「会社を設立するための準備を始めたものの、難しくて自分でできそうにない。専門家に代行を頼みたい
けれど、司法書士に頼んでもいいの?」
会社設立に関する知識が少なかったり、忙しくて時間がなかったりすると、自分一人で会社設立の手続きができるかどうか不安ですよね。
会社設立の手続きは、司法書士をはじめ、行政書士・税理士・社会保険労務士などの専門家に依頼することができます。
専門家によって、それぞれ対応可能な領域が異なるため、自分が依頼したい範囲の業務を請け負ってくれる専門家を選ぶようにしましょう。
司法書士は、「定款作成・認証、法人登記を任せたい人」や「会社設立のアドバイスがほしい人」に向いています。
※2024年11月GMOあおぞらネット銀行調べ
※一部例外あり
司法書士に依頼すると決めた場合、どの司法書士を選ぶかも重要です。
司法書士とは、定款に記載する会社の重要事項についても、相談しながら一緒に決めていきます。
依頼者である発起人の思いを反映させ、事業目的に沿った会社づくりを実現するためには、司法書士に豊富な知識や熱意、コミュニケーション能力などが備わっている必要があります。
もし能力・経験が乏しい司法書士を選んでしまうと、会社づくりで的確なアドバイスをもらえないどころか、会社設立の手続き自体も、スムーズに進められないおそれがあります。
理想の会社づくりに失敗しないためにも、司法書士選びは慎重に行うようにしましょう。
この記事で分かること |
---|
●会社設立における、司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士の対応可能範囲 ●司法書士に依頼するメリット・デメリット ●司法書士に依頼する場合の選び方 |
本記事を読めば、会社設立をどの専門家に依頼するかを決められるようになります。
そして、司法書士に依頼すると決めた場合は、会社設立にふさわしいパートナー司法書士を選ぶことができるようにもなります。
ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
目次
1.会社設立は司法書士に依頼すべき?行政書士・税理士・社会保険労務士との違い
「会社設立で困ったら司法書士に相談しよう」と見聞きした人も多いかもしれませんが、会社設立は司法書士のほかに、行政書士・税理士・社会保険労務士にも依頼できます。
4つの専門家はそれぞれ対応可能な領域が異なり、1人の専門家にすべてを任せることはできません。一連の会社設立手続きの中で、どの工程を依頼するかによって、頼るべき専門家は異なります。
会社設立の主な手続きと、各専門家の対応の可否は下表のとおりです。
【会社設立の手続きと各専門家の対応の可否】会社設立の手続き | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 | |
---|---|---|---|---|---|
設立前 | 定款作成・認証 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ |
法務局 への法人登記 | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | |
設立後 | 税務に関する届出 | ✕ | ✕ | 〇 | ✕ |
社会保険の加入 | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 | |
許認可申請 | ✕ | 〇 | ✕ | ✕(※) |
※一部例外あり
上表の内容をふまえ、各手続きにおいて依頼すべき専門家について、下記一覧にまとめました。
【各専門家を選ぶべき人】専門家 | お願いしたい内容 |
---|---|
司法書士 | ・定款作成・認証、法人登記を任せたい ・会社設立のアドバイスがほしい ・どの専門家がいいか選べない |
行政書士 | ・事業を開始するにあたって許認可が必要なので対応をお願いしたい |
税理士 | ・税務署への届出を任せたい ・節税対策をしたい ・顧問税理士として会社設立後も税務の処理を任せたい |
社会保険労務士 | ・社会保険の加入手続きを任せたい ・設立時から従業員を雇いたい |
上2つの表の内容について、ここから専門家ごとに詳しく見ていきましょう。
自分が依頼すべきは本当に司法書士でいいのか、ほかの専門家と比較検討してみましょう。
1-1.司法書士|定款作成と法人登記が専門
司法書士は、法律に関する手続きを行う専門家です。
会社設立に関しては、定款の作成と認証、法務局への法人登記申請を依頼することができます。特に、法人登記の代行申請は司法書士だけの独占業務です。
【会社設立における司法書士への依頼】業務範囲 | ・定款作成・認証 ・法務局への法人登記(独占業務) |
---|---|
費用相場 | 5~15万円(実費を除く) |
司法書士を選ぶべき人 | ・定款作成・認証、法人登記を任せたい人 ・会社設立のアドバイスがほしい人 ・どの専門家がいいか選べない人 |
司法書士を選ばない ほうがいい人 |
・許認可が必要な業種の人→行政書士がおすすめ ・税務の手続き依頼や相談をしたい人→税理士がおすすめ ・社会保険の加入手続きを任せたい人→社会保険労務士がおすすめ |
定款の認証:株式会社の場合、作成した定款は公証役場で認証を受けなければいけない。
法人登記:会社の基本事項を法務局に登録すること。登記が完了して公的に会社の存在が認められる。
定款作成と認証、法務局への法人登記は、会社設立一連の手続きの中で大部分を占め、会社の土台をつくる重要な工程です。
これらの手続きが適切にできていないと、会社設立で失敗する、あるいは設立後の経営に支障をきたすおそれがあるでしょう。
司法書士は会社設立に関して豊富な知識が備わっています。そのため、「会社設立全体を手伝ってほしい」「誰に頼めばいいか分からない」という場合も、司法書士を選べば間違いありません。
司法書士を選ぶ場合は、2章以降でさらに詳しく解説していきます。
1-2.行政書士|定款作成と許認可申請が専門
行政書士は、市町村役場や各省庁などの官公署に提出する書類の作成や、手続き代行を行う専門家です。
会社設立に関しては、定款の作成・認証と許認可申請を依頼することができます。特に、許認可の代行申請は行政書士だけの独占業務です。
【会社設立における行政書士への依頼】業務範囲 | ・定款作成・認証 ・許認可申請(独占業務) |
---|---|
費用相場 | 5~10万円(実費を除く) |
行政書士を選ぶべき人 | ・許認可が必要な業種の人 |
《許認可が必要な業種》
飲食業・建設業・宿泊業・不動産業・美容業、など
▼詳細は下記Webサイトに掲載
J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]「許認可が必要な業種は | 起業マニュアル 」
許認可がおりるまでの期間は、業種によって異なりますが、約1~3カ月ほどかかります。自分で行うと手続きに戸惑い、書類に不備が生じるかもしれないので、さらに遅れてしまうおそれがあるでしょう。
ノウハウを熟知している行政書士に任せることで、手続きをスムーズに進められます。
会社設立を行政書士に依頼する3つのメリット|注意点や費用も解説
1-3.税理士|税務署への届出が専門
税理士は、税金に関する専門家で、税務署への手続きや各種税金の申告を代行してくれます。
会社設立に関しては、設立時に提出すべき税務署への届出を依頼することができます。
【会社設立における税理士への依頼】業務範囲 | ・税務署への届出(独占業務) |
---|---|
費用相場 | 5~15万円(実費を除く) |
税理士を選ぶべき人 | ・税務署への届出を任せたい人 ・節税対策をしたい人 ・顧問税理士として会社設立後も税務の処理を任せたい人 |
会社設立時の税務の手続きは、義務づけられてはいないものの、届け出た方がお得になる書類がいくつもあります。
しかし、素人だとまず圧倒的に知識や情報が足りず、どの税制度を利用すべきかも適切に判断できません。
さらに、税理士に依頼すれば、設立時の資本金や株式について決める際も、税務の観点からアドバイスをもらえるでしょう。
会社を設立した後も、日々の経理業務や年度の納税など、税理士のサポートが必要な場面が多々あります。そのため、顧問契約として定額料金で税理士と契約している会社が大半です。
今後も長期的に税理士とつき合いを続けていく予定なら、最初に契約して設立からサポートを受けておくと良いでしょう。その場合、月額料金で設立の税務手続きを行ってくれるところもあります。
【現役税理士が解説】会社設立~設立後も強い味方|税理士に依頼するメリデメ
1-4.社会保険労務士|社会保険の加入手続きが専門
社会保険労務士は、略して社労士とも呼び、社会保険や労務管理に関する専門家です。
会社設立に関しては、主に各種社会保険の加入手続きを依頼することができます。
【会社設立における社会保険労務士への依頼】業務範囲 | ・社会保険への加入(独占業務) ・労務管理(独占業務) |
---|---|
費用相場 | 3~15万円(実費を除く) |
社会保険労務士を選ぶべき人 | ・社会保険の加入手続きを任せたい人 ・設立時から従業員を雇う人 |
健康保険・厚生年金:原則すべての法人に加入義務あり。提出先は年金事務所
労災保険・雇用保険:従業員を雇う場合に加入義務あり。提出先は労働基準監督署・ハローワークなど
社会保険労務士は、社会保険の加入手続きのほかにも、労務管理や雇用に関する助成金や補助金のアドバイスをしてくれます。
そのため、設立当初から従業員を雇う場合は、社会保険労務士に労働環境の整備をサポートしてもらうと安心でしょう。
逆に、一人社長の場合は依頼のメリットがあまりありません。社会保険の加入も健康保険・厚生年金のみなので、自身で問題なく手続きできるでしょう。
法務局や商工会議所の無料相談窓口も活用しよう!
法務局や商工会議所でも無料相談窓口を設置しているので、「専門家に相談するのはハードルが高い」と感じる場合は、一度利用してみるといいでしょう。
【法務局(要予約・20分間)】
法人登記について説明してくれます。ただし、説明してくれるのは制度や必要書類の書き方についてのみです。個別の相談にはのってもらえません。詳細は所轄の法務局のWebサイトでご確認ください。
【商工会議所(時間制限あり)】
会社設立全般の相談にのってもらえますが、書類作成は自分で行う必要があります。詳細は地域の商工会議所のWebサイトでご確認ください。
【起業家の皆さまへ】会社設立の相談ができる16の窓口を紹介
2.司法書士に依頼するメリット4つ
前章で司法書士を選んだ場合、それでも「自分でやった方がいいのではないか」と、依頼することを迷う人も多いと思います。
本章では、司法書士に依頼するメリット、そして次章でデメリットについて紹介していくので、それらを理解したうえで、依頼するかを判断するようにしてください。
ではまず、司法書士に依頼するメリットを4つ見ていきましょう。
【司法書士に依頼するメリット4つ】2.定款作成のアドバイスをもらえる
3.定款認証の印紙代4万円がかからない
4.ほかの業務に集中できる
2-1.スピーディーに会社設立できる
司法書士に依頼すると、スピーディーに会社設立ができます。
法人登記までは下記のとおりやるべきことがいくつもあります。
これらを自分ですべてやるとなると、手探りで進めていくため、時間をかなり要するでしょう。手続きに不備があれば、もう一度やり直さなければいけません。
【法人登記までにやるべきこと】STEP2.定款を作成する
STEP3.定款の認証を受ける
STEP4.代表者印を作成する
STEP5.資本金を払い込む
STEP6.必要書類をそろえる
STEP7.申請する
STEP8.登記完了を確認する
司法書士だと上記の手続きのノウハウがあるため、スムーズに登記が完了します。
設立の内容や司法書士事務所によって異なりますが、大体2~4週間ですべて完結するでしょう。
2-2.定款作成についてアドバイスをもらえる
定款作成についてアドバイスをもらえるのも、司法書士に依頼する大きなメリットです。
定款とは、企業の根本原則を記した重要書類のことです。記載する内容はすべて、会社の方針を決定づける重要事項であるため、慎重に決めなければいけません。
【定款に記載すべき会社の基本事項】・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称および住所
・発起人と会社財産に関する変態設立事項
・株式の譲渡制限
・取締役会・監査役の設置(※設置している場合)
・存続期間・解散の事由
・公告方法
初めて会社を設立する場合、上記についてどのように決めていけばいいのか分からない人がほとんどでしょう。
司法書士に相談すれば、自分がつくりたい会社の方向性に合わせて、適切に各事項を設定してくれます。自分のイメージに合った会社づくりが実現しやすくなるでしょう。
【これだけ読めば安心】定款の事業目的を書くポイントを税理士が解説
2-3.定款認証の印紙代4万円がかからない
司法書士に依頼する利点として、定款認証の印紙代4万円がかからないことも挙げられます。
作成した定款は、公証役場で認証してもらわなければ効力が生じません。この公証役場での認証には、手数料のほかに収入印紙代として4万円かかります。
ただ、電子定款(PDF形式に変換した定款に電子署名をつけたもの)だと、この4万円はかかりません。
しかし、電子定款を作成するためには、ソフトウェアや機器の準備などで同額以上の費用が必要です。会社設立以外で使う場面がないとなると、電子定款作成の方が高くついてしまうおそれがあるでしょう。
電子定款に対応可能な司法書士に依頼すれば、自分でソフトをそろえなくても、4万円を節約できます。
2-4.ほかの業務に集中できる
司法書士に任せればほかの業務に集中できる点も、忙しい創業期にはうれしいメリットです。
2-1で紹介したように、法人登記に関連する手続きは、予想以上に手間と時間がかかるものです。
しかし、会社を設立するためにはほかにもやるべきことがいっぱいあります。開業準備に事務所の賃貸契約、法人口座開設、ホームページ開設なども取りかからないといけません。
これらをすべて一人で行うのは、非常に負担が大きいでしょう。
司法書士に定款と法人登記を任せておけば、その間にほかの業務を進められるので、計画に遅れることなく事業を開始できます。3.司法書士に依頼するデメリットは費用|相場と内訳
多くのメリットがある一方で、費用がかかるというデメリットもあります。
司法書士に依頼する場合、報酬の相場は1~15万円です。金額は、依頼する作業範囲や事務所によって大きく異なります。
ほかの専門家に比べて特別高いわけではありませんが、決して少なくはない金額ですね。
一方で、司法書士に依頼して電子定款を作成してもらえれば、定款認証の収入印紙代4万円が不要ということもお伝えしました。
以上の内容をふまえ、《司法書士に依頼した場合》と《自分で行う場合》の、会社設立にかかる費用総額を下表にまとめました。
【会社設立にかかる費用(株式会社の場合)】主な費用項目 | 司法書士に依頼する場合 | 自分で行う場合 | |
---|---|---|---|
実費 | 定款認証手数料 | 3~5万円 | 3~5万円 |
定款認証収入印紙代 | - | 4万円 | |
定款認証謄本代 | 約2,000円 | 約2,000円 | |
登録免許税 | 15万円 | 15万円 | |
司法書士への費用 | 7~15万円 | ー | |
合計(平均) | 25万2,000円~35万2,000円 | 22万2,000円~24万2,000円 |
主な費用項目 | 司法書士に依頼する | 自分で行う | |
---|---|---|---|
実費 | 登録免許税 | 6万円 | 6万円 |
司法書士への費用 | 1~12万円 | ー | |
合計(平均) | 7~18万円 | 6万円 |
・定款認証・法人登記の手続き代
・郵送料
・交通費
上表を見ると、株式会社の場合、司法書士に依頼すれば当然総額は上がりますが、収入印紙代4万円がかからないことを考慮すると、大きな費用対効果を実感できるでしょう。
ただし、依頼する作業範囲が大きいと、費用も高額になってくるので注意してください。自分でできることは自分でするのが費用を抑えるポイントです。
合同会社の場合、株式会社のようなお得感はありませんが、合同会社は定款認証そのものが必要ないため、司法書士の費用も安く設定されています。
株式会社120万・合同会社60万円|会社設立の費用を徹底解説!
4.司法書士の探し方|会社設立に強い司法書士を選ぶべき
メリット・デメリットを理解し、「司法書士に依頼しよう」と決めた場合の、司法書士の探し方について見ていきましょう。
【会社設立に強い司法書士の探し方】・会社設立に強い司法書士を選ぶべき理由
・司法書士を選ぶ5つのポイント
4-1.司法書士を探す方法|インターネット+初回相談を利用
司法書士を探すときは、まずはインターネットで探してみましょう。
「地域名+司法書士+会社設立」などのキーワードで検索すると、多数の事務所のWebサイトが表示されます。ひとつひとつホームページをチェックして、2,3カ所に候補をしぼってください。
もし候補が見つからなかった場合は、都道府県の司法書士会のWebサイトで検索すると、すべての司法書士の一覧が表示されます。
候補の事務所をピックアップしたら、メールか電話にて初回相談の予約を入れましょう。
多くの事務所では、初回相談は無料で設定しています。初回相談で実際に司法書士と話をしてみて、「この人に任せたら安心だ」と思えたら、契約に進むようにしてください。
4-2.会社設立に強い司法書士を選ぶべき理由
司法書士は、会社設立に強い司法書士を選ぶべきです。
司法書士にも不動産や相続などさまざまな分野があり、会社設立を専門分野とする司法書士もいれば、全く扱ったことがない司法書士もいます。
会社設立が得意ではない司法書士に依頼すると、前述したメリットを得られないどころか、手続きでミスやトラブルが生じ、会社設立がスムーズに進まないおそれがあるでしょう。
たとえば、株式会社か合同会社か、株式会社なら発起設立か募集設立か、取締役会を設置するかしないかによっても、法人登記で必要な書類は異なってきます。
どのような会社の形態でも適切に手続きを行うためには、司法書士に十分な実績と知識が備わっていないといけません。
定款作成や法人登記は、会社設立において非常に重要なステップです。必ず会社設立の実績が十分ある司法書士を選ぶようにしましょう。
4-3.司法書士を選ぶ5つのポイント
会社設立に強い司法書士を選ぶために、ホームページの確認や初回相談の時は、下記ポイントを満たしているかどうか、しっかりチェックするようにしましょう。
【司法書士を選ぶ5つのポイント】・料金体系が明確か
・しっかり話を聞いてくれるか
・丁寧に分かりやすく説明してくれるか
・場所や営業時間が利用しやすいか
4-3-1.会社設立を得意分野とし、実績が十分にあるか
司法書士選びで最も重要なことは、会社設立を得意分野とし、実績が十分にあるかという点です。
前節で述べたとおり、定款作成・認証と法人登記をスムーズに行うためには、専門性の高い司法書士であることが求められます。
会社設立に強いかどうかは、下記項目を参考にチェックしてみてください。あとは、初回相談の様子で総合的に判断しましょう。
【会社設立に強いかどうかを判断する項目】・セミナーを開いたり、商工会議所の相談会に相談員として参加したりしている
・会社設立の実績(取扱い件数や利用者の声)を公開している
・口コミで良い評価を受けている
・SNSや動画サイトで情報発信をしている
など
4-3-2.料金体系が明確か
料金体系が明確であるかどうかも、必ずチェックすべきポイントです。
初回相談の時に、見積を出してもらい、内容をよく確認しましょう。後から高額な費用が請求されることがないよう、最初にきちんと明確にしておく必要があります。
不明瞭な費用項目がある場合は、あいまいにせず、詳細をきちんと説明してもらうべきです。
また、見積を出してくれなかったり、ホームページに掲載している料金体系と違っていたりする事務所は、納得のいく理由が得られない場合は、避けた方が無難でしょう。
一部の費用については、業務を進めていかないと確定しない項目もあります。そのような場合でも、誠実な事務所なら、おおよその目安を教えてくれるはずです。
4-3-3.しっかり話を聞いてくれるか
初回相談では、しっかり話を聞いてくれるかどうかもチェックしましょう。
依頼者の話を聞かず、会社設立への思いをくんでくれないことには、依頼者が目指す会社づくりを実現させることはできません。
会社設立は依頼者と司法書士が二人三脚で進めていくべきです。「会社設立はこうすべき」と、自分の意見だけを一方的に押し付けるような司法書士は選ばないようにしましょう。
4-3-4.丁寧に分かりやすく説明してくれるか
丁寧に分かりやすく説明してくれるかどうかも、初回相談で確認しておくべきです。
十分な説明がされず、依頼者が理解できていないまま手続きが進められると、前節同様、理想とする会社づくりが難しくなるでしょう。
会社設立は、株式のことや取締役会のことなど、難しい専門用語がたくさんでてきます。それらの専門用語をいかにかみくだいて分かりやすく説明できるかも、司法書士の実力のうちです。
4-3-5.場所や営業時間が利用しやすいか
できるだけ事務所の場所や営業時間が利用しやすいところを選ぶようにしましょう。
アクセスが悪いと、その分事務所に出向くのに時間と費用がかかってしまいます。
近年は司法書士事務所でもオンラインやメールの活用が進んでいますが、会社設立の場合は、作成してもらった書類に印鑑を押すなど、直接のやりとりが必要な場面も少なくありません。
何度か事務所を訪ねることを想定して、行きやすいところを選ぶようにしましょう。
また、平日の日中に司法書士とやりとりする時間をつくるのが難しい場合は、夜間や土日祝でも営業している事務所を選ぶと、時間の調整をしやすくなります。
5.専門家には依頼できない「法人口座開設」は早めにやるべき!
ここまで説明してきたとおり、会社設立の各種手続きは専門家に代行してもらうことができます。
しかし、法人口座の開設については、専門家に依頼はできないので、自分でやらなければいけません。
専門家に会社設立の手続きを代行してもらっている間に、法人口座開設の手続きを進めておきましょう。
法人口座の開設は、下記手順で進めていきます。
【法人口座開設までの手順】STEP2.審査対策を行う
STEP3.必要書類をそろえる
STEP4.口座開設を申し込む(審査期間:約1~4週間)
STEP5.審査を通過できたら、口座が開設できる
法人口座は、会社の経営基盤を整え、事業をいち早く軌道にのせるためにも、できるだけ早く開設すべきです。
しかし、法人口座の開設は、法人登記が完了してからでしか申請できないうえに、審査に約1~4週間かかります。
少しでも早く法人口座を持つためには、事前に「STEP1.金融機関を選ぶ」に取りかかり、選んだ金融機関の審査傾向と必要書類を調べて、登記が完了したらすぐに開設申請できるようにしておこうことが大切です。
金融機関選びは、会社に合ったところを、慎重に選ぶようにしましょう。
法人口座の内容は金融機関によって大きく異なります。会社に合っていないところを選ぶと、かえって資金管理や業務効率の面でマイナスに働きかねません。
法人口座開設で失敗しないよう、さまざまな金融機関を比較検討してから決めるようにしてください。
6.創業期の法人口座を開設するならネット銀行が便利!
会社を設立して初めての法人口座を開設するなら、ネット銀行が便利でおすすめです。
ネット銀行は店舗型銀行(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)と比べ、下表のような特長があります。
【ネット銀行と店舗型銀行の違い】ネット銀行 | 店舗型銀行 (都市銀行や地方銀行、信用金庫等) |
|
---|---|---|
店舗(対面窓口) | × 原則なし |
〇 あり |
ATM | コンビニや提携銀行の ATMが利用可能 |
店舗にATMがある コンビニのATMも利用可能 |
振込手続きの 利便性 |
〇 24時間365日 振込手続きが可能(※1) |
△ 15時を過ぎると翌営業日扱いに なる銀行が多い |
振込手数料 (※2) |
〇 安い (145~300円) |
△ 高い (150~600円) |
口座開設審査の 柔軟さ通りやすさ |
〇 必要書類も最小限であり、柔軟に対応してくれる審査が通りやすい |
△ ネット銀行と比べると必要書類が多く、審査も厳しい |
口座開設スピード | 〇 早い(最短即日~1週間程度) |
△ 遅い(2~4週間) |
※1 システムメンテナンス時は除く
※2 振込金額や振込方法によって異なる
上表をふまえ、ネット銀行で開設するとのようなメリットがあるのかを紹介していきましょう。
【初めての法人口座を開設するならネット銀行が便利!メリット3つ】・いつでもオンラインで手続きが完結できる
・口座開設までの審査期間が短い
6-1.振込手数料が安い
ネット銀行の最大のメリットは、振込手数料が安い点です。
店舗型銀行だと、他行宛て振込が約150~600円かかるのに対し、ネット銀行は約145~300円で利用できます。
ネット銀行は、店舗運営費や人件費を抑えられるので、その分手数料を低く設定できるのです。
1件あたりの振込手数料は、数百円と少額ですが、件数が増えるごとに軽視できない金額になるでしょう。たとえばA銀行とB銀行で振込手数料に100円の差があると、100件振込を行えば1万円の違いが生じます。
最初から手数料が安いところを選ぶことで、無駄のない健全な資金管理を行うことができます。
6-2.24時間365日オンラインで手続きが完結できる
ネット銀行は、24時間365日利用できる(※)ので、夜間でも土日祝でも手続きが可能です。
また、オンラインですべての手続きが完結するため、わざわざ窓口に向かう必要がありません。自宅からでも移動中でも、パソコンやスマホひとつで手続きできます。
時間や場所に縛られず、すきま時間で作業ができるため、業務効率が向上し、より事業に専念しやすくなるでしょう。
※システムメンテナンス時を除く
6-3.口座開設までの審査期間が短い
口座開設までの審査期間が比較的短いのも、ネット銀行の利点のひとつです。
通常、店舗型銀行は審査に約2~4週間要しますが、ネット銀行なら約1~2週間で審査が完了します。
ネット銀行は、開設申請をオンライン上で行い、自動判定システムなどのシステム導入を進めることにより、データ処理が迅速になり、審査期間の短縮を可能としました。
法人口座を早く開設できることで、新しい事業のスムーズな立ち上げを実現しやすくなります。
7.GMOあおぞらネット銀行でいち早く事業を軌道にのせよう!
GMOあおぞらネット銀行は、創業期の会社をいち早く軌道にのせるためのサービスが充実しています。
GMOあおぞらネット銀行が多くの経営者さまから選ばれ続けている理由を、いくつか挙げて紹介していきましょう。
【GMOあおぞらネット銀行が選ばれる理由】・ハンコレス・ペーパーレス・郵送レスのオンライン完結
・創業期なら登記上の設立月から12カ月間、毎月20回まで振込手数料無料!その後も145円でずっとおトク
7-1.条件を満たせば最短即日開設可能!口座開設はらくらく3STEP
GMOあおぞらネット銀行は、負担の少ない手続きで、スマートに法人口座を開設できます。
条件を満たせば、最短当即日の口座開設が可能です。
ご注意事項
・審査の状況によりお時間がかかる場合がございます。あらかじめご了承ください。
・当社休業日にお申し込みいただいた場合は、当日の口座開設はできませんのであらかじめご了承くださいますようお願いいたします。
・ビジネスデビットカードは当日ご利用いただけません。後日転送不要の簡易書留にてご登録法人住所宛てにお送りいたします。
・当社から送付する郵便物をお受け取りいただけない場合、口座の利用制限やカード・口座解約となる場合がございます。
さらに!口座開設まではたったの3STEPで完了します。
スマートな手続きで、会社設立で忙しい経営者でも、手間ひまをかけずに法人口座を開設できるでしょう。
7-2. ハンコレス・ペーパーレス・郵送レスのオンライン完結
GMOあおぞらネット銀行の法人口座開設申請は、ハンコレス(※)・ペーパーレス・郵送レスのオンラインで完結可能です。
また、法人口座の審査で求められることの多い、固定電話や印鑑・定款・履歴事項証明書は必要ありません。
さらにバーチャルオフィス、固定電話ではなく携帯電話番号でもお申し込みいただけますので少ない事前準備でスピーディーに手続きを進められます。
※申込方法によって異なります。
7-3.創業期なら登記上の設立月から12カ月間、毎月20回まで振込手数料無料!その後も145円でずっとおトク
GMOあおぞらネット銀行は、設立1年未満のお客さまは、登記上の設立月から12カ月間、他行宛て振込手数料が毎月20回無料です。
期限・上限を過ぎた場合も、他行宛ての振込手数料が業界最安値水準(※)の145円で利用できます。当社宛ての振込手数料と口座維持費用はずっと0円です。
【GMOあおぞらネット銀行の手数料】振込手数料(当社宛て) | 0円 |
---|---|
振込手数料(他行宛て) | 145円(設立1年未満なら月20回まで無料) |
口座維持費用 | 0円 |
会社設立時は、株式会社で約20万円、合同会社で約6万円必要であり、専門家に任せる場合は、プラス5~15万円かかってきます。
限られた資本金の中で、予算は削れるところは削り、事業の成長につながる部分にお金をかけることが大切です。当社利用なら、銀行手数料で削減できた予算を、お金をかけるべきところに回せるようになるでしょう。
(※2024年11月時点GMOあおぞらネット銀行調べ。調査対象範囲は、大手行およびインターネット専業銀行のうち法人顧客向け口座を提供している銀行。各社の手数料割引のプログラムや期間限定等のキャンペーン等は除く。)
GMOあおぞらネット銀行にて法人口座を開設すると、上記3つのメリットを得られるので、事業をスピーディーに軌道に乗せやすくなるでしょう。
是非検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまで、会社設立における司法書士への依頼について解説してきました。
あらためて本文のポイントをおさらいしましょう。
会社設立は、司法書士のほかに、行政書士・税理士・社会保険労務士に依頼することができます。
会社設立の主な手続きと、各専門家の対応の可否は下表のとおりです。
【会社設立の手続きと各専門家の対応の可否】会社設立の手続き | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 | |
---|---|---|---|---|---|
設立前 | 定款作成・認証 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ |
法務局 への法人登記 | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | |
設立後 | 税務に関する届出 | ✕ | ✕ | 〇 | ✕ |
社会保険の加入 | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 | |
許認可申請 | ✕ | 〇 | ✕ | ✕(※) |
※一部例外あり
上表の内容をふまえ、下記に該当する人は司法書士を選ぶことをおすすめします。
【司法書士を選ぶべき人】・会社設立のアドバイスがほしい人
・どの専門家がいいか選べない人
司法書士には下記メリット・デメリットがあるので、内容をよく理解したうえで、最終的に依頼するかどうか判断してください。
【司法書士に依頼するメリット・デメリット】メリット | デメリット |
---|---|
・スピーディーに会社設立できる ・定款作成のアドバイスをもらえる ・定款認証の印紙代4万円がかからない ・ほかの業務に集中できる |
・費用がかかる(1~15万円) |
司法書士に依頼すると決めた場合は、下記ポイントを基準にして、会社設立に強い司法書士を選ぶようにしましょう。
【司法書士を選ぶ5つのポイント】・料金体系が明確か
・しっかり話を聞いてくれるか
・丁寧に分かりやすく説明してくれるか
・場所や営業時間が利用しやすいか
以上、本記事をもとに、会社設立をサポートしてくれる専門家が見つかり、スムーズに会社を設立できることを願っております。
※ 本コラムは2024年12月6日現在の情報に基づいて執筆したものです。
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