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#39会社設立はネット上でできる?準備すべきこと・設立後にすべきことは?

会社を設立するためには、多くの手順を踏む必要があります。そのため、中には「会社の設立に関する手続きをネットで進められないものか」と考える人もいるでしょう。そこで今回は、会社を設立するときのネットの活用方法や、必要な準備について解説します。会社を設立した後にするべきこともあわせてチェックしていきましょう。

  1. 1.そもそも会社設立はどのような手順をふむのか

    会社を設立するためには、どのような手続きをすればいいのか分からない人もいるでしょう。そこでこの章では、手順に沿って会社を設立するために必ず必要になる手続きを紹介します。

    1. 1-1.定款の作成と認証

      定款とは、設立する会社の基本原則になるものです。会社全体に関わるルールと理解するとよいでしょう。どのような会社を設立する場合も、定款の作成が必要になります。定款に記載する内容は、大きく「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられます。そのうち必ず定款に記載しなければいけないのは、「絶対的記載事項」です。「絶対的記載事項」を一つでも定款に書かなければ、定款全体が「無効」になるので作成時は十分注意しましょう。定款の必須項目である「絶対的記載事項」とは、具体的に次のとおりです。

      • 事業目的
      • 会社の名称(商号)
      • 本店の所在地
      • 設立時に出資される財産の価額または最低額(資本金額、出資財産額)
      • 特別永住者証明書
      • 発起人の氏名(または名称)住所

      定款の作成が無事に終わったら、公証役場で認証してもらいます。認証とは、第三者に作成した定款の記載が正しいことを証明してもらう手続きのことです。なお、定款の提出先は、設立する会社の本店所在地の都道府県内にある公証役場です。法務局に所属する公証役場は全国各地に設置されていますが、どこでも定款の認証をしてくれるわけではないので気をつけましょう。紙ベースで定款を公証役場に提出する方法もありますが、PDFの電子定款にも対応しています。電子定款であれば、4万円の収入印紙を用意しなくて済みます。ただし、専用の機器が必要になるので、自社にとって都合が良い方法で定款の認証をすませましょう。

    2. 1-2.登記申請

      会社の登記申請をするためには、所定の金額の収入印紙が必要になります。設立する会社の種類などによって金額が異なりますが、株式会社であれば、一般的には登録免許税として最低「15万円」になっています。あらかじめ郵便局、または法務局内の販売所で購入しておきましょう。手続き方法は法務局の窓口だけでなく、郵送でも受け付けています。会社の設立を急がない人や法務局に行く時間がない人は、郵送で登記申請をするとよいでしょう。会社設立日は、窓口で手続きをした場合は「登記申請をした日」、郵送の場合は「法務局に申請書類が到着した日」になります。また、ネットを利用したオンラインの登記システムを利用することもできます。この場合は、オンラインで送ったデータを法務局が受理した日が設立日となります。

  2. 2.設立後もやることがたくさん

    会社の設立に関する手続きが終わっても、やるべきことはたくさんあります。例えば、税務署で会社の設立に関する届け出をしなければいけません。具体的には次のような書類を税務署に提出することになります。

    • 法人設立届出書
    • 青色申告の承認申請書
    • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
    • 給与支払事務所等の開設届出書

    上記のほかにも必要に応じて、棚卸資産や減価償却資産に関する届け出も提出しなければいけません。なお、税務や特例の承認に関する手続きは、設立する会社の本店所在地を管轄する税務署でする必要があります。会社を設立した後に必要になる手続きは、税務署だけではありません。

    本店所在地がある都道府県・市区町村の地方自治体では地方税に関する届け出が必要であり、年金事務所では社会保険に関する届をする必要があります。特に社会保険は、特例を除いてすべての会社が加入しなければなりません。届け出書類の提出期限が会社を登記してから5日以内になっているので、急いで手続きをする必要があります。国や地方自治体に関する手続きが終われば、ようやく銀行などの金融機関で法人口座の開設手続きが進められます。

  3. 3.会社設立にはいくらかかるの?

    自分で株式会社を設立するにしても、専門家に依頼するにしても「約20万円」の費用がかかります。内訳は、公証役場に支払う定款認証手数料(3万円~5万2千円)と法務局で支払う登録免許税(15万円)などです。公証役場に紙ベースの定款を提出する場合は、これに加えて収入印紙代(4万円)がかかります。電子定款に対応可能な専門家に依頼すれば、収入印紙代はかかりません。

  4. 4.資本金の準備

    会社を設立するためには、いくらかの資本金が必要になります。しかし、会社を初めて設立する人の中には、資本金の金額や手続きが分からなくて不安を感じている人もいるでしょう。そこでこの章では、会社を設立するときに必要な資本金の準備に関する情報を紹介します。

    1. 4-1.資本金はいくら準備する?

      一般的には3~6カ月間会社を運営するために必要な資金を資本金とするといいでしょう。なぜなら、会社を設立して間もない頃は事業が軌道に乗らず赤字になる可能性が高いからです。もしものことを想定して、赤字であっても一定期間会社の活動を継続するために必要な金額を考えてみましょう。なお、資本金は「会社の体力」を表す指標です。中には、「個人事業や資本金が少ない企業とは取引をしない」と決めている会社もあります。つまり、資本金の額は、会社として評価される項目の1つということです。そのため、金額を適当に決めたり、少なすぎる金額に設定したりすると会社の信用に影響する可能性があるので、よく検討して決めるようにしましょう。

    2. 4-2.資本金の振込みはどこにすればいいの?どう証拠を残すの?

      会社の設立時の資本金は、発起人名義の個人の銀行口座に振込みます。発起人が1人の場合は、自分で自分の銀行口座に資本金となるお金を振込みます。資本金をきちんと振込んだことを証明するために、通帳のコピーが必要になることを覚えておきましょう。

    3. 4-3.ネット銀行の利用も可

      ネット銀行の口座に資本金を振込むと、自宅に居ながら手続きを進められます。また、振込手数料が安く、システムメンテナンス時を除き24時間365日いつでも振込みができるのもネット銀行の魅力です。実店舗がある金融機関よりも、預金金利が高めに設定されているのも嬉しいポイントの1つです。ただし、ネット銀行は紙ベースの通帳が発行されないため、資本金を払い込んだ履歴を印刷する必要があります。会社の設立に必要な箇所が印刷されていないと、やり直しになることもあります。また、1日の振込限度額が低めに設定されているケースもあるので、注意しましょう。

  5. 5.ネット銀行は法人口座も開設できる

    会社を設立した後は、法人口座を開設するのが一般的です。法人口座は、都市銀行や地方銀行だけでなく、ネット銀行でも開設できます。ネット銀行で法人口座を開設すると、費用が安く抑えられるだけでなく、比較的高い預金金利が適用されるメリットがあります。また、都市銀行や地方銀行で支払う必要がある口座維持手数料がかかりません。振込手数料が安い特徴もあります。24時間365日いつでもネット上で決済や振込などの手続きができるのも、ネット銀行ならではの魅力です。

  6. 会社の設立も事業活動もネットで簡単になった!

    会社を設立するためには、慣れない手続きをたくさんこなす必要があります。書類を提出する場所も異なるので、ネットで手続きをすると便利です。ネットを使えば、設立だけでなく日常の事業活動もスムーズに行えます。会社に関するものをすべてネットで行うことは難しいですが、ネットを賢く使うことが大切です。今回紹介した内容を参考に、会社の設立や運営にネットを活用してみましょう。

  • ※ 本コラムは2022年9月20日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

GMOあおぞらネット銀行の法人口座について詳しくはこちら

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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