株式会社が公開会社の場合は必須です。

公開会社とは、株式を証券取引所に上場している会社(上場会社)のこと。
株式の譲渡について会社の承認を必要としない株式会社のことです。

一方、株式の譲渡に会社の承認を要する株式会社のことを非公開会社といいます。

日本の多くの企業は非公開会社に該当し、取締役会を設置するか否かは各社の判断に委ねられています。

取締役会については、会社設立の登記事項となっており、取締役会を設置する場合には登記にその旨を記載する必要があるので注意しましょう。

参照:e-GOV法令検索|会社法

2.株式会社の設立人数|役職ごとに解説

会社設立人数は1人から可能であることを解説しましたが、「発起人」や「株主」、「役員」といった立場がどういったものか、今ひとつピンとこないという方もいるでしょう。

そこで2章では、株式会社設立に関わる役職について、人数を含めた役割を分かりやすく解説します。

株式会社の役職|設立に必要な人数
①発起人 1人以上〜上限はない
②株主 1人以上必要だが発起人が兼ねられる
③役員 1人以上必要だが発起人が兼ねられる
④従業員 0人でも問題はない

①〜③までは、すべて1人で兼ねることが可能な役職です。

それぞれ説明しますので、しっかり把握していきましょう。

2-1.発起人|1人〜上限はない

また、未成年者(15歳以上)や法人であっても発起人になることは可能です。

発起人とは、言葉の通り、株式会社を設立した人ですが、正確には『設立時に資本金を出資した人』を指します。

たとえ、「株式会社を設立しようと考えた人」「設立のために貢献した人」であっても、資本金を出資しなければ発起人には当たりません。

発起人は、資本金を出資するほか、会社の重要事項を定め、定款の作成やさまざまな手続きを行います。

【発起人の役割】
株式会社の発起人は、主に下記のような役割を担います。

  • 出資金を支払う
  • 株式会社の重要事項や事業内容などの概要を決定する
  • 株式会社の定款を作成して署名する
  • 募集設立時に株主の募集をする
  • 創立総会の開催をする
  • 株式会社設立時に取締役を選任する
  • 株式会社設立に必要な営業や準備をする

会社設立完了後、出資した資本金の金額に応じて株式が発行され、発起人は株主になります。

2-2.株主|1人以上必要だが発起人が兼ねられる

株式会社の設立には、株主が1人以上必要です。
ただし、株主である発起人が1人存在すれば設立は可能です。

「株主」とは、株式会社に出資したかわりに株主を受け取った人のことです。

出資者のひとりであり、その会社の持ち主のひとりともいえます。

株主は、会社の経営に参加するなど多くの権利を有します。

【発起人の役割】
株式会社の発起人は、主に下記のような役割を担います。

  • 株主総会の決議に加わることができる(議決権)
  • 配当金をもらうことができる(配当請求権)
  • 会社が解散したときに残余財産をもらうことができる(残余財産請求権)
  • 株主総会で議案を提案できる
  • 計算書類等を見ることができる
  • 定款を見ることができる
  • 株主名簿を見ることができる
  • 株主代表訴訟を提起する
  • 取締役の違法行為を差し止め請求する
  • 会社が新規に株式を発行するのを差し止め請求する
  • 株主総会で行なわれた決議の取消しの訴えを提起する
※出資した金額に応じて権利に差異が生じることがあります。

2-3.役員|1人以上必要だが発起人が兼ねられる

株式会社で役員とは、下記の役職を指します。

  • 取締役
  • 監査役
  • 会計参与

株式会社設立に際して、取締役は1人以上必要ですが、他の2つは取締役会を設置しない場合には任意です。

それぞれ説明しましょう。

2-3-1.取締役

株式会社設立には、取締役が1人以上必要です。
人数に決まりはなく、発起人が取締役を兼ねることも可能です。

取締役は、会社の業務執行に関わる意思決定を行い、責任を負う役職です。
会社の業績を良くしていくことが、取締役の役目です。

中でも特に強い権限を持つ、代表権を有した取締役を代表取締役と呼びますが、代表取締役は必ずしも置かなければいけないわけではありません。

【代表取締役とは】

代表権を有した取締役が代表取締役で、会社法によって定められた会社の最高責任者です。

代表取締役は取締役の中から選出しますが、取締役と同様人数の上限はなく、複数の取締役の全員が代表取締役になることも可能です。

1人で設立した会社なら、自分が代表取締役になることもできます。

ただし、先述のように、代表取締役の設置は必須ではありません。

発起人と取締役の違いがよく分からない人は、

  • 発起人=株式会社を作る人(所有)
  • 取締役=設立した株式会社を運営する人(経営)

と、考えると分かりやすいでしょう。

ただ、個人事業主から法人化した株式会社などでは、発起人と取締役が同一人物であることが珍しくありません。

2-3-2.監査役

監査役は、取締役会を設置していなければ置かなくても問題ありません。

取締役や会計参与の職務を監査する役割で、株主総会で選出されます。

具体的には、不正がないか、計算関係の書類などが適正に処理されているかを調査したり、判断したりする役割を担っており、大きく分けて、

  • 社内監査役
  • 社外監査役

の2種類があります。

企業経営の健全性や適正性を担保する働きが期待される監査役ですが、取締役会を設置しない場合、選任は必須ではありません。

2-3-3.会計参与

会計参与は、取締役会を設置していなければ必要ありません。

取締役と共同で計算書類の作成・説明・開示などを行う役職で、就任できるのは、公認会計士、税理士、税理士法人といった「会計専門家」だけです。

他の役員と同じく株主総会で選任されますが、取締役会がないケースでは置かなくても問題ありません。

2-4.従業員|0人でも問題はない

株式会社設立においては、従業員人数に規定はなく、雇用しなくても問題ありません。

従業員とは、会社と雇用契約を結んで働く人、雇用されている人を指します。

さまざまな雇用形態が含まれ、

  • 正社員
  • 契約社員
  • アルバイト
  • パート

といった名称で雇用されている人の、すべてが従業員に当たります。

従業員を雇うと、会社の業績に関わらず、給与や社会保険料の支払いが生じます。

負担を避けるため、経営が軌道に乗るまでは従業員を雇用しないのも一案です。

3.株式会社の設立人数が1人のメリット・デメリット

「株式会社が1人でも設立できるのは分かったけど、実際1人で大丈夫なの?」 「1人なら個人事業主と変わらないのでは?複数人より1人の方が良いことってある?」

ここまで読まれたあなたは、こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

3章では、「株式会社の設立人数が1人のメリット・デメリット」を解説します。

株式会社を1人で設立する3つのメリット
● 個人事業主に比べて信用度が高くなる
● 自分のペースで仕事を進められる
● 複数人より必要資金が抑えられる
株式会社を1人で設立する3つのデメリット
● 何もかも1人で背負わなくてはならない
● 複数名で設立した会社より信用度が低い
● 事業の規模が小さくなる

1人や少人数での会社設立を検討している方は、よく読んで理解しておきましょう。

3-1.株式会社を1人で設立する3つのメリット

株式会社を1人で設立する主なメリットは3つです。

  • 個人事業主に比べて信用度が高くなる
  • 自分のペースで仕事を進められる
  • 複数人より必要資金が抑えられる

順に説明していきます。

3-1-1.個人事業主に比べて信用度が高くなる

設立人数が1人であっても、株式会社を設立すると、個人事業主に比べて社会的な信用度が高くなります。

法人化にあたっては法律の規制があったり、法人口座開設の審査があったりと、煩雑な手続きが必要です。

しかし、それを経て会社を立ち上げたことが、取引先から見た信用度につながるのです。

株式会社の設立には、個人事業主と違って「法人登記」が必要です。

また資金面では、個人事業主のように、プライベートとビジネスの境界を曖昧にはできません。

借金にせよ、収益にせよ、区別をしっかりつけなくてはならないため、1人会社であっても経営管理をきっちり行わざるを得ません。

このことが、社会的な信用度を高め、融資や営業、事業拡大においても有利に働きます。

3-1-2.自分のペースで仕事を進められる

1人で株式会社を設立すると、自分のペースで仕事を進められます。

複数人で設立した場合と違って、何かを決めるのに議論したり、他人を慮ったりする必要がありません。

設立人数が複数の場合は、何を決めるにせよメンバー同士で意思疎通をはかり、話し合い、共通認識を持って進めていくことが求められます。
そのため、時間がかかったり、事業が停滞してしまったりすることも考えられます。

1人の会社なら、運営方針や働く場所、時間の使い方も、すべて自分の裁量です。
個人で判断し、決定して、仕事を思い通りのペースで進められます。

1人で株式会社を設立すると、時間と労力を人に奪われることなく、ワークライフバランスを実現させることが可能です。

3-1-3.複数人より必要資金が抑えられる

設立者が1人の場合、複数人よりも法人化の際にかかる必要資金が抑えられます。

自分1人分のスペースや設備があれば、仕事ができるからです。

人数がいれば、それだけ広い事務所を用意しなくてはなりません。
設備や、パソコンなどの備品も人数分揃えなくてはいけません。

1人なら、新たに何も購入する必要がないケースもあるでしょう。

仕事場を借りなくても、自宅を事務所にしたり、バーチャルオフィスを借りたりと費用を抑えることが可能です。

3-2.株式会社を1人で設立する3つのデメリット

株式会社を1人で設立する主なデメリットは下記の通りです。

  • 何もかも1人で背負わなくてはならない
  • 複数名で設立した会社より信用度が低い
  • 事業の規模が小さくなる

それぞれ解説します。

3-2-1.何もかも1人で背負わなくてはならない

1人で会社を設立すると、何もかも1人背負わなくてはなりません。

他の人がいない分、法人化の手続きから運営まですべて自分でこなさなければならないことが、デメリットといえます。

また、1人会社の場合、始めた事業が上手くいくかどうかも自分次第です。

自分の裁量で好きに仕事が進められる反面、事業の成否にはそのまま自分の能力が反映されます。

他のメンバーに負担を分散したり、相談したりすることができないため、1人でプレッシャーとリスクを背負う覚悟が必要になります。

不安な人は、外部にサポートやアドバイスをしてくれる第三者を設けておくことを検討しましょう。

3-2-2.複数名で設立した会社より信用度が低い

1人で設立した株式会社は、複数名で運営している会社に比べると信用度が低くなります。

人数が多いほど会社の規模が大きいと判断され、信用度が高まって、資金調達や顧客獲得で有利になります。

先述のように、1人であっても法人化することは個人事業主に比べて有利なのですが、複数名がいる会社と比較すると信用面で劣ってしまうのです。

また、法人口座を開設する際、銀行によっては1人会社では複数名がいる会社より社会的信用度が低いため、審査に通りにくい場合もあり、これもデメリットといえます。

3-2-3.事業の規模が小さくなる 

1人で設立した株式会社は、事業規模が小さくなる可能性があります。

売上や利益の規模を大きく広げるのに、1人では限界があるからです。

事業の内容や種類にもよりますが、発展拡大を考えるなら、ある程度の人数が必要です。

1人の会社は自分のペースを崩さず、コストも抑えて始められるメリットがありますが、事業を軌道に乗せて、売上を伸ばしていきたい人には、厳しい面があるということも理解しておきましょう。

4.株式会社を設立するために必要な手続き

株式会社は、管轄の法務局に登記申請をすることで設立が認められます。

ここでは、設立登記をするまでに必要な手続きを、【ステップ】で詳しく解説します。

設立人数が1人の場合は、すべてのステップを1人で行わなくてはならないので、確実に把握しておきましょう。

【ステップ1】株式会社を設立するのに必要な事項を決める
【ステップ2】定款(ていかん)の作成と認証
【ステップ3】資本金の払い込み
【ステップ4】登記の必要書類を揃える
【ステップ5】登記申請を行う

順番に解説します。

4-1.【ステップ1】株式会社を設立するのに必要な事項を決める

株式会社を設立するには、まず、必要な事項を決定しなくてはなりません。

前もって決めなくてはならないのは、下記の項目です。

①会社名(商号)
基本的に自由だが「会社の看板」になることを意識し、下記のルールを念頭に置いて慎重に決める。
●どこかに会社の種類名(株式会社など)を入れる
●誤認されるような商号(他社と酷似している等)は使用しない
②所在地
設立する会社の本社を置く住所。
自宅を所在地にする際は、賃貸物件の場合は「法人利用が可能であること」を確認する必要がある。
③事業の目的
定款に記載する事項で、「何をして収益を得る事業なのか」を明確にしておくことが重要。
設立してすぐ行う事業だけでなく、成長して将来的にやりたい事業まで考慮して決定すると良い。
④資本金について
資本金の額、および出資者(資本金を出す人)を検討して決定しておかねばならない。
⑤役員の有無
代表取締役や監査役、取締役、会計参与などのこと
設置の有無は自由だが、取締役会を設置する場合は最低3名以上の役員が必要となる。
⑥会社設立日
設立申請を行って、法務局が受け付けた日が設立日となる。
日にちは自由だが、法務局が休みの土日祝日は設定できない。
⑦事業年度
法人税などの税金を計算するための単位となる期間のこと。通常は1年に設定する。

これらは会社設立に必要不可欠な「定款(ていかん)」や「登記申請書」に記載が求められる重要な項目なので、不足がないように決めておきましょう。

また、法人用の実印(法人実印)は、登記申請完了後すぐ、登記簿謄本や印鑑証明書など重要書類に押印するため、あらかじめ作っておかなくてはなりません。

印鑑証明書は、法人口座開設や年金事務所への届出ほか、法人としての諸契約を行う際に必須です。

登記申請が完了したら、なるべく早く法人実印の印鑑登録をし、印鑑証明書を交付してもらわねばなりません。
そのため、法人実印の準備が必須なのです。

法人実印に規定はありませんが、二重の円になっていて、内側の円に「代表取締役印」などが入り、外側の円には会社名が入るようになっているものが一般的です。

専門の業者に発注してもインターネットでも購入可能ですが、一定の時間を要するため、株式会社設立を決めたら、早い段階で法人実印の作成を検討しましょう。

4-2.【ステップ2】定款(ていかん)の作成と認証

ステップの2つめは、定款(ていかん)の作成と認証です。

定款とは、「ステップ1」で示した基本的な事項に加え、会社の指針となる規則を記載した、『会社の憲法』と呼ばれている書類です。

株式会社を設立するためには、定款の作成と、管轄の公証役場での認証が必須となります。

定款には決まった書式フォーマットはありませんが、細かなルールが多く存在し、作成は設立に関わる書類の中で最も煩雑といわれています。

自分でも作成できますが、ミスをすると無効になってしまうため、時間と手間を惜しむのであれば、専門家に依頼するのも一案です。

4-3.【ステップ3】資本金の払い込み

定款を作成して認証が完了したら、次に、資本金の払い込みを行います。

この時点では、法人口座を開設することができないため、振込先は自分(発起人)の個人口座になります。

以前は、郵便貯金は資本金払込口座として認められていませんでしたが、現在はゆうちょ銀行も資本金払込口座に使用できます。

但し、「一般銀行」も「ゆうちょ銀行」も、別途で振込手数料がかかる場合もあるので注意しましょう。

【ここもチェック!】
資本金を証明する書類として、
  • 通帳の表紙
  • 通帳の1ページ目
  • 資本金の振込内容記載ページ
をコピーしておいてください。

登記申請の際に必要となるので、なくさないように保管しておきましょう。
※ネット銀行の場合は銀行名・支店名・口座番号・口座名義人名・資本金の入金履歴がわかるページ

4-4.【ステップ4】登記の必要書類を揃える

ここまでの準備ができたら、登記申請を行うための必要書類を揃え、漏れのないようチェックしましょう。

登記申請には、下記の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 登録免許税分の収入印紙を貼り付けた納付用台紙
  • 発起人決定書(発起人が複数の場合は発起人会議事録)
  • 代表取締役等の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑登録証明書
  • 資本金の払込があったことを証する書面
  • 印鑑届出書

登記申請書は様式が定められており、様式が異なったり、記載に不備があったりすると受け付けてもらえず、差し戻しになってしまうので注意しましょう。

4-5.【ステップ5】登記申請を行う

書類が揃ったら、いよいよ登記申請です。

登記の申請には、3つの方法があります。

  • 法務局の窓口で申請する
  • 郵送で申請する
  • オンラインで申請する

いずれの方法でも、不備がなければ受け付けから10日ほどで登記完了となり、法人として認められます。

ただ、基本的に法務局から登記完了の連絡はないため、確実な結果を知るには、管轄の法務局に問い合わせるか、法務局のホームページで「登記完了予定日」を確認する必要があります。

5.設立人数に関係なく法人口座は必要

5.設立人数に関係なく法人口座は必要

株式会社設立までの道筋をステップで解説しましたが、登記が完了したら、最優先で行うべきなのが法人口座の開設です。

仮に人数が1人の会社であっても、個人口座とは別に「法人口座」を開設しなくてはなりません。

実際、設立人数に関わらず、登記が完了したその足で法人口座開設に向かうケースが少なくないのです。

多くの人が法人口座開設を最優先する理由は3つあります。

【いち早く法人口座を開設すべき理由】
● 法人口座がなければ社会的信用が得にくい
● 法人口座がなければほとんどの場合、融資が受けられない
● 会計処理や税務処理を正しく行うため法人口座が必要

金融機関の口座名義が会社名になっている法人口座がなければ、創業期の会社は実績がないため、融資を受けるのは困難です。

取引を行うにも信用度が低いため、スムーズにはいきません。

また、「ビジネスで使うお金」と「プライベートで使うお金」をしっかり分けておかないと、会計処理や税務処理を正しく行うことができません。

実際問題、法人口座がなければ事業が開始できないといっても過言ではないでしょう。

したがって、株式会社を設立したら、まず法人口座を開設することをおすすめします。

次章で、創業期の法人口座開設について詳しく解説しますので、そちらも参考にしてください。

6.創業期の法人口座はネット銀行がおすすめ

6.創業期の法人口座はネット銀行がおすすめ

会社設立後、スムーズに事業を開始するためには、法人口座をどこで開設するのかを早めに決めておきたいですよね。

法人口座には、大きく分けると、

・店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)
・ネット銀行

という選択肢があります。

個人口座で利用している銀行と同じでいいと簡単に考える人もいますが、特に創業期では、『ネット銀行』がおすすめです。

なぜなら、ネット銀行は店舗型銀行よりも振込手数料や口座維持費が安いうえに、24時間365日当日振込が可能で忙しい創業期にピッタリだからです。

ここでは、創業期の法人口座開設でネット銀行をおすすめする4つの理由を、店舗型銀行との比較を交えて解説します。

まずは、店舗型銀行との違いを示した一覧を見てください。

【店舗型銀行とネット銀行の違い】

店舗型銀行とネット銀行の違い

店舗型の銀行は、実店舗があり、対面での接客や相談に応じてもらえ、会社設立後に必要となる各種税金や社会保険料の支払いに対応可能であることが最大のメリットです。ですが、法人口座の審査が厳しく、なかなか審査に通らないというデメリットがあります。

一方で、ネット銀行の場合、店舗はありませんが、振込手数料が安く、法人口座の審査も比較的柔軟に対応してくれるのが最大のメリットです。ですが、税金や社会保険料の支払いに対応していないネット銀行もあるというのがデメリットです。

創業期の法人口座開設に「ネット銀行」をおすすめしたい理由は下記の通りです。

  • 申し込みがオンライン上で完結する
  • 振込手数料が安い
  • 口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料
  • 24時間365日いつどこでも操作できる
順にみていきましょう。

6-1.申込みがオンライン上で完結する

ネット銀行は、申込みがオンライン上で完結する場合も多いです。(一部郵送対応あり)

完了までがスピーディーかつスムーズに行われるのが、創業期には何より魅力です。

店舗型銀行で、設立間もない会社が法人口座を開設しようとすると、たくさんの書類のやり取りが必要になります。

また審査に2週間〜3週間という、ネット銀行に比べて長い時間を要します。

口座開設|審査にかかる時間
ネット銀行 店舗型銀行
最短即日~1週間※ 2週間〜3週間

※GMOあおぞらネット銀行なら条件を満たせば最短即日口座開設も可能

店舗型銀行はブランド力がある分、信用調査も厳しいため、創業間もない会社が審査に通るのは容易ではありません。
店舗型銀行で、設立間もない会社が法人口座を開設しようとすると、たくさんの書類のやり取りが必要になり、場合によっては店舗での面談(Web面談)も必要となります。
ネット銀行なら、基本的には書類の提出はオンライン上で完結することが多いです。

6-2.振込手数料が安い

ネット銀行をおすすめしたい理由の2つめは、高額な法人の振込手数料が安くなることです。

振込手数料(他金融機関宛3万円以上)
ネット銀行 店舗型銀行
145円〜229円 330円〜660円

※手数料は各銀行で差異があり変更される可能性があります。

このように、他金融機関宛て3万円以上の振込手数料で、185円〜最大515円も差があります。

数百円は小さい金額と思われるかもしれませんが、法人は振込先が多いため、件数や年数が積み重なるにつれ、この差額は大きく響いてきます。

6-3.口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料

ネット銀行は、口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料です。

口座維持費
ネット銀行 店舗型銀行
無料 約1,700円〜3,200円(月額)

※手数料は各銀行で差異があり変更される可能性があります。

上記のように、店舗型銀行では口座維持費やインターネットバンキング利用料に、月額1,700円〜3,200円程度かかってしまいます。

仮に、月2,000円とすると維持費だけで年間20,000円もかかることになり、どちらがお得かは歴然です。

6-4.24時間365日いつどこでも操作できる

取引も振込も時間に縛られず、24時間365日いつどこでも操作できるのが、店舗を持たないネット銀行の大きな魅力です。

店舗型銀行なら、営業日の15時以降および銀行窓口休業日は基本的に翌営業日扱いになりますが、ネット銀行は休業日を気にする必要はなく、15時を過ぎても当日振込が可能です。※1

営業時間
ネット銀行 店舗型銀行
24時間365日利用可能 ※2 平日9時〜15時 ※3

※1.着金タイミングは相手先銀行による
※2.メンテナンス時など例外を除く
※3.ATMは時間外も利用できるが手数料がかかる場合がある

忙しい創業期に、銀行の営業時間に合わせて窓口に出向く必要がなく、早朝でも深夜でも、移動中であっても、スマホやパソコンから簡単に操作できるのが、ネット銀行の大きな魅力です。

いかがでしょうか。

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③ 24時間365日いつでも取引可能(※3)15時を過ぎても当日振込にできる!(※4)

※1 (1)取引責任者さまと代表者さまが同一の場合 (2)自撮り動画(セルフィー)での本人確認の条件を満たした場合
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まとめ

株式会社は人数が1人でも設立できます。

ただし、任意とされる取締役会を設置する場合は、3名以上の取締役が必要です。
取締役会設置会社では、監査役あるいは会計参与も必要となるため、取締役を含めた役員人数が、最低4名になります。

1人で設立する場合は、「発起人」、「株主」、「取締役」の3役を1人で兼任します。

人数1人の会社には自分のペースを崩さず、コストを抑えて始められるメリットがあります。

しかしながら、複数名の会社より信用度が低くなったり、事業規模が拡大しにくかったりと厳しい面があるということも理解しておきましょう。

この記事が、あなたの起業に関するお悩み解消に少しでも役立てば幸いです。

※ 本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。

※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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