起業は何歳からできる?会社設立と年齢のルールについて税理士が詳しく解説

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テレビなどのメディアで、中学生や高校生で社長をしている子どもを目にすることがあるでしょう。こうした人たちを見て「会社の設立は何歳からできるのだろうか」と気になったことがある人もいるかもしれません。そこで今回は、会社の設立に関する年齢制限について紹介します。会社を設立する資格や子どもが会社の社長になる方法もあわせてチェックしていきましょう。

1.会社の設立ができるのは15歳以上

結論から言うと、会社の設立は15歳以上だと実質可能です。

1-1.印鑑証明書が壁

実は、会社法で会社を設立できる年齢は定められていません。したがって、会社法上は何歳でも起業できるということになります。しかし、会社を設立するためには印鑑証明書が必要で、印鑑登録は15歳以上にならないと受け付けてもらえません。そのため、実質会社を設立できるのは、15歳以上の人となります。株式会社の設立以外にも、取締役や監査役への就任などにも印鑑証明書が必要です。つまり、いずれも15歳以上にならなければ手続きができないと覚えておきましょう。

1-2.理屈上は取締役にはなれる

15歳未満であっても、取締役会が設置された会社であれば取締役に就任できます。なぜなら、取締役会設置会社は役員を登記するときに印鑑証明書の提出が要らないからです。ただし、取締役として何か行う場合は、必ず親権者許可を得る必要があります。また、そもそも15歳未満の人を会社の取締役にすることは一般的とは言えません。取締役になれば、会社にとって適切な判断をしたり、業務を遂行したりする能力が必要になります。理屈上は15歳未満でも会社の取締役になれますが、現実的に考えると難しいでしょう。

2.15歳未満でも親子起業という選択がある

15歳未満の人が起業する場合に、現実的な選択肢として「親子起業」があります。親子起業とは、親が会社の設立の手続きをする発起人となり、その子どもが業務に従事する方法です。このとき、親は会社の代表取締役に就任します。実際に、この方法を使って15歳未満の人が親と一緒に起業した事例もあります。この方法であれば、15歳未満でも起業できますが、いずれにしても未成年の起業は親の協力が必要不可欠だと言えるでしょう。

3.15歳以上の未成年起業家が用意すべきもの

15歳以上でも未成年で会社を設立する場合は、さまざまな場面で親権者の同意が必要になります。例えば、会社の設立手続きをするときに通常準備しなければいけない書類に加えて、親権者の同意書と印鑑証明書、戸籍謄本を用意しなければいけません。新しく会社を設立するためには、ただでさえ、たくさんの書類が必要になります。手続きに慣れていないうえに、特別な書類・手続きが必要になると前途多難です。煩雑な手続きを乗り越えられるようにしっかり準備してください。

4.未成年起業家が親と一緒でないと難しいこと

未成年でも会社の設立はできますが、親と一緒でないと手続きができないことがあります。

4-1.法人銀行口座の開設

法人口座は、個人口座以上に開設にあたって厳しい審査が行われます。法人口座を悪用した犯罪が増えているため、金融機関は「怪しい法人に口座を作らせないように」と目を光らせています。法人であれば法人口座を作成する資格はありますが、未成年者が社長ということで口座開設のハードルが上がる可能性は否定できません。成人した人が社長の会社が銀行口座を作る場合でも、審査に落ちるケースがあります。

未成年者が社長の会社は必ず審査に落ちるというわけではありませんが、どんな会社でも銀行口座を持てるわけではないことを覚えておきましょう。

4-2.会社の本店所在地の契約

会社を設立するためには、本店を置く住所が必要になります。そのため、オフィスを賃貸するなどして所在地を用意しなければいけません。しかし、賃貸借契約は法律上、未成年者が単独でできないものと定められています。そのため、本店所在地を用意するために、親の同意をもらったり、親を代理人として立てたりするなどの対応が必要となります。

5.未成年起業家が苦労しやすいこと

未成年であっても会社の設立はできますが、現実問題として、事業に必要な資金を自分で用意できないケースが多いです。いくら頑張ってアルバイトをしても、ほかの起業家と資金を比較すると少ない状態で起業することもあるでしょう。また、世の中には「未成年者が社長の会社と取引はしない」という企業もあります。せっかく会社を設立しても、なかなか取引をしてくれる企業が見つからない問題に直面する可能性もあるでしょう。そのほか、ビジネスと学業の両立に悩むケースも考えられます。どちらかを優先したことで、後悔する結果になる可能性も否めません

6.個人事業主という手も

未成年者であっても、個人事業主にはなれます。なぜなら、個人事業主には年齢制限がなく、印鑑証明書が必要な手続きもないからです。「未成年だけどビジネスを始めてみたい」という場合は、会社の起業ではなく、個人事業主から事業を始めてみることも視野に入れるとよいでしょう。

7.「会社を設立できない人」って定められているの?

子どもでも会社の設立ができると聞くと、「どんな人でも会社を設立できるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、中には会社を設立する資格を持っていない人もいます。

7-1.会社法改正で起業できるようになった人

会社法が改正されたことで、以前は会社の取締役に就任できなかった破産者による会社の設立ができるようになりました。破産者とは、債務者でありながら支払いができなかったり、債務超過に陥ったりして破産手続きをした人のことです。例えば、債務整理の1つである「自己破産」をした人は、破産者と呼ばれます。会社法が改正された内容をきちんと理解していない人の中には、「破産者は会社を設立できない」と誤解している場合もあるので注意しましょう。

7-2.現状では会社設立ができない人

会社法が改正された現在でも、成年後見制度の対象である被後見人は会社の取締役に就任できません。また、会社法や破産法、金融商品取引法の罰則を受けた場合は、その後2年間、会社の取締役にはなれない決まりになっています。もちろん、その他の法律で禁固刑以上の罰則を受けると、取締役として会社に関わることはできないので十分気をつけてください。

まとめ

子どもであっても年齢が15歳以上であれば、会社を設立できます。ただし、親の同意を得る必要があるため、自分だけで手続きを進められません。また、会社設立時だけでなく、銀行口座の開設や会社の契約など、さまざまな場面で親の同意を得なければいけません。子どものうちに会社を設立することを考えているなら、親とよく相談する必要があるでしょう。

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※ 本コラムは2022年7月4日の情報に基づいて執筆したものです。
※ 当社広告部分を除く本コラムの内容は執筆者個人の見解です 。

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