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- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#38【ネット銀行で法人口座開設】本人確認はどうやるの?準備するものは?
法人口座の開設を検討している人の中には、ネット銀行での手続きを考えている人もいるでしょう。しかし、ネット銀行は都市銀行や地方銀行のような実店舗がなく、「どのように手続きをすればよいのかが分からない」と困っている人もいるかもしれません。そこで今回は、ネット銀行で法人口座を開設する方法や、本人確認書類の提出方法を紹介します。本人確認書類以外に提出しなければいけない書類もあわせて見ていきましょう。
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1.ネット銀行の法人口座はどうやって開設申込をするの?
ネット銀行で法人口座を作る場合、申込から開設までをすべてネット上で行うことが多いです。申込手順は、各銀行の公式ページから申込フォームに必要事項を入力すれば申込は完了です。
完了後に必要書類を提出し審査する流れです。ネット銀行によっては、必要書類を郵送ではなく、ネットでのファイルのアップロードで提出する場合もあります。法人口座の開設方法や書類の提出方法は、ネット銀行によって異なるので、あらかじめホームページをチェックしたり、電話で確認したりしておくとよいでしょう。
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2.法人としての本人確認書類
法人として銀行で口座を開設する場合は、法人格を確認できる書類を提出する必要があります。ここでは、具体的にどのような本人確認書類を用意すればよいのかを解説します。
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2-1.履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書とは、商号や本店など会社の情報が載っている法務局発行の公的書類です。原本の提出を求められるので、あらかじめ法務局で取得しておきましょう。履歴事項全部証明書(登記簿謄本)は、銀行ごとに有効期限が定められています。一般的には、発行日から3~6カ月以内の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の提出を求められることが多くなっています。
なお、提出時は必ず書類名が「履歴事項全部証明書」と表記されていることを確認しましょう。法人口座の申込には、履歴を含むすべての登記事項が記載された書類が必要です。「現在事項証明書」などを提出すると、法人口座の開設手続きが進められないので注意してください。
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2-2.印鑑登録証明書
印鑑登録証明書も履歴事項全部証明書と同様に、発行日から3~6カ月以内の原本でなければ受け付けてもらえません。法人口座の開設手続きに必要になるのは、会社名義で登録した印鑑登録証明書です。代表者の印鑑証明書は、基本的には手続きに必要ないので、用意しなくて大丈夫です。印鑑登録証明書に表示されている商号(会社名)を確認してから、ネット銀行に提出するようにしましょう。
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2-3.法人番号確認資料
ネット銀行によっては、法人番号が確認できる書類の提出を求められることがあります。法人番号とは、個人のマイナンバーのようなものです。特別な申請や手続きをしなくても、会社を登記すると、自動的に13桁の法人番号が割り振られる仕組みになっています。国税庁から法人番号通知書が郵送されてくるので、これをネット銀行に提出しましょう。手元に法人番号通知書がない場合は、国税庁の「法人番号公表サイト」で検索すると自社の法人番号をチェックできます。
法人番号が表示されたページを印刷して、提出すれば問題ありません。なお、法人番号確認書類も銀行ごとに有効期限が定められているので注意が必要です。例えば、GMOあおぞらネット銀行の場合は、銀行に到着した時点で発行日から6カ月以内の書類でなければ受け付けてもらえません。
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3.代表者の本人確認
法人名義の口座を開設する場合は、会社の本人確認だけでなく、代表者の本人確認も行われます。本人確認書類として提出が認められているのは、次のような書類です。
- 運転免許証
- 住民票
- マイナンバーカード
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 健康保険証
上記の書類はいずれもコピーで構いません。記載内容が鮮明に分かるように丁寧にコピーを取りましょう。印鑑登録証明書も代表者の本人確認書類として提出できますが、こちらは原本が必要です。間違ってコピーを提出しないように注意しましょう。
代表者と口座管理者(取引責任者)が異なる場合は、口座管理者の本人確認書類が必要となりますので注意しましょう。
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4.その他ネット銀行の法人口座開設に必要なもの
法人口座を開設するためには本人確認書類だけでなく、申込書や会社の事業に関する書類が必要になります。法人口座の開設は個人口座と違って厳しい審査が行われるので、これから紹介する内容を押さえてしっかり準備することが大切です。
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4-1.口座開設申込書
ネット銀行の申込フォームをすべて入力して送信ボタンを押すと、画面にファイルが表示されて口座開設申込書を印刷できるようになるのが一般的です。PDFファイルを選択して出力しましょう。もし、口座開設申込書を印刷できない場合は、ネット銀行に問い合わせると郵送してもらえるケースもあります。ただし、自分で印刷するよりも手続きに時間がかかるので、急いで法人口座を開設したい場合には向きません。口座開設申込書の記入欄を不足なく埋めたら、記載した内容を確認したうえで会社の実印を押しましょう。印鑑が不鮮明だと法人口座の申込手続きが進まない可能性があるので、丁寧に押印してください。一部銀行には郵送や印鑑が不要の銀行もありますので、開設を検討する際、各銀行をチェックしてみるのもよいでしょう。
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4-2.業務内容確認書類
業務内容確認書類とは、その名のとおり、会社の業務内容が分かる書類のことです。銀行にもよりますが、一般的には2種類の業務内容確認書類の提出を求められます。いずれにしても審査結果を左右する書類になるので、手を抜かずにしっかり作成して用意することが大切です。なお、業務内容確認書類で銀行の審査担当者がチェックするのは、「会社が本当に実在しているか」、「実際に業務を行っている会社か」、「事業内容が法令・公序良俗に反しないか」などの項目です。少しでも怪しい点があれば審査でマイナス評価になるので、銀行の審査担当者から信頼されるような書類を作るようにしましょう。
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4-2-1.会社概要が分かるもの
会社概要が分かる書類とは、具体的に次のようなものです。
- 会社のホームページを印刷した用紙
- 会社案内(パンフレットやチラシなど)
- 会社の事業計画書
- 実際に取引先に渡した商品やサービスの提案書
パンフレットやチラシなどを会社概要の確認書類としてネット銀行に提出する場合は、社名や事業内容、取扱商品・サービスが確認できるかをチェックすることが重要です。
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4-2-2.事業活動状況が分かるもの
会社の事業活動状況が分かる書類の具体例は次のとおりです。
- 締結・調印済みの各種契約書
- 自社や他社で発行した書類と入出金が分かる口座の明細
- 客観的に会社の売上や仕入などが分かる書類
いずれの書類も原本で提出する必要はないので、きれいにコピーを取って提出するようにしましょう。なお、他社や自社が発行した書類の中で事業活動状況が分かるものとして提出できるのは、請求書や発注書、納品書などです。会社の具体的な売上見込や仕入状況、事業活動状況などを把握できる書面をネット銀行に提出しましょう。
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法人口座の開設審査は個人より厳しい!準備をしっかり
ネット銀行は他の銀行と比べると、法人口座の開設がスムーズに行えると言われています。しかし、どのような会社でも必ず審査に通るわけではありません。そのため、「社会的に信用できる法人であること」を銀行の審査担当者にアピールすることが大切です。今回紹介した内容を踏まえて、法人口座の開設申込に必要な書類をあらかじめきちんと準備して、口座開設に臨みましょう。
- ※ 本コラムは2022年9月12日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
GMOあおぞらネット銀行の法人口座について詳しくはこちら
執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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