起業に関するお役立ち情報
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
#41会社設立の行動を起こす前に最低限決めるべきことって何がある?
会社を設立するためには、さまざまな行動を取る必要があります。しかし、初めて会社を設立する場合は、「どのような準備が必要なのだろう」と悩むこともあるでしょう。そこで今回は、会社を設立する前に知っておきたいポイントや注意点を紹介します。将来会社を設立しようと考えている人や起業の準備を検討している人は必見です。
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1.会社設立は行動に移す前に決めることがたくさん!
会社を設立するときの大まかな流れは、次のとおりです。
- 1.会社の設立に関する準備
- 2.定款の作成・認証
- 3.登記書類の作成
- 4.会社設立の登記
- 5.開業の届け出など
- 6.会社の設立手続き完了
手順をざっと挙げただけでも、会社を設立するにはたくさんの手続きが必要であることが分かります。そのため、会社をスムーズに設立するためには、事前準備をしっかりしておく必要があります。会社の設立に関する細かな内容は、次節以降で順番に確認していきましょう。
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2.事業目的を決める
事業目的とは、新しく設立する会社で、どのようなことをしてお金を稼ぐのかを端的に表したものです。会社を設立するためには定款を作成しなければいけませんが、事業目的はこの定款に必ず記載することになっています。設立時に事業目的を決める際は、会社の将来についても考える必要があります。設立してから取り組む事業目的を書き出すだけでなく、「会社が成長したときにやりたい事業」もリストアップしておくとよいでしょう。良い事業目的が思いつかないときは、同業他社のホームページなどに記載されている情報を参考にするのもよいでしょう。
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3.商号(会社の名前)を決める
会社の名前である商号を決めるときのポイントや注意点を解説します。
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3-1.商号のルール
商号(会社の名前)は基本的に何を付けても大丈夫ですが、これから説明する2つのルールを守る必要があります。1つ目は、商号(会社の名前)のどこかに会社の種類名を入れることです。例えば、株式会社を設立するなら、会社名の最初か最後に「株式会社」を付けなければいけません。合同会社の場合も同様です。2つ目は、誤認されるような商号(会社の名前)は使用しないことです。意図的に他社と同じような商号を付けて消費者に混同させた場合には不正競争防止法などの観点で問題が生じる場合があります。
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3-2.考え方のポイントと注意点
商号(会社の名前)を考えるときは、誰でも覚えやすく、簡潔で発音しやすいものにするといいでしょう。商号(会社の名前)は、会社として営業を開始してからお客さまの前などで何度も名乗ることになります。複雑な名前にすると、名刺交換や電話をしたときなどに、聞き直されて話がスムーズに進まない可能性があります。また、ギリシャ文字やハングル文字などの使用ができないことも、商号(会社の名前)を考えるときの注意点として覚えておきましょう。使用できる文字は、次のとおりです。
- ひらがな
- カタカナ
- 漢字
- 英語
- アラビア数字
そのほか「○○事業部」「○○支店」などのような部門を表す言葉の使用も禁止されています。
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4.本店所在地を決める
本店所在地とは、新しく設立する会社の本社を置く住所のことです。株式会社を設立するために必要な定款に必ず記載する必要があります。賃貸オフィスやレンタルオフィスなどを本店所在地にする場合は、あらかじめ管理者や貸主に承諾を取らなければいけません。オフィスの賃貸契約を結ぶ前に、「新しい会社を設立するために借りたい」と伝えておくようにしましょう。また、自宅を会社の本店所在地にする方法もあります。ただし、賃貸物件の場合は「法人利用が可能であること」を確認しなければいけません。賃貸借契約書の内容に目を通したり、管理者や貸主に相談したりして物件が法人利用不可になっていないことをチェックしましょう。
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5.資本金について決める
資本金は、会社を設立するときに特に重要な決定事項の1つです。適当に決めるのではなく、金額や出資者などを十分検討する必要があります。この章では、資本金を決めるときのポイントなどを詳しく紹介します。
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5-1.資本金はいくらにすればいい?
会社の資本金の最低金額は、1円です。そのため、制度的には1円の資本金があれば、会社を設立できます。しかし、現実的に考えると会社を3カ月~6カ月程度運営するために必要なお金を資本金と設定するのがよいでしょう。なぜなら、会社を設立してからしばらくは、事業がスムーズに進まず赤字になる可能性があるからです。実際に、新しく会社を設立している法人の多くは、100~500万円の資本金を用意しています。なお、資本金の額が1千万円以上になると、会社を設立した当初から消費税の課税業者になるので注意が必要です。特別な理由がない限りは、1千万円未満の資本金にするとよいでしょう。
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5-2.資本金を出す人は誰にする?
会社の資本金を出す人を決めるのも、設立時の大切な決定事項です。資本金を集める方法には、2つの方法があります。1つは、会社を創業するメンバー(発起人)が自分たちのお金から資本金を出す方法です。この方法で会社を設立することを「発起設立」と呼びます。起業をする人の多くは、発起設立で会社を始めることになるでしょう。もう1つは、発起人以外から出資を受ける方法です。この方法は投資家などの出資を募るため、「募集設立」と呼ばれます。募集設立は少し手続きが増えるので、「簡単に会社の設立手続きがしたい」という場合は発起設立で資本金を集めるとよいでしょう。
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6.役員について決める
役員とは、代表取締役や監査役、取締役、会計参与などのことです。新しく会社を設立するときは、まず「取締役会」を置くかどうかを考える必要があります。なぜなら、会社に取締役会を設置する場合は取締役を3人以上用意したり、監査役を置いたりしなければいけないからです。取締役会を置くかどうかは、新しく設置する会社の形態なども踏まえて検討するとよいでしょう。
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7.事業年度を決める
事業年度とは、法人税などの税金を計算するための単位となる期間のことで、通常は1年に設定します。新しく会社を設立した年は、事業年度の期間が1年未満になることもあります。事業年度は、会社が自由に決められる仕組みになっています。しかし、事業年度を決めるときは、決算期と会社の繁忙期をずらすといいでしょう。なぜなら、決算期は色々な書類を用意したり、申告をしたりと、決算業務に追われるからです。本業が忙しい時期と決算期が同時期になると大変なので避けるようにしましょう。また、消費税の観点から言えば、会社設立日から遠い日を決算日に設定するとよいでしょう。会社を設立してから2期間は原則として消費税が免税になります。そのため、初年度の期間をできるだけ1年に近づけることで、消費税の免税期間が長くなるため節税効果が期待できます。
そのほか、税理士が忙しい3月や12月、1月は決算業務を引き受けてもらえない可能性があるので注意しましょう。なお、決算日の設定は会社を設立した後でも株主総会で変更できます。事業年度は慎重に考えなければいけませんが、会社を始めてから不都合が起きた場合は所定の手続きを踏んで変更するとよいでしょう。
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最初によく検討してから行動しよう!
会社を設立するときは事業目的や会社名を決めたり、適切な資本金の額を考えたりなど非常にたくさんの準備が必要になります。そのため、思い立ったときにすぐ具体的な行動をとるのではなく、事前にさまざまな検討をすることが大切です。初めて会社を設立する人は特に、今回紹介した内容をよく読んで自社の設立に生かすようにしましょう。
- ※ 本コラムは2022年10月3日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
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執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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