【要注意】資金繰りが悪化する企業の共通点とは?具体的な改善策も紹介

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「売上は好調なのに、どうして資金繰りが厳しくなるのだろうか?」

このような悩みを抱える企業は意外と多いものです。帳簿上では問題なく見えていても、手元の資金(現金)が不足していると黒字倒産のリスクが高くなるのです。

実は、資金繰りが悪化する企業には共通点があります。本記事では、そんな資金繰りの悪化を防ぐための改善策を具体的に紹介します。

1.資金繰りが悪化する企業の共通点3つ

1-1. 利益とキャッシュフローの違いを見落としている

「黒字なのに現金が足りない」というケースは、利益とキャッシュフローの違いを理解していないことが原因である場合が多いです。

会計上の利益は、売上と費用の差額であり、実際に手元に残る現金とは異なります。例えば、売掛金が増えると、利益は増えても実際の現金は手に入っていないため、資金が枯渇するリスクが高まります。

事例:
とある建設会社では、大規模な工事を受注したため多くのスタッフを雇い、必要な資材を大量に購入しました。しかし、天候の影響や予期しない工期の遅れが発生したため、入金までの期間が大幅に延びてしまいました。
しかし、その間もスタッフへの給与支払いや資材購入に多額の現金を充てていたため、深刻な資金不足に陥ってしまいました。

1-2. 売掛金・在庫の管理が不十分

売掛金の管理が不十分だと、実際に現金が手元に入るタイミングが遅れ、必要な支払いに対応できなくなってしまいます。帳簿上では利益が出ているように見えるため、資金繰りの悪化に気付くことが遅れるケースがよくあります。

また、在庫の管理が不十分な場合は、過剰な在庫や売れ残りの商品が多く手元に残ります。これにより、商品の保管費用がかさんだり、劣化や廃棄による損失が発生したりすることで、現金が流失してしまいます。その結果、企業が必要なタイミングで十分な資金を確保できず、資金繰りが悪化するのです。

事例:
とあるアパレルショップでは、新しいシーズンの商品を大量に仕入れたものの、思うように売れ行きが伸びず売れ残りが発生しました。売れ残った商品は、次のシーズンには価値が下がるため、在庫を抱えないようにするために値引き販売を余儀なくされ、利益率が低下しました。
さらに、商品在庫の増加により、倉庫の管理や保管に必要なコストが積み重なりました。適切な在庫管理や需要予測ができていなかったため、資金繰りに大きな影響を与える結果となったのです。

1-3. 短期資金と長期資金のバランスを崩している

短期資金は1年以内に返済が必要な資金、長期資金は返済期限が1年を超える資金のことを指します。このバランスが崩れると、資金繰りが不安定になります。

例えば、短期借入に頼りすぎている場合、返済期限が近づくと急に資金が足りなくなります。逆に、一般的には金利が高い長期借入ばかりに頼ると、事業の収益性が圧迫されることもあります。

事例:
とある製造業では、新商品の開発にあたる設備投資のために長期借入を行いました。これにより生産能力は向上しましたが、予期せず市場での競争が激化したため、見込みよりも売上が伸びませんでした。毎月の返済は大きな負担となり、資金が不足してしまいました。
資金繰りを改善するために、銀行のビジネスローンで短期資金の借入を試みましたが、長期借入の返済状況と売上の低迷により、ビジネスローンも借りることができず、倒産の危機に直面しました。

2.資金繰りを改善するための具体的な方法

2-1.キャッシュフロー計算書・資金繰り表を活用する

キャッシュフロー計算書と資金繰り表は混同されることがありますが、それぞれ異なる役割があるため、いずれも作成すると良いでしょう。

キャッシュフロー計算書:キャッシュフロー計算書では、入出金の状況を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのセクションに分けて記録し、利益計上と現金の実際の動きを確認します。これにより、利益は計上されているが実際の現金が足りないという状況を回避するのに役立ちます。

資金繰り表:資金繰り表には、月初と月末における手元の現金残高と、日々の事業活動で発生する収支を記載します。これにより、今後の現金の流れを予測することで、必要なタイミングで資金が足りるかどうかを事前に把握できます。特に、短期的な支払い(給与、仕入れ代金、借入返済など)を管理するのに役立ちます。
キャッシュフロー計算書では「実際の現金の動き」、資金繰り表では「未来の資金需要」を把握することで、資金繰りに問題が起きそうなときにいち早く気が付けるようになります。また、資金繰り表は、金融機関での融資の審査時にも活用することができます。両方を作成することが難しい場合は、まずは資金繰り表の作成から始めてみましょう。

2-2.売掛金の管理を徹底する

事業開始直後では売上を上げることに意識が集中しがちですが、同じくらい売掛金の回収にも注力しましょう。

一括前払い契約を結ぶことができればベストではあるものの、取引先との関係や提供サービスの特性を考慮すると適切ではない場合もあります。着手金支払い、分割支払い、または一部値引きなども視野に入れて、柔軟に交渉することが重要です。

売掛金が発生した場合は、きちんと管理して期限内の回収を徹底しましょう。まずは支払期限や遅延利息などの条件を明確に設定し、契約書や請求書に記載しておきます。未回収の売掛金は定期的にチェックし、必要に応じてフォローアップを行います。

予期せぬ回収の遅れが発生したために手元現金がなく、少しでも早く現金が必要となった場合は、ファクタリング(売掛金の譲渡)を活用するのも一つの手段です。ファクタリング会社に手数料を支払う必要がありますが、取引先からの入金を待たずして現金が手に入るので、手段の一つとして検討してみるとよいでしょう。

2-3.在庫量を圧縮する

商品在庫を抱えるビジネスでは、定期的な在庫棚卸しが重要です。過剰在庫は、購入費だけが発生している状態となっており、資金繰りを悪化させます。

さらに、在庫の保管費用や維持費、処分費用が発生する場合もあります。過剰在庫を防ぐためには、在庫量を可視化し、精度の高い需要予測を行うことが重要です。また、製造業の場合は、生産ラインの調整も必要です。

在庫量をチェックする手法の一つとして、在庫回転率があります。これは、一定期間内において在庫が何回入れ替わったかを示し、数字が大きいほど効率的に売れていることを意味します。

在庫回転率の計算式
在庫回転率=期間売上原価÷期間平均在庫金額

このような指標をチェックしながら、事業状況も加味して在庫量を調整し、手元の現金に余裕がある状態にしましょう。在庫回転率は継続的に追い、悪化している場合は早急に原因を調べて対応することで資金繰りを改善できます。

2-4.資金調達計画を見直す

資金繰りを安定させるためには、短期および長期の資金調達計画を見直し、無理のない借入を行うことが重要です。資金調達の方法としては、金融機関からの融資、売掛金を利用したファクタリング、クラウドファンディング、増資や社債発行などがあります。
資金繰りが厳しくなった場合は、融資先に金利や返済条件の見直しの交渉を行いましょう。交渉を怠り返済が滞ると、法的措置を取られ倒産に至る恐れがあります。

また、政府の補助金を活用することも非常に有効です。具体的には、「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」、「事業再構築補助金」などが挙げられます。

まとめ

資金繰りの悪化は、知らず知らずのうちに企業に大きな影響を与えます。赤字でも手元に現金があれば倒産しませんが、黒字であっても手元に現金がなく資金繰りに行き詰ってしまうと、企業は倒産します。収益が上がっていない状態は好ましくありませんが、実際収益は上がっているのに黒字倒産してしまう企業は多く存在します。

特に創業期の場合は、売上と同じくらい現金を重視し、キャッシュフローを良い状態でキープすることが重要です。資金繰りを健全に保つために、まずは自社の状況を把握し、本記事で紹介した改善策を実行に移しましょう。

※ 本コラムは2025年3月17日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。

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