原油・物価価格の高騰等の影響を受け、経費がかさみ、事業を圧迫しているという企業も多いのではないでしょうか。多くの経営者は、なるべく多くの利益を上げたい、資金繰りを改善したいと考えていることでしょう。利益を大きくする方法は、大きく分けてこの2つです。
売上を増やすには、基本的には新しい戦略策定と実行などが必要ですが、計算通りに成功する保証はありません。また、効果が出るまでにも時間がかかります。
そのため、経費削減の方が取り掛かりやすいというのが多くの企業が考えるところです。経費を見直すことで無駄なコストを削減しながら、売上を維持できれば利益を増やすことができます。そこで、税理士として多くの企業を指導してきた立場より、経費削減について考えるべき項目やポイント、いまから始められるネットバンクを利用した経費削減方法などについて解説していきます。
1.経理コストの削減に取り組むためには?
コストとは、商品(サービス)を生産・販売するために必要な費用であり、広告宣伝費や地代家賃、水道光熱費、事務用消耗品費など多岐にわたります。
まず、大事なポイントとして、売上に直結するコストと直結しないコストがあることを理解することが必要です。売上に直結するコストを削減してしまうと売上は下がってしまう可能性が高まります。反対に、売上に直結しないコストだからといってその効用を無視して大きく削減してしまうと企業運営に支障が出てしまう可能性が出てきます。
特に経理コストなどの間接部門のコストは売上に直結しないコストですが、企業を運営していくにあたり、なくてはならない存在です。
では、どのように経理コストを削減していけば良いのでしょうか?
例えば、請求書や見積書を電子化する、法人カードの発行で振込手数料を削減するなどの方法もあります。また、振込手数料などの銀行手数料を削減していくことも賢明だと思います。現在、取引先への支払いはほとんどの企業が銀行振込によって行っているはずです。振込手数料は1件あたりを比較しても大差はないと思うかもしれません。
しかし、長い期間で考えて、10件、50件、100件、500件と支払い件数が増えていくと大きな違いが出てきます。今よりも振込手数料が安い銀行を検討し、利用するだけで経理コストを削減することが出来ます。
2.ネット銀行は全体的に手数料が安い
特にオススメなのがネット銀行です。ネット銀行は実店舗や自行のATMを持たないので、店舗運営のコストや人件費を抑えることができます。そのため、ATMの利用手数料や振込手数料は全体的に安く設定されています。
一例として、GMOあおぞらネット銀行と、メガバンクAを利用した時の手数料を比較していきます。(同じくWeb振込を利用した場合)
※法人口座メガバンクAと比較した場合における大きな違いのひとつは、オンラインバンキング利用料です。
GMOあおぞらネット銀行はネット銀行のため、オンラインバンキング利用は発生せず無料です。
一方、メガバンクAでは、法人におけるネットバンキング利用は付帯サービスのため、法人口座開設を行っただけでは利用することができません。
ネットバンキングサービスに申し込み利用を開始すると、毎月3,300円の基本利用料がかかります。
もしもメガバンクAを利用している企業が、GMOあおぞらネット銀行に変えた場合、基本利用料だけでも、年間39,600円の削減ができます。
また、1回ごとの振込手数料でも価格差が大きいです。例えば、振込金額3万円以上で他行宛ての振込を月間100件行っている企業があったとします。メガバンクAを利用した際の月間にかかる振込手数料は66,000円、年間では792,000円かかります。一方、GMOあおぞらネット銀行を同一の条件で利用した場合には、月間14,500円、年間174,000円になり、差額にして年間618,000円の削減が図ることができます。
3.ネットバンクを有効活用していくためには?
ただ、税理士としての長年の経験からすると、各種手数料が安いからといって、いきなりメインバンクをネットバンクに変えることはお勧めしません。
既に取引先に振込銀行を伝えている場合、すべての取引先に振込先銀行口座が変更になることを告げなくてはなりません。よほど大きな理由がない限りは、取引先の手間になってしまい取引先を混乱させてしまう可能性があります。
そうした混乱を避けたうえで、ネットバンクを有効活用するには、売上入金ではなく、他行宛ての振込を中心に利用することをお勧めします。
取引先からの入金口座はメインバンク、他行宛ての振込手続きはネットバンクにて行う。双方の口座残高を見ながら、定期的に資金移動を行う手間や手数料がかかりますが、それ以上の効果が得られます。
4.GMOあおぞらネット銀行サービス紹介
ネットバンクもいくつかありますが、ここではGMOあおぞらネット銀行の特長をご紹介します。
(1)Pay-easy(ペイジー)で支払いができる
ペイジーとは、オンラインで各種支払いができるサービスです。民間企業とのやり取りだけではなく、法人税、消費税、源泉所得税などの国税や法人事業税や住民税などの納税でとても便利な仕組みです。基本的にいつでもどこでもスマホなどでも決済することができるため、銀行窓口へ行き、長い時間待たされる時間や、納付書を手書きで記入するなどの手間を省くことができます。結果、少しでも本業に集中する時間をつくり出すことができます。
Pay-easy(ペイジー)が利用できないと、メインバンクや他銀行と並行しなければならなくなるので選ぶ際には重要なポイントとなります。
2023年1月16日よりGMOあおぞらネット銀行はPay-easy(ペイジー)への対応を開始しています。現在は、国庫金納付や社会保険料の支払いに対応しており、順次支払い先を拡大していきます。
(2)クラウド会計ソフトと連携ができる
クラウド会計ソフトとは、インターネット上で帳簿入力・仕訳作業・支払管理・決算書作成・保存するためのツールのことです。インターネットを活用するため、インターネットに接続できる環境にないと利用することができません。クラウド会計ソフトで有名なのは「弥生会計オンライン」「freee」「Money Forward」の3つです。既にこれらのクラウド会計ソフトを導入している企業も多いでしょう。ネット銀行の銀行口座は、これらのクラウド会計ソフトと連携することができます。銀行口座とクラウド会計ソフトを連携すると以下のようなメリットがあります。
①経理処理の時間を大幅に短縮できる
自動同期の設定を行うことにより、インターネットバンキング口座やクレジットカードの利用履歴が自動で取り込まれます。自動で取り込まれることにより手入力などの手間が省けるため、経理処理の時間を大幅に短縮することができます。
②ミスが防げる
人間が作業していると、どうしてもミスは起きてしまいます。特に経費などの二重計上や計上漏れがあると大変です。
もしクラウド会計ソフトと口座が連携されていれば、通帳明細やクレジットカードの明細がそのままクラウド上に反映されるため、ミスを大きく減らすことができます。
(3)複数の口座番号の設定ができる振込入金口座(バーチャル口座)
GMOあおぞらネット銀行銀行では、代表口座とは別に振込入金専用の口座を発行できるサービスがあります。得意先ごとに口座を割り当て、経理上の入金消込を行いやすくするなど効率的な運用が行えます。
(4)ネット銀行初、日本政策金融公庫の返済口座指定が可能に
GMOあおぞらネット銀行では、2023年2月20日から日本政策金融公庫の融資の返済口座の受付を開始しています。これにより、「国民生活事業」「中小企業事業」における融資の返済が可能になりました。今までは、店舗を構えている金融機関でしか口座振替ができませんでした。なかなか法人口座開設ができずに苦労する人が多く、公庫での融資が決まっていても法人口座の開設に苦労され、融資の受取・返済を行う法人口座の準備に困っているという方もいました。これをきっかけにネットバンク全体に普及していくと良いですね。
なお、GMOあおぞらネット銀行では、そのほかにも法人のお客さまからのニーズの高い各種の口座振替に対応しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。経理コスト削減手法とネットバンクを有効に活用する方法を中心に解説しました。ネットバンクは全体的に手数料が安く、銀行窓口に行かなくてもインターネット上で振込手続きやPay-easy(ペイジー)を利用した納税も可能となっています。
メインバンクは今のまま、使い勝手のよい部分を活用するサブバンクとしてにネット銀行の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ぜひ、参考にしてネットバンクを有効活用してみてください。
※ 本コラムは2024年11月6日の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。
起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・HRコンシェル・FPマネーコンシェル・総合研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。