ネットバンキングは安全に利用できる?不正送金の最新手口と、銀行・利用者それぞれの対策を解説【2026年9月】

ネット銀行は危険なのか。結論から言えば、不正送金の被害そのものは実際に起きており、リスクはゼロではありません。一方で、被害の多くは手口が分かっていれば防げるものであり、銀行側にも検知・防止の仕組みが用意されています。

本記事では、実際にどれくらいの被害が起きているのかをデータで確認したうえで、最新の手口、銀行が行っている対策、利用者が行うべき対策、そして万が一被害に遭った場合の対応手順までを解説します。

1.ネットバンキングのメリット

ネットバンキングとはATMや窓口などに実際に出向く必要がなく、インターネットを通じてお金のやり取りができる銀行または口座のことをいいます。わざわざ所定の場所に立ち寄らずとも24時間365日、入出金や取引履歴の確認などが自分の都合に合わせて行えるため、手続きの手間が大きく削減できます。また、実際の店舗を設置していないネット銀行も多くあります。店舗がないので、人件費や家賃、光熱費などのコストが削減されています。そのため、利用者に対しても手数料が普通の銀行に比べて安い、定期預金の利率が高いなどのメリットとして還元されます。

目覚ましい普及を遂げたスマートフォンとの相性も良く、場所も時間も選ばずにスピーディーな取引が行えるようになり、ビジネスのスピードを加速させてくれます。

2.【データで見る】ネットバンキングの不正送金はどれくらい起きているのか

警察庁の公表資料によると、2025年(令和7年)にインターネットバンキングで発生した不正送金は4,747件、被害総額は約103億9,700万円でした。前年の4,369件・約86億8,900万円から、件数・被害額ともに増加しています。

年 発生件数 被害総額
2022年(令和4年) 1,136件 約15億1,900万円
2023年(令和5年) 5,578件 約87億3,100万円
2024年(令和6年) 4,369件 約86億8,900万円
2025年(令和7年) 4,747件 約103億9,700万円

出典:警察庁サイバー警察局「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年3月10日公表)

被害の手口はフィッシングが約9割を占めます。つまりネット銀行の仕組みそのものが破られているのではなく、利用者が偽サイトにIDやパスワードを入力してしまうことが被害の大半の入口になっています。

法人口座を狙った手口も確認されています。犯罪グループが企業に電話をかけ、ネットバンキングの更新手続きを装ってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送りつけるボイスフィッシング(ビッシング)と呼ばれる手口で、1社で4億円を超える被害が発生した事例も報告されています。

数字を押さえておくべき理由は、リスクの大きさを正しく見積もるためです。「なんとなく怖い」で口座を持たない判断をするのと、発生件数と主な原因を知ったうえで対策する判断をするのとでは、結果が変わります。

3.安全性は大丈夫?

ネット上で簡単に取引ができることがネットバンキングの特長ですが、一方でその簡単さ、手軽さが諸刃の剣として安全性を懸念されてきた歴史があるのも事実です。

警視庁の発表によると、2015年のネットバンキングの不正送金による被害総額は30億円を超えています。銀行やコンビニで注意喚起のポスターを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

ここでいう不正送金とは銀行の口座情報を不正に入手し、お金を密かに第三者の口座に送金する犯罪のことを指します。各銀行のセキュリティ対策が進み、不正送金の被害は年々減少しつつありますが手口の巧妙化も進み、撲滅には至っていません。

4.不正送金の手口とは?

ネットバンキングの不正送金における手口にはどのようなものがあるのでしょうか。

4-1.フィッシングSMS(スミッシング)

銀行を装ったSMSが届き、記載されたリンクから偽のログイン画面に誘導される手口です。メールと違い、SMSは正規の通知と同じスレッドに表示されることがあるため、本物と見分けがつきにくい点が特長です。

見分け方はシンプルで、SMSやメールのリンクからはログインしないことに尽きます。残高や取引を確認したいときは、必ず公式アプリか、自分でブックマークしたURLから開いてください。

4-2.偽の銀行アプリ・不正アプリ

公式を装ったアプリをインストールさせ、入力したIDやパスワードを盗み取る手口です。アプリは必ず公式のアプリストアから、提供元の表記を確認したうえでインストールしてください。

4-3.サポート詐欺・電話による誘導

パソコンに警告画面を表示させて電話をかけさせ、遠隔操作ソフトを入れさせたうえで送金操作をさせる手口です。銀行職員や警察官を名乗って暗証番号やワンタイムパスワードを尋ねることはありません。

5.銀行が行っているセキュリティ対策

不正利用を防ぐ仕組みは、利用者の自衛だけに委ねられているわけではありません。銀行側にも、なりすましを防ぐ仕組みと、異常を検知して知らせる仕組みが用意されています。

5-1.ログイン時と取引時で認証を分ける仕組み

ログインするときの本人確認と、振込などの取引を実行するときの承認とを、別々の認証で行う仕組みです。パスワードが第三者に知られた場合でも、それだけでは送金まで到達できません。

代表的な方式には、取引ごとに発行される使い捨てのパスワードを入力するワンタイムパスワード認証、取引内容を操作中の端末とは別の端末で確認・承認するトランザクション認証、指紋や顔でログインする生体認証、パスワードを使わずにスマートフォンの生体認証でログインするパスキー認証などがあります。

5-2.取引通知メールで異常に気づく

ATMでの入出金や振込、海外送金による出金が行われたタイミングで、登録したメールアドレスに通知が届く仕組みです。身に覚えのない通知を受け取った時点で気づけるため、被害の拡大を止められます。任意設定の通知も含め、受け取れるものはすべて有効にしておくことをおすすめします。

5-3.ログインロック・取引ロック

パスワードや取引認証の入力を一定回数失敗すると、自動でロックがかかります。総当たりでパスワードを試す攻撃を成立させないための仕組みです。

5-4.振込限度額の設定

1日あたりの振込上限額を自分で設定しておく方法です。普段の使い方に合わせて低めに設定しておけば、万が一不正にログインされた場合でも被害額を抑えられます。

5-5.ワンタイムパスワード

ワンタイムパスワードは、取引の際に利用するパスワードを一回限りの使い捨て方式にしたものです。取引の都度パスワードは再発行され、取引の安全性が高まります。

ワンタイムパスワードはメールやアプリ、トークンと呼ばれる機械を用いてネットバンキングと利用者との間でパスワードを管理します。そのため、たとえ一度パスワードを盗まれたとしても、次回以降の取引で、新たなパスワードの受取方法を犯罪者が持っていなければ、まったく意味をなさず、利用者の財産は守られるということです。

5-6.合言葉認証

合言葉認証は、ログイン時に2段階認証としてさらに追加認証が求められるもののうち、特定の言葉の認証が必要なものを指します。パスワードと別に、あらかじめ登録しておいた合言葉を入力します。「初恋の人は誰?」「自分の生まれた場所は?」など自分しか答えを知らない「秘密の質問」のようなものを設定することで、パスワードを知られたとしても答えを知らなければ認証ができないので、なりすましを防ぐことができるのです。

5-7.ソフトウェアキーボード

手元のキーボードではなく、画面上に表示されるキーボードのことをソフトウェアキーボードといいます。手元のキーボード入力に慣れた人の中には、ネットバンキングでソフトウェアキーボードでの入力を要求され、面倒だと思った人もいるかもしれません。しかし、実はこれも立派なセキュリティ対策になっているのです。暗証番号やパスワードを盗むスパイウェアには、キーボードのどのキーを押したのかを検知して記録し、そこからIDやパスワードを導き出し、盗み出そうとするタイプのものがあるのです。手元のキーボードを使わずソフトウェアキーボードを使えば、万が一そのタイプのスパイウェアに感染していてもキーボードを介していないので情報が盗まれる心配がないのです。

5-8.自動ログアウト

不正送金の危機は自分がPCを使っているときに起こるとは限りません。PCを立ち上げたまま放置しているときに、ほかに立ち上げていたソフトの中に潜んでいたスパイウェアが動き出すこともあるでしょう。離席している間に、実際にPCにUSBメモリなどから悪意あるソフトを入れられたり、直接ネットバンキングのサイトを操作されてしまったりすることもあり得ます。ネットバンキングはログインしたまま一定時間操作がなかった場合、セキュリティ上の観点から自動的にログアウトする機能が付いています。ですから、利用後にうっかりログアウトを忘れた場合などに他人に使われるという被害を防いでくれるのです。

6.利用者が行うセキュリティ対策

ネットバンキングは、不正送金から利用者の口座を守るために、いくつものセキュリティ対策をしています。自分の口座を守るために、個人では何ができるのでしょうか。今すぐできる対策を紹介していきます。

6-1.ワンタイムパスワードを使う

ワンタイムパスワードはネットバンキング側の対策としても紹介しましたが、必須ではなく選択式のネットバンキングもあり、取引のたびにパスワードを確認する作業を敬遠されて利用していないユーザーも散見されます。しかし、被害に遭ったユーザーのうち75%はこのワンタイムパスワードを利用していなかったというデータがあります。先ほど紹介した特性を考えますと、利用していればその被害は防げていた可能性が高く、ワンタイムパスワードを利用することの重要性は大きいといえるでしょう。

6-2.アカウント情報の扱いは慎重に

ネットバンキングを利用する際にいつもと違うページやログイン画面が出てきたときは、アカウント情報を抜き取ることを目的とした不正サイトにつながっている可能性があります。少しでも怪しいと思ったら、パスワードなどアカウント情報を入力せず、ネットバンキングに問い合わせましょう。URLで検索すると被害情報などが既に存在している可能性があるので調べてみるのも手です。

6-3.不審なメールには注意

フィッシング手口の場合は、メールも誘導サイトも一見すると本物のように巧妙に作られていることが多く、メッセージも扇情的なため、思わずクリックしてしまいそうになります。しかし、逆にいえばそういったメールが来たときは、まず深呼吸して落ち着くことが大切だといえるでしょう。その後でメールアドレスやURLを落ち着いて見ると、本来のアドレスとは異なった偽物であることが一目瞭然で分かることがほとんどです。不審なメールは開かずに銀行に問い合わせるとよいでしょう。開かずに題名などで検索すると、既に注意喚起がネット上で出回っていることもあるので並行して検索してみるのも一つの方法です。

6-4.スパイウェアには警戒!

スパイウェアは、パソコンにウイルスを感染させることで情報を抜き取る手口です。安全なソフトやアプリの中にひっそりと紛れ込んでいることもあり、自分で防ぐのは至難の業です。スパイウェアを防ぐにはウイルス対策ソフトを導入し、OSやソフトを常に最新状態にアップデートして異常を検知できる状態にしておくことが大切です。

7.万が一被害に遭ったときの対応手順と補償の考え方

7-1.気づいた時点ですぐに行う3つのこと

(1)取引を止める。銀行の連絡窓口に電話し、口座の利用停止を依頼します。深夜・休日でも受け付ける窓口が用意されていることが一般的です。
(2)警察に届け出る。最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口に連絡します。
(3)記録を残す。不審なSMSやメール、画面のスクリーンショット、気づいた時刻をメモしておきます。後の確認で必要になります。

7-2.補償の考え方

預金者保護の枠組みでは、被害の状況や利用者側の過失の程度に応じて補償の範囲が判断されます。パスワードを他人に教えていた場合や、銀行が案内しているセキュリティ対策を実施していなかった場合には、補償が受けられない、あるいは減額される場合があります。

具体的な取り扱いは個別の事情によって異なるため、まずは口座を開設している銀行に連絡し、状況を伝えたうえで判断を仰いでください。

8.安全性で選ぶネット銀行のチェックリスト7項目

確認項目 見るポイント
ログイン時と取引時で認証が分かれているか パスワード以外の要素で取引を承認する仕組みがあるか
取引通知メールを受け取れるか 入出金・振込のたびに通知が届き、その場で気づけるか
振込限度額を自分で設定できるか 上限を下げて被害額を抑えられるか
生体認証に対応しているか 指紋・顔認証でログインできるか
不正検知の仕組みがあるか 普段と異なる取引を銀行側が検知する体制があるか
連絡窓口の受付時間 深夜・休日に取引を止められるか
セキュリティ体制の情報開示 ディスクロージャー誌などで対策が公表されているか

9.GMOあおぞらネット銀行のセキュリティ体制

GMOあおぞらネット銀行では、認証方式を用途ごとに使い分けています。ログインにはパスキー認証・ID認証・生体認証、振込などの取引にはワンタイムパスワード認証・トランザクション認証・取引パスワード認証を用意し、登録情報の変更時には着信認証を採用しています。

法人のお客さまがビジネスID管理をご利用の場合は、電子証明書を端末にインストールしてアクセスするクライアント認証にも対応しています。

入力の失敗に対しては、ログインロック、取引ロック、カード暗証番号ロックが自動で作動します。一定時間操作がない場合の自動ログアウトも設定されています。

不正利用対策としては、第三者による操作の可能性がある取引や不審なログインを検知するシステムを導入し、日々の監視を行っています。手口の巧妙化・多様化に対応するため、監視体制の継続的な強化と最新の手法への見直しを続けています。

なりすましメール対策として、送信ドメインを認証するDMARCと、正規のメールであることを一目で判別できるようにするBIMIを導入しています。また口座開設時の本人確認には、マイナンバーカードのICチップを用いる公的個人認証サービス(JPKI)を利用しています。

まとめ

ネットバンキングを利用することでのリスクとその対策方法を紹介しました。ネットバンキングの利用には、不正送金などのリスクは確かに伴います。しかし、手口を知り、通知と限度額を設定しておけばリスクは大きく下げられます。

リスクを恐れて使わないのはもったいないほどのコストパフォーマンスの高さや利用の手軽さなどのメリットがネットバンキングにはたくさんあります。しっかり対策したうえでぜひ活用しましょう。

※本コラムは2026年9月30日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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