イベント情報&レポート

sunabarコミュニティイベント第28弾

こんにちは。sunabarイベント担当です。
2026年7月21日(火)に「『金融機能を組み込む』だけでは終わらない―AIエージェント時代の新規事業と業務自動化 Agentic APIが切り拓く事業会社の次の一手」を開催しました。

当日は、AIエージェントが銀行機能に直接アクセスし安全に利用できる新たな金融API群「Agentic API」をテーマに、Anthropic Japan合同会社の田村圭氏、株式会社SCIENの田端そら氏をゲストにお迎えして2部構成のパネルディスカッションを実施しました。あわせて、2026年7月3日(金)にリリースしたサンドボックス環境「API実験場sunabar2.0」に実装したMCPサーバーを使い、AIエージェントによる残高照会・入出金明細取得・振込などのデモンストレーションも行われました。

sunabarコミュニティイベント#28
田村 圭氏 Anthropic Japan合同会社 シニアアカウントエグゼクティブ
田村 圭氏Anthropic Japan合同会社 シニアアカウントエグゼクティブ
三菱商事にて約8年間、投資業務等に従事した後、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)に入社。
公共部門にてスタートアップ支援、大学・研究機関および政府AI開発支援プログラム「GENIAC」を担当する事業開発マネージャーを歴任し、その後AI/ML・生成AI領域のGo-To-Marketスペシャリストとして企業の生成AI活用を推進。2026年3月より現職。Anthropicにて日本の企業・組織へのClaude導入と生成AI活用支援を担当する。専門は生成AIの事業開発およびエンタープライズ導入支援。
田端そら氏 株式会社SCIEN 代表取締役
田端そら氏株式会社SCIEN 代表取締役
東京大学大学院修士卒。自動運転・AIの研究に従事し、松尾研究所では自動運転スタートアップ・TIER IVとの共同研究に参画。同課程在学中の2024年に株式会社SCIENを創業。学生時代にはNHKロボコンにて準優勝し、ものづくりとAIの両面に知見を持つ。現在は製造業をはじめとする幅広い業界に向けて、自動運転関連の最先端技術を用い、PoCにとどまらず現場への実装・運用まで見据えた「SCIENCE-Ready」なAIソリューションの開発・導入を牽引している。

銀行に対する信頼の変化とAgentic APIの必要性

銀行に対する信頼の変化とAgentic APIの必要性

当社組込型金融事業本部 本部長の宇津井は、「AIにとって最も使いやすい銀行こそ、人にとって最も頼れる銀行になる」という考え方を提示しました。既存の銀行API(REST API)は人間の操作を前提とした設計であり、非構造化エラーへの対処や冪等性、Webhook/SSE対応、監査証跡といった点で、AIによる自律操作には限界があると指摘。各種調査を引用しながら、2030年前後にはAIエージェントが媒介する商取引が数兆ドル規模に達するとの見通しを示し、「AIが使いやすい銀行」であることが今後の競争軸になると語りました。

こうした認識のもと、当社では国内銀行として初めて、AIエージェント専用の「Agentic API」を新設。REST APIの拡張、基盤・インフラ整備を経て、2027年3月末までの正式公開を計画していることを明らかにしました。想定されるユースケースとしては、SaaS企業のカスタマーサポート自動応答、予約受付・キャンセル対応の自動化、ECサイトでの購入サポートなど、業種を問わず幅広い活用例が紹介されました。

次世代AIバンキング・プラットフォームとオントロジーによる業務自動化

当社テクノロジー・エンジニアリング本部 本部長の白岩からは、AIを銀行の「ツール」ではなく、自律的に財務を執行する「正社員」に変えるという次世代AIバンキング・プラットフォーム構想を紹介しました。トランスポート層、認証・認可プロキシ層、MCPアダプター層、ガバナンス層、銀行ドメインAPI層という5層のアーキテクチャにより、国際基準「FAPI 2.0」に基づく厳格な送信者検証でなりすましを構造的に防止するとともに、更新系APIが実行前に手数料や着金予定日などを試算する「ドライラン」機能によって、ハルシネーションに起因する誤送金リスクを排除する仕組みを解説。

日本銀行のCBDC(中央銀行デジタル通貨)への取り組み

あわせて、エージェントごとに金額・時間・操作範囲を制御するポリシーAPIや、AI同士が対話しながら承認を行い、その過程を人間向けに要約して提示する監査の仕組みも紹介されました。

日本銀行のCBDC(中央銀行デジタル通貨)への取り組み

続いて、株式会社SCIENの田端氏から、製造業に特化したバーティカルAIの取り組みが紹介されました。現場の業務知識を対話形式で聞き取り、実体同士の関係をグラフとして定義する「オントロジー化」を行うことで、大規模言語モデルが業務を正確に理解できるようになり、トークン量の削減とハルシネーションの抑制につながると説明。オントロジー化した業務知識(スキル)と、業務ツールを呼び出すMCPを組み合わせることで、現場の社員自身が狙い通りに動く業務アプリを内製できる仕組みを、生産計画・スケジューラの実装例とともに紹介しました。

両者のセッションを通じて、AIエージェントに利用可能な金額や時間、操作範囲を細かく設定できる仕組みが、ガバナンスと自律性を両立させる鍵になるという点が共通のメッセージとして浮かび上がりました。24時間稼働やヒューマンエラーの排除といったメリットの一方で、即時実行やAIの判断根拠が不透明になるリスクにも真摯に向き合い、技術的な裏付けをもって備えていく姿勢が示されたセッションとなりました。

後半には登壇者と参加者による交流会も開催され、Agentic APIへの期待やご要望について直接意見交換を行う貴重な機会となりました。当社は、2026年5月に発表した「AI銀行」構想のもと、AIエージェントが安全かつ自律的に金融サービスを利用できる未来の実現に向けて、今後も取り組みを進めてまいります。

※本レポートは2026年7月21日時点の情報です。

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