ご利用事例
- バーチャル口座
- API接続・BaaS
株式会社クラウドリアルティさま
APIサービスが実現する、インクルーシブな資本市場とオープンイノベーション
GMOあおぞらネット銀行の法人口座・API接続サービスをご利用いただいている「株式会社クラウドリアルティ」さまに、ご利用を検討された経緯や、実際に利用することで得られたメリット、満足している点などについてお話を伺いました。
株式会社クラウドリアルティさま
投資銀行業務のデジタルトランスフォーメーションを行っており、不動産プロジェクトの資金調達のためのP2Pマーケットプレイス「クラウドリアルティ」を運営されています。
企業サイト:https://www.crowd-realty.com/
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株式会社クラウドリアルティ 代表取締役鬼頭 武嗣 さま
東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。大手外資系コンサルティング会社を経て、外資系投資銀行にてIPO・公募増資の主幹事業務、不動産の証券化に関するアドバイザリー業務などに携わり、多数の案件を執行。2014年、株式会社クラウドリアルティ設立、代表取締役就任。
<どんなビジネスをされているのか>資本市場の再構築
私たちが運営している「クラウドリアルティ」は、不動産を利活用するための資金を必要としている起案者が、個人投資家から出資を募ることのできるP2P型のマーケットプレイスです。これまでに、京町家の再生事業や宮崎市内におけるワークスペース創出事業、渋谷の保育園事業用地取得事業など15件のプロジェクトが成立し、運用を開始しました。
従来、日本の金融業界において、資金調達のために証券会社や投資銀行などを利用できるのは、数十億円、数百億円規模の金額を動かせる、ごく一部の上場企業に限られていました。それ以外の企業にとっては、銀行といった金融機関からの融資だけが資金調達をする唯一の手段だったと思います。
クラウドリアルティでは、都市部の大企業だけではなく地方の中小企業も含むさまざまな起案者が、新しいプロジェクトのための資金調達を実現しています。各プロジェクトに投資しているのは、主に個人投資家の方たちです。不動産を活用したい起案者と、その価値観に共鳴する個人投資家に出会いの「場」を提供することが、クラウドリアルティの役割です。資本市場と呼ばれるこの「場」を、新たなスキームやデジタル化を通じて誰もが利用できる新しい市場へと再構築していきたいと思います。
<法人口座を開設したきっかけ>圧倒的に低コストな「APIサービス」に着目
当社のビジネスでは、不動産の証券化に伴うSPV(特別目的事業体)との法人間をまたぐ決済や、出資者に対する分配金の振り込みなど、さまざまな決済が発生します。そのために必要な決済インフラをすべて自社で作り上げることは難しいので、銀行のAPIサービスを適宜利用して、自社のシステムに組み込みたいと考えていました。
近年、多くの銀行がAPIサービスを提供していますが、ほとんどの場合、初期費用もランニング費用も非常に高いので、当社のようなフィンテックスタートアップが導入することは困難です。そんな中で、GMOあおぞらネット銀行がAPIの公開に積極的に取り組み、私たちでも導入できそうな条件でAPIサービスを提供していることを知り、ぜひ一度、相談してみたいと考えました。当社ではもともと、GMOあおぞらネット銀行のグループ会社である、あおぞら銀行との取引がありましたので、そのつながりからGMOあおぞらネット銀行を紹介していただき、法人口座を開設した次第です。
<こんな風に使われています>分配金の振込に活用、業務システムとのAPI接続も進行中
まず、出資者の口座に分配金を振込むため、GMOあおぞらネット銀行のインターネットバンキングを利用しています。以前は、他行のインターネットバンキングを利用していたのですが、GMOあおぞらネット銀行に切り換えたことで手数料が下がり、大きなメリットを感じています。振込先の金融機関は全国各地の地方銀行など多岐に渡りますが、使い勝手の面においても何不自由なく、非常に満足しています。
さらに、GMOあおぞらネット銀行のAPI接続サービスを利用した新たな業務システムの構築にも取り組んでいるところです。当社の事業は、小ロットで多様なトランザクションが多数発生するP2P型のビジネスなので、ユーザー数が増えれば増えるほど取引数が指数関数的に増加します。決済業務を手作業で続けていると、どこかで必ず破綻するときが来るので、APIを利用した業務の自動化が急務だと考えています。現状では、銀行間によるシステムの仕様の違いを埋めるためにデータをCSVでダウンロードし、加工してからアップロードする作業が多数発生しています。ミスを防止するためにも、APIを使った業務の効率化を早期に実現したいと思います。
決済は金融取引の最も基本的な部分なので、とにかくストレスなくフリクションもなく、ユーザーが思い描いた通りのタイミングとスピード感で正確に取引できる仕組みを作ることがスタートラインになると思います。新システムの開発が順調に進んでいますので、API接続の導入が業務の大幅な効率化につながるものと期待しています。
<利用されてよかったこと>低コストなAPIサービスが、インクルーシブな資本市場を実現する一翼に
やはり、一番大きな魅力を感じているのは費用の部分ですね。他行のAPI接続サービスは非常に高額なので、そもそも導入が進みませんでした。使い勝手のよいAPI接続サービスを低コストで提供してくれるGMOあおぞらネット銀行は、当社のようなフィンテックスタートアップにとって、非常にありがたい存在です。
世界では今、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)という言葉が注目されています。発展途上国には貧困や難民生活のために銀行口座を持っておらず、貧困サイクルから抜け出せない人たちが一定数存在します。そういう人たちが生涯に渡ってお金を管理できるように、誰でも使える金融インフラを作ろうというのが、ファイナンシャル・インクルージョンの概念とされることが多いですが、この概念は銀行預金や決済のみを対象としたものではありません。
日本では90%以上の人が銀行口座を持っていますが、資本市場に目を向けてみると、発行体として資本市場にアクセスできる人は数%にとどまっています。特に、地方の中小企業にとっては地域の金融機関からの融資だけが頼りですが、銀行融資で対応できる資金需要には限界があるため、資金を調達できずに事業を諦めるケースが少なくありません。
私たちが作りたいのは、すべての人がアクセスできるインクルーシブな資本市場です。誰もが低コストで気軽に利用できる新しい金融市場を構築するために、GMOあおぞらネット銀行のサービスが大きな役割を果たしてくれると期待しています。
<今後の取り組み>世界も視野に入れ、業界全体のオープンイノベーションを促進したい
海外に目を向けると、欧州ではオープンAPIの活用が急速に進んでいます。その背景には、個人のデータは個人に帰属するべきだと定めるGDPR(EU一般データ保護規則)という法令があります。ユーザーがデータを自由に利用できるように、金融業界全体で連携しようという意識も浸透しています。欧州やシンガポールなどでは、オープンAPIを利用した金融のインフラストラクチャーが次々とできていて、そこには銀行など既存の金融機関もあれば、生まれたばかりのフィンテックスタートアップも多数活躍しています。これを日本の企業が足踏みしながら眺めているのは、非常にもったいない状況だと思います。
今後、日本の企業が海外と互角にビジネスをしていくためには、そこに足並みを揃えて活動することが大前提となってきますので、オープンAPIに積極的に取り組んでいるGMOあおぞらネット銀行の経営戦略は、高く評価されるべきものだと思います。今回は、私たちがユーザーとしてGMOあおぞらネット銀行のAPIを使わせてもらう側ですが、当社も金融サービスを提供するプラットフォーマーのひとつとして、将来的にはAPIを積極的にオープンにしていきたいと思います。
オープンイノベーションを促進し、あらゆる金融サービスがAPIでつながることで、これまでになかったユーザーエクスペリエンスや多様なベネフィットを生み出せるようになると思います。それは、当社だけでは決して実現できないことなので、新たな金融エコシステムの構築を目指し、既存の金融機関やフィンテックスタートアップも含めた業界全体で取り組む必要があるのではないでしょうか。さらに、金融業界だけにとどまることなく、国内外の大手企業や関係省庁とも連携を図り、新時代の金融サービスが生まれる環境を作っていけたらいいなと思います。
本インタビューは2020年5月に実施したものです。