
会社経営において「資金繰り」は、利益と同じくらい重要な要素です。どれだけ売上があっても、支払いに必要な現金が不足すれば、経営は行き詰まってしまいます。
そのため、日々のキャッシュフローを見える化し、先を見据えて資金繰り計画を立てることが不可欠です。本記事では、資金繰り計画が経営に与える影響や、その改善策について分かりやすく解説します。
1.会社経営における資金繰りとは
会社経営における資金繰りとは、企業が日常的に必要とする現金の流れを管理し、適切なタイミングで資金を確保するプロセスを指します。
具体的には、売上から得られる現金と、仕入れや人件費、その他経費にかかる支出を見極め、キャッシュフローを円滑に保つことが求められます。資金繰りがうまくいかないと、たとえ利益が出ていても支払いが滞り、経営が危機に陥る可能性があります。
経営者は、資金の流れを把握し、将来の支出や収入を予測することで、より安定した経営を実現することができます。資金繰りを適切に行うことで、企業は柔軟な経営判断を下し、競争力を維持することが可能となります。
2.資金繰り表とは
資金繰り表とは、企業のキャッシュフローを視覚的に把握するための重要なツールです。キャッシュフローとは、企業の現金の流入と流出を示すもので、資金繰り表によって現金の流れを整理し、将来の資金の動きを予測する役割を果たすことができます。
資金繰り表には、売上や経費、借入金の返済、仕入れなどの情報が含まれます。これにより、企業は資金の不足や余剰を事前に把握し、適切な対策を講じることができるようになります。
3.資金繰り計画が必要な理由
資金繰り計画は、会社経営において欠かせない要素と言えますが、その理由は主に3つあります。詳しく見ていきましょう。
3-1.会社のキャッシュフローの透明性を上げるため
資金繰り計画を立てることは、会社のキャッシュフローの透明性を高めるためにも大変重要なものです。
例えば、資金繰り表を作成することで月ごとの収入や支出を視覚的に確認できるため、急な支払いに備えた準備や、余剰資金の運用方法を考える余裕が生まれます。また、透明性が高まることで、社内の関係者や外部のステークホルダーに対しても信頼感を与えることができ、企業の信用度向上にも寄与します。
キャッシュフローの透明性を高めることは、企業の持続的成長を促すうえでも欠かせない要素と言えるでしょう。
3-2.適切な経営判断を下せるようにするため
資金繰り計画により、経営者は現金の流れを見極め、必要なタイミングでの支出や投資を行うことが可能になります。例えば、急な支払いが発生した場合や、新たなビジネスチャンスが訪れた際に、資金繰りが整っていれば迅速に対応できるのです。
また、資金繰り計画を通じて、将来的な収支の予測が立てやすくなります。これにより、経営者は短期的な利益だけでなく、中長期的な成長戦略を考慮した上での意思決定ができるようになります。
さらに、資金繰りが明確であれば、経営者は従業員や取引先との信頼関係を築くことにもつながります。安定したキャッシュフローを維持することで、従業員への給与支払いが滞ることもなく、取引先との関係も良好に保つことができます。
3-3.企業の信用度を上げるため
資金繰り計画は、企業の信用度を向上させるためにも非常に重要です。企業が安定したキャッシュフローを維持し、計画的に資金を管理することで、取引先や金融機関からの信頼を得ることができます。特に、資金繰りが適切に行われている企業は、支払い能力が高いと見なされ、取引先との関係が強化されるだけでなく、融資を受ける際にも有利な条件を引き出すことが可能になります。
また、投資家やパートナーも企業の財務状況を正確に把握することで、安心して関与することができます。資金調達や新たなビジネスチャンスの獲得にもつながるでしょう。
4.資金繰りを回避するためのキャッシュフロー改善策とは
会社経営において資金繰りを円滑に行うためには、キャッシュフローの改善が不可欠です。ここでは、資金繰りを回避するための具体的な改善策を7つ紹介します。
これらの改善策を実施することで、資金繰りの問題を回避し、健全な経営を維持することができるでしょう。
4-1.資金繰り表を作成して現金の流れを把握する
資金繰り表は、企業の現金の流れを視覚的に把握するための重要なツールです。この表には、売上の予測や経費の支出、借入金の返済予定など、さまざまな要素が含まれます。
資金繰り表を作成する際には、過去のデータを基にした現金の流入と流出のパターンを分析することが重要です。これにより、季節的な変動や特定のイベントによる影響を考慮しながら、より正確な予測が可能になります。また、資金繰り表は定期的に更新することで、常に最新の情報を反映させることが求められます。
4-2.無駄な経費を削減する
経費が無駄にかかっていると、利益が出ていてもキャッシュフローが圧迫され、最終的には経営に悪影響を及ぼす可能性があります。まずは、現状の経費を見直し、どの部分が本当に必要で、どの部分が削減可能かを明確にすることが大切です。
具体的には、定期的に支出をチェックし、不要なサブスクリプションやサービスを解約することから始めましょう。また、オフィスの光熱費や通信費など、固定費の見直しも効果的です。例えば、エネルギー効率の良い設備を導入することで、長期的に見れば大きなコスト削減につながります。
さらに、仕入れや外注に関しても、複数の業者から見積もりを取り、コストパフォーマンスの良い選択をすることが重要です。これにより、同じ品質のサービスや商品をより安価に手に入れることができ、経費の削減に寄与します。
また、意外に見落としがちなのが、銀行の振込手数料や口座維持手数料です。取引回数が多い企業ほど、このコストは無視できません。
例えば、GMOあおぞらネット銀行は、他行宛ての振込手数料が一件あたり143円と業界最安値水準(※)なのはもちろん、口座維持手数料も無料です。メインバンクを乗り換えるだけで、毎月の固定費を確実に削減できる可能性があります。
※2026年1月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定のキャンペーン、当社提携サービス口座等は除いております。
4-3.ファクタリングを利用して売掛債権を売却する
ファクタリングは、企業が持つ売掛債権を第三者に売却することで、即座に現金を得る手法です。この方法は、特に資金繰りに悩む中小企業にとって非常に有効な手段となります。売掛金の回収を待つことなく、必要な資金を早期に手に入れることができるため、キャッシュフローの改善に直結します。
ファクタリングのプロセスは比較的シンプルです。企業は売掛債権をファクタリング会社に売却し、その対価として現金を受け取ります。ファクタリング会社は、売掛金の回収を行うため、企業はその後の回収業務から解放されます。この仕組みにより、企業は資金繰りの安定を図ることができるのです。
また、ファクタリングは銀行融資とは異なり、担保や保証人を必要としない場合が多いため、資金調達のハードルが低いという利点もあります。特に、急な資金需要が発生した際には、迅速に対応できる手段として重宝されます。ただし、ファクタリングには手数料が発生するため、コスト面も考慮する必要があるでしょう。
4-4.借入金の金利や返済方法を検討し直す
会社経営において、借入金は資金繰りを支える重要な要素ですが、その金利や返済方法が経営に与える影響は計り知れません。金利が高い借入金は、毎月の返済負担を増加させ、キャッシュフローを圧迫する要因となります。そのため、現在の借入金の金利を見直し、より低金利の金融機関への借り換えを検討することが重要です。これにより、利息負担を軽減し、資金繰りを改善することが可能になります。
また、返済方法についても再評価が必要です。例えば、元利均等返済から元金均等返済に変更することで、初期の返済額を減少させることができ、短期的なキャッシュフローの改善につながります。さらに、返済期間の延長を交渉することで、月々の負担を軽減し、資金繰りの安定を図ることも一つの手段です。
4-5.売掛金の回収率を上げる
売掛金の回収率を上げることは、資金繰りを改善するために非常に重要な施策です。売掛金とは、商品やサービスを提供した後に顧客から受け取るべき代金のことであり、これがスムーズに回収できないと、必要な資金が手元に入らず、経営が困難になるリスクが高まります。
売掛金の回収率を上げるためには、顧客とのコミュニケーションを密にすることが重要です。定期的に請求書を送付し、支払い期限を明確に伝えることで、顧客に意識してもらうことができるでしょう。また、支払いが遅れている顧客には、早めにフォローアップを行い、状況を確認することも効果的です。
支払い条件を見直すことも、一つの手段です。例えば、早期支払い割引を提供することで、顧客に早めの支払いを促すことができます。また、分割払いの選択肢を設けることで、顧客が支払いをしやすくなる場合もあります。
最後に、売掛金の管理を効率化するために、専用のソフトウェアを導入することも検討しましょう。これにより、売掛金の状況をリアルタイムで把握でき、未回収の債権に対して迅速に対応することが可能になります。
4-6. 事業用カード(クレジット/デビット)を活用して支出を管理する
事業用のクレジットカードは、支払いを翌月以降に先延ばしにできるため、手元の現金を確保し、資金繰りを改善する有効な手段です。特に、急な支出が発生した際に即座に対応できる柔軟性があります。
また、利用明細が自動的に記録されるため経費管理が容易になり、経理作業の軽減にも繋がります。
ただし、クレジットカードは手元に現金がなくても使えるため、無計画な利用はかえって将来の資金繰りを圧迫するリスクも伴います。「借金をせずに経費を支払いたい」「支出を厳格に管理したい」と考える経営者の方も少なくないでしょう。
そこで、もう一つの有力な選択肢となるのが「ビジネスデビットカード」です。
デビットカードは、利用すると銀行口座から即時に引き落とされるため、口座残高の範囲内でしか使えません。これにより、クレジットカードのような使いすぎを防ぎ、キャッシュアウトをリアルタイムで正確に把握できるという大きなメリットがあります。
これは、「資金繰り表を作成して現金の流れを把握する」という資金繰り管理の基本を、日々の支払いレベルで実践するのに最適なツールと言えます。
例えば、GMOあおぞらネット銀行のビジネスデビットカードなら、以下のようなメリットがあります。
●現金感覚で使いすぎを防止: 借金ではないため、健全なキャッシュフロー管理が可能です。
●経費管理を効率化: Web明細では利用加盟店ごとに記載されるため、会計ソフトでの経費の仕分けの手間を大幅に削減できます。
●設立直後でも作りやすい: クレジットカードのような与信審査が不要なため、設立間もない法人の方でも発行しやすいのが特長です。
●高いキャッシュバック率(※): 通常1%現金還元。現金や振込で支払うよりも、実質的に経費を削減できます。
資金繰りの改善には「支払いを遅らせる」ことだけでなく、「支出を正確に管理し、無駄をなくす」ことも非常に重要です。そのための第一歩として、ビジネスデビットカードの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※2026年1月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の還元率優遇のプログラムや期間限定のキャンペーン、当社提携サービス口座等は除いております。
税金や公共料金など一部キャッシュバック率が異なる利用先がございます。詳細はGMOあおぞらネット銀行のWebサイトでご確認ください。
4-7.資金調達を行う
資金調達を行うことも、資金繰りの有効な手段となります。資金調達の方法は多岐にわたり、企業の状況やニーズに応じて最適な手段を選ぶことが大切です。
まず、銀行からの借入れが一般的な資金調達方法です。金利や返済条件をしっかりと確認し、自社のキャッシュフローに合ったプランを選びましょう。また、政府や地方自治体が提供する助成金や補助金も、資金調達の一環として利用できます。これらは返済の必要がないため、企業にとって非常に魅力的な選択肢となります。
さらに、クラウドファンディングや、創業したばかりの企業に出資する「エンジェル投資家」からの資金調達も近年注目されています。特に新興企業やスタートアップにとっては、これらの手段が資金を集める有効な方法となることがあります。投資家に対して自社のビジョンやプロジェクトの魅力をしっかりと伝えることで、資金を得るチャンスが広がります。
5.資金繰りで困った時に頼れる専門家や機関とは
会社経営において資金繰りが厳しくなった場合、専門家や機関の助けを借りることが非常に重要です。ここでは、代表的な専門家や機関を3種類ご紹介します。
5-1.税理士
資金繰りに関して困ったとき、頼れる専門家の一人が税理士です。
税理士は、企業のキャッシュフローを分析し、現金の流れの見える化をサポートします。これにより、どのタイミングで資金が必要になるのか、または余剰資金が発生するのかを把握することができ、経営判断を行ううえでの重要な情報を提供してくれます。また、税務上の優遇措置や助成金の活用方法についてもアドバイスを受けることができ、資金繰りの改善に寄与します。
さらに、税理士は企業の財務状況を外部に示す際の信頼性を高める役割も果たします。適切な帳簿管理や税務申告を行うことで、企業の信用度を向上させ、金融機関からの融資を受けやすくすることが可能です。
5-2.中小企業診断士(経営コンサルタント)
資金繰りに悩む企業にとって、中小企業診断士や経営コンサルタントは非常に頼りになる存在です。彼らは、経営全般に関する専門知識を持ち、企業の現状を分析し、改善策を提案するプロフェッショナルです。特に資金繰りに関しては、キャッシュフローの見える化や資金調達の方法、経費削減のアドバイスなど、具体的な支援を行います。
中小企業診断士は、企業の財務状況を詳細に分析し、資金繰り計画の策定をサポートします。彼らは、過去のデータを基に将来のキャッシュフローを予測し、必要な資金を確保するための戦略を立てる手助けをします。また、経営者が直面するさまざまな課題に対して、客観的な視点からアドバイスすることで、適切な経営判断を下すためのサポートを行います。
さらに、中小企業診断士は、金融機関との交渉や資金調達の方法についても助言を行います。資金繰りが厳しい状況にある企業にとって、専門家の意見を取り入れることで、より良い解決策を見出すことができるでしょう。
5-3.金融機関
資金繰りに困った際、頼れる存在として金融機関が挙げられます。金融機関は、企業の資金調達をサポートする重要な役割を果たしています。特に、中小企業にとっては、資金繰りの安定を図るために、金融機関との良好な関係を築くことが不可欠です。
金融機関は、融資や信用枠の提供を通じて、企業の資金ニーズに応えます。例えば、運転資金が不足している場合、短期融資を受けることで、急な支払いに対応することが可能です。また、長期的な成長を目指す企業に対しては、設備投資のための融資を提案することもあります。
さらに、金融機関は資金繰りのアドバイスを行うこともあります。経営状況やキャッシュフローの分析を通じて、適切な資金調達方法や返済計画を提案してくれるため、経営者にとって心強いパートナーとなります。特に、資金繰りが厳しい状況にある企業は、早めに金融機関に相談することで、適切な対策を講じることができるでしょう。
まとめ
本記事では、資金繰り計画の重要性やその具体的な改善策について解説しました。資金繰り表の作成や無駄な経費の削減、売掛金の回収率向上など、実践的なアプローチを取り入れることで、経営の安定性を高めることができます。さらに、困難な状況に直面した際には、専門家や機関の力を借りることも一つの手段です。
資金繰りは経営の根幹を支える要素であり、常に見直しと改善を行うことが求められます。今後の経営において、資金繰り計画をしっかりと立て、持続可能な成長を目指していきましょう。
※本コラムは2026年1月30日現在の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。

