専門家が教える|会社設立日で節税できる!設立日の決め方完全ガイド

「会社設立日っていつでもいいの?決めるルールや方法は?」
「記念になる特別な日を設立日にしたい。候補はあるけれどその日でいいのか決めかねている…」

初めての起業で設立手続きを控えたあなたは、こんな悩みをお持ちではないでしょうか。

会社設立日とは、設立の登記を法務局に申請して受理された日です。
日にちは、法務局が休みの土日祝日、年末年始以外であれば、自由に決められます。

この記事では、会社設立日の基礎知識をはじめ、参考になる「よくある会社設立日」、決める時の注意点を交えて分かりやすく解説します。

【本記事で分かること】
●会社設立日をいつにすればいいかわからない人
●会社設立日の決め方を知りたい人
●最適な日を設立日に選びたい人
●決めた設立日で後悔しないか不安に思っている人
●会社設立に縁起の良い日を知って参考にしたい人

会社設立日は1度決めると変更ができません。

いつでもいいと思っている方は、いまいちど、後々「なぜその日にしたのですか?」と聞かれたときに、どんな風に答えるかを考えてみてください。

理由の説明できない日より、意図のある設立日の方が、会社への愛着や誇りが感じられるのではないでしょうか。

思いを込めた日を選ぶことで、それが節目となり、事業へのモチベーションアップにもつながります。

本記事を読めば、あなたや仲間に1番ふさわしい『会社設立日』が決められますので、ぜひ最後まで目を通していただけたらと思います。

1.「会社設立日」は登記申請をした日

1.「会社設立日」は登記申請をした日

会社設立日は、設立の登記を法務局に申請した日です。

「登記が完了した日」ではなく「登記申請をした日」になります。
言い換えると、『法務局が登記申請を受け付けた日』ということです。

【会社・法人の設立年月日|法務局HPより】
“会社・法人は設立の登記をすることによって成立します。したがって、会社の設立年月日は、登記所(法務局)が当該会社の設立登記申請を受け付けた日ということになります。たとえば、登記所が株式会社の設立登記申請書を「令和2年7月1日」に受け付けたときは、当該株式会社の設立年月日は「令和2年7月1日」として登記されます。”
出典:法務局|商業・法人登記の申請書様式

まず1章では、起業前に知っておくべき「会社設立日」についての基礎知識を解説します。

●登記の申請方法によって会社設立日が変わる
●会社設立日にできない日
●注意!会社設立日と混同しやすい日
●会社設立日の基礎知識|まとめ

よく読んで把握しておきましょう。

1-1.登記の申請方法によって会社設立日が変わる

会社設立日は『法務局が登記申請を受け付けた日』ですが、申請方法によって「受け付けた」日は変わるので注意が必要です。

登記の申請(提出)には「窓口」「郵送」「オンライン」の3つの種類があり、どの方法を選ぶかによって、会社設立日が変わります。

下表をご覧ください。

【3つの申請方法による会社設立日】
申請方法 会社設立日
①法務局の窓口で申請する 申請を行い受理された日
②郵送で申請する 法務局に書類が到着した日
③オンラインで申請する※ 申請先の登録所にデータが受理された日

いずれも、申請書類に不備がなく差し戻しがなかった場合で、仮に不備があった場合は、再申請して受理された日が会社設立日になります。

チェック!
※【オンライン申請システム|「登記ねっと 供託ねっと」】

法務局では、登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」というサービスを運営しています。

「登記ねっと 供託ねっと」を利用すると、インターネット上から商業・法人登記の手続きが行えます。

<「登記ねっと 供託ねっと」利用時間>
平日:8時半〜21時
(土日祝日、年末年始は利用できません。また、平日17時15分以降の申請データの受理は翌営業日になります。)

参照:登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」

1-2.会社設立日にできない日

「土日祝日」と「年末年始」は会社設立日にできない!

会社設立日は自由に決められますが、法務局が休みの下記期間は設定することができません。

●土日祝日
●年末年始(12月29日〜1月3日)

郵送やオンライン申請であっても、この期間は会社設立日に設定できないので覚えておきましょう。

1-3.注意!会社設立日と混同しやすい日

会社設立日と混同しやすい日として、下記の3つがあります。

・登記完了日
・創立日
・事業開始日

これらは似ているようですが、意味がまったく違います。

それぞれの概要を理解しておきましょう。

1-3-1.登記完了日

「登記完了日」は、法務局に申請した登記が完了した日のことです。

登記を申請すると、法務局では提出された書類を精査し、謄本を作成する作業が行われます。

作業が完了するまでには、一般的に5日から1週間程度の日程を要します。

つまり、登記完了日は、「会社設立日(申請日)」の約1週間後になるということです。

1-3-2.創立日

創立日は、一般的には学校や団体が事業を始めた日のことです。

企業に「創立」という言葉が使えないわけではありませんが、多くの場合、創立した後、事業が拡大して「設立」に至ります。

たとえば、個人商店を例にとると、個人商店のまま事業を続ける場合は「〇年〇月〇日創立」で、「設立」とはなりません。

規模を拡大して「株式会社〇〇」として法人登記を申請した場合に、その日が設立日になります。

1-3-3.事業開始日

事業開始日とは、会社として事業や営業を開始した日のことです。

たとえば、それまで個人事業主として、同様の事業を営んでいた場合も、法人としての事業開始日は、会社設立日以降になります。

ただし、会社設立日の翌日からすぐに事業を始められるというわけではなく、事業を開始する前に、会社の銀行口座を作る必要があります。

会社の口座は、登記を完了して登記簿謄本を取得しなければ作れないので、会社設立日から事業開始日までには、短くとも1週間程度の日数がかかると思っておいた方が良いでしょう。

1-4.会社設立日の基礎知識|まとめ

会社設立日について、ここまで述べた内容をまとめます。

「会社設立日」のまとめ
● 会社設立日は『法務局が登記申請を受け付けた日』
● 3つの申請方法によって「受理した日」は変わるので注意が必要
● 土日祝日と年末年始は会社設立日に設定できない
● 会社設立日から事業開始日までには、短くとも1週間程度の日数がかかる

この章の終わりに確認しておきたいことが、もう1つあります。

それは、『会社設立日は1度決めると変更できない』ことです。

法人の登記内容について、名称や住所などの情報は設立後の変更が可能ですが、設立日だけは変更ができません。

選んだ理由を説明できるような設立日、後悔のない設立日にしたいとお考えの方は、しっかり検討して納得できる日に、登記申請を行いましょう。

選び方がわからないという方は、次章で「よくある会社設立日」を紹介しますので、参考にしてください。

2.よくある「会社設立日」一覧

会社設立日について基本的なことを解説しましたが、「では “いつ” にしよう?」と考えると、決めかねてしまう方がいるかもしれません。

そこで、参考となる『よくある会社設立日』の一覧を作成しましたのでご覧ください。

①六曜
  1. 大安
  2. 先勝(午前中)
②縁起の良い日
  1. 一粒万倍日
  2. 天赦日
③メモリアルデー
  1. 誕生日(自分、パートナー、子ども、恩人など)
  2. 結婚記念日
  3. 想い出のある日

それぞれ分かりやすく解説していきましょう。

2-1.六曜(大安・先勝)

会社設立日を、六曜の縁起の良い日に設定することは少なくありません。

選ばれるのは、主に、何をしても吉(適する)といわれる「大安」か、“先んずれば即ち勝つ”という意味がある「先勝(せんしょう・せんかち)」です。

六曜とは、中国で生まれた概念ですが、日の吉兆を判断する考え方で、具体的には、下記の6つをさします。

【六曜】※上から縁起の良い順
● 大安
● 友引
● 先勝
● 先負
● 赤口
● 仏滅

友引(ともびき・ゆういん)は元々“友を幸せに引き寄せる”という意味があり、2番目に縁起がいいとされますが、“共に引き分け(勝負がつかない)”、“亡き人が友を呼び寄せる”といった意味合いもあることから、会社設立日には向きません。

また、先勝はその言葉通り、「先んじて」、つまり早めに行動することで良い結果(勝ち)を得られる日です。

先勝を会社設立日に選ぶ場合は、午前中の早い時間に登記申請を行うと良いでしょう。

2-2.縁起の良い日

六曜以外にも、会社設立日に適している縁起の良い日があります。

● 一粒万倍日
● 天赦日

どんな日なのかを順に説明します。

2-2-1.一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)

一粒万倍日は、「一粒の籾(もみ)が万倍にもなって実る」という意味を持つ、縁起の良い日として知られています。

この日に物事を始めると、その成果が何倍にもなって返ってくるといわれていて、会社設立日にふさわしい日です。

【一粒万倍日の決め方】
一粒万倍日は、立春や立夏、夏至や冬至などの二十四節気※と、干支(えと)の循環によって決まります。
たとえば、立春から啓蟄の前日までは丑(うし)と午(うま)の日が、啓蟄から清明の前日までは寅と酉(とり)の日が、一粒万倍日に当たります。
12ある干支のうち2つが該当するので、およそ6日に1回のペースとなり、月に5日、年間で60日余りが一粒万倍日にあたります。

※二十四節気:1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの

財布を新調する人も多い「一粒万倍日」は、『新しいことを始めて発展させたい日』に選ばれやすく、会社設立日に適しています。

しかし、一粒万倍日であっても、六曜でよくないとされる「仏滅」と重なった場合、「悪い運気を一万倍にする」として避ける場合があります。

ただ一方で、「良くない運気を打ち消す」として、敢えて2つが重なった日を選ぶ人もいます。

決まりはありませんので、一粒万倍日と仏滅が重なったときは、ご自身で納得できる解釈を選ぶようにしてください。

2-2-2.天赦日(てんしゃび)

日本の暦の中で最高の吉日とされる天赦日は、会社設立日に適しています。

天赦日は、大安よりも縁起のよい日とされ、その日に始めた事は何事も成功するといわれています。

【天赦日とは】
天赦日には、「天が赦す(ゆるす)」という字の通り、「天が地上のあらゆる物の罪をゆるす日」という意味があります。
3,000年以上前、中国で誕生した陰陽五行説と十干十二支が元になっていて、日本でも、江戸時代以前から吉日として言い伝えられてきました。
二十四節気に基づいた季節の区切り(節切り)と、干支によって決定され、年ごとに5日〜6日ほど巡ってきます。

天赦日は、六曜の「仏滅」と重なっても、不吉さを打ち消して良い方向に向かうとされており、会社設立日にふさわしい日といえるでしょう。

「一粒万倍日」と「天赦日」のどちらが縁起がいいのかと迷う人がいるかもしれませんが、2つは由来が違うため比較はできません。

ただ「天赦日」は日本の暦の上では最大の吉日であり、年に5日〜6日しかないため、価値のある日といえそうです。

また、稀に、「一粒万倍日」と「天赦日」が重なったり、どちらかと「大安」や「先勝」が重なることがあり、その日は特に縁起の良い貴重な日とされます。

チェック!
【2024年|特に縁起の良い日】

2024年の吉日が重なっている日を例としてご紹介します。
なるべく縁起の良い日を設立日にしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

● 1月16日(火):大安・一粒万倍日
● 3月15日(金):先勝・天赦日・一粒万倍日
● 3月27日(水):先勝・一粒万倍日
● 7月29日(月):大安・天赦日・一粒万倍日
● 10月11日(金):大安・天赦日

※吉日であっても法務局が休日の土日祝日は会社設立日にできないため省きました。

2-3.メモリアルデー

個人的なメモリアルデーを、会社設立日に設定することも珍しくありません。

メモリアルデーを会社の設立日にすると、「大事な日なので忘れにくい」「思い出が想起されて気分が上がる」というメリットがあります。

メモリアルデーの例をあげてみましょう。

● 誕生日(自分、パートナー、子ども、恩人など)
● 結婚記念日
● 一緒に設立する仲間と出会った日
● 始める事業との出会いがあった日
● 会社を設立することを決めた日
● 尊敬する歴史上の人物や著名人にまつわる日

こうした思い入れのある日を会社設立日にすることで、決意が新たとなり、モチベーションアップにつながります。

3.節税を考えるのであれば1日は避けよう

会社設立日は、法務局が営業している日の中で自由に決められますが、少しでも節税したいとお考えなら『毎月1日は避ける』ことをおすすめします。

1日を避けることで、初年度の法人住民税の均等割の額を、「5,900円」程度抑えられるからです。

【住民税の均等割】
会社を設立すると、法人税に加えて住民税を支払わなければなりません。
住民税には均等割といって、赤字であっても納めなければならない税金が発生します。

均等割は、地域によっても異なりますが、東京では資本金の額が1,000万円以下で、従業員50人以下の会社の場合、1年(12カ月)で約7万円となっています。

ただ、1カ月に満たない月があった場合、その月は切り捨て扱いになり、法人住民税を支払わずに済みます。

つまり、設立日を2日以降とすると設立初月は切り捨てられ、設立初年度は11カ月として計算されるので、それだけ税金が安くなるのです(1事業年は12カ月の場合が前提)。

東京を例にとった場合、住民税均等割は7万円ではなく約64,100円となり、5,900円程度節税できることになります。

<計算式>
◯ 7万円(住民税均等割)÷12(事業月数)=5,833円(小数点以下切り捨て)
◯ 5,833円×11(設立日を2日以降に設定した時の事業月数)=64,100円(100円未満切り捨て)

金額的には少額ですが、1日を避けさえすればできる簡単な節税なので、特別な思い入れがないなら、設立日は2日以降を選びましょう。

ただし、メモリアルデーが1日だという人、6,000円程度の節税ならキリの良い1日を設立日にしたいといった場合は、この限りではありません。

4.会社設立日に関する3つの注意点

会社設立日に関して、注意しておいて欲しいことが3つあります。

● 会社設立日は変更できない
● 申請するのは管轄の法務局
● 会社設立日に間に合うように書類を揃える

申請前によく読んで、しっかり把握しておきましょう。

4-1.会社設立日は変更できない

冒頭で述べたように、会社設立日は1度決めたら変更できません。

「登記申請した日=会社設立日」で、申請日以外の日にちを指定することも不可能です。

たとえば、後からその日が仏滅だったことに気づいたり、何か気がかりが出て変更を申し出ても許可されません。

会社の名称や住所などは後から変更できますが、会社設立日については一切変更が認められないのです。

郵送やオンライン申請で申請すると、何らかのトラブルで受理が予定の日にちとずれる可能性があります。

したがって、会社設立日にこだわりたい人は、希望の日に法務局の窓口に出向いて登記申請を行うことをおすすめします。

4-2.申請するのは管轄の法務局

登記申請は、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出する必要があります。

管轄の法務局以外に提出しても、申請が却下されてしまうので注意してください。

会社の法人登記は、北海道、東京都、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県、神奈川県を除く府県では、同一府県内であれば、すべてその府県の府県庁所在地に設置されている管区法務局、または地方法務局が管轄します。

たとえば、千葉県なら千葉地方法務局が、兵庫県なら、神戸地方法務局が兵庫県全域を管轄しています。

ただ、管轄の法務局であっても、申請受付に対応していないところもあります。
特に官内の出張所では、証明書の交付のみ受け付けているという場合が少なくありません。

トラブルを避けるため申請を予定している法務局が、登記申請を受け付けているかどうか、事前に確認するようにしましょう。

参照:管轄のご案内|法務局

4-3.会社設立日に間に合うように書類を揃える

会社設立日(申請する日)を決めたら、それに間に合うように書類の準備をしなくてはなりません。

登記には、申請書以外に必要な書類が10種類ほどもあり、中には手続き完了までに時間を要する書類もあります。

当日までに不備のない書類が揃っていなければ、せっかく決めた会社設立日に申請書が提出できません。

設立登記申請時に必要とされる、一般的な書類は以下の通りです。

● 定款
● 登録免許税納付用台紙
● 発起人決定書(発起人議事録)
● 代表取締役の就任承諾書(取締役が1名のみで代表取締役と兼務する場合は不要)
● 取締役の就任承諾書※
● 監査役の就任承諾書(設置しない場合は不要)
● 取締役の印鑑証明書※
● 印鑑届書
● 出資金の払込証明書
● 登記すべき事項を記録・保存した別紙、記録媒体

※1人で起業する場合は発起人兼取締役である自身の書類が必要です。

設立する会社の種類や定款の記載内容によっては、さらなる書類が必要な場合もあります。

登記申請書を含め、書類や記載事項に不備があると、差し戻しとなり、その日に申請を受理してもらえなくなってしまいます。

前もって法務局の登記相談窓口や司法書士、税理士などの専門家に相談のうえ、目当ての日に滞りなく申請ができるように、準備しましょう。

参照:商業・法人登記申請手続き|法務局

5.「会社設立日」決定後すぐ必要な3つのこと

5.「会社設立日」決定後すぐ必要な3つのこと

これから会社を設立する方は、今は登記申請のことで頭がいっぱいかもしれませんが、申請書が受理され登記が完了したら、できるだけ早く行わなければいけないことがあります。

● 法人実印を登録する
● 登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する
● 法人口座を開設する

それぞれ解説します。

登記完了後に焦らないで済むように、その後のこともしっかり頭に入れておきましょう。

5-1.法人実印を登録する

登記申請が完了したら、なるべく早く法人実印を印鑑登録する必要があります。
印鑑登録をすることで、印鑑カードが交付され、印鑑証明を交付してもらうことが可能になります。
法人登記の際に取得した印鑑証明書は発起人個人のもので、法人の印鑑証明書を取得するためには、新たに手続きを行う必要があるのです。

印鑑証明書は、法人口座開設や年金事務所への届出のほか、法人としての諸契約を行う際に必須です。

したがって、すぐ印鑑登録できるように法人実印は、あらかじめ準備しておきましょう。

法人実印に規定はありませんが、二重の円になっていて、内側の円に「代表取締役印」などが入り、外側の円には会社名が入るようになっているものが一般的です。
参照:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式|法務局

なお、印鑑作成ついて詳しく知りたい方は、「会社設立に必要な印鑑とは?種類や使い方、印鑑登録の方法まとめ」の記事もぜひ参考にしてください。

5-2.登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する

登記申請完了後は、早めに登記事項証明書(登記簿謄本)を取得してください。

登記事項証明書(登記簿謄本)は、印鑑証明書と同様に、法人口座開設や年金事務所への届け出など各種の届出の際に必要です。

期限があるわけではないですが、多くの局面で必要になるため、最優先で取得しておいた方が良いでしょう。

登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する手続きは、法人登記を行う際と同様に、「法務局窓口」、「郵送」、「オンライン」の3つの方法で行えます。

参照:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式|法務局

5-3.法人口座を開設する

登記が完了したら、最優先で行うべきなのが法人口座の開設です。

最優先するべき理由は3つあります。

● 法人口座がなければ社会的信用が得にくい
● 法人口座がなければほとんどの場合、融資が受けられない
● 会計処理や税務処理を正しく行うため法人口座が必要

金融機関の口座名義が会社名になっている法人口座がなければ、創業期の会社は実績がないため、融資を受けるのは困難です。

取引を行うにも信用度が低いと思われてしまうため、スムーズにいかない場合もあります。

また、「ビジネスで使うお金」と「プライベートで使うお金」をしっかり分けておかないと、会計処理や税務処理を正しく行うことができません。

実際問題、法人口座がなければ事業が開始できないといっても過言ではないでしょう。

したがって、会社を設立したら、まず、法人口座を開設することをおすすめします。

次章で、創業期の法人口座開設について詳しく解説しますので、そちらも参考にしてください。

6.創業期の法人口座はネット銀行がおすすめ

会社設立が完了する前に、あらかじめ法人口座をどこで開設するのか決めておきたいですよね。

法人口座には、大きく分けると、

・店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)
・ネット銀行

という選択肢があります。

個人口座と同じ銀行でいいと簡単に考える人もいますが、特に創業期では、『ネット銀行』がおすすめです。

なぜならネット銀行は店舗型銀行よりも振込手数料や口座維持費・インターネットバンキング等の利用料が安い上に、24時間365日当日振込が可能で忙しい創業期にピッタリだからです。

ここでは、創業期の法人口座としておすすめのネット銀行について、詳しく解説します。

● 【比較一覧】「ネット銀行」と「店舗型銀行」の違い
● 創業期の法人口座開設でネット銀行がおすすめな4つの理由

早めに知って理解しておきましょう。

6-1.【比較一覧】「ネット銀行」と「店舗型銀行」の違い

ネット銀行は、店舗を持たず、インターネット上での取引を中心としている銀行のことです。

店舗型銀行との違いを、見やすく一覧にしましたのでご覧ください。

  ネット銀行 店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)
ブランド力 無し 有り
口座開設審査にかかる時間 最短即日~2週間※1 2週間~3週間
店舗(対面窓口) 無し 有り
営業時間 24時間365日利用可能 ※2 平日9時〜15時 ※3
振込手数料
(他金融機関宛3万円以上)※4
145円〜229円 330円〜660円
口座維持費・インターネットバンキング利用料等※4 無料 約1,700円〜3,200円(月額)

※1.GMOあおぞらネット銀行なら条件を満たせば最短即日口座開設も可能
※2.メンテナンス時など例外を除く。
※3.ATMは時間外も利用できるが手数料がかかる場合がある。
※4.手数料、維持費は各銀行で差異があり、また変更される可能性があります。

ブランド力において、ネット銀行は店舗型銀行に劣りますが、その分、店舗型銀行の方が法人口座開設にかかる審査が厳しいです。
未だ実績のない創業期の会社は信用が得にくく、どうしてもハードルが高くなります。

また、通過するとしても、店舗型銀行は結果が出るまで早くて2週間、遅いと3週間ほどもかかるというデメリットがあります。

ネット銀行なら、審査結果は当日〜2、3日でスピーディー、口座開設審査も店舗型銀行と比較すると柔軟に対応してくれることが多いです。

ネット銀行と店舗型銀行の何より大きな違いは『店舗の有る無し』で、これによって下記のメリットが生じます。

● ネット銀行なら24時間365日、時間と場所を選ばない
● ネット銀行の方が手数料・維持費が安い(諸経費、人件費が抑えられるため)

このメリットはそのまま、次項でお伝えする “創業期の法人口座に「ネット銀行」をおすすめしたい理由” につながります。

6-2.創業期の法人口座開設で「ネット銀行」がおすすめな4つの理由

初めての法人口座開設で、忙しい中、審査で待たされたあげく開設できないなんてことは避けたいですよね。

また、何かとお金が必要な創業期には、手数料や維持費を少しでも安くしたいとお考えでしょう。

そんな創業期の法人口座だからこそ「ネット銀行」をおすすめします。

「ネット銀行」を推したい理由は4つです。

①申込がオンライン上で完結する(一部郵送対応もあり)
②振込手数料が安い
③口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料
④24時間365日いつどこでも操作できる

下表をご覧ください。

①申し込みがオンライン上で完結する(一部郵送対応もあり)
完了までがスピーディーかつスムーズに行われるのが、創業期には何より魅力!
店舗型銀行で、設立間もない会社が法人口座を開設しようとすると、たくさんの書類のやり取りが必要になり、場合によっては店舗での面談(Web面談)も必要となります。
ネット銀行なら、基本的には書類の提出はオンライン上で完結することが多いです。
②振込手数料が安い
ネット銀行をおすすめしたい理由の2つめは、高額な振込手数料が安くなること。
店舗型銀行なら「330円〜660円程度」かかる他金融機関宛て3万円以上の振込手数料が、ネット銀行なら「145円〜229円」。
法人は取引先との振込や給与振込等、振込先が多い多いため、件数や年数が積み重なるにつれ、この差額は大きく響いてきます。
③口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料
ネット銀行は、口座維持費やインターネットバンキング利用料が無料です。
店舗型銀行なら口座維持費は、月額1,700円〜3,200円程度です。仮に、月2,000円とすると維持費だけで年間20,000円もかかることになり、違いは歴然です。
④24時間365日いつどこでも操作できる
4つめの理由は、取引も振込も時間に縛られず、24時間365日いつどこでも操作できること。(※1)
店舗型銀行なら、営業日の15時以降および銀行窓口休業日は基本的に翌営業日扱いになりますが、ネット銀行は休業日を気にすることはありません。

15時を過ぎても当日振込が可能です。(※2)

忙しい創業期に、銀行の営業時間に合わせて窓口に出向く必要がなく、早朝でも深夜でも、移動中であっても、スマホやパソコンから簡単に操作できるのが、ネット銀行の魅力です。

(※1)システムメンテナンス等を除く
(※2)着金タイミングは相手先銀行による

いかがでしょうか。

会社設立後の法人口座開設では、スピーディーでメリットの多い「ネット銀行」の利用を検討しましょう。

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① 条件を満たせば最短即日(※1)法人口座開設で事業もスピーディーに始められる
② 業界最安値水準の振込手数料145円!!(※2)創業期に嬉しいコストカットが可能
③ 24時間365日いつでも取引可能(※3)15時を過ぎても当日振込にできる!(※4)

※1 (1)取引責任者さまと代表者さまが同一の場合 (2)自撮り動画(セルフィー)での本人確認の条件を満たした場合
※2 2023年12月時点GMOあおぞらネット銀行調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行。各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除く
※3 システムメンテナンス時を除く
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まとめ

会社設立日は、『法務局が登記申請を受け付けた日』です。

法務局が休みの、土日祝日と年末年始は会社設立日に設定できないので注意しましょう。

申請方法は、

● 窓口
● 郵送
● オンライン

の3つから選べますが、郵送やオンライン申請は、何らかのトラブルで受理が予定の日にちとずれる可能性があります。

会社設立日は1度決めたら変更することができません。

設立の日にこだわりたい人は、法務局の窓口に直接出向いて登記申請を行うことをおすすめします。

起業に関するあなたのお悩みの解消に、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

※ 本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。

※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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