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#21最短どれくらいで会社設立できる?会社設立までのスケジュール感

会社の設立を検討している人の中には、「最短どれくらいで設立手続きができるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。できるだけ早く手続きを終わらせたい人は、会社設立のスケジュール感や流れをしっかりと押さえておくことが重要です。そこで、この記事では、会社を設立する場合のスケジュールや、最短どれくらいで各種手続きが完了するのかを紹介します。

  1. 1.会社設立は最短1日で終わる!ただし注意点も

    会社設立にかかる期間は、通常2~3週間程度です。しかし、「スムーズにいけば最短1日で設立できる」という内容を紹介するネット記事もあります。これは、会社の登記申請が完了するまでの期間が1日という意味で、すべての手続きが1日で終わるわけではありません。そもそも、法務局に会社の登記申請を出してから無事に登記登録が完了するまでには、1週間ほどかかります。会社を設立するためには、所定の書類を用意して複数の機関で手続きをすることが必要です。そのため、会社を設立するためには、事前準備を含めて最短でも5日ほどはかかるでしょう。「会社は1日で設立できる」と認識していると、誤算が生まれるので注意が必要です。

    会社設立に関する手続きは、専門家に依頼してスピーディーに進める方法もあります。この場合でも、たった1日で会社を設立するのは難しいです。手続きにかかる手間は減らせますが、驚くほど早く会社が設立できるわけではないことは認識しておきましょう。

  2. 2.早く会社設立するなら「合同会社」

    「とにかく早く会社を設立したい」という人は、株式会社ではなく合同会社を設立するのも1つの選択肢でしょう。合同会社とは、会社の経営者と資本金を出した人が同じである会社の形態です。合同会社は、経営の判断や利益分配などの判断を出資者だけで決められます。そのため、株式会社よりも自由度が高い経営ができることが特徴です。株式会社を設立するためには、公証役場で定款認証をしなければいけませんが、合同会社は必要ありません。そのため、合同会社は、株式会社よりも短期間で会社が設立できます。

  3. 3.株式会社設立のための事前準備

    次に、株式会社を設立する場合に必要な事前準備について解説します。

    1. 3-1.印鑑証明書を入手

      株式会社を設立するためには、株式会社や合同会社など設立する会社の種類によっても異なりますが、設立発起人や取締役、出資者など、個人の印鑑証明書が必要です。個人の印鑑の登録が終わっていない場合は、あらかじめ市区町村役所で登録手続きをしておきましょう。手数料は、自治体によって異なりますが、数百円で済みます。ちなみに、個人の印鑑の大きさは1.5~16.5mm程度だと使いやすいです。フルネームが入っているとなおよいでしょう。定款認証と登記申請のときに、個人の印鑑証明書を提出する必要があるので、2通発行しておくのがおすすめです。

    2. 3-2.定款の作成

      続いて、会社の規則を決めて定款に記載します。「定款の作成」と聞くと難しそうに聞こえるかもしれません。しかし、最近では、インターネット上で無料のテンプレートが簡単に手に入ります。1から作成すると手間がかかるので、テンプレートをダウンロードして必要事項を埋めるなど賢く利用するといいでしょう。定款が完成したら3部印刷して、公証役場に行って定款認証を受けます。個人の実印で押印と割印を忘れずに押しましょう。後ほど詳しく説明しますが、電子定款という収入印紙がお得になる提出方法があります。

    3. 3-3.会社実印の発注

      事業が開始してからも使うことになる法人の実印を作成します。一般的な会社実印のデザインは、設立する会社の名前と「代表取締役印」という刻印が入ったものです。大きさは、1~3cm程度のものがよいでしょう。登記書類を作成する前に会社実印があるのがベストですが、法務局に登記をするまでに手元にあれば問題ありません。会社実印の作成を開始するタイミングで、「社印」「銀行の届出印」「ゴム印」も発注しておくと効率がいいでしょう。「とにかく早く会社を設立したい」という場合は、このタイミングで無理に会社実印を作成する必要はありません。

      会社設立の手続きで実印の押印を求められたときは、代表取締役の個人の印鑑を押印すれば大丈夫です。会社設立が無事に完了した後に、会社の実印を作成して「改印登録」するといいでしょう。「後からする手続きが増えるのは嫌」という人は、定款を作成したタイミングで発注しておくのがおすすめです。

    4. 3-4.資本金を振込む

      会社の資本金は、代表者個人の1つの口座に振込みます。このとき、わざわざ新しい口座を作成する必要はありません。資本金の払い込みをする口座は、定款に記載しておきましょう。発起人が複数いると、誰がいくら払い込みをしたか分からなくなるのでこの場合には「預け入れ」ではなく「振込」の形で入金するとよいでしょう。無事に振込みが完了したら、資本金をきちんと払い込んだことを証明するために払込証明書を作成する必要があります。

      ちなみに、定款に記載した資本金の額を変更したくなった場合は、増資・減資の手続きをすれば問題ありません。再度登記が必要になるので、手続きにかかる手間を省くためにも資本金の額は慎重に決定するようにしましょう。

  4. 4.電子定款とは?定款はどのように作成するか

    合同会社以外の会社を設立するためには、公証役場で定款を提出することが必要です。しかし、定款認証はオンライン化しているので、電子定款を利用すればわざわざ公証役場に出向かずに済みます。紙の定款を公証役場に提出する場合は、4万円の収入印紙を用意しなければいけません。しかし、電子定款であれば収入印紙はそもそも必要ないのです。また、電子定款はパソコンやスマホを使って公証人と面談ができるため、紙の定款を提出するよりも時間をかけずに手続きができる点はメリットでしょう。

    ただし、電子定款を利用するためには、専用ソフトを準備する必要があります。会社を設立する前に、専用ソフトを持っている人なら問題ありません。しかし、このタイミングで新しく購入する場合は、会社設立にかかる費用がかえって高額になる可能性もあります。また、「どの専用ソフトを自社で利用するべきか」など検討する時間も考慮しておくことが必要です。オンラインで認証が受けられる電子定款ですが、公証役場で直接手続きをする方が適している人もいるでしょう。そのため、無理に電子定款を利用するのではなく、会社に合った方法で定款の認証を済ませるのがポイントです。

  5. 5.必要書類の作成と登記申請

    会社を設立するためには、本店所在地を管轄する法務局で登記手続きをする必要があります。登記手続きには、全部で11種類の書類の準備が必要です。(取締役会がない場合)

    • 登記申請書
    • 登録免許税の収入印紙を貼付した紙
    • 定款
    • 登記事項を保存した書面(CD-Rも可)
    • 取締役の就任承諾書
    • 払込証明書
    • 印鑑届出書
    • 発起人の決定書
    • 代表取締役の就任承諾書
    • 監査役の就任承諾書
    • 取締役や監査役の印鑑証明書(人数分)

    しかし、すべての会社が11種類の書類を用意する必要はありません。このうち、4種類の書類は該当する会社だけが提出を求められます。具体的には、「発起人の決定書」「取締役の印鑑証明書(人数分)」「代表取締役の就任承諾書」「監査役の就任承諾書」の4つです。自社の登記に必要な書類が分からない場合は、あらかじめ法務局に問い合わせてよく確認しておきましょう。法務局で登記申請書をした日が会社の設立日です。ただし、必要書類を提出しても会社としての活動が許されるのは、登記手続きが無事に完了してからになります。登記手続きが完了するのにかかる時間は、1週間程度です。

  6. 6.やることは多いが集中して早く終わらせることは可能

    会社を設立するには、用意する書類や手順が非常に多いです。しかし、作業自体はそこまで難しくありません。特に、登記に関する書類は多いですが、集中して取りかかれば数日程度で手続きを終わらせることができます。今回紹介した内容を参考に、会社設立に係る手続きをスピーディーに進めてみましょう。ただし、焦りはミスにつながるため、作業は丁寧に行うことが大切です。

  • ※ 本コラムは2022年5月2日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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