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#40会社設立の費用・維持費ってどれくらい?個人事業主とどっちがお得?

会社の設立を検討している人の中には、設立時の費用や維持費がどれくらいになるのか気になる人もいるでしょう。会社を設立するとなると、何かとお金がかかるので、あらかじめ費用の相場を知っておくことが大切です。そこで今回は、会社を設立した場合にかかる費用について詳しく解説します。具体的な費用項目を挙げていくので、それぞれの相場を見ていきましょう。

  1. 1.株式会社設立にかかる費用

    初めて会社を設立する場合は、株式会社か合同会社のどちらかを選ぶのが一般的です。株式会社を設立するなら、手続きに実費だけでも約22~24万円の費用がかかります。金額の内訳は、収入印紙代(4万円)、定款の認証手数料(3~5万円)、謄本の発行手数料(約2千円)、登録免許税(一般的には15万円)です。ちなみに、合同会社は株式会社よりも手続きが簡素であるため、10万円ほどで設立できます。

  2. 2.株式会社の維持にかかる費用

    株式会社は設立してからも、費用がかかります。会社を維持するためには、具体的にどのくらいの費用がかかるのか項目別に金額をチェックしていきましょう。

    1. 2-1.税金

      法人になると、たとえ経営が赤字でも一定額の税金を納める義務があります。個人事業主だと利益の額によっては無税になることがありますが、会社の場合はまったく税金を支払わない年はありません。つまり、会社にとっての税金は固定費になります。会社の規模が小さくても、最低でも法人住民税(均等割)として約7万円を納税する決まりになっています。また、会社で雇用する従業員が50人を超えたり、別のエリアに支店や営業所を構えたり、1千万円を超える資本金があったりすると、この金額は大きくなるので注意が必要です。会社を設立するときは事業に関することだけでなく、節税対策のことも考えてベストな従業員数や資本金額を検討することもポイントの一つです。

    2. 2-2.専門家への報酬

      会社を設立する場合は、事業年度が終わったタイミングで決算書を作成し、税務署等に提出しなければいけません。しかし、決算書を作るには、会計や税務に関する専門的な知識が必要になるので、素人が一人で取り組むのは難しいです。そのため、税務の専門家である税理士に決算作業を任せるのが一般的です。しかし、会社に顧問税理士をつけると、報酬を支払う必要があります。月々の報酬額は顧問税理士によって異なりますが、相場は月額3~5万円ほどです。また、事業年度が終わると決算書を作成してもらうために、別途費用がかかります。決算時の顧問税理士に対する報酬額は、会社の売上規模などによって大きく異なります。

    3. 2-3.社会保険料

      法人になると、必ず社会保険に加入しなければいけません。社会保険料は、法人になった瞬間から売上や利益に関わらず、発生する固定費なので注意が必要です。会社が負担する社会保険料の額は、役員や従業員数、役員報酬や給与額によって異なります。社員1人に対して会社が負担する社会保険料額の目安は、社員の給料の約15%ほどです。例えば、30万円の給料を支払っている社員を雇っている場合、会社は約4万5千円の社会保険料を負担することになります。なお、個人事業主も5人以上の社員を雇う場合は、サービス業など一定の業種を除いて社会保険料を支払う義務が生じます。社会保険に加入すれば、相応の社会保険料を負担しなければいけないことは念頭に置いておかなければなりません。

    4. 2-4.その他の維持費

      これまでに説明した以外にも、会社として活動するためには次のような維持費がかかります。

      • 事務所の賃借料
      • 事務所の光熱費
      • 在庫管理費
      • 社員への給与
      • 社員の福利厚生費
      • その他の士業に対する顧問報酬

      会社を設立して経営を維持していくためには、さまざまな内容でお金が必要であることが分かります。

  3. 3.個人事業主とどちらがお得なのか

    事業を始める人の中には、個人事業主として活動するか会社を設立するか迷っている人もいるでしょう。この章では、それぞれのメリットを紹介します。

    1. 3-1.個人事業主のコストに関するメリット

      個人事業主として事業を展開する場合、法人のような設立費用はかかりません。定款の内容を決めたり、資本金の振込手続きをしたりなどの手間も省けます。個人事業主は、管轄の税務署で「開業届」を提出する必要があります。しかし、開業届は、屋号や税務申告する住所などの基本的な情報を記入するだけなのでスムーズに作成でき時間がかかることもありません。手続きは、1日で完了します。「お金をかけずに事業をスタートしたい」、「まずは小さな規模で事業を展開したい」という場合は、手間をかけて会社を設立せずに個人事業主として活動を始める選択肢があってもよいでしょう。

    2. 3-2.法人のコストに関するメリット

      株式会社を設立するには約24万円のコストがかかりますが、事業規模によっては個人事業主よりも税金の額が少なくなるケースがあります。一人会社の場合、会社を設立すると自分への給与(役員報酬)の設定次第で法人の利益と自分への給与所得で課税を分散できるので、納める税金の総額を低く抑えられる可能性があります。会社を設立すると、個人事業主よりも対象になる税金の種類は増えますが、課税所得の額によっては納税額が少なくなる点が魅力的です。

  4. 4.「合同会社」なら低コストで法人に!

    「できるだけコストを押さえて会社を設立したい」という人は、合同会社が適しているでしょう。合同会社の基本的なポイントや設立にかかるコストについて紹介します。

    1. 4-1.合同会社とは?メリット・デメリット

      合同会社とは、会社の所有者と経営者が同一であるタイプの法人です。2006年に会社法が施行されたタイミングで、新たな会社の形態として誕生しました。所有者と経営者が異なる株式会社とは違って、合同会社は執行役や取締役などの役職者は設置されません。また、合同会社では代表者のことを「代表社員」と呼ぶなどの特徴もあります。合同会社は株式会社と比較して、会社の設立にかかる費用やランニングコストが低いのが魅力です。株式会社と同様に、法人としての節税対策や社債の発行も可能です。合同会社の最大の魅力は、経営の自由度が高く、フットワークの軽い活動ができることでしょう。

      一方、株を発行して事業に必要な資金を調達できる株式会社と比較すると、資金調達の方法が限定されるデメリットがあります。合同会社では資金が足りなくなった場合、社員から追加の出資を募ったり、新しい社員を雇ったりして対応します。そのほか、金融機関から融資を受けたり、一般社債を発行したりすることで資金調達する必要もあります。また、合同会社は株式会社よりも知名度が低いので、信頼性が少し劣るのが気になる点として挙げられます。

    2. 4-2.合同会社のコスト

      合同会社の設立にかかるコストは、約10万円です。金額の内訳は、登録免許税(6万円)、収入印紙代(4万円)、定款の謄本手数料(約2千円)です。先に紹介した株式会社の設立費用は約24万円なので、合同会社は半額以下で設立できます。

      会社の形態の違いでこの金額差が出ている要因には、公告義務や重任登記費の有無があります。合同会社は、株式会社と違って公告義務がなく費用が抑えられます。また、合同会社は、株式会社のように役員の任期に制限がないため、重任登記費(1万円)がかかりません。ちなみに、株式会社の役員の任期は最短で1年間~最長10年間なので、期間が経過するたびに重任登記費を負担することになります。

  5. ランニングコストも考えた選択を

    会社を設立する場合は、ある程度まとまった資金を準備する必要があります。会社の形態によって負担額が大きく異なるので、自社に合った選択をしましょう。ただし、お金がかかるのは設立時だけでなく、ランニングコストもかかります。そのため、事業を始めるときは、個人事業主として活動すべきか、会社を設立すべきかをよく検討することが大切です。

  • ※ 本コラムは2022年9月26日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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