株式会社設立時の資本金の目安は100万円~資本金で失敗しないコツ

「株式会社を設立したい。資本金はいくらにしたらいいの?」

「何を基準に決めたらいいのか分からない…」

これから株式会社を設立するうえで、資本金をどう決めたらいいかお悩みですよね。

資本金は、会社で事業を行っていくための元手です。初期費用や運転資金などにも利用されます。

2006年5月の新会社法が施行される前までは、株式会社の設立は1,000万円以上の資本金が必須でしたが、今では1円で株式会社の設立が可能です。

しかし、実際には資本金を決める目安として、として 最低でも「初期費用+半年分の運転資金」が必要と言われておりますです。具体的には、下記の4ステップで資本金を決めることができますよ。

資本金を決める方法

資本金が少ないと法人口座が開設できなかったり、融資が受けられなかったりなど会社の信用が低く不利なケースもあります。

また、運転資金が足りず会社を存続できなくなるリスクもあるのです。

会社を設立する際は、自分の会社に合った資本金を慎重に決めなければなりません。

そこでこの記事では、株式会社を設立する際の資本金について理解できるように、下記のことを解説します。

この記事で分かること
●会社設立時の資本金は最低でも「初期投資+運転資金半年分」がいる理由
●株式会社を設立する際の資本金額の決め方
●資本金の出資割合により権利の違いがあること
●資本金の払込方法
●会社設立後も資本金は増資・減資できること
●駆け出しの社長が自己資金を調達する方法

この記事を読むことで、自分の会社に合った資本金がいくらか分かり、会社をスタートさせた後も資金繰りの心配をせず事業に集中することができます。

株式会社を設立しようとしている方や資本金について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、株式会社設立の全体の流れについて知りたい方は、「株式会社設立の流れ~法人登記9ステップ+登記後4ステップを解説」の記事もぜひ参考にしてください。

1.株式会社設立時の資本金は最低でも「初期費用+半年分の運転資金」を用意しよう

株式会社設立時の資本金は最低でも「初期費用+半年分の運転資金」を用意しよう

株式会社を設立する際、「自分の会社は、資本金をいくらにすればいいかな?」と悩みますよね。

冒頭でも述べましたが、資本金は「初期費用+半年分の運転資金」の金額を用意するといいでしょう。

創業当時は代金回収が思うようにいかず、資金繰りに困る可能性があるからです。

下記の、日本政策金融公庫総合研究所が行った「新規開業に関するアンケート」をご覧ください。

開業にかかった費用で見込みを超えたもの(複数回答可)
代金回収までの運転資金 25.60%
内外装工事費 22.30%
機械設備、車両など設備費 20.20%
在庫資金 9.30%
土地・建物を借りる費用 5.30%
建物を購入・増改築する代金 4.00%
営業保証金・加盟金 3.10%
出典:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業に関するアンケート

毎月の支出で開業前の見込みと異なること(複数回答可)
開業前には知らなかった支出がある 41.70%
原材料費や仕入価格が予想より高い 25.00%
従業員の時給・月給が思ったより高い 15.70%
水道光熱費が思ったより高い 13.90%
外注費が思ったより高い 11.90%
借入金の返済が思ったより多い 10.50%
家賃が考えていたより高い 9.20%

出典:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業に関するアンケート」

上表を見ると、代金回収までの運転資金や知らなかった支出など、想定より支出が多く困っている方がいると分かります。

「資本金は初期費用と運転資金3ヶ月分」と言われることもありますが、思わぬ出費に備えて余裕を持っておいたほうが良いでしょう。

2.【STEPで解説】株式会社設立時の資本金を決める方法

2.【STEPで解説】株式会社設立時の資本金を決める方法

前章で、創業後の資金繰りに困らないように、余裕を持った資本金を設定しておくといいことが分かったと思います。

ここでは、実際に自分の会社に合った資本金を決められるように、資本金を決める方法を4ステップで解説していきます。

資本金を決める手順は下記の4ステップで進めます。

資本金を決める方法

それぞれ確認していきますね。

2-1.STEP1.初期投資と半年分の運転資金を計算する

資本金を決める方法

まずは、初期投資の額と半年分の運転資金を計算しましょう。

株式会社を設立するだけでも、設立時にかかる費用や事業を行うための初期投資が必要です。また会社設立後すぐには売上が見込めないケースが予想されるので、運転資金も準備しましょう。

株式会社を設立する際に必要な初期費用は、下記になります。

株式会社を設立する際に必要な初期費用
登録免許税

15万円(もしくは資本金の0.7%)

定款認証印紙代(※)

4万円

定款認証手数料

3万円~5万円

謄本の発行手数料

2,000円~

合計

22万2,000円

※紙定款の場合

上表から、初期費用として少なくとも約22万円は必要なことが分かります。これに加えて、会社の初期投資+半年分の運転資金の用意も必要です。

下表の「新規開業に関するアンケート」によると、新規開業した企業が創業時にかかった費用と内訳が分かります。

開業にかかった費用
土地を購入する代金 58万円
建物を購入する代金(新築・増改築を含む) 125.5万円
土地・建物を借りる費用(敷金や入居保証金など) 85.7万円
工場・店舗・事務所などの内外装工事費用 243.8万円
機械設備・車両・じゅう器・備品などの購入費用 318.2万円
営業保証金、フランチャイズ加盟金 36.2万円
原材料・商品などの在庫資金 91.5万円
その他(代金回収までのつなぎ資金、会社設立費など) 203.1万円
合計 1.162万円

出典:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業に関するアンケート

上表を参考にしながら、自分の会社に必要な費用を計算してみましょう。

また、運転資金には、自分や従業員の給与・事業を行っていくための諸経費などが含まれます。これから半年の間、まったく売上がないと想定した際に出ていくお金は何があるか、具体的に考えてみましょう。

資金面の心配をせず事業に集中するためにも、運転資金は余裕をもっておくといいですよ。

2-2.STEP2.納税額が大きく変わる1,000万円未満にするかどうか決める

2-2.STEP2.納税額が大きく変わる1,000万円未満にするかどうか決める

次に、納税額が大きく変わる1,000万円未満にするかどうかを検討しましょう。

資本金の額により、消費税や法人住民税が大きく変わってきます。これら2つの税と資本金の関係について見ていきますね。

2-2-1.【消費税】資本金が1,000万円未満だと1期目の消費税が免税される

まずは消費税です。消費税では資本金を1,000万円未満にするかを検討しましょう。

1期目期首の資本金が1,000万円未満、かつ、2期目の期首の資本金を1,000万円未満に抑えると、株式会社を設立した1期目と2期目の最大2年間は、消費税が免税される制度があるからです。

ただし、2023年10月から始まったインボイス制度により、事態は少し複雑になっています。

インボイス(適格請求書)を発行できる適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者になる必要があり、消費税を納税する必要が発生するのです。

つまり、適格請求書発行事業者の場合には、ここで説明した「新設法人の納税義務の免除」を活用できないので注意しましょう。

(※インボイス制度の適用を受けたために納税義務が発生することとなった法人は、消費税の納税額が売上高に係る消費税の2割で済む「2割特例」という経過措置があります。)

最大2年間も消費税が免税されるのは、大きな節税になりますよね。消費税がどのくらいかかるかは、国税庁の「納付税額の計算のしかた」を参考に計算してみてくださいね。

2-2-2.【法人住民税】期末資本金額により住民税の額が変わる

次に法人住民税です。法人住民税の額も資本金の額により大きく左右されます。

法人税は均等割と法人税割の2つの方法で算出し、合算した額を納めます。

法人住民税 = 均等割 + 法人税割
【均等割】

均等割は、資本金や従業員数などにより定額の税金が定められています。

地納税制度

出典:総務省「地方税制度

上表を元に、従業員数が50人以下、資本金が1,000万円以下か1,000万円超かの場合で比べてみましょう。

従業員50人以下・資本金1,000万円以下
2万円(都道府県民税均等割)+ 5万円(市町村民税均等割)= 均等割 7万円

従業員50人以下・資本金1,000万円超
5万円(都道府県民税均等割)+ 13万円(市町村民税均等割)= 均等割 18万円~
※資本金が高くなればなるほどもっと高くなる

法人住民税のうち均等割だけでも、資本金が1,000万円を超えるかどうかで最低11万円の違いがあることが分かります。

【法人税割】
法人税割は、支払った法人税額により税率が変わります。

法人税割 = 都道府県民税 + 市町村民税
・都道府県民税:法人税 × 1.0%(法人税割率)
・市町村民税 :法人税 × 6.0%(法人税割率)

一般的には上表の税率で法人税割を算出しますが、地域によっては資本金額が税率に影響するケースもあります。

例えば新潟市の法人税割の税率は、資本金が1,000万円以上か未満かにより市民税割の税率が約1~2%変わります。

地納税制度

出典:新潟市「法人市民税の概要

※住民税の税額は各都道府県・市町村によって差があるため、必ず法人登録をする地域の法人税に資本金額が関係しているかも確認してください。

このように、資本金1,000万円のラインにより、消費税や法人住民税の額が大きく変わります。

2年間の消費税免税や、法人住民税を抑えることは大きな節税になるので、資本金を決める他の条件も踏まえながら、1,000万円未満に抑えられるか検討しましょう。

資本準備金にまわす方法もある!
資本金が1,000万円を超えそうな場合、「資本準備金」に回す方法もあります。 「資本準備金」は資本金に含まれないため、節税になります。会社法第445条に基づき、払い込み金額のうち2分の1までは資本金ではなく「資本準備金」にすることができます。 また、会社の負債が増えても問題なければ、資本金を1,000万円未満にして、残りの自己資金分を自分から会社への貸付金にする方法もあります。

2-3.STEP3.自分の業種が特定のもので最低資本金が決められていないか確認する

2-3.STEP3.自分の業種が特定のもので最低資本金が決められていないか確認する

次に、自社の業種が特定のもので最低資本金が決められていないか確認しましょう。

特定の事業は、最低資本金が決められているものがあるためです。最低資本金が決められている業種では、その資本金額を上回っていないとそもそも事業が始められません。

下記の業種は、最低資本金額が決められているものの一部なのでチェックしましょう。

最低資本金が決められている業種と最低資本金
業種 最低資本金
有料職業紹介業 500万円以上
一般労働者派遣業 2,000万円以上
第1種旅行業 3,000万円以上
第2種旅行業 700万円以上
第3種旅行業 300万円以上
地域限定旅行業 100万円以上
一般建設業 500万円以上
特定建設業 2,000万円以上

自社の業種に最低資本金がないか確認してみてくださいね。

2-4.STEP4.実店舗がある銀行の口座開設 or 融資が欲しい場合は100万円以上にするか決める

2-4.STEP4.実店舗がある銀行の口座開設 or 融資が欲しい場合は100万円以上にするか決める

実店舗がある銀行の口座開設をする場合や、融資が欲しい場合は、資本金を100万円以上にするといいでしょう。

資本金が著しく少ない場合、そもそも法人口座の開設ができなかったり融資を受けられなかったりする可能性があるからです。

過去に法人口座を振り込め詐欺などに利用する事例があったため、資本金が少ないと「怪しい会社」と思われ、法人口座を開設できないケースがあるのです。

また、資本金が少ないと「体力がない会社」だと思われて融資を受けられないケースもあります。

「資本金がいくらあれば確実に口座開設や融資を受けられる」と明言はできません。
しかし、実店舗がある銀行の法人口座を開設したい場合や融資を受けたいと考えている場合は、100万円以上は必要と思っておくといいでしょう。

Step1~step4までご案内しましたが、大きな会社と取引するときは1,000万円以上ないと取引の土俵に乗らない可能性もありますので会社設立後、どこと取引するのかも加味したうえで資本金は決めましょう。

3.株式会社設立時の資本金の出資割合による権利の違い

3.株式会社設立時の資本金の出資割合による権利の違い

前章で、自分が会社を設立する際の資本金額がおおよそイメージできたのではないでしょうか。

株式会社を設立する場合、1人ではなく他の出資者から資金を募って会社を設立するケースもありますよね。

その場合は、出資金額の割合によって会社を経営する権利が変わってくることにも注意が必要です。

持っている株が多いほど、会社に対して行使できる権利が大きくなるからです。

持株の比率により行使できる権利を下表にまとめましたので、確認していきましょう。

持株比率や持株数に応じて行使できる権利
持株の比率 権利
持株数1株以上 ・議事録閲覧権
・株主代表訴訟
1%以上 ・株主総会での議案請求権
(株主総会に提出する特定の議案を通知するよう求めることができる)
3%以上 ・会計帳簿の閲覧および謄写請求権
3%以上
※6ヶ月以上保有
・株主総会の招集ができる
・取締役および監査役の解任請求ができる
10%以上 解散請求権
3分の1以上 特別決議への単独否決
(特別決議を単独で阻止することができる)
2分の1以上 株主総会の普通決議
(株主総会の決議を単独で可決できる) 【決議できる内容の一例】
・取締役の解任
・役員報酬変更
・会計監査人の選任
・取締役及び監査役解任
3分の2以上 ・株主総会の特別決議の可決
(株主総会の特別決議を単独で可決できる) 【決議できる内容の一例】
・株式併合
・M&A
90%以上 ・特別支配株主の株式等売渡請求
(対象の会社や特別支配株主以外のすべての株主に対し、対象会社の株式を特別支配株主に売り渡すよう請求できる)
100% ・株主総会のすべての決議を単独で可決できる

持株比率が50%以上になると取締役の解任を単独で可決でき、90%以上になると特別支配株主となり、他の株主に対して持っている株を売り渡すよう請求できるのです。

持っている株が多くなればなるほど、会社を運営する決定権が大きくなります。

そのため、会社の方針を左右する権利を他の人が持ってしまうと、会社を乗っ取られてしまったり、取締役を解任されたりするリスクがあるのです。

複数の株主がいる場合は持ち株比率も確認し、最低でも51%以上の株は経営陣が持っておくようにしましょう。

自分が中心的な出資者なら欲しい権利より少し多めに株を持とう
自分が中心的な出資者の場合は、欲しい権利より少し多めに株を持つのがおすすめです。
欲しい権利分の株だけ持ってしまうと、誰かに渡したいとき、欲しい権利を失ってしまうかもしれないからです。

例えば全体で100株あり、自分が51株持っていたとします。友人をアサインするために株を渡したいと思っても、自分が1株でも失うと欲しい権利がなくなってしまうとなると、株を渡せません。

欲しい権利より少し多め(例:全体で100株、3分の2以上の権利が欲しいならプラス3~5株)に株を持っておくと自由度が高くなるでしょう。

4.株式会社設立時の資本金の払込方法

4.株式会社設立時の資本金の払込方法

資本金額を決定し資本金の準備ができたら、支払いが必要です。ここでは、株式会社を設立する際の資本金の払込方法を確認していきましょう。 資本金の払込は、下記の手順で行っていきます。
資本金の払込方法
STEP1.発起人名義の口座・通帳を準備する
STEP2.口座に資本金を振込む
STEP3.通帳の中身をコピーする
STEP4.払込証明書を作成する
STEP5.証明書と通帳コピーをひとまとめにして「資本金の払込を証明する書面」を作る

それぞれ確認しましょう。

4-1.発起人名義の口座・通帳を準備する

まずは発起人名義の口座と通帳を準備します。発起人とは、資本金を支払う人です。

資本金を支払うタイミングは、会社を登記する前の段階なので、法人口座を開設できません。

そのため、ひとまず発起人名義の口座に資本金を入れて株式会社を設立し、法人口座を作ってから法人口座に資本金を移します。

発起人の口座は、既存の口座でも問題ありません。複数人で会社を設立する場合は、取締役になる方の口座を利用するのがいいでしょう。

また使用する金融機関は、日本国内の銀行やネット銀行であれば、おおよそすべての銀行で使用可能です。

4-2.口座に資本金を振込む

口座の準備ができたら、資本金を振込みます。

振込む際は預金ではなく必ず「振込」で送金するように注意しましょう。振込にすることで、誰がいくら支払ったのか明確にするためです。

発起人が複数人の場合は各々で指定口座に振込むか、誰かがひとまとめにして口座に振込むか、どちらも可能です。

4-3.通帳の中身をコピーする

資本金の振込が確認できたら、通帳の中身をコピーしましょう。

発起人が資本金を支払ったかどうかを証明するために必要だからです。

下記の点を確認しながらコピーしましょう。

【通帳をコピーする際の注意点】
コピーする部分 ・表紙
・氏名、口座番号と銀行印が押印されているページ
・払込の内容が記帳されているページ
コピーするサイズ ・実物大の大きさでコピーする

4-4.払込証明書を作成する

次に払込証明書を作成します。

こちらは資本金の払込を法務局に証明する書類です。株式会社を設立する登記の際に必要な書類となります。

資本金の払込証明書には下記の情報を記載します。

払込証明書に必要な情報
・表題(払込があったことを証明する書面と記載)
・払込があった金額
・払込があった株数
・1株の振込金額(金〇円)
・日付
・本店所在地
・商号
・代表取締役氏名
・会社の代表印

払込証明書のイメージ画像はこちらです。

払込証明書のイメージ画像

上のイメージ画像を元に、必要な情報を入れて払込証明書を作成しましょう。

▼払込証明書のテンプレートはこちら

4-5.証明書と通帳コピーをひとまとめにして「資本金の払込を証明する書面」を作る

最後に、作成した払込証明書と通帳のコピーをひとまとめにして、「資本金の払込を証明する書面」を作ります。

用紙は下記の順番に並べます。

1番目…払込証明書
2番目…通帳の表紙
3番目…氏名や口座番号の記載、銀行印が押印されているページ
4番目…取引内容が記載された箇所の通帳のコピー

払込証明書が一番上に来るように上表の順番に並べたら、冊子になるように左側2箇所をステープラーで留めます。各ページの中央に代表者印で割り印をしたら、「資本金の払込を証明する書面」の完成です。

「資本金の払込を証明する書面」は、会社設立の登記申請の際をする際に必要な書類です。完成したら、他の書類と一緒に法務局に提出しましょう。

5.株式会社設立後も資本金は増資・減資できる!

5.株式会社設立後も資本金は増資・減資できる!

ここまでで、会社設立の際の資本金の決め方や払込方法が分かったと思います。

実は、資本金は株式会社を設立した後に増資や減資をすることもできます。

資本金を決める参考に、増資や減資をするタイミングや目的も知っておくといいでしょう。

5-1.増資する場合

資本金の増資は、下記のようなタイミングで行います。

【資本金を増資するタイミング】
・資金調達をしたい時
・会社の信用度を高めたい時

会社を運営していく中で、「資金がもっと欲しい」と思うことがあります。そんな時に増資をすることもあります。

増資により調達した資金は、融資で資金調達するのに比べて返済不要で金利も発生しません。そのため、支払いに気を取られず事業に集中できます。

また、金融機関から融資を受けたい場合や新しい会社と取引をする際に、会社の信用度を高めるために増資をすることもあります。

5-2.減資する場合

資本金の減資は、下記のようなタイミングで行います。

【資本金を減資するタイミング】
・利益が出ていないけど、株主へ配当したい時
・赤字を補填し経営の立て直しがしたい時 ・節税をしたい時

減資をする方法は有償減資と無償減資の2種類があり、目的に応じて利用します。

有償減資実際に資金が減る減資のこと。主に株主へ配当する目的で行う
無償減資実際の資金は減らない減資のこと。赤字の補填による経営の立て直し・節税の目的で行う

増資・減資をすることで、あとでいつでも資本金を変更することができます。

とはいえ、増資・減資をするには手数料もかかるので、創業時に資本金を決める際は慎重に決めましょう。

6.初期の自己資金を確保するための4つの方法

6.初期の自己資金を確保するための4つの方法

会社を創業する際は、初期費用や運転資金の準備など膨大な費用がかかりますよね。

「思ったより初期費用で使ってしまい、資金が少なくなってしまった…」と焦っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、株式会社を設立しようとしている駆け出しの社長が、自己資金を確保するための方法を解説していきますね。

自己資金を確保する方法は下記の4つがあります。

初期の自己資金を確保する方法4つ
・国や自治体の補助金、助成金を活用する
・公的機関、金融機関から融資を受ける
・クラウドファンディングを行う

それぞれ確認していきましょう。

6-1.国や自治体の補助金・助成金を活用する

まずは、補助金や助成金を活用する方法です。

国やお住まいの地方自治体から、スタートアップを応援する補助金や助成金を受けることができます。

金融機関からの融資は返済が必要ですが、補助金や助成金は返済の必要がないため資金繰りに困りません。

会社設立時に利用できる補助金や助成金の一例をピックアップしました。

会社創業時に利用できる補助金・助成金
補助金名 内容 金額
都道府県による助成金や補助金

・新しく創業する会社の支援
(各都道府県により異なる)
・10~300万円程度
(地域で異なる)
小規模事業者
持続化補助金

・販路開拓にかかる経費の支援 ・上限50万円
(補助対象経費の3分の2以内)
地域中小企業
応援ファンド
(スタートアップ型)

・新商品開発、販路開拓などの支援 ・50 ~500万円程度
NEDOスタートアップ
企業支援

・先進的な技術や研究により事業拡大を目指す企業への支援 ・2,000万 円~25億 円などさまざま

このように地域や業種によって受けられる助成金・補助金があります。お住まいの地域や業種で受けられる補助金・助成金があれば、活用するとお得ですよ。

なお、会社設立時の助成金について知りたい方は、「【2024年度】会社設立に使える助成金・補助金の一覧」の記事もぜひ参考にしてください。
※ 制度内容、申請条件等については今後変更される可能性があります。各機関のホームページ等で最新の情報を直接ご確認ください。

6-2.公的機関・金融機関から融資を受ける

次に、公的機関や金融機関から融資を受ける方法があります。

融資を受ける方法は、銀行などの金融機関からの融資のほかに、公的機関からの融資もあります。おすすめは日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。

▶日本政策金融公庫とは
国が運営している金融機関で、「新創業融資制度」は会社を創業したばかりの方へ向けた融資制度

会社設立当初は信用力が低く、銀行からの融資が難しいケースもあります。しかし「新創業融資制度」は、創業してすぐの方も融資を受けやすく、連帯保証人がいらず、融資までのスピードが早いです。

会社設立して間もない方が融資を検討する際は、借りやすくリスクの低い「新創業融資制度」を検討してみるといいでしょう。

6-3.クラウドファンディングを行う

次にクラウドファンディングを行うという方法もあります。

▶クラウドファンディングとは
インターネットを通して自分の事業や夢などを発信することで、その思いに賛同した方から、資金を募る仕組み

誰でも挑戦することができ、賛同者がいれば資金調達ができるとともに、多くの方へ事業のPRもできます。

資金が集まらないケースはありますが、資金がマイナスになるといったリスクはないので、挑戦してみるのもおすすめですよ。

最後に、手数料のかからない銀行口座を開設するのも、自己資金を節約することができるのでおすすめです。

会社は取引件数が多ければ多いほど、資金の移動が必要になり、結果、銀行へ振込む回数も多くなるので、振込手数料も高くなってしまうためです。

1年間に1,000回振込む場合の振込手数料を見てみましょう。

【振込手数料が150円の場合】
150円 × 1,000回 = 150,000円
【振込手数料が300円の場合】
300円 × 1,000回 = 300,000円

1回の振込手数料の差が150円であっても、年間1,000回振込むと15万円の差になります。

無駄な出費を減らすためにも、手数料の安い銀行口座を開設するといいでしょう。

7.会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめ!

7.会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめ!

前章で解説したように、手数料のかからない銀行口座を使用すると資金の節約やコスト削減につながります。その1つとして、ネット銀行がおすすめです。

銀行口座といえば「大手」のイメージがありますが、実際には、創業当初はランニングコストを押さえられるネット銀行・資金調達するときは大手銀行と使い分けている方も多いです。

ネット銀行と店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)の主な違いは下表の通りです。

ネット銀行 店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)
ブランド力 無し 有り
口座開設審査にかかる時間 最短即日~2週間※1 2週間~3週間
店舗(対面窓口) 無し 有り
営業時間 24時間365日利用可能 ※2 平日9時〜15時 ※3
振込手数料
(他金融機関宛3万円以上)※4
145円〜229円 330円〜660円
口座維持費 ※4 無料 約1,700円〜3,200円(月額)

※1.GMOあおぞらネット銀行なら条件を満たせば最短即日口座開設も可能
※2.メンテナンス時など例外を除く。
※3.ATMは時間外も利用できるが手数料がかかる場合がある。
※4.手数料、維持費は各銀行で差異があり、また変更される可能性があります。

上表の違いをふまえて、ネット銀行をおすすめする理由は下記の3つです。

1.振込手数料が安い
2.ランニングコストが安い
3.忙しくても24時間365日利用できる

それぞれ見ていきましょう。

1.振込手数料が安い
ネット銀行は店舗型銀行と比べ振込手数料が安い傾向にあります。
店舗型銀行では振込手数料が「330円~660円」ほどかかるところ、ネット銀行では「145円~229円」ほどと、1件あたり185円もの差があります。※1
会社は他社への支払いや従業員への給与など、振込回数も多くなります。振込手数料を数百円安くするだけでも、大きな節約になりますよ。
2.ランニングコストが安い
ネット銀行は、店舗型銀行に比べてランニングコストも安いです。
店舗型銀行は口座維持費やインターネットバンキング利用料として月に約1,700円~3,200円かかるところ、ネット銀行は口座維持費が無料のところもあります。※1
ネット銀行にすると、年間で1万円~3万円程度の節約、10年で10万円~30万円程度の節約になりますよ。
3.忙しくても24時間365日利用できる
24時間365日利用できる点もネット銀行の魅力。※2
創業準備や創業後の忙しい時に、窓口やATMに出向くのは難しいこともあるでしょう。
ネット銀行なら、窓口やATMの営業時間を気にせず、いつでもご自宅から手続きができます。

※1.手数料、維持費は各銀行で差異があり、また変更される可能性があります。 ※2.メンテナンス時など例外を除く。

以上から、会社設立直後の口座開設はネット銀行がおすすめです!

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※1(1)取引責任者さまと代表さまが同一の場合 (2)自撮り動画(セルフィー動画)で本人確認をした場合
※2 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。
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まとめ

いかがでしたか。

株式会社を設立する際の資本金について分かり、資本金をいくらにするか判断することができたのではないでしょうか。

最後にこの記事をまとめましょう。

◎株式会社を設立する際の資本金の決め方

  1. 初期投資と半年分の運転資金を計算する
  2. 納税額が大きく変わる1,000万円未満にするかどうか決める
  3. 自社の業種が特定のもので最低資本金が決められているか確認する
  4. 実店舗の口座開設・融資を受けたい場合は100万円以上にするか決める

◎複数人で出資する場合は、持ち株の割合によって権利が変わるため注意

◎会社設立初期の自己資金を確保する方法

  • 補助金や助成金を利用する
  • 公的機関や金融機関の融資を受ける
  • クラウドファンディングする

この記事をもとに、あなたの資本金の設定がうまくいき、スムーズに株式会社を設立できることを願っています。

※ 本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。

※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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