会社設立と個人事業主どちらが良い?法人化に最適なタイミングも解説

何かしらのビジネスを始める場合、「個人事業主が良いのか?会社設立してしまった方が良いのか?」と悩む方も多いかもしれません。

結論からいってしまうと、個人事業主から始めて、軌道に乗ったら会社設立するのがおすすめです。なぜならば、会社設立には手間も時間もかかるからです。

個人事業主会社設立比較

ただし、最初から会社設立がおすすめなケースも存在します。

最初から会社設立した方が良い2つのケース

①大企業など信用を重要視する会社と取引したい場合

②出資や金融機関からの融資を受けたい場合

この記事では、個人事業主と会社設立ではどちらが良いのか、どんな違いがあるのかなど、「ビジネスを始めるうえでどちらがオトクか」という目線で解説していきます。

結論からいうと、最初は個人事業主から始めて、以下のタイミングで会社を設立するのが王道です。

個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング

※❷について:適格登録事業者になる場合はこの限りではありません。詳細は後述「3-2. 売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミング」をご確認ください。

会社を設立するか迷っている方は、この記事を読めば最適なタイミングを理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みいただき参考にしてください。

1. 個人事業主から始めて【軌道に乗ったら会社設立】が定石

個人事業主から始めて【軌道に乗ったら会社設立】が定石

冒頭でも示したとおり、ビジネスを始める際に「個人事業主か?会社設立か?」迷った場合には、個人事業主から始めて軌道に乗ったら会社設立が定石です。

なぜ最初は個人事業主が良いかというと、会社を設立するためにはお金も時間もかかるからです。

【個人事業主と会社を設立する場合の違い】

個人事業主として開業 会社を設立
事業開始時の
費用
無料
0円(かからない)
120万円〜(目安)
株式会社なら120万円程度
準備する人が多い
事業開始の
手続き
カンタン
開業届を提出するだけ
大変
法人登記が必要(定款や会社実印も必須)
社会保険の
加入義務
5人未満なら加入義務なし 1人社長でも加入義務あり
経理・申告 カンタン
比較的かんたん
難しい
税理士が必要になるケースが多い

会社の設立にはお金も手間もかかりますし、社会保険の加入義務もあります。さらに、日々の経理事務や税務申告も難しいため、税理士が必要になるケースがほとんどです。

いきなり会社を設立するのはハードルが高いため、これから事業を始める段階では、個人事業主からスタートとして軌道に乗ってから法人化がおすすめなのです。

ただし、最初から会社を設立した方が良いケースもあります。どのようなケースか、次章で解説していきます。

2. 最初から会社を設立した方が良い2つのケース

最初から会社を設立した方が良い2つのケース

1章で解説したとおり、通常は個人事業主から始めて軌道に乗ってから会社を設立するのがスタンダードです。しかしながら、最初から会社を設立した方が良いケースもあります。

以下に該当する場合には、個人事業主からではなく最初から会社設立が向いています。

最初から会社を設立した方が良い2つのケース

①大企業など信用を重要視する会社と取引したい場合

②出資や金融機関からの融資を受けたい場合

それぞれ詳しく説明していきましょう。

2-1. 大企業など信用を重要視する会社と取引したい場合

大企業など、信用を重要視するような会社と取引したい場合には、会社設立が向いています。

企業や業界によっては、「個人事業主とは契約しない」「法人としか取引しない」というケースがあります。そのような場合、個人事業主としてビジネスを始めても契約してもらえません。

個人事業主であることを理由に断られてしまう事例

  • リース会社と契約したかったが、「法人としか契約できない」と言われてしまった
  • 人気の商業施設に出店したかったが、「テナント契約は法人のみ」と断られた
  • 物件を借りようと思ったら「法人にしか賃貸物件を貸せない」と断られた
  • 講演の依頼を受けようとしたら「フリーランスの方との取引はNG」と言われてしまった

個人事業主は、開業届を提出するだけで簡単になれてしまうため、社会的信用といった面では法人と比べると獲得しづらいのが実情です。

ビジネスを始める前に、主要となる取引先がどのような姿勢であるかを下調べしておくと良いでしょう。

2-2. 出資や金融機関からの融資を受けたい場合

第三者からの出資や金融機関からの融資を受けたいなど、資金調達を有利に運びたい場合にも、会社設立が向いています。

なぜならば、個人よりも法人の方が審査が通過しやすく、金額も法人の方が多く融資してもらえることが多いからです。

さらに、株式発行などの出資を集める方法もあり、さまざまな方法での資金調達が可能です。

幅広い資金調達の方法を確保したい場合には、個人事業主よりも会社設立が向いています。

3. 個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング

個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング

ここからは、最初は個人事業主としてスタートした場合に「どのタイミングで会社設立すべきか」を詳しく解説していきます。

個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング

  • 個人事業の所得が800万円を超えたタイミング
  • 売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミング
  • さらにビジネスを拡大していきたいタイミング

3-1. 個人事業の所得が800万円を超えたタイミング

個人事業の所得が800万円を超えたタイミングで会社を設立すると、納税金額を抑えられるのでおすすめです。

個人事業主の場合、事業を通じた利益には「所得税」が課されます。所得が増えるほど税率が上がる累進課税制度となっており、所得が少なければ税率も5%と低いのですが、所得が増えるごとに税率がどんどん上がっていきます。

【個人事業主が課される所得税の税率】

所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超 330万円以下 10%
330万円超 695万円以下 20%
695万円超 900万円以下 23%【所得800万円の方の税率】
900万円超 1,800万円以下 33%
1,800万円超 4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

【法人が課される法人税の税率】

法人所得額(資本金1億円以下の場合) 税率
800万円以下 15%【所得800万円の方の税率】
800万円超 23%

個人事業主の場合は、所得金額が695万を超えてくると税率が23%課せられます。そして個人事業主の場合は累進課税となっているため、所得が高ければ高いほど税率が高くなります。一方で法人税は最大税率が23%と個人事業主より税率が穏やかです。

例えば、所得が800万円に対する企業の法人税は15%なのに対し、個人事業主は23%と割高です。

所得が少ないうちは個人事業主の方が税負担が少ないのですが、一般的に、所得が800万円を超えてくると法人化した方がメリットが大きいといわれています。

※法人税以外にも法人にかかる税金があります。詳しくは「4-3. 課税される税金の違い」を参照。

ただし、税負担を軽減できるタイミングは状況によって異なるため、事業所得が700万円を超えたタイミングで会社設立を検討してみると良いでしょう。

3-2. 売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミング

事業の売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミングも、個人事業主が会社を設立するに適したタイミングです。なぜならば、このタイミングで会社を設立することで、消費税の納付を最大2年間免れることができるからです。

もう少し詳しく説明すると、本来ならば売上高が1,000万円を超えた2年後(または1月1日〜6月30日の売上高または給与支払額が1,000万円を超えた翌年)に消費税の納税義務が発生します。しかし、そのタイミングで会社を設立すると「新設法人の納税義務の免除」が使えるのです。

新設法人の納税義務の免除を受けられる要件

会社設立1年目:

  • 設立時資本金が1,000万円未満であること

会社設立2年目:

  • 2期目期首資本金が1,000万円未満であること
  • 以下のいずれかの条件を満たしていること

(1)事業開始後1期目の前半6カ月における課税売上高が1,000万円以下
(2)事業開始後1期目の前半6カ月における給与等の支払総額が1,000万円以下

ただし、2023年10月から始まったインボイス制度により、事態は少し複雑になっています。

インボイス(適格請求書)を発行できる適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者になる必要があり、消費税を納税する必要が発生するのです。

つまり、適格請求書発行事業者の場合には、ここで説明した「新設法人の納税義務の免除」を活用できないので注意しましょう。
(なお、インボイス制度の適用を受けたために、納税義務が発生することとなった法人は消費税の納税額が売上にかかる消費税の2割で済むといった、「2割特例」という経過措置もあります。
参考:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁 (nta.go.jp)

3-3. さらにビジネスを拡大していきたいタイミング

法人化することでビジネスチャンスが広がる

  • 対外的信用力が向上する
  • 法人でなければ契約できない会社と取引できるようになる
  • 優秀な人材を採用しやすくなる
  • 株式の発行など資金調達の選択肢が増える

本格的にビジネスを拡大したい方は、個人事業主から会社にステップアップすることを検討してみましょう。

4. 個人事業主と会社設立の違い

個人事業主と会社設立の違い

ここからは改めて、個人事業主として事業を行うか、会社を設立するかの違いを比較していきましょう。

【個人事業主と会社を設立した場合の違い】

個人事業主として開業 会社を設立
事業開始時の費用 0円(かからない) 株式会社:最低でも約20万円
合同会社:最低でも約10万円
別途、資本金の準備が必要
事業開始の手続き 開業届を提出するだけ 法人登記が必要
(定款や会社実印の用意も必須)
課税される税金 所得税・個人住民税・消費税・個人事業税 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税など
社会的信用度 法人と比べると低い 高い
経理・申告 個人の確定申告
(比較的かんたん)
法人決算書・申告
(税理士が必要になるケースが多い)
加入する社会保険 国民年金と国民健康保険に
加入する人が多い
1人社長であっても
厚生年金と健康保険に加入義務あり

4-1. 事業開始時にかかる費用の違い

個人事業主として開業 会社を設立
事業開始時の費用 0円(かからない) 株式会社:最低でも約20万円
合同会社:最低でも約10万円
別途、資本金の準備が必要

事業を開始するタイミングでかかる費用は、個人事業主の場合には0円ですが、会社を設立する場合には最低でも約10万円がかかります。

上記はあくまで「最低費用」であり、実際には資本金を別途準備することになります。資本金は1円からでも登記は可能ですが、少なすぎると社会的信用度が低くなる恐れがあります。

会社を設立する時の費用については、「株式会社120万・合同会社60万円|会社設立の費用を徹底解説!」で詳しく解説しています。

4-2. 事業開始の手続きの違い

個人事業主として開業 会社を設立
事業開始の手続き 開業届を提出するだけ 法人登記が必要
(定款や会社実印の用意も必須)

事業を開始するときの手続きは、個人事業主と会社設立ではかなり大変さに差が生まれます。

個人事業主として開業する場合には、開業届を税務署に提出するだけです。青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も一緒に提出します。

一方、会社を設立するには「法人登記」という手続きが必要です。また、定款や会社実印も用意しなければなりません。

会社を設立する時の手続きはいくつか注意点があるので、十分留意したうえで手続きを進める必要があります。詳しくは、「株式会社設立の流れ|法人登記9ステップ+登記後4ステップを解説」の記事をぜひ参考にしてください。

4-3. 課税される税金の違い

個人事業主として開業 会社を設立
課税される税金 所得税・個人住民税・消費税・個人事業税 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税など

個人事業主と法人では、課税される税金の種類がまったく違います。

事業所得にかかる税金は、個人事業主の場合は所得税、法人の場合には法人税です。

先ほど「3-1. 個人事業の所得が800万円を超えた場合」で解説したとおり、個人事業主は所得が低いうちには所得税の税率も5%と低いのですが、所得が増えるに従って税率が高くなり、最大で45%となります。

一方で、会社を設立した場合に所得に応じてかかる法人税は、最大で23%となっています。そのため、所得が増えてきた場合には、法人化を検討することをおすすめします。

ただし、会社を設立した場合に支払う法人住民税は、赤字であっても均等割部分の支払いが発生します。個人事業主の場合は赤字ならば住民税は発生しません。

4-4. 社会的信用度の違い

個人事業主として開業 会社を設立
社会的信用度 法人と比べると低い 高い

社会的信用度を比べると、個人事業主よりも「会社を設立した場合のほうが高い」といえます。

法人相手にしか契約を行わない企業もありますし、融資を受ける場合にも法人の方が融資を受けやすいといえます。

ただし、フリーランスの雇用が多い業種・職種であれば、個人事業主であることがマイナスにならないこともあります。

4-5. 経理・申告の違い

個人事業主として開業 会社を設立
経理・申告の違い 個人の確定申告
(比較的かんたん)
法人決算書・申告
(税理士が必要になるケースが多い)

個人事業主と法人では税務申告の種類が異なり、日々の経理の難易度も異なります。

個人事業主の場合は「確定申告」が必要ですが、比較的簡単にできるため自分でできるケースも多いでしょう。

一方で会社を設立した場合には、個人事業主よりも厳密な会計処理が必要となります。個人で対応が難しくなることが多く、税理士などの専門家に依頼する必要性が出てくるケースがほとんどです。

4-6. 加入する社会保険の違い

個人事業主として開業 会社を設立
加入する社会保険 国民年金と国民健康保険に
加入する人が多い
1人社長であっても
厚生年金と健康保険に加入義務あり

加入する社会保険にも違いがあります。

個人事業主として開業する場合には、国民年金と国民健康保険に加入することがほとんどです。一方、会社を設立した場合には、1人社長であっても厚生年金と健康保険に加入しなければなりません。

個人事業の場合、一定の業種で5人以上雇用する場合のみ厚生年金や健康保険への加入義務が発生します。

5. 個人事業主と会社設立のメリット・デメリットまとめ

個人事業主と会社設立のメリット・デメリットまとめ

ここまで解説した内容を基に、もう一度、個人事業主と会社設立のメリット・デメリットをそれぞれまとめてみましょう。

5-1. 個人事業主のメリット・デメリット・向いている人

個人事業主のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

個人事業主のメリット

  • 事業を始める時に費用が掛からず、手続きも簡単に終わる
  • 所得が低いうちは所得税の税率も安い
  • 赤字の場合には所得税や住民税を支払わなくて良い
  • 経理業務や確定申告が比較的簡単
  • 厚生保険への加入義務がない

個人事業主のデメリット

  • 社会的信用度が法人と比べると低い
  • 取引先によっては、個人と契約してくれない企業がある
  • 所得が多くなればなるほど、所得税の税率が高くなる

メリットとデメリットを見比べると、個人事業主に向いている人は次のような人であることが分かります。

個人事業主が向いている人

  • 開業時にはあまりお金をかけたくない人
  • 事業を小さく始めて、じっくり育てていきたい人
  • 所得がそれほど多くない人(例えば700万円未満など)

5-2. 会社を設立するメリット・デメリット・向いている人

一方で、会社を設立するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

会社を設立するメリット

  • 個人事業主よりも、社会的信用度が高い
  • 資金調達の選択肢が広がる
  • 法人でなければ契約できない会社と取引できるようになる
  • 優秀な人材を採用しやすくなる
  • 売上や所得が多い場合には、個人事業主よりも税負担が軽くなる
  • 会社を設立して最大2年間は消費税の納税が免除される(※適格登録事業者にならない場合)

会社を設立するデメリット

  • 会社を設立する場合に費用がかかる(株式会社の場合、最低20万円、資本金を入れると120万円程度)
  • 会社を設立するには法人登記が必要で、定款や実印の用意も必須
  • 個人の確定申告よりも、経理業務や税務申告が煩雑で難しい
  • 社会保険への加入義務がある

メリットとデメリットを見比べると、会社設立に向いている人は次のような人であることが分かります。

会社を設立するのが向いている人

  • 社会的信用度を高めて、ビジネスを拡大していきたい人
  • 法人でなければ契約できない会社と取引していきたい人
  • 事業の年収1,000万円や事業所得800万円を超える人
  • 出資や金融機関からの融資など資金調達の方法を増やしたい人

上記に当てはまる人は、会社を設立することを前向きに検討し、準備を進めていきましょう。

6. 会社設立時にはさまざまな手続きが必要になる

会社設立時にはさまざまな手続きが必要になる

新規に会社を設立する場合や個人事業主が法人化する場合、さまざまな手続きが必要となります。事前にどのような手続きが必要になるか確認しておきましょう。

以下は、株式会社を設立する場合の、設立までの流れ+設立登記後の流れです。

株式会社を設立する9ステップ

  • STEP1:発起人を決める
  • STEP2:資本金を用意する
  • STEP3:発起人などの印鑑登録証明書を入手する
  • STEP4:株式会社の基本的な事項を決める
  • STEP5:定款(ていかん)を作成する
  • STEP6:定款の認証を受ける
  • STEP7:出資金(資本金)を払い込む
  • STEP8:株式会社の設立登記を申請する
  • STEP9:株式会社の設立が完了

設立登記後の手続き4ステップ

  • STEP1:法人名義の銀行口座を開設する
  • STEP2:税務署に「法人設立届出書」等を提出する
  • STEP3:年金事務所で年金や保険の手続きをする
  • STEP4:役場に「法人設立届出書」を提出する

会社を設立するにはさまざまな手続きが必要になるため、事業開始当初はかなり忙しく準備に追われることになるでしょう。

株式会社設立の詳しい流れについては、「株式会社設立の流れ|法人登記9ステップ+登記後4ステップを解説」の記事で丁寧に解説しているためぜひ参考にしてください。

難しい定款認証の手続きや設立登記が終わってからも、法人名義の銀行口座を開設するなど忙しい手続きが続きます。そこでおすすめなのが、完全オンラインで簡単に手続きができるネット銀行での法人口座開設です。

7. 会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめ

会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめ

会社を設立するタイミングで必須となる手続きに、法人口座の開設があります。多くの方は、「いつも使っているメインバンクで法人口座を開けばいいや」「ネット銀行よりも店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)の方が信用度が高そう」などの理由で、なんとなく店舗型銀行での法人口座開設を選びがちです。

しかしながら、時間も資金も限られている会社設立時には、ネット銀行がおすすめです。

創業当初はネット銀行で法人口座を作り、業績が伸びてきた段階で店舗型銀行の法人口座を開設するのがおすすめです。

「ネット銀行ってどうなの?」という方に向けて、ここからは、店舗型銀行とネット銀行の違いや、会社設立時の法人口座にはネット銀行がおすすめの理由を開設していきます。

7-1. 店舗型銀行と「ネット銀行」の違い

​​銀行と一口にいっても、店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫など)とネット銀行に大別できます。

ネット銀行とは、通常の銀行と違い、リアル店舗を持たず、インターネット上での取引を中心としている銀行のことです。

通常の銀行とネット銀行の違いを、以下のとおり比較表にまとめました。

【通常の銀行とネット銀行の違い】

店舗型通常の銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等) ネット銀行
店舗(対面窓口) あり なし
ATM 店舗にATMがある
コンビニのATMも利用可能
コンビニや提携銀行の
ATMが利用可能
振込手続きの
利便性
15時を過ぎると翌営業日扱いに
なる銀行が多い
24時間365日
振込手続きが可能
振込手数料 高い 安い
口座開設審査の
柔軟さ通りやすさ
ネット銀行と比べると必要書類が多い通りにくい 必要書類も最小限であり、柔軟に対応してくれる審査が通りやすい
口座開設スピード 遅い(2週間~3週間) 早い(最短即日~1週間程度)
口座振替 税金・社会保険料の支払いからクレジットカードの支払いまで対応できることが多い 税金の支払い等一部しか対応できないことが多い
融資 審査は厳しいが借入金額が大きい 借入金額が小さい
向いている企業 実績が既にあり
さらに拡大したい企業
会社設立したばかりで
実績がない企業

店舗型の銀行は、実店舗があり、対面での接客や相談に応じてもらえたり、会社設立後に必要となる各種税金や社会保険料の支払いに対応可能であることがるのが最大のメリットです。ですが、法人口座の審査が厳しく、なかなか審査に通らないというデメリットがあります。

一方で、ネット銀行の場合、店舗はありませんが、振込手数料が安く、法人口座の審査も比較的柔軟なのが最大のメリットです。ですが、税金や社会保険料の支払いに対応していないネット銀行もあると言うのがデメリットです。

7-2. 会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめな理由

7-1の比較表にも掲載しましたが、ネット銀行は、会社を設立したばかりで実績がない企業に向いています。その理由は以下の3つです。

会社設立時の法人口座はネット銀行がおすすめな理由

①法人口座が簡単かつスピーディーに開設できる

②店舗型銀行と比べて振込手数料が安い

③24時間365日いつでもどこでも利用ができる

①法人口座が簡単かつスピーディーに開設できる

ネット銀行の法人口座開設は、店舗型銀行よりも簡単かつスピーディに完了するのが大きなメリットです。必要書類も少なく、オンラインで手続きが完結できるところも多く、店舗に必要がありません。

例えばGMOあおぞらネット銀行の場合、取引責任者さまと代表者さまが同じ場合、スマートフォンからセルフィ―動画と本人確認書類を添付して送信するだけで、最短即日口座開設が可能です。

最短即日口座開設に必要な条件

セルフィー動画を使用しない場合、また代表者と取引責任者が異なる場合でも、GMOあおぞらネット銀行の法人口座の口座開設スピードは、平均約1.5日です(2023年7月法人口座申込企業の実績)。
口座開設当日から振込可能なので、すぐに取引をスタートさせたい方や忙しくて手続きに時間が取れない方におすすめです。

また、必要書類が最小限で済むのもメリットです。GMOあおぞらネット銀行の場合、代表者さまと取引責任者さまが同一の場合、「印鑑証明書」を準備しなくても口座を開設できます。「登記簿謄本」は情報入力用に手元にご用意いただくだけで添付や送付は不要なので、簡単に手続きが完了します。

②店舗型銀行と比べて振込手数料が安い

ネット銀行は、店舗型銀行と比べて振込手数料が安いのも魅力です。

メガバンクなど店舗型銀行の場合、同一銀行・同一支店内宛ての振込手数料は無料でも、他行宛ての振込手数料が500円~600円程度かかることが一般的です。また、月額基本料金がかかる銀行もあります。

ネット銀行なら、月額基本料金は無料、他行宛ての振込手数料も150円~300円程度で済む銀行がほとんどです。あおぞらネット銀行の場合は、他行宛ての振込手数料は1件あたり145円と業界最安値水準(※)となっています。

※ 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。

毎月30件ずつ3万円以上のほかの金融機関宛ての振込を行った場合、以下のように、年間にすると大きなコストの差が出ます。

振込手数料

会社設立当初にコストをできるだけ削減したい方には、振込手数料が安いネット銀行がおすすめです。

③24時間365日いつでもどこでも利用できる

システムメンテナンス時を除いて、24時間365日いつでもどこでも専用アプリやブラウザからインターネットバンキングを利用できるのも大きなメリットです。

通常の銀行の場合、窓口が閉まる15時以降の振込は翌営業日扱いになることがあります。しかし、ネット銀行ならば、原則として24時間365日リアルタイムでの手続きが可能です。

※ただし、振込先の金融機関の状況によっては翌営業日扱いになることがあります。

振込以外のさまざまな手続きもオンライン上で、早朝や深夜、土日祝日でも、移動中であっても、スマホやパソコンから簡単に操作できます。

会社設立後の法人口座は、利便性も高く、経済的にもメリットが大きいネット銀行をおすすめします。

\ネット銀行の中でもGMOあおぞらネット銀行がおすすめ/

GMOあおぞらネット銀行は以下のような特徴があり、ネット銀行の中でも多くの会社さまに選ばれているおすすめの銀行です。

  • 口座開設スピードが平均1.5日と早い!(2023年7月法人口座申込企業の実績)
  • 口座維持費用は一切かからない
  • 振込手数料は同行間無料、他行宛ても145円と業界最安値水準(※)
  • 口座開設月の翌々月まで3カ月間、他行宛て振込手数料が毎月20回無料
  • 各種税金支払い・社会保険料の支払いにも対応可能

※ 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。

条件を満たせば最短即日での口座開設が可能です。ぜひ便利なGMOあおぞらネット銀行をご利用ください。

まとめ

本記事では、「個人事業主と会社設立はどちらが良いのか?」や、「個人事業主が会社を設立する場合のベストなタイミング」などについて詳しく解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼個人事業主から始めて【軌道に乗ったら会社設立】が定石

  • 会社を設立するためにはお金も時間もかかるから
  • ただし、最初から会社設立が向いているケースもある

最初から会社設立した方が良い2つのケース

①大企業など信用を重要視する会社と取引したい場合
②出資や金融機関からの融資を受けたい場合

個人事業主から会社設立すべき3つのタイミング

  • 個人事業の所得が800万円を超えたタイミング
  • 売上高が1,000万円を超えて2年が経過したタイミング
  • さらにビジネスを拡大していきたいタイミング

個人事業主と会社設立の違い

  • 事業開始時の費用の違い
  • 事業開始の手続きの違い
  • 課税される税金の違い
  • 社会的信用度の違い
  • 経理・申告の違い
  • 加入する社会保険の違い

結論として、会社設立が向いている人は以下のような人です。

  • 社会的信用度を高めて、ビジネスを拡大していきたい人
  • 法人でなければ契約できない会社と取引していきたい人
  • 事業の年収1,000万円や事業所得800万円を超える人
  • 出資や金融機関からの融資など資金調達の方法を増やしたい人

会社設立時には、さまざまな手続きが必要となり、かなり忙しくなります。この時期の忙しさを軽減させるためにも、会社運営コストを抑えるためにも、ぜひネット銀行の活用をおすすめします。

※本コラムは2023年12月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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