会社設立をするためには、公証役場と法務局の2カ所で所定の手続きをする必要があります。この記事では、それぞれの手続きに必要な書類をチェックできます。手続きをする前にあらかじめ内容を確認しておくと、会社設立をスムーズに進めることができます。聞きなれない書類名があるかもしれませんが、どれも大切な書類なのできちんと確認しておきましょう。
目次
1.公証役場と法務局でそれぞれ必要書類がある
株式会社を設立するためには、公証役場と法務局でそれぞれ手続きをしなければいけません。具体的に必要になる書類は、次の章から詳しく紹介していきます。ちなみに、法務局では公証役場で認証された定款(ていかん)がなければ手続きを進められません。したがって、先に公証役場に行って、会社設立に必要な手続きを終わらせてから法務局に向かうようにしましょう。公証役場と法務局は各都道府県に設置されていますが、会社の本店所在地の管轄先を確認してから手続きを行ってください。
2.公証役場で必要な書類
まずは、会社設立における公証役場での手続きに必要な書類を順番に紹介していきます。
2-1.定款
定款とは、設立する会社のルールを定めた文書のことです。電子定款ではなく、紙の定款の場合、会社設立における手続きには、公証役場提出用、法務局提出用、会社保管用の全部で3通の定款が必要になると覚えておきましょう。定款に記載する規則は、会社法に基づいて、会社の発起人同士で話し合ったうえで作成することになっています。書式は定められていませんが、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項を確認したうえで作成する必要があります。
定款は公証役場に提出した後に規則を変更しようとすると、株主総会での決議が必要になります。定款の作成に慣れていない人がほとんどですが、会社法に則して会社のルールを決定し、その最初に作成するルールが、会社の礎になるとても大切なものだと心得ておきましょう。
2-2.発起人の印鑑登録証明書
会社設立のために公証役場に行くと、会社の発起人全員分の印鑑登録証明書が必要になります。このとき提出できる印鑑登録証明書は、発行してから3カ月以内のものに限られます。また、会社の取締役に就任する人は法務局でも印鑑登録証明書を提出しなければいけません。会社の取締役の印鑑登録証明書はあらかじめ2通用意しておくと手続きがスムーズに進められます。印鑑登録証明書は発起人自身が住んでいる地域の役所で発行してもらえます。印鑑登録証明書を取得するためには、役所で実印の登録をする必要があります。発起人の印鑑登録が済んでいない場合は、先に登録手続きを完了させることが大切です。
2-3.申告書
「実質的支配者となるべき者の申告書」とは、設立する会社の実質的支配者を公証役場で確認するための書類です。実質的支配者は発起人が一人であればその発起人、複数いる場合は議決権の数で実質的支配者を決定します。申告書の提出は、平成30年(2018年)11月30日から公証役場で定款認証をするときに求められるようになりました。会社設立時に申告書の提出を義務化することで、暴力団などによる不正な会社設立を防止する効果を期待するための措置となります。
申告書の提出方法は、定款が紙なのか電子なのかによって対応が異なるので注意しましょう。紙定款の場合は、申告書をインターネットでダウンロードするか、公証役場で受け取って手書きで書類を作成します。電子定款の場合は、専門家を通して公証役場に申告書を提出することになります。
2-4.手数料など
公証役場で会社設立の手続きをする場合は、以下の費用が必要になります。なお、収入印紙は事前に購入しておけます。郵便局や役所などで販売されているのでチェックしてみてください。
- 収入印紙代:4万円
- 定款認証手数料:5万円
- 定款謄本発行手数料:約2千円
定款謄本発行手数料は1枚あたり250円かかるため、ページ数によっては上記の金額よりも高くなる可能性があります。
株式会社又は特定目的会社の定款の認証の手数料について、これまで「5万円」であったものが、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」に、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」にと改められます。令和4年1月1日から新しい手数料額となります。
2-5.委任状
基本的に、公証役場での定款認証は発起人全員で行く必要があります。しかし、何らかの事情で参加できない発起人がいる場合は、その人の実印と委任状を用意してください。公証役場に提出する委任状は、次の内容が記載されていればテンプレートは問われません。
- 公証役場で手続きする人の氏名と住所
- 権限を代理人に委任する旨の文言
- 日付(定款作成日から定款認証申請日までのいずれか)
- 公証役場に行けない発起人の氏名と住所、実印(個人)
3.法務局で必要な書類
定款認証が済んだら、次は法務局で設立する会社の登記手続きをしましょう。法務局で必要な書類について順番に解説していきます。
3-1.登記申請書
登記申請書とは、法務局に会社の設立登記を依頼するために必要な申請書のことです。書類に記載する内容は、設立する会社の商号、所在地、登録免許税の金額などの必要記載事項です。A4用紙1枚程度に収まるように登記申請書を作成しましょう。
3-2.収入印紙を貼りつけた用紙
登録免許税の金額に合った収入印紙を台紙に貼って提出する必要があります。登録免許税の金額は、15万円か資本金額の0.7%のいずれか高い方になります。このとき、収入印紙の消印は押さないでください。会社設立時の手続きでは、登記機関が収入印紙への消印を押すことになっているので注意しましょう。
3-3.取締役の就任承諾書・印鑑登録証明書
会社設立の手続きでは、就任承諾書という書類を記入して提出する必要があります。代表取締役・取締役の全員分が必要になります。就任承諾書とは、役員が設立する会社の取締役として就任することを承諾した証明書のことです。就任承諾書を提出する場合、所定の条件に当てはまると実印の押印がいるので注意が必要です。所定の条件とは、取締役会を設置して代表取締役の印鑑登録証明書を添付する場合と、取締役会を設置せずに取締役全員の印鑑登録証明書を添付する場合です。
3-4.資本金の払込証明書
会社設立時の手続きに必要な払込証明書とは、発起人から所定の銀行口座に資本金が支払われたことを証明する書類のことです。会社設立前は社名を使って法人口座の開設ができないので、資本金の払込に使用する口座は発起人の誰かの個人口座で問題ありません。資本金の払込証明書として法務局に提出できる書類は、払込の内訳や資本金を集めるために使った口座を証明する通帳のコピーなどです。
3-5.印鑑届出書
印鑑届出書は、設立する会社の実印を届け出るための書類です。会社を設立することが決まったタイミングで会社の実印を作成しておけば、待ち時間なく手続きができます。
3-6.認証済みの定款
法務局に提出できる定款は、公証役場での認証を受けたものです。公証役場で認証された定款がなければ、法務局で会社設立の手続きを進められないので気を付けてください。公証役場に紙で定款を提出した場合は定款の謄本、電子認証をした場合は磁気ディスクを法務局に提出しましょう。
3-7.登記事項を記載したディスク
登記事項を法務局に提出する場合は、CD-RやDVD-Rでの提出が便利です。会社設立時には「登記すべき事項」と呼ばれる書類を作成する必要があります。しかし、データでの提出も認められているので、ディスクに登記事項を保存して法務局に手渡すといいでしょう。作業自体は非常に簡単で、作成例を見ながら定款で定めた会社概要を記入していくだけです。ただし、登記すべき事項の記入内容は、株式会社と合同会社で異なるので注意が必要です。法務局の担当者と疑問点を聞きながらディスクを作成するといいでしょう。
必要書類を確認してスムーズな手続きを!
まとめ
この記事では、会社設立時に公証役場での手続きで必要な書類と法務局での手続きに必要な書類の概要を紹介しました。
上記で紹介した書類の取得・作成方法については会社設立の必要書類は8つ!|作成方法を必要順に紹介の記事で詳しく説明しておりますので実際に書類を用意する際は参考にしてください。
会社設立時に必要な書類が多く、初めて会社を設立するときは、右も左も分からず大変かもしれません。その場合は専門家にお願いしてみるのも1つの手段です。
>>こちらの記事もおすすめ:会社設立代行とは|必ず知っておきたい6つの基礎知識
\創業期の法人口座ならGMOあおぞらネット銀行/
GMOあおぞらネット銀行は以下のような特長があり、ネット銀行の中でも多くの会社さまに選ばれているおすすめの銀行です。
- 口座開設スピードが平均1.5日と早い!(2023年7月法人口座申込企業の実績)
- 口座維持費用は一切かからない
- 振込手数料は同行間無料、他行宛ても145円と業界最安値水準(※)
- 口座開設月の翌々月まで3カ月間、他行宛て振込手数料が毎月20回無料
- 各種税金支払い・社会保険料の支払いにも対応可能
※ 2023年12月時点の各社公表資料等による当社調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行を対象にしています。また、各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除いております。
条件を満たせば最短即日での口座開設が可能です。ぜひ便利なGMOあおぞらネット銀行をご利用ください。
※ 本コラムは2021年12月27日の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。