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#16今さら聞けない補助金と助成金の違い
補助金と助成金、中小企業の経営者にとって、近年大変なじみのある言葉となってきました。みなさんの周りにも活用している経営者も多くいらっしゃるのではないでしょうか。この補助金と助成金、端的に言えば、どちらもお金がもらえる制度ですが、実は似て非なるものです。今回は、補助金と助成金の違いについてみていきましょう。
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1.性質の違い
補助金とは、経済産業省や自治体などが、経営革新や技術革新、生産性向上、起業、IT化、多角化など、目標とする政策目的達成のために税金を使って中小企業を支援する制度です。助成金とは、主に厚生労働省が管轄している雇用関係の助成制度です。正社員の雇用や女性・高齢者の就業促進など、雇用に関する課題の実現に取り組む事業者に対して、一定額を助成する制度です。ただし、地方自治体によっては、補助金の性質であっても、助成金と名付けている場合がありますので注意しましょう。
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2.審査の有無
補助金は、申し込めば必ず受給できるわけではなく、審査員による審査があります。応募資格があるかという形式的な審査のあと、申請書類の審査があります。補助金によっては、さらに面談審査がある場合もあります。審査には、ビジネスプランのほか、事業実施体制が整っていることや、実施するための資金計画状況など総合的な審査があり、合格しなければ受給できません。一方で、助成金はあらかじめ定められた要件を満たすことで、基本的には受給できます。例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、半年間以上の有期契約として雇用した契約社員を正社員に転換して一定期間が経過し、かつその他に決められた要件を満たせば受給できる可能性があります。補助金のように、ビジネスプランの審査はありません。
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3.いつ頃応募できるのか
補助金・助成金は国会や自治体の予算で決まります。国家予算は、4月から始まる年度予算のほかに、補正予算という特別な予算があります。予算は、例年8月末くらいに発表になる概算要求という各省庁からでる予算案がひとつの目安になります。補正予算は、秋ごろに審議があり、年明けの通常国会で決まることが多いです。補助金の多くは、補正予算で募集がかかります。
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4.応募期間
多くの補助金は、いつでも募集しているわけではなく、決まった応募期間があります。締め切り期日までに申し込みをしなければいけません。小規模事業者持続化補助金(一般型)では、補助金の締め切り前に、商工会議所や商工会に書類を提出し所定の様式をもらう必要があります。補助金によって対応が異なりますので、事前確認が必須です。
一方、助成金は、補助金のように締め切り時期が決まっていないケースが大半です。基本的には、予算がなくなるまで応募できますが、予算がなくなると、受付終了となります。受給しやすい助成金は応募が殺到するので、いかに情報を収集し、素早く応募するかがポイントです。 -
5.貰える金額
補助金には、補助率が決められていて、使った経費に対して決められた割合が戻ってきます。例えば、補助率が2/3の場合、75万円使った経費に対して50万円が戻ってきます。補助金により、1/2、2/3、3/4など補助率が異なります。補助金審査通過時に、50万円もらえる計画になっていたとしても、書類内容や経費の使い方などが適切でない場合は、減額される場合もあります。
一方、助成金はある条件を満たすと50万円というように、金額が決まっているものがほとんどです。
補助金や助成金は、原則返済不要のお金で、中小企業やスタートアップ企業、起業家が事業を進めるために有利な制度です。関心がある場合は、税理士や社会保険労務士、中小企業診断士に相談してみてはいかがでしょうか。
- ※ 本コラムは2022年12月28日現在の情報に基づいて執筆したものです。
- ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。
- ※ 制度内容、申請条件等については、各機関のホームページ等で最新の情報を直接ご確認ください。
執筆者情報
V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修
■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。
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