法人を設立するときは、「法人設立届出書」を提出しなければいけません。そこでこの記事では、法人設立届出書の具体的な書き方を分かりやすく紹介します。このページを見ながら法人設立届出書を作成できるので、手元に書類を用意して読み進めてみましょう。
目次
1.届出書の書き方
まずは、法人設立届出書の書き方を紹介します。基本的に、会社の謄本に記載された内容に基づいて各項目を埋めていけば問題ありません。会社の謄本を手元に用意しながら法人設立届出書を記入すれば、スムーズに作業が進むでしょう。特に大切な項目については、1-1から1-5でポイントをピックアップして紹介します。なお、法人設立届出書は提出用と控え用の2部作成しましょう。いずれも書類の提出先である納税地の税務署に持って行き、受領印を捺印してもらうようにしてください。
1-1.代表者氏名
法人設立届出書の上部の代表者氏名欄には、代表者の氏名を必ずフルネームで記載しましょう。ふりがなもきちんと記入してください。
1-2.届出先
法人設立届出書の左上部分に、届出先の税務署の名前を正確に記入してください。法人設立届出書は、設立した会社の本店所在地の所轄税務署に提出しなければいけません。所轄税務署以外に提出しても、手続きをしてもらえないので注意してください。会社の所轄税務署が分からない場合は、国税庁のホームページで調べましょう。会社の郵便番号と住所を入力すれば、すぐに所轄税務署をチェックできます。
1-3.事業年度
代表者住所のすぐ下にある事業年度の記入欄には、定款などで定めた会計期間を記入します。「自」欄に事業年度の開始日を記入し、「至」欄に同年度の終了日を記載してください。定款とは、設立する会社を運営するために必要な基本的なルールを定めたものです。定款も法人設立届出書と同様に、会社を設立する場合に必ず作成しなければいけない書類です。定款がなければ法人設立届出書を正確に作成できないことを覚えておきましょう。
1-4.消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日
事業年度の下にある「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」は、すべての会社が記入する項目ではありません。この欄に日付を記入しなければいけないのは、会社の資本金が1,000万円以上の場合です。設立時に1,000万円以上の資本金があれば、設立年月日と同じ日をこの欄に記入してください。資本金が1,000万円未満の場合は、空欄のまま税務署に提出しましょう。なお、会社を設立してから2期になるまでに資本金を増額して2期目の期首の資本金額が1,000万円以上となった場合は、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」が必要になります。
1-5.事業の目的
法人設立届出書の中部にある事業の目的を記入する欄には、簡単に事業の概要を書いてください。会社の詳しい事業内容は定款と謄本に記載するので、届出書で詳細を記入する必要はありません。会社の事業が複数にあるときは、主なものをピックアップして記載すれば大丈夫です。なお、「定款等に記載しているもの」と「現に営んでいる又は営む予定のもの」が同じであれば、「現に営んでいる又は営む予定のもの」の記入欄に「同上」と書くといいでしょう。
2.添付書類について
法人設立届出書を提出する場合は、必ず添付書類をあわせて出さなくてはいけません。以前は、添付書類を6種類も用意する必要がありました。しかし、平成31年に税制改正が行われたことで、貸借対照表や株主名簿などの提出が不要になりました。現在は「定款等の写し」だけで法人設立届出書の提出手続きが済むようになったのです。ただし、税務署ではなく都道府県や自治体に法人設立届出書を出す場合は、定款等の写しだけでは手続きが進められません。具体的には、法人設立届出書にあわせて、定款等の写しと履歴事項全部証明書を用意する必要があります。履歴事項全部証明書については、この後詳しく紹介するので、あわせてチェックしてください。
2-1.定款等の写し
法人設立届出書の添付書類は、定款か寄附行為・規則又は規約の写しです。設立するのが一般的な会社であれば、いずれかの書類を1部用意するだけで済みます。ただし、資本金が1億円以上ある内国普通法人の場合は、定款等の写しを2部用意する必要があるので注意しましょう。
2-2.履歴事項全部証明書
法人設立届出書は会社の本店の所轄税務署に提出しますが、都道府県や自治体にも届出をする必要があります。この場合、法人設立届出書だけでなく、履歴事項全部証明書もあわせて提出しなければいけないので忘れないようにしましょう。履歴事項全部証明書とは、設立した会社の登記事項証明書として発行される書類の1つです。履歴事項全部証明書は手数料さえ支払えば、誰でも法務局で発行してもらえます。窓口だけでなく、郵送やオンラインでの交付申請にも対応しています。法務局の窓口や郵送で履歴事項全部証明書の交付申請をする場合は、交付申請書に必要事項の記入が必要です。
必要事項は、申請人の住所や氏名、交付申請をする会社の商号・名称、事務所の住所、会社法人等番号の5つです。会社法人等番号は国税庁の法人番号公表サイトで検索できます。手数料分の収入印紙を交付申請書に貼って、法務局に提出してください。郵送手続きで交付申請をする場合は、返信用封筒を忘れずに同封する必要があります。なお、申請書の郵送先は、どこの法務局でも問題ありません。近隣の法務局の住所をネットで調べるとよいでしょう。窓口や郵送で履歴事項全部証明書を発行する場合の手数料は、いずれも600円です。オンラインで申請する場合は、書類の受け取り方法として窓口か郵送のどちらかを選択する必要があります。
交付申請自体はオンラインでできますが、ネット上で履歴事項全部証明書をダウンロードできるわけではないので気を付けてください。オンラインでの交付申請にかかる手数料は、受取方法によって異なります。最安値の窓口受取は480円、郵便受取は500円になっています。
3.届出書の提出方法と提出期限
法人設立届出書の提出方法は、納税地の税務署の窓口へ直接持っていく方法と郵送、e-Taxによる提出のいずれかを選択できます。書類の提出に手数料はかかりませんが、郵送の場合は郵送代がかかります。税務署へのアクセスが悪かったり、わざわざ税務署に行くのが面倒だったりする場合は郵送で法人設立届出書を提出するといいでしょう。一方、法人設立届出書の記入事項に不安がある人は、郵送ではなく税務署に直接書類を持っていきましょう。税務署の担当者と相談しながら、書類の記入やチェックができます。税務署の営業時間は、平日の8時半~17時までです。なお、税務署への法人設立届出書の提出期限は、会社の設立登記をした日から2カ月以内となっています。書類の提出期限が迫っている場合も、直接税務署の窓口を訪れるようにしましょう。
まとめ
法人設立届出書を税務署や都道府県などに提出する場合は、書類の準備に時間がかかります。そのため、できるだけ早く書類を作成したり、必要書類の発行をしたりすることが大切です。法人設立届出書の作成や提出に関して、何か不明点がある場合は法人設立届出書の提出先である都道府県や自治体に問い合わせましょう。不明点を解消して確実に書類を提出することが重要です。
なお、会社設立の登記手続き後は本記事で紹介している法人設立届出書以外にも対応すべきことがたくさんあります。登記手続き後に対応することにについては以下の記事で詳しく説明しておりますので参考にしてください。
会社設立後に対応すること45項目|いつ・何を・どこですべきか
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※ 本コラムは2021年12月27日の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。